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第一章
1-13
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また暑い一日が始まる。
胡瓜だけでは腹が減るなぁと思いながら喜一郎は佐吉の後をついて表へ出た。
冷たい清水で顔を洗い口を漱ぎ、太陽を振り仰ぐと一気に頭が冴える。
佐吉は胡瓜を二本ばかり捥ぎって、喜一郎に一本投げてよこした。
「佐吉兄ぃ、ちゃんと煮炊きの出来る嫁をもらってくれ。」
喜一郎は苦笑しながら受け取ると、バリバリと音を立てながら胡瓜に喰らい付いた。
周りから何度も嫁を貰えと言われてきた。しかし、その度に佐吉は返答に困る。年頃の娘はほとんど嫁に行っているか、親が決めた許嫁がいるものだ。佐吉の親父はとやかく言う性格ではないので気楽ではあるが、相手を探して来てくれるわけでもない。日常に追われなんとなく過ごすうちに、なんとなく過ごしてしまったのだ。
「そう言うんだったらお前が誰か探してきてくれよ。
同じ年頃の女はみんな、五、六年前に嫁いじまっただろ。俺は……。」
俺は…どうしたかったのだろう。佐吉の脳裏に一瞬、鈴虫の面影が浮んで消えた。
昨夜までの喜一郎の話は理解できたと思うが、佐吉としては納得がいかない部分も多かった。確かに、話で聞くのと実際にその場面に居合わせるのでは、受け取り方は大きく違うのであろう。子供心に植え付けられた恐怖心を慮る程の想像力が無いのかもしれない。散々話を聞いても、佐吉にはどうしも鈴虫の素直な眼差しと怨念めいたものが結びつかない。あの日の鈴虫の可愛らしい笑顔が全てを覆してしまうのだ。
とにかく、その場の勢いだったのかも知れないが、鈴虫の身を預かっても良いと言う大切な言質を取った。
佐吉としては、それだけで大きな収穫だ。
「あのさ…昨日の話…忘れてないよな。」
佐吉はにやけた顔を無理に隠そうと目線を逸らしている。喜一郎は何が言いたいのかすぐに察した。付ける薬も無さそうだと、少々呆れた眼差しで見遣って溜息交じりに頷いて見せた。
佐吉は、ぱぁっと顔を綻ばせた。が、喜一郎の冷たい視線に刺されて、ちょっと恥ずかしそうに目を逸らす。
「鈴虫の事は任せたよ。俺は、い・や・だッ!」
「んじゃ、昼過ぎからまた…」
「あーあー、はいはい、どうぞどうぞ。
佐吉兄ぃってさぁ、あれだけ俺の話を聞いても平気で居られるんだな。」
「う~ん、あぁ、そだな。俺は……。」
「佐吉兄ぃ、赤くなってら!ウブだねぇ~!
まぁまぁ、とりあえず筆下ろししてもらえれば良いんじゃねぇか?」
言葉に詰まる佐吉をよそに、喜一郎は悪戯っぽく笑った。
日が高くなる前に水遣りを済ませてしまおう。そう言えば、ここ数日は昼からの家での手仕事を蔑ろにしている。少々反省しなければならない。その分は昼までの仕事に精を出すべきだ。俺は…の続きの言葉を呑み込んで、佐吉は仕事を終えてしまおうと急いだ。
夏の太陽が頭の真上に昇ると、肌をチリチリと刺すような暑さに襲われる。頭に被った笠の影からはみ出した手足は焦げそうだ。水遣り一つにしても、何度も水を水路から汲み上げては乾いた畑へと運ばねばならない重労働である。細身ではあるがしっかりと筋肉のついた逞しい肢体から汗を滴らせ三人は黙々と働いた。
一息吐いて空を見上げると、白い入道雲が山の上に湧き上がっている。それはなんとも目に眩しい景色であった。しかし、こんな日にうっかり外に長居するのは禁物だ。下手するとそれが命取りになってしまう。親父を先に家に帰すと、佐吉と喜一郎は木陰を探して腰を下ろし、竹筒の少し温くなった水を喉に流し込んだ。目の前に広がる緑のススキの葉の下から、小さなカナヘビが顔を出し、太陽にうんざりするようにしてまた草の陰へと戻って行く。
「なぁ、喜一郎。そう言えば…なんで鈴虫は鈴虫って呼ばれてるんだ?」
「ん?…知らねぇ。」
「そか。」
「あれの呼び名なんて俺は興味ないから。
まぁ、鈴虫ってのも変な名前だが、男で喜美ってのも解せんぞ。」
「そうかぁ…喜美ちゃんか…。」
「佐吉兄ぃ、何を考えてるんだ!?」
