無頓着な彼は。

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今日は8/21

要との約束の日だ。

と言っても別荘に行ってから約2週間しか経っていないのであまり久しぶりな感じはしない。


結局あれから家に着いたと達兄と春兄に起こされ葵を家に返した後、今まで何をしたのか細かく聞かれて全然眠れなかった。
次の日も穴埋めをしろと始終付きまとって大変だったなぁと思いを馳せていると、スマホが鳴り"起きたか"と要から連絡が来た。


慌てて返事を返し、支度を始める。


もうすぐ終わりそうだと再度連絡を入れると、"分かった"と返事がきた。

それから少しして、"家の前に着いた"と連絡が来た。

迎えに行くから住所を教えろと以前言われており、伝えていたためスムーズに着いたみたいだ。
申し訳ないと思ったが、いいから教えろ。と圧が強くて断れなかったのだ。


それにしても思ったより早く来た。
近くで待っていてくれたのかもしれない。

待たせては悪い。と慌てて家を飛び出した。


「うわっすごい車、、、
あ！要、ごめん待たせちゃって。」
黒光りの高そうな車に驚いていると窓が開き要が顔を覗かせた。

「いや大丈夫だ。こっちから乗りな。」
要が隣の席へすっと移動した。


ガチャッ


「おじゃまします。
あ、初めまして、春白恭です。
よろしくお願いします。」
席に座ると運転席にいた優しげなおじいさんが振り返ってくれたので挨拶をした。

すこし驚いた様子で、

「これはこれはご丁寧に。
ありがとうございます。
私は運転手の松戸と申します。
ぼっちゃんがこんな可愛らしいお友達を見つけてくるなんて、嬉しい限りです。」
優しそうな印象通り、要への優しさが伝わってくる。

「ふふっぼっちゃん。」
そう言いながら思わず笑ってしまった俺を咎めるように要が睨んできた。
照れた睨みに余計に笑みがこぼれてしまう。

「松戸も。余計なこと言うなよ。」

「失礼いたしました。
では、出発いたしますね。」
そう言って丁寧な運転で進んでいく。


「そういえば、これからどこに行くの？」

「ああ、俺ん家。」

「、、、え？？
要ん家にいくの？そんな急に言わないでよ、、
手土産とか何も持ってきてないよ。」

「別にいい。」
ぶっきらぼうにそう言う要。

「もう。」
要はいいかもだけど、、この状況でどうする事もできないので今回は諦めるしかないけど。



「ふふふっ
本当に仲がよろしいんですね。
まもなく着きますよ。」
2人で軽く言い争いを続けていると、優しそうな松戸さんの声が聞こえ、窓の外を見るとザ日本家屋な御屋敷が見えてきた。

もしかして、あれかな、、
でも松戸さんぼっちゃんって要の事呼んでたし、、

じーっと御屋敷を見つめていると、

「ああ、あれが俺ん家。」
俺の頭の上から一緒に窓の外を見て、俺の見つめる先が分かったのか要がそう言った。

「え？やっぱりあれなの？」
驚きながら声のする上を見ると、思ったより顔が近くで驚く。

「ふっはしゃぎすぎ。」
目の前で優しく微笑んで俺の頭をぽんぽんしながら離れる要。
子どもみたいになだめられたみたいだ。

「うぅ、子どもあつかいしないでよ、、」

そんなやりとりをしているとどうやらもう家の前についたようで、

ガガガガッ

目の前で閉ざされていた門が自動で開いていた。