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第二章
2-14 ★
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お妙の視線の先には猿轡を噛まされた少年が眠っていた。
その足元には男が一人背中を丸めて蹲っている。よくよく見るとその男は己の股間を弄りながら、少年の着物の裾を口に含んでちゅぱちゅぱと美味そうにしゃぶっているではないか。お妙が三人の後ろから、いま三人が疑問に思っている事の答えを低い声で明かす。
「観世音菩薩様の現身様に御座います。御三方、まさか…何かの手違い…上ノ村がしくじる筈は無いでしょうが…ご存じ無いか?此方におわすは寺小姓に稚児灌頂を施しただけの偽者ではない、真の観世音菩薩様で御座います。」
「…ね、眠っているのか…此の者が観世音菩薩だと言うのか。」
慈照の問いに、裾を食んでいた男が振り返りもせずお妙の代わりに答えた。
「じゅッ…じゅるぅぅっ…あぁ、紛れもなく本物の観世音菩薩様の現身様だ。…チュッチュッ、じゅるるぅ~…この現身様の甘露は上等だぞ。ちょっと休ませるつもりが眠っちまったんだが…可愛いだろう?ぁああぁあっ!もうずぅっと眺めていたくなる寝顔だ。でもよ、夜はそんなに長くはないからなぁ。俺の順番が回って来なくなったら大変だ。…ぼちぼち起こすか。」
先程の若い男が挽回の機会を頂戴したいとばかりに割り込んできた。
「お妙殿、行火と火鉢の件、俺がさっき調子に乗っちまったお詫びに献上させて頂きますので、どうかお赦しいただけませんでしょうか…あんな中途半端な終わり方で二周目を待てとはあんまりですぜ。」
「まあ!左様ですか!菩薩様は寛大ですからねぇ。きっとお赦しいただけますよ。あっ、手あぶり火鉢ではひっくり返したら危ないので長火鉢をお願いしますよ。」
お妙は慈照たち三人を無視して文机に向かうと、さらさらと筆を走らせた。
・行火と長火鉢を冬までに届けること
「なるべく早くご用意しますんで赦してえ下され。」
先程、達する事を許されなかった若い男はきまり悪そうにぺこぺこと頭を下げながら鈴虫の傍に寄って行った。
この流れを見て、ようやく三人は事の次第を理解する事が出来た。お妙はこの現身様と呼ばれる少年の体と引き換えに様々な物品や条件をここに集まった者達に承諾させているのだ。まったくもって開いた口が塞がらない。
「お妙、これは村ぐるみなのか…いや、使者は上ノ村から送られてきた…という事は…ま、まさか!他の村々も同様の不正を働いておるのか!」
狭い堂の中が異様な緊張感に包まれた。お妙は姿勢を正したまま文机を前にして座して、慈照の問いに答えはしない。周りの男達の視線が慈照とその後ろの二人に突き刺さる。皆が共犯という事は明白だ。黙って聞いていた弦次郎が怒りに任せて大きな声を上げた。
「おい、お妙、そして、この堂の中の皆の者!答えぬか!」
それを引き金に堂の中の空気が変わった。
突然の大声に驚いた鈴虫が目を覚ましてしまったのだ。目覚めてすぐの鈴虫は薄っすらと瞼を開くとぼやけた天井をしばらく見詰めているようだった。それからゆっくりと肘をついて体を起こすと、寝ぼけた顔をして周りを見渡した。すると鈴虫が眠った事で多少治まっていた甘い香りが再び噴き出し、体を動かす度により一層濃厚になり拡散される。
ドクドクッ…と、その場に要る男達の心の臓が高鳴った。
拡散される芳香に呼応するように男達の心拍数が上がってゆく。慈照たち三人は何が起こったのか分からなかった。ただ、自らの意識しないところで何かが起こっている。お互いに体の変調には言及しなかったが、口には出せない後めたい欲が確実に湧き起こっているのだ。
甘い香りを吸いこむ度に冷静な判断力が失われてゆく。代わりに支配力を強めていくのは、単なる人間としての本能、ただそれだけだった。しかし弦次郎はともかく、慈照は僧門にて修行を重ねた身である。決して、いまの状況を安易に受け入れられよう訳もない。ギリギリと奥歯を噛みしめながら頭の中で般若心経の一説を繰り返す。それにしても空気が薄いのか苦しくて仕方がない。ダラダラと額から汗を流れてくる。
色即是空 空即是色…色即是空 空即是色…やはり、此奴は邪悪な淫魔か!