「ん…いやぁ、まぁ、なんかさぁ…。まぁ、ごめん。やっぱり気にしないでくれ。
夕立でも来るとちっとは涼しくなるのになぁ。」
そう言うと佐吉は立ち上がり、喜一郎に短く断りを入れ屋敷へと向かった。親父には喜一郎が上手いこと言っておいてくれるだろう。
草いきれの立ち込める道を足早に歩く。佐吉はいざ屋敷の門前に着くと、はたしてどちらの案件から話すべかわからなくなっていた。どちらも嘉平に伝えなければならないことではあるが、どちらも切り出しにくい事案である。佐吉は言わなければならない二つの事を天秤に掛け、しばらく思案すると意を決して門をくぐった。
庭の奥から人の気配がする。佐吉が屋敷の角から顔を出して覗き込むと、嘉平は井戸の水を汲み上げて運び込もうとしていた。
「あ、あのぅ、嘉平様、佐吉です。おじゃましますよ。」
「おぉ、佐吉か!ちょうど良いところに来てくれた。悪いが薬を飲ませる手伝いを頼みたいんだ。お前が居ると機嫌が良いんだよ。」
そう言われると佐吉は少し照れてしまう。さりげなく手を差し出し、水のいっぱいに入った桶を代わりに持った。そして、二人は話しながら歩き出す。まずは嘉平が尋ねたくてもなかなか切り出し難い事から伝えておこう。
「あの…嘉平様、実は喜一郎はうちに来てるんですよ。」
「はぁ!あの馬鹿、どこまで面倒掛けりゃ気が済むんだか!とっとと帰ってくるように言ってはくれないか。お前の親父様にも迷惑掛けて申し訳ない。」
嘉平は深く溜息を吐き申し訳なさそうに頭を下げた。しかしその表情には安堵感も覗える。親として、その身を案じていないわけではないが、捜しに出る程の余裕はなかったのだ。幼馴染の家に身を寄せているのならまずはとりあえずは安心だろう。
「いえいえ、とんでもない。親父は賑やかになったって言ってますし。それで、あの…久々って言うのもあって、喜一郎と二人きりで色々と話をしました。」
「そうかい、そうかい。近頃、あいつも色々と鬱憤が溜まっていたのではないかと思うんだが上手く聞き届けてやれなかったようだよ。色々無理強いしてしまったこともあったからなぁ…。お前に話して少しは落ち着いたかね?」
「はぁ、まぁ…。でも…悩みの種は…」
「佐吉、何を聞いたんだね。まさか…あの馬鹿、鈴虫のことを…。」
「責めないでやって下さい。俺はこの村の者だし、知っていても構わないはずです。正直に話します。鈴虫を嫌っている理由を打ち明けてくれました。」
「鈴虫を嫌っている理由!?何だ、何でなんだ!?そりゃ、儂が知りたいわ!」
嘉平は呆れ果てた。一体何を話してしまったのだろうか。おそらく喜一郎が物心着いてからのことを洗い浚い喋ってしまったのだろう。とりあえず話した内容を確認しなければならない。さて、どうやって探りを入れるか…
神妙な顔つきの嘉平をよそに、佐吉はもじもじしながら言葉を探していた。
「あっ、あのぉ…嘉平様、すっ、鈴虫は俺に…あ?鈴虫を…鈴虫の……」
「ん?佐吉!?大丈夫か?」
「す、す、すっ鈴虫を俺に任せて貰えませんかッ!喜一郎も鈴虫も、お互いに苦手な者同士だし、俺の方が良いと思うんです。」
佐吉の顔は真っ赤になった。しどろもどろになって声がひっくり返る。全身から妙な汗が噴出してきた。
嘉平は急な申し出に正直言って驚いた。喜一郎が鈴虫を頑なに拒み続けている状態では、佐吉からの申し出は有難いものだ。しかし、佐吉はどこまで話を聞いてこの申し出をしているのかは定かではない。安易な返答はするべきではないだろう。嘉平は暫く沈黙して考えた。
「…よし、分かった。佐吉、お前は鈴虫にまだ怖がられていからな。まずは、鈴虫に好かれてくれ。それが上手くいくかどうかだ。女とは勝手が違うし、体もまだ小さくて丈夫ではない。壊さないように上手くしなきゃならないから簡単なことでは無いよ。良いかね?」
「壊す…?俺は女も抱いたことが無いから良く分からんのですが…。」
嘉平も佐吉の浮いた話は聞いたことがない。そういった経験不足の点をどうやって補うかは後々考えるとして、とにかく喜一郎の代役としては、若くて健康な男で鈴虫に抵抗が無いというだけでこの際は合格だ。…と、言うことにしておこう。嘉平は佐吉を屋敷に招きいれた。
