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第三章
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屋敷の奥の間にお妙が小さな灯りを一つ燈した。
夜の暗闇の中に橙色の柔らかな光が広がり、掛け軸の中の観世音菩薩の安らかな微笑が浮かび上がる。お妙はその微笑みの中に自分よりも先にこの世を去って行った者達の顔を重ねながら手を合わせる。長生きするというのも良し悪しで、長く生きれば生きただけ人の死に目を見せつけられるのは仕方の無い事。その度にお妙はこの観世音菩薩像に献灯してきたのだ。
囲炉裏の周りでは鈴虫が、何かが欠けてしまったようなぎこちない雰囲気を読み取ってなのか、不意に訪れる沈黙を埋めるべく、いつに無く饒舌になっていた。
「おら、お昼寝しずぎてぜんぜん眠くないなぁ…。あっ、喜一郎兄様、吐き気がするの?水アタリでもしたのか?具合悪いなら…」
「あぁ…すんげぇ気分悪い…俺はもう寝る。お前は俺の分も飯を食え。食い終わったら風邪ひかねぇように温かくしてさっさと寝ろ。まったく…寝すぎて眠くないなんて贅沢な奴だな。」
「ふふふっ、だってお腹いっぱいになると眠くなっちゃうんだもん。兄様、お大事になさってくだせ。いただきまぁ~す。」
喜一郎はげっそりと青褪めた顔をして奥へと引っ込んだ。
お妙と嘉平と鈴虫の三人は囲炉裏を囲んで昼間の白飯の残りを薄くのばした粥を啜る。
「ねぇ、お父様、木ネズミちゃんもごはん食べてるのかなぁ?それとも、もう寝ちゃったかなぁ?新しいお堂で独り寂しくしてねぇだろか?」
「あぁ、もちろん大丈夫だよ。ご馳走と温かい寝床を用意して木ネズミ様をお出迎えするそうだから心配無いよ。さぁ、鈴虫や、お代わりしてたくさん食べなさい。腹がいっぱいになって体が温まったらまた眠れるだろうから。」
「そか、それなら安心だね。でも…おら、木ネズミちゃんが居なくなってしまってちょっと寂しいなぁ…おら、本当はもっとお喋りしたかったんだよ。木ネズミちゃんの育った村の話とか、お家の人の話とかさ!」
「まぁ、喋り足りなかったかも知れんが、お前には佐吉がいるから寂しくなかろう?お前が眠っている間に佐吉の家に行って、明日来るように頼んでおいたから今夜はしっかり眠っておきなさい。」
「はいっ、お父様、ありがとうね!やっと!さきっさんに会えるんだね!あっ、お婆様、明日は髪の毛を高結にしてくだせ。おら、本当は高結の方が好きなんだよ。だって、男っぽいでしょ?」
「…ゴホッゴホッ…はぁ?男っぽい…とは…ゴホッゴホッ…意外な事をいうんだねぇ。」
「うん。さきっさんはおらが男でもお嫁さんにしてくれるって言ってたもん。こんな体だけどこのまんまで良いんだって。おら、さきっさんと居る時は本当の自分を出しても良いような気がするの。だから明日は髪の毛を絶対に高結にしてくだせ。あっ、あとさきっさんはお泊りしてくれるの?お泊りしてくれるんだったら薄紅色のお着物で一緒に眠りたい!あとはねぇ…あっ、髪の毛も洗った方が良いかなぁ!お父様、おら臭くねぇか?大丈夫か?さきっさんが来る前に湯浴みしたいから早起きしなくちゃ!」
「はいはい、そんな事はおやすい御用だよ。儂が叶えてやれる事なら何でも叶えてやるよ。」
「なんでも?だったら、さきっさんを木ネズミちゃんに紹介したかったなぁ。おら達みたいな現身でも大好きな人に出会えればしあわせになれるんだよって教えてあげたかったなぁ…」
