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隣人
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優子は夫の首すじについたキスマークのことをずっと考えていた。ようやく眠れたのは明け方だった。その日、優子は結婚してはじめて寝坊した。
キッチンテーブルの上に手紙が置いてあった。広告の裏に書かれたその手紙は娘の凛華が書いたものだ。
『ママ、おはよう。
ママはつかれてるから
お薬のんでネ。
学校はパパと行くから、
いっぱいねてネ。
りんかより』
りんか、とひらがなで書かれた名前の横にハートマークが添えられていた。
キッチンテーブルには食パンと牛乳が載ったプレート、その横には水が入ったカップと風邪薬があった。
――ありがとう。ごめんね。凛華……。
優子は自分の左の二の腕につけたキスマークを思い出した。そこに目をやる。儚い〈桜の花びら〉を指先で撫でた。
キッチンテーブルの上に手紙が置いてあった。広告の裏に書かれたその手紙は娘の凛華が書いたものだ。
『ママ、おはよう。
ママはつかれてるから
お薬のんでネ。
学校はパパと行くから、
いっぱいねてネ。
りんかより』
りんか、とひらがなで書かれた名前の横にハートマークが添えられていた。
キッチンテーブルには食パンと牛乳が載ったプレート、その横には水が入ったカップと風邪薬があった。
――ありがとう。ごめんね。凛華……。
優子は自分の左の二の腕につけたキスマークを思い出した。そこに目をやる。儚い〈桜の花びら〉を指先で撫でた。
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