土間に入るとすっと温度が下がるのを感じる。佐吉は土ぼこりに塗れた足を拭って屋敷に上がった。
胡瓜だけでは腹が減るなぁと思いながら喜一郎は佐吉の後をついて表へ出た。
冷たい清水で顔を洗い口を漱ぎ、太陽を振り仰ぐと一気に頭が冴える。
佐吉は胡瓜を二本ばかり捥ぎって、喜一郎に一本投げてよこした。
「佐吉兄ぃ、ちゃんと煮炊きの出来る嫁をもらってくれ。」
喜一郎は苦笑しながら受け取ると、バリバリと音を立てながら胡瓜に喰らい付いた。
周りから何度も嫁を貰えと言われてきた。しかし、その度に佐吉は返答に困る。年頃の娘はほとんど嫁に行っているか、親が決めた許嫁がいるものだ。佐吉の親父はとやかく言う性格ではないので気楽ではあるが、相手を探して来てくれるわけでもない。日常に追われなんとなく過ごすうちに、なんとなく過ごしてしまったのだ。
「そう言うんだったらお前が誰か探してきてくれよ。
同じ年頃の女はみんな、五、六年前に嫁いじまっただろ。俺は……。」
俺は…どうしたかったのだろう。佐吉の脳裏に一瞬、鈴虫の面影が浮んで消えた。
昨夜までの喜一郎の話は理解できたと思うが、佐吉としては納得がいかない部分も多かった。確かに、話で聞くのと実際にその場面に居合わせるのでは、受け取り方は大きく違うのであろう。子供心に植え付けられた恐怖心を慮る程の想像力が無いのかもしれない。散々話を聞いても、佐吉にはどうしも鈴虫の素直な眼差しと怨念めいたものが結びつかない。あの日の鈴虫の可愛らしい笑顔が全てを覆してしまうのだ。
とにかく、その場の勢いだったのかも知れないが、鈴虫の身を預かっても良いと言う大切な言質を取った。
佐吉としては、それだけで大きな収穫だ。
「あのさ…昨日の話…忘れてないよな。」
佐吉はにやけた顔を無理に隠そうと目線を逸らしている。喜一郎は何が言いたいのかすぐに察した。付ける薬も無さそうだと、少々呆れた眼差しで見遣って溜息交じりに頷いて見せた。
佐吉は、ぱぁっと顔を綻ばせた。が、喜一郎の冷たい視線に刺されて、ちょっと恥ずかしそうに目を逸らす。
「鈴虫の事は任せたよ。俺は、い・や・だッ!」
「んじゃ、昼過ぎからまた…」
「あーあー、はいはい、どうぞどうぞ。
佐吉兄ぃってさぁ、あれだけ俺の話を聞いても平気で居られるんだな。」
「う~ん、あぁ、そだな。俺は……。」
「佐吉兄ぃ、赤くなってら!ウブだねぇ~!
まぁまぁ、とりあえず筆下ろししてもらえれば良いんじゃねぇか?」
言葉に詰まる佐吉をよそに、喜一郎は悪戯っぽく笑った。
日が高くなる前に水遣りを済ませてしまおう。そう言えば、ここ数日は昼からの家での手仕事を蔑ろにしている。少々反省しなければならない。その分は昼までの仕事に精を出すべきだ。俺は…の続きの言葉を呑み込んで、佐吉は仕事を終えてしまおうと急いだ。
夏の太陽が頭の真上に昇ると、肌をチリチリと刺すような暑さに襲われる。頭に被った笠の影からはみ出した手足は焦げそうだ。水遣り一つにしても、何度も水を水路から汲み上げては乾いた畑へと運ばねばならない重労働である。細身ではあるがしっかりと筋肉のついた逞しい肢体から汗を滴らせ三人は黙々と働いた。
一息吐いて空を見上げると、白い入道雲が山の上に湧き上がっている。それはなんとも目に眩しい景色であった。しかし、こんな日にうっかり外に長居するのは禁物だ。下手するとそれが命取りになってしまう。親父を先に家に帰すと、佐吉と喜一郎は木陰を探して腰を下ろし、竹筒の少し温くなった水を喉に流し込んだ。目の前に広がる緑のススキの葉の下から、小さなカナヘビが顔を出し、太陽にうんざりするようにしてまた草の陰へと戻って行く。
「なぁ、喜一郎。そう言えば…なんで鈴虫は鈴虫って呼ばれてるんだ?」
「ん?…知らねぇ。」
「そか。」
「あれの呼び名なんて俺は興味ないから。
まぁ、鈴虫ってのも変な名前だが、男で喜美ってのも解せんぞ。」
「そうかぁ…喜美ちゃんか…。」
「佐吉兄ぃ、何を考えてるんだ!?」
「ん…いやぁ、まぁ、なんかさぁ…。まぁ、ごめん。やっぱり気にしないでくれ。
夕立でも来るとちっとは涼しくなるのになぁ。」
