聖女は美形獣人たちをトロトロに甘やかすのに本命はぽっちゃりメガネの院長様だけです!

まつめ

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本物の王子様?

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 お茶をトレイにのせて戻ると、私のオムライスはダンくんに食べられた後だった。
「ダンくん本当に食べちゃった。ウサギなのに肉食べた……」

 彼の体の半分の大きさはあったはずなのに、お皿は綺麗になっている。ダンくんは後ろ足で立って「キュウ」と可愛く鳴いた。きっと美味しいと言ってくれたのだろう。
 嬉しくなって撫でようとすると。クルクル回って足をタンタンと鳴らし始めた。なんだろうこれ?

「ああその動きは、食後の運動でしょう、気にしなくていいですよ。咲さんの分のお昼が無くなってしまいましたね。あの缶詰を食べますか」

 首をぶんぶん振って「いりません」と慌てて断った。
 トートさんの夕食用に多めに作ったチキンライスを食べるから大丈夫と声を掛けたところに、物音が玄関の方から聞こえた。

「あれ? 騎士さん今日はお迎えが早いですね」
「皆さんでお食事をされているんですか」

 赤い髪の送り迎えをしてくれる顔なじみの騎士さんが現れた。いつも彼は話しかけても返事をしない、そのように命令されているのだろう、優しく微笑んでくれるだけだ。でも今日は初めて会話をしてきた。

「はい、私が作ったんです。良かったら騎士さんも食べますか?」
「それは嬉しい。ぜひ頂きたいです」

 いつもは夕方に迎えに来るはずの彼が昼に突然来て、話かけてくるのでいつもと違ってなんだかひどく緊張する。トートさんは丸いメガネの向こうで、何だか怖い顔をして騎士さんを睨む。

 私はキッチンに行くと、自分と騎士さんの分のオムライスを作り始めた。ダンくんが道具をくわえて渡してくれる、可愛い助手さんのお陰ですぐに出来上がったのでテーブルに運ぼうとした。

「何です、わざわざ偵察ていさつに来たのですか?」
 トートさんの冷たい口調にびっくりして足を止める。

「私はただの護衛騎士です、聖女様のお迎えに上がっただけです」
 ゆったりとした低い声。でもなんだかいつもの騎士さんと雰囲気が違う。

「わざとらしい。聖女様の食事の件を報告したのに、改善してないようですよ。いったいどういう扱いをしているんです」
 トートさんが「聖女様」と言った……私の話をしているの?

「おやおや、この数日でずい分仲良しになったんですね、彼女のことが心配ですか、それは良い事だ…… ああ聖女様、ありがとうございます」

 急に騎士さんがこちらを見てにっこり笑ったので、急いでオムライスを運ぶと「どうぞ」とスプーンを置いた。彼の笑顔の感じが何かと似ている……

 トートさんの冷たい視線をものともせず、騎士さんは涼しい顔でオムライスを食べる。その所作が何とも上品でちょっと見とれるくらいに優雅だった。

「初めて食べる料理だ。とても美味しいです。聖女様が作られたせいか活力が湧いてくるように感じますよ」
 なんだろう、高貴なお貴族様っぽい感じがどんどん増していく。そうだこの笑顔、お父さんに似ているんだ。高い所にいて私が届かないと知っている、あの笑い方。
 
 玄関でまた物音がして、今度は今朝も聞いたあの怒鳴り声が響いて、ドカドカと人が入ってくる気配がした。

「おい、勝手に転移魔法室を使ってここに来た奴は誰だ! 何者だおまえ」
 ヘリット第二王子が騎士をつれてすごい勢いでダイニングルームに入って来て、オムライスを食べ終えたばかりの騎士さんに向かってきた。

 あれ? 彼の後ろには赤い髪の騎士さんが……同じ人が2人いる?!
 ヘリット王子が先に来た赤髪の騎士の胸倉むなぐらをつかもうとした時、後ろから来たそっくりさんの赤髪の騎士が、必死になって彼を止めた。

