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プロローグ
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コツ、コツと革靴の踵が地面を蹴る音がして、ピンポンとインターホンの呼び出し音が鳴った。修一の足音だ。この音を何年も聞いてきた優子にはすぐに分かった。
解錠のボタンを押す。いつもは優子が玄関ドアを開けに出ていた。
――何か、気づくかしら……。
エアコンで温められた空気に冷たい空気が混ざる。
「おかえりなさい」
心なしか頬が赤く見えた。修一の目を見た。夫の目がすっと放れる。
「ああ、ただいま……。ああ、ちょっと風呂、入ってもいいかな?」
――いつも「腹減ったー」って言うくせに、風呂に入って女の匂いを消すつもりだろ!
確かに、いつもはカラスの行水と言われるほど、数分で風呂を出る修一だが、その日は四十分近く経って浴室を出た。
:
修一がタオルで頭を乾かしながら、冷蔵庫から缶ビールを取り出す。どっさりとそのプルトップを引いた。
修一は喉を鳴らしてビールを飲んだ。
「修一さん、今日は長いお風呂だったんですね?」
「ああ、たまにはね」
修一の目がテレビに動いた。
――ベッドに誘えるのかしら……。
解錠のボタンを押す。いつもは優子が玄関ドアを開けに出ていた。
――何か、気づくかしら……。
エアコンで温められた空気に冷たい空気が混ざる。
「おかえりなさい」
心なしか頬が赤く見えた。修一の目を見た。夫の目がすっと放れる。
「ああ、ただいま……。ああ、ちょっと風呂、入ってもいいかな?」
――いつも「腹減ったー」って言うくせに、風呂に入って女の匂いを消すつもりだろ!
確かに、いつもはカラスの行水と言われるほど、数分で風呂を出る修一だが、その日は四十分近く経って浴室を出た。
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修一がタオルで頭を乾かしながら、冷蔵庫から缶ビールを取り出す。どっさりとそのプルトップを引いた。
修一は喉を鳴らしてビールを飲んだ。
「修一さん、今日は長いお風呂だったんですね?」
「ああ、たまにはね」
修一の目がテレビに動いた。
――ベッドに誘えるのかしら……。
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