そう言うと佐吉は立ち上がり、喜一郎に短く断りを入れ屋敷へと向かった。親父には喜一郎が上手いこと言っておいてくれるだろう。
草いきれの立ち込める道を足早に歩く。佐吉はいざ屋敷の門前に着くと、はたしてどちらの案件から話すべかわからなくなっていた。どちらも嘉平に伝えなければならないことではあるが、どちらも切り出しにくい事案である。佐吉は言わなければならない二つの事を天秤に掛け、しばらく思案すると意を決して門をくぐった。
庭の奥から人の気配がする。佐吉が屋敷の角から顔を出して覗き込むと、嘉平は井戸の水を汲み上げて運び込もうとしていた。
「あ、あのぅ、嘉平様、佐吉です。おじゃましますよ。」
「おぉ、佐吉か!ちょうど良いところに来てくれた。悪いが薬を飲ませる手伝いを頼みたいんだ。お前が居ると機嫌が良いんだよ。」
そう言われると佐吉は少し照れてしまう。さりげなく手を差し出し、水のいっぱいに入った桶を代わりに持った。そして、二人は話しながら歩き出す。まずは嘉平が尋ねたくてもなかなか切り出し難い事から伝えておこう。
「あの…嘉平様、実は喜一郎はうちに来てるんですよ。」
「はぁ!あの馬鹿、どこまで面倒掛けりゃ気が済むんだか!とっとと帰ってくるように言ってはくれないか。お前の親父様にも迷惑掛けて申し訳ない。」
嘉平は深く溜息を吐き申し訳なさそうに頭を下げた。しかしその表情には安堵感も覗える。親として、その身を案じていないわけではないが、捜しに出る程の余裕はなかったのだ。幼馴染の家に身を寄せているのならまずはとりあえずは安心だろう。
「いえいえ、とんでもない。親父は賑やかになったって言ってますし。それで、あの…久々って言うのもあって、喜一郎と二人きりで色々と話をしました。」
「そうかい、そうかい。近頃、あいつも色々と鬱憤が溜まっていたのではないかと思うんだが上手く聞き届けてやれなかったようだよ。色々無理強いしてしまったこともあったからなぁ…。お前に話して少しは落ち着いたかね?」
「はぁ、まぁ…。でも…悩みの種は…」
「佐吉、何を聞いたんだね。まさか…あの馬鹿、鈴虫のことを…。」
「責めないでやって下さい。俺はこの村の者だし、知っていても構わないはずです。正直に話します。鈴虫を嫌っている理由を打ち明けてくれました。」
「鈴虫を嫌っている理由!?何だ、何でなんだ!?そりゃ、儂が知りたいわ!」
嘉平は呆れ果てた。一体何を話してしまったのだろうか。おそらく喜一郎が物心着いてからのことを洗い浚い喋ってしまったのだろう。とりあえず話した内容を確認しなければならない。さて、どうやって探りを入れるか…
神妙な顔つきの嘉平をよそに、佐吉はもじもじしながら言葉を探していた。
「あっ、あのぉ…嘉平様、すっ、鈴虫は俺に…あ?鈴虫を…鈴虫の……」
「ん?佐吉!?大丈夫か?」
「す、す、すっ鈴虫を俺に任せて貰えませんかッ!喜一郎も鈴虫も、お互いに苦手な者同士だし、俺の方が良いと思うんです。」
佐吉の顔は真っ赤になった。しどろもどろになって声がひっくり返る。全身から妙な汗が噴出してきた。
嘉平は急な申し出に正直言って驚いた。喜一郎が鈴虫を頑なに拒み続けている状態では、佐吉からの申し出は有難いものだ。しかし、佐吉はどこまで話を聞いてこの申し出をしているのかは定かではない。安易な返答はするべきではないだろう。嘉平は暫く沈黙して考えた。
「…よし、分かった。佐吉、お前は鈴虫にまだ怖がられていからな。まずは、鈴虫に好かれてくれ。それが上手くいくかどうかだ。女とは勝手が違うし、体もまだ小さくて丈夫ではない。壊さないように上手くしなきゃならないから簡単なことでは無いよ。良いかね?」
「壊す…?俺は女も抱いたことが無いから良く分からんのですが…。」
嘉平も佐吉の浮いた話は聞いたことがない。そういった経験不足の点をどうやって補うかは後々考えるとして、とにかく喜一郎の代役としては、若くて健康な男で鈴虫に抵抗が無いというだけでこの際は合格だ。…と、言うことにしておこう。嘉平は佐吉を屋敷に招きいれた。
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