 手を伸ばそうとして後ろから羽交い絞めにされ、ヘリット王子はじたばたと動いて放せと喚いた。
 先に来た騎士さんは、余裕の雰囲気で足を組むと、フッと馬鹿にして笑った。
「困るじゃないかヘリット、せっかく聖女様と楽しく食事をしていたのに無粋なことをされては不愉快だ」
 ヘリットと呼び捨てられて、彼の青い瞳がみるみる驚きに大きくなる「兄上……」と呆然として呟いた。

 そこに赤髪の騎士はいなくなった。ヘリット王子と同じ蜂蜜色の金髪に青いサファイヤの瞳の豪奢ごうしゃな服装の青年が現れる。
 とても似ているのに、まったく異質の輝き。宝石だと思っていたヘリット王子の輝きが、一瞬にしてガラス玉になってしまった。あまりに違う、眼光の鋭さと燃えるような覇気、すっと目線を泳がすその仕草一つが、ぞっとするような高貴さを見せつける。

 ああこの人、一言命令すれば人を殺せる立場の人だ。

 彼は立ち上がると優雅にお辞儀をして、気が付いたら私の手を取っていた。
「初めまして聖女様、第一王子のヨーゼフ・ビスホップ・ベイエルスベルヘン・バウス・デ・フラーフです」

 はい、全然頭に入りません! 名前ながっ
「ヨーゼフと呼んでください」 
 手の甲にチュッとされて、飛び上がって驚いた。何故か異世界転移したことを今までで一番実感した瞬間だった。

 うっわー、本物の王子様から手にキスされてしまった。
 弟のヘリット王子も本物なんでしょうけど……なんだろうこの異次元の格の違いは……

 ぼーっとしていたけれど、自分も名乗らなければと言おうとしてから、この人は私の名前なんて知っているか……とちょっと馬鹿らしくなった。
 この人も私を半年間部屋に閉じ込めて、侍女に虐めさせていた側の人だものね。

「あなたは食事も満足に与えられず、身の回りの世話もご自分でなさっているとのこと報告を受けました。聖女様にご不自由と心痛を与えましたこと心よりお詫びします。今日からは第一王子である私があなたを管理いたしますよ」

 優しい言葉でありつつも、あなたを管理するという言い回しがまるで物のようだ。完璧な美貌の微笑みはギリシャ神話の彫刻が動いているようで怖い。

「待ってください兄上。その者は私の婚約者で、全ては私に任せると陛下は仰った。私がやります……どうかやらせてください」
 やっと羽交い絞めを解かれた、ヘリット王子がビクビクした子犬みたいな気弱な感じで言った。

「食事も満足に与えなかったおまえが、今更なにをしようと言うんだい?」
 驚いたようにヘリット王子がこちらを見た?

「食事を与えられていない? そんな馬鹿な。侍女たちからそんな報告は受けていない」
 
 はははとテノールの美しい笑い声が小屋に響いた。
「その侍女たちに、聖女様は陰湿に虐められていたのだよ。その侍女が言うことだけを信じて、自ら確認もしない無責任なおまえには任せられない」
 ヨーゼフ王子は立ち上がると、ずいとヘリット王子に顔を近づけた。
 
「相変わらず頭が悪く、何をやらせても失敗ばかりで後始末は私にさせる。おまえは何もしないのが一番役にたつのだと早く気づいてほしいものだ。もう、腕も動かすな、口もきくな、ああ、息をすることだけは許してやろう」

 とんでもなくひどい言葉を言われたのに、ヘリット王子は表情も変えず、申し訳ありませんお願いしますと頭をさげる。この人はこんな言われ方に慣れているのだと思った。ヨーゼフ王子がにっこりと私に笑顔を向ける、その後ろでヘリット王子が咳き込みだした。