若い男は寝ぼけ眼の鈴虫の体を無理やりに引き起こして四つん這いにさせようとした。しかし、寝起きのぼんやりした状態で体勢を維持することなど出来る筈も無い。鈴虫は腕で体を支えられず、顔から布団の上に崩れてつんのめった。それでも若い男はお構いなしに着物の裾を捲り上げて白い太腿を露わにする。
「さぁ、さぁ、現身様、早速ですがお願いしますよ~。」
「お、お前、何をしようとしておるのだ!」
「何って…観世音菩薩様の功徳を得ようとしておりますが?俺の無明火を現身様の法性華が消し止めて下るんだ。ほぅれ、この甘露に濡れた法性華を…すんげぇ気持ちいいんだぜ…。お前たち馬鹿だな、こんなご馳走を前にして涎垂らして見ているだけなんて!南無観世音菩薩!現身様の為なら何でも致します!宜しくお願いしま~す!」
鈴虫の口から苦しそうな唸り声が漏れる。男は人の目も憚らず後ろから圧し掛かり犯し始めた。ぬちゅぬちゅ…と卑猥な水音が堂の中を占めてゆく。
「あぁぁっんッ…すんげぇ…アッアッアッ…ハァッ、イイッ!すんげぇよ!観音様ぁああぁあ…!!!」
たっぷりと濡れそぼった後孔の具合は最高であったのだろう。小振りな骨盤をしっかりと掴んで固定し、白い尻朶に股間を止め処なく打ち当てる。男は我を忘れて嬌声を上げながら腰を振っていた。
周りの男達はニヤニヤと笑いながらその光景を眺めているだけだ。先程の蹲って裾をしゃぶっていた男は「早くしてくれ、次は俺だぞ。」と野次を入れている。
慈照は弦次郎に止めに入らせようと後ろを振り返った。
「…げ…げん…おま…え…!はっ、恥をし、知れ…。」
振り返ったその場に立っていた弦次郎の眼中に慈照の姿は映っていないかの様であった。弦次郎の視線は鈴虫と鈴虫を犯す男だけに向けられている。そしてあろうことか、その右手は先走りに濡れた褌の前袋の上から自らの股座を握りしめているではないか。熱病にでも魘されているかのように引き攣った口元から荒い息が漏れている。まさか邪淫を犯そうとしているのではないか。慈照が悲嘆を噛みしめながら見詰めるなか、鈴虫から発せられる芳香に呼応するかのように、弦次郎の体からは深い針葉樹の林を抜ける風のような香りが吹き上がってきた。これは一体如何した事であろうか。こうなってしまった弦次郎に慈照の声は届かないのだろうか。
「御三人様、御名前がまだに御座います。お約束の血判を頂ければ、すぐにでもこの順番待ちに加われますよ。」
お妙が座したまま振り返り目を細めて笑う。慈照はそのお妙の笑みが恐ろしかった。いま目前で犯されている者がいるというのに平然としているのだ。
「やめろ!だめだ!赦さんぞ、げんッ…お主ッ!おいっ、やめるんだ、やめてくれ!経文を唱えて心を鎮めるのだ。淫魔に負けるのではない!」
風野が弦次郎の足元に縋りついて引き留めようとした。慈照は自らもその欲に駆られながらも、弦次郎を必死に引き留めた。しかし、完全に芳香に酔わされてしまった弦次郎にはその声が届かないのだろう。
「お妙よ、何処だ、何処に名を記せば良いのだ!?早くしろ!」
お妙が差し出した筆を執り、弦次郎はとうとう自らの名を連判状に書き加えてしまった。匕首を親指の腹に宛がいながら、頭ではすでに後悔している。しかし、体は迷うことなく血判を加えようとしているのだ。もう、全く救いようがい無い。抑えがたい劣情と自己嫌悪と後悔と…己の弱さを憎みながら弦次郎はお妙の計に堕ちた。
その足元には男が一人背中を丸めて蹲っている。よくよく見るとその男は己の股間を弄りながら、少年の着物の裾を口に含んでちゅぱちゅぱと美味そうにしゃぶっているではないか。お妙が三人の後ろから、いま三人が疑問に思っている事の答えを低い声で明かす。
