女王陛下

Kira

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紅の華と黒の華

ある丘で

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そこは王都より少し小高い丘であった。花々が美しく咲き誇り、特に白い花が多かった。
王都を一望できるところに一本の木が立っており、青々とした葉が生い茂っていた。木の下には木陰ができており涼しそうな風がさわさわと吹いていた。
男はそこに居た。美しい金髪が風に揺られており目は固く閉じていた。
金髪はここら辺のものにとっては珍しくない。近くには黒い外套が脱ぎ捨てられていた。

男は薄らと目を開けた。

「あれ?いきてたの?」

「生きていたのかと聞くのか。生きているに決まっているだろう。」

そんな返答に少年は驚いたようだったが

「目をつぶって動かなかったもの。最初は石像かと思ったよ。でも、そんな綺麗な金髪を持つ石像なんて無いものね。だから死んでるのかと思ったんだよ。」

と言ってクスクスと笑った。
男は少年を見やってあの酒屋で働いていたものだと気づいた。

「仕事ではないのか?」

そう聞かれた少年はキョトンとしたあとカラカラと笑った。

「あははっ!仕事は今日はないよ!今日は自分の為に家を出てきたんだ。ここに来るために。」

そう言って男をじっとみた。
そして

「昨日、お店にいた黒づくめの人だよね。今日は外套を着ていないんだ。」

そう言ってきた。

「もういいかなと思ったんだ。」

何がとは聞かなかった。何かあるのだろうと思ったのだろう、少女は少し考えたあと

「そうなの。」

とだけ言った。

そのあと、どこかに行くのかと思ったが少女は男の隣に腰を下ろして

「綺麗な翠の目だ。よろしく、私はヴィー。
あなたのお名前は?」

そう言って微笑んだ。その笑顔は美しいと感じた。一瞬返事に遅れたが

「俺はアルだ。」

「よろしく、アル。」

差し出された手は少女のように小さかった。


それから2人は黙っていたが、1つ気になったことを聞こうとアルは話しかけた。

「なぁ、なんでそんなに髪が長いんだ?」

話しかけられるとは思っていなかったのか、目をぱちくりとして、

「びっくりしたわ。」

と言った。

「わ?」

「あ!いや、びっくりしたよ!あはは!」

妙に女っぽい話し方をしたことを誤魔化すようにヴィーは笑った。

「えっと、髪のことだよね。これはその、家の事情で、家族に認められるまで、切っちゃいけないんだ。」

それを言ったヴィーの目は泳いでいた。明らかに嘘とわかる行動をしたことに若干呆れたが騙された振りをしてあげようと思った。

「なるほどな。」

それだけ言うと明らかにほっとした様子でこちらを見た。

そうだ!と言って空気を変えるようにヴィーは立ち上がった。

「ねぇ!私がこの街を案内するよ!
近くにいる人も連れておいでよ。」

そう言って笑った。

近くにいる人とは昨日一緒にいたもの達のことだろう。よく気がついたなと不思議に思ったが、

「あなた、結構な家の人でしょ。発音が綺麗なのでバレバレだよ。護衛さんたち連れておいで。」

それにびっくりしたようだった。。がアルは笑っ
た。

「お前も綺麗な発音だな。」

そう言うとヴィーはビクッとした。

「お、お兄ちゃんに直されたから」

と言った。

その様子を見てアルは笑った。笑った目はヴィーに優しく注がれていた。
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