「兄上……今度はちゃんとやりますゴホッ……」
 咳き込みながら座り込んでしまったヘリット王子のそばに行って、治癒の力を使った。

「あの、お兄さんだって同じじゃないですか?」
 ヘリット王子がちょっと気の毒になって、つい兄王子様に言ってしまった。
 変わらない優しいイケメンの笑顔で「なんですか聖女様」と返される。

「人任せにして、確認しないヘリット王子が悪いと言いましたけど、あなただってトートさんから聞くまで自分で確認しなかった、だから同じです。自分の失敗は良くて、弟だけ悪者にするんですね」

「やめろ! 兄上に意見などするな」
 咳がやっと治まったヘリット王子が、強い力で私を引っ張ると彼の後ろにさがらせた。あまりの勢いに尻もちをついてしまう、慌てて見上げると、ヘリット王子が私をかばうように立っている。

「申し訳ありません。愚鈍な私がすべて悪いのです。この聖女は異世界人、己の立場が分かっておらぬのです、どうかお許しください。不敬の罰は私が受けます」

 ヨーゼフ王子から完璧な優しい笑顔が消えた。そして笑った、背中に悪寒が走る。
 初めてこの人が本気で笑った。なんて恐ろしい感じがするんだろう。青い瞳が妖しい程に美しくて、射抜くような視線を逸らせない。そのまま彼は私だけを見つめて近づくと、手を取って立たせてくれた。

 ちょっと近い!
 腰に手がまわり、抱きかかえられるように密着してくる。大人の男性の手が顎にかかって顔が上げさせられる。

「これが聖女の慈愛の力か?」
 覗き込んでくる顔が近い。怖いからやめて……

「ヘリットが他人をかばうのを始めて見た……そして……アンストートの心をたった数日で動かした。これが聖女……興味深いな、この慈愛の力は私にも作用するだろうか」

 まるでキスするかのように彼の顔がぐいと近づく。心の中で「やめてー」と絶叫しながら顔を反らした。

「無体が過ぎます殿下、聖女をお放しください」
「放さなかったらどうするのかな? アンストート試してみようか」

 ヨーゼフ王子が口の中で何かを唱え片手を挙げると、天井一杯に広がる魔法陣が出現した。赤い光が禍々しく放たれる。これは悪い物だと本能的な恐怖で全身が強張った。
 でも光は一瞬で消えた。

「この小屋を吹き飛ばすおつもりでしたか? おふざけが過ぎます殿下」
 トートさんの挑みかかるような鋭い視線が真っすぐヨーゼフ王子を捕らえている。
 これから戦いが始まるような緊張感が二人の間でバチバチしている。

「魔法の発動さえできなかった……予想した通りだ、おまえの力は私よりも上だ。ようやくだ、遂におまえの力を引き出したぞ。この2年間どんなに挑発してもされるがままだったのに…… 聖女に危害が及ぶかもと思ったら、我慢ができなかったかアンストート」

 ヨーゼフ王子の腕に力が入って、ぐいっと抱き寄せられる。テーブルの上でダンくんが「キュウキュウ」と激しく鳴いた。

「ふうん……これは無反応か。まあいい」
 ヨーゼフ王子の腰に回った腕がやっと緩む、両手でぐいと体を離すと、走ってトートさんの後ろに立った。

「聖女様を怖がらせてしまいましたね、お詫びします。それでは私はこれで失礼するとしよう」
 ヨーゼフ王子はじっと見つめるヘリット王子に目も合わさず「1度だけ機会を与える、二度と聖女様に不自由を与えるな」とすれ違いに冷たく言って、玄関の方へ歩き出した。
 そして振り返り完璧に整った笑顔を私に向けた。

「そうそう、聖女様からお叱りを受けましたからね、これからは自らの目で確認するとお約束します。また来ますよごきげんよう」

                  ◇◇◇   ◇◇◇

「私がかばってやったから助かったんだ。ありがたく思え! いいか兄上に口答えしたおまえは、本当だったら今頃死んでたんだぞ」
 
 ヨーゼフ第一王子が帰ったとたん、急に偉ぶるヘリット王子が、自分がおまえの命の恩人だと言い出した。いやいやあなたには助けてもらってないですよ、それはむしろ……
「なんかやばい魔法出してたでしょあなたのお兄さん。あれを止めてくれたのはトートさん……」