「観世音菩薩様の現身様に御座います。御三方、まさか…何かの手違い…上ノ村がしくじる筈は無いでしょうが…ご存じ無いか?此方におわすは寺小姓に稚児灌頂を施しただけの偽者ではない、真の観世音菩薩様で御座います。」
「…ね、眠っているのか…此の者が観世音菩薩だと言うのか。」
慈照の問いに、裾を食んでいた男が振り返りもせずお妙の代わりに答えた。
「じゅッ…じゅるぅぅっ…あぁ、紛れもなく本物の観世音菩薩様の現身様だ。…チュッチュッ、じゅるるぅ~…この現身様の甘露は上等だぞ。ちょっと休ませるつもりが眠っちまったんだが…可愛いだろう?ぁああぁあっ!もうずぅっと眺めていたくなる寝顔だ。でもよ、夜はそんなに長くはないからなぁ。俺の順番が回って来なくなったら大変だ。…ぼちぼち起こすか。」
先程の若い男が挽回の機会を頂戴したいとばかりに割り込んできた。
「お妙殿、行火と火鉢の件、俺がさっき調子に乗っちまったお詫びに献上させて頂きますので、どうかお赦しいただけませんでしょうか…あんな中途半端な終わり方で二周目を待てとはあんまりですぜ。」
「まあ!左様ですか!菩薩様は寛大ですからねぇ。きっとお赦しいただけますよ。あっ、手あぶり火鉢ではひっくり返したら危ないので長火鉢をお願いしますよ。」
お妙は慈照たち三人を無視して文机に向かうと、さらさらと筆を走らせた。
・行火と長火鉢を冬までに届けること
「なるべく早くご用意しますんで赦してえ下され。」
先程、達する事を許されなかった若い男はきまり悪そうにぺこぺこと頭を下げながら鈴虫の傍に寄って行った。
この流れを見て、ようやく三人は事の次第を理解する事が出来た。お妙はこの現身様と呼ばれる少年の体と引き換えに様々な物品や条件をここに集まった者達に承諾させているのだ。まったくもって開いた口が塞がらない。
「お妙、これは村ぐるみなのか…いや、使者は上ノ村から送られてきた…という事は…ま、まさか!他の村々も同様の不正を働いておるのか!」
狭い堂の中が異様な緊張感に包まれた。お妙は姿勢を正したまま文机を前にして座して、慈照の問いに答えはしない。周りの男達の視線が慈照とその後ろの二人に突き刺さる。皆が共犯という事は明白だ。黙って聞いていた弦次郎が怒りに任せて大きな声を上げた。
「おい、お妙、そして、この堂の中の皆の者!答えぬか!」
それを引き金に堂の中の空気が変わった。
突然の大声に驚いた鈴虫が目を覚ましてしまったのだ。目覚めてすぐの鈴虫は薄っすらと瞼を開くとぼやけた天井をしばらく見詰めているようだった。それからゆっくりと肘をついて体を起こすと、寝ぼけた顔をして周りを見渡した。すると鈴虫が眠った事で多少治まっていた甘い香りが再び噴き出し、体を動かす度により一層濃厚になり拡散される。
ドクドクッ…と、その場に要る男達の心の臓が高鳴った。
拡散される芳香に呼応するように男達の心拍数が上がってゆく。慈照たち三人は何が起こったのか分からなかった。ただ、自らの意識しないところで何かが起こっている。お互いに体の変調には言及しなかったが、口には出せない後めたい欲が確実に湧き起こっているのだ。
甘い香りを吸いこむ度に冷静な判断力が失われてゆく。代わりに支配力を強めていくのは、単なる人間としての本能、ただそれだけだった。しかし弦次郎はともかく、慈照は僧門にて修行を重ねた身である。決して、いまの状況を安易に受け入れられよう訳もない。ギリギリと奥歯を噛みしめながら頭の中で般若心経の一説を繰り返す。それにしても空気が薄いのか苦しくて仕方がない。ダラダラと額から汗を流れてくる。
色即是空 空即是色…色即是空 空即是色…やはり、此奴は邪悪な淫魔か!