 私の話が終わる前に、ヘリット王子は声を張り上げた。

「そんな訳あるか。いいか、兄上は国に2人しかいない特級魔法使いだ。最も力があり権威を持つ人なんだぞ。その兄上よりこの出来損ないの方が上なんてありえない。冗談に決まってる」

 「そうだろ出来損ない」と怒鳴られて、トートさんはその通りですと頷いた。

「それにだな、本当にこいつが力ある魔法使いなら、2年もこんな小屋に閉じ込められていないだろ」

 閉じ込められている? 
 トートさんはここに囚われているの? それも2年間も?!
 あまりのことに胸が痛くなって、彼をみたけれどメガネの奥の目は何も感情を表していなかった。

「まったくおまえがぐずでまともに報告もしないから、侍女の不始末も分からなかった。だいたいその粗末な服装も、おまえが我儘でドレスを着るのを拒否するからだろ、もっとまともな服を着てこい」

 ゴチーン! とヘリット王子の額に何かが弾丸のように飛んできてぶつかった。彼はそのまま後ろにひっくり返った。
 ダンくんが、強烈なジャンプでヘリット王子に頭突きをおみまいしたのだ。

「痛いなおまえ、王子の私にこんなことをして許されると……うわあ」
 そのまま、王子が口をきけなくなるまでダンくんの攻撃は続いた。
 へろへろになって床に倒れる彼の上からトートさんが怒った声で言った。

「ヘリット殿下、聖女様が粗末な服でいらっしゃるのは、侍女のいじめだと気づいてください。彼女が今夜こそまともな夕食や入浴ができるように、さあ帰って指示してきてください」

 この頃は硬いパンとくず野菜のお湯みたいなスープしか食べてない。入浴もできずに体を拭くだけだった。
 ありがとうトートさん、そして……

「ありがとうダンくん。私のためにヘリット王子を怒ってくれて! もう大好き私の騎士様」
 灰色の可愛いウサギさんを抱っこしてお礼のキスを目の上にしてあげた。

「キッキュウウウー」
「駄目だぁ咲さん」
 ダンくんのすごい鳴き声と、トートさんの叫び声が重なった。

 強引にトートさんに奪われたダンくんは、両足をダラーンと垂らしてぴくぴくしている。
「咲さん、カルス殿は本物の騎士なのです。女性が騎士に軽々しくキ、キスなどしてはいけません。そういうことはちゃんと双方の合意でもって……」
 そう言って彼はダンくんを見た。黒いつぶらなおめめがウルウルして、キュっと可愛く鳴く。

「ほら喜んでる。合意はできてます、ねっダンくん」
 私がダンくんに顔を近づけると、ペロッと頬を舐めてくれた。
「キュウウー、ウググ」

 いきなりトートさんがダンくんの首を絞めたので、鳴き声が詰まった変な声になった。
「いい加減にしましょうかカルス殿、出禁にしますよ」

               ◇◇◇   ◇◇◇

 その日から、私の王宮での生活は快適になった。ヘリット王子は相変わらずうるさいけれど、ちゃんと自分の目で見て侍女の働きぶりを確認してくれるようになった。

 トートさんの研究院に患者の動物はあれから来ないけれど、私は汚部屋のすべてを綺麗にすべく、毎日来てくれるダンくんを助手にお掃除の日々を送っている。

 そして、私の大きな楽しみはトートさんへの食事作りになった。
 不健康そうな真っ白い顔が、少しずつ元気になっていくのが嬉しい。

 ねえ、お母さん。私はこちらの世界でまだお母さんみたいなかっこいい看護師さんにはなれてないけれど、今の所の目標はトートさんの『おかん』になることなんだ。同じ囚われ仲間として、なんだかこの人をほっとけないの、私がお世話をやいて健康にしてあげるんだ。
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