若い男は寝ぼけ眼の鈴虫の体を無理やりに引き起こして四つん這いにさせようとした。しかし、寝起きのぼんやりした状態で体勢を維持することなど出来る筈も無い。鈴虫は腕で体を支えられず、顔から布団の上に崩れてつんのめった。それでも若い男はお構いなしに着物の裾を捲り上げて白い太腿を露わにする。
「さぁ、さぁ、現身様、早速ですがお願いしますよ~。」
「お、お前、何をしようとしておるのだ!」
「何って…観世音菩薩様の功徳を得ようとしておりますが?俺の無明火を現身様の法性華が消し止めて下るんだ。ほぅれ、この甘露に濡れた法性華を…すんげぇ気持ちいいんだぜ…。お前たち馬鹿だな、こんなご馳走を前にして涎垂らして見ているだけなんて!南無観世音菩薩!現身様の為なら何でも致します!宜しくお願いしま~す!」
鈴虫の口から苦しそうな唸り声が漏れる。男は人の目も憚らず後ろから圧し掛かり犯し始めた。ぬちゅぬちゅ…と卑猥な水音が堂の中を占めてゆく。
「あぁぁっんッ…すんげぇ…アッアッアッ…ハァッ、イイッ!すんげぇよ!観音様ぁああぁあ…!!!」
たっぷりと濡れそぼった後孔の具合は最高であったのだろう。小振りな骨盤をしっかりと掴んで固定し、白い尻朶に股間を止め処なく打ち当てる。男は我を忘れて嬌声を上げながら腰を振っていた。
周りの男達はニヤニヤと笑いながらその光景を眺めているだけだ。先程の蹲って裾をしゃぶっていた男は「早くしてくれ、次は俺だぞ。」と野次を入れている。
慈照は弦次郎に止めに入らせようと後ろを振り返った。
「…げ…げん…おま…え…!はっ、恥をし、知れ…。」
振り返ったその場に立っていた弦次郎の眼中に慈照の姿は映っていないかの様であった。弦次郎の視線は鈴虫と鈴虫を犯す男だけに向けられている。そしてあろうことか、その右手は先走りに濡れた褌の前袋の上から自らの股座を握りしめているではないか。熱病にでも魘されているかのように引き攣った口元から荒い息が漏れている。まさか邪淫を犯そうとしているのではないか。慈照が悲嘆を噛みしめながら見詰めるなか、鈴虫から発せられる芳香に呼応するかのように、弦次郎の体からは深い針葉樹の林を抜ける風のような香りが吹き上がってきた。これは一体如何した事であろうか。こうなってしまった弦次郎に慈照の声は届かないのだろうか。
「御三人様、御名前がまだに御座います。お約束の血判を頂ければ、すぐにでもこの順番待ちに加われますよ。」
お妙が座したまま振り返り目を細めて笑う。慈照はそのお妙の笑みが恐ろしかった。いま目前で犯されている者がいるというのに平然としているのだ。
「やめろ!だめだ!赦さんぞ、げんッ…お主ッ!おいっ、やめるんだ、やめてくれ!経文を唱えて心を鎮めるのだ。淫魔に負けるのではない!」
風野が弦次郎の足元に縋りついて引き留めようとした。慈照は自らもその欲に駆られながらも、弦次郎を必死に引き留めた。しかし、完全に芳香に酔わされてしまった弦次郎にはその声が届かないのだろう。
「お妙よ、何処だ、何処に名を記せば良いのだ!?早くしろ!」
お妙が差し出した筆を執り、弦次郎はとうとう自らの名を連判状に書き加えてしまった。匕首を親指の腹に宛がいながら、頭ではすでに後悔している。しかし、体は迷うことなく血判を加えようとしているのだ。もう、全く救いようがい無い。抑えがたい劣情と自己嫌悪と後悔と…己の弱さを憎みながら弦次郎はお妙の計に堕ちた。
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