「しあわせ…か。」
「そだ!一年に一回で良いから会ってお喋りがしたい。ねぇ、お父様?おら達みたいな現身は何人いるんだ?他の現身全員集めてお喋りしたら面白そう!」
「ほう!…だがなぁ、現身は皆、村長の屋敷の敷地から出る事は許されないだろう?それに同じ現身同士とは言え、よく知りもしない赤の他人が会っていきなり何をしゃべるって言うんだね?」
「ん…何でもいいんだよ。ただね、自分と同じ体の現身がいてくれて話が出来るってだけで心強いでしょ?おら、木ネズミちゃんにはじめて会った日からぜんぜん他人っていう感じはしなかったし、木ネズミちゃんが元気にしていてくれて、おらのことを忘れないでいてくれるんだって思うだけでも嬉しいんだよ。」
「それがお前の望みなのか…うぅむ…鈴虫や、それは案外と難しいお願いかも知れないよ。誰にも見られちゃいけない掟を勝手に変えることは出来ないし、現身たちは一年に四回くらい盛りが付いてしまうだろう?よく考えてみてごらん、何か良い薬でも出来て、あの甘い香りを抑え込めるのであれば話は違ってくるのかもしれないが、六人か七人の都合を上手く合わせるのは無理なんじゃなかね?」
「そっか…」
鈴虫は寂しそうに目線を落とした。鈴虫にだって村々の掟ぐらい分かっている。年に一度会って話がしたい、たったそれだけの事が許されない事も理解したうえで願望を述べているだけだ。
「鈴虫や、そんなに寂しそうな顔をしないでおくれ。少し前に上ノ村の村長が現身の扱いを良くするように近隣の村長を集めて話し合いたいと言っていたから、お前の望みも儂から話をしておくよ。」
「ほんと!おら、木ネズミちゃんに会えるならもっと良い子になるよ。おら、頑張って痛いも苦しいも言わねぇ!だからどうか宜しくお願いしておいてくだせ!」
僅かばかりの望みを瞳に湛えて鈴虫が嘉平を見詰める。
その澄んだ鼈甲色の瞳の奥底に宿った切なる思いに圧されて嘉平は返す言葉に詰まってしまった。痛いも苦しいも生きている人間ならば当たり前のように使う言葉。そんな人間として当たり前の感覚を、幼い頃に半ば無理やり取り上げてしまったのは誰でも無く自分なのだ。
嘉平は思わず鈴虫を抱き締めた。
「お父様…?」
「鈴虫や、いつものままでいいんだよ。お前は今のままで十分に良い子だよ。どうかこのまま変わらずにいておくれ。ずっと儂の傍に居ておくれよ。お前は遠くへ行ったりしないでくれればそれだけで良いんだ。お前は儂の可愛い息子なんだ。これから先たとえ何が有ろうとも…わかったね。」
「はいっ!」
鈴虫は嘉平の腕の中で肩に顎を載せたまま無邪気に返事をした。
鍋を下ろした後の囲炉裏の火が小さくなってゆく。お妙の咳も廊下の奥へと遠ざかる。鈴虫は案の定、腹が膨れると眠くなったようだ。嘉平は囲炉裏の傍らに鈴虫の寝床を用意し、自分はその横に筵を敷いて添い寝することにした。
「鈴虫や、お前たちの望みが叶わずに陰で泣いているのは儂だってよく分かっているんだ。今すぐには無理だろうが、いつの日にか…お前たちが生き易くなるように少しずつでも変えてゆければ良いと思ってはいるんだよ。だから、だから、どうか……」
「お父様…もうねむい…おら、夢の中で木ネズミちゃんに会えるから大丈夫だよ。おら…月見草の中を走って…木ネズミちゃんに…会いに…ゆく…の……」
「鈴虫!?…す、すず…あぁ、もう眠ってしまったのか……」
眠れようが眠れまいが夜は更けてゆくもの。嘉平は隣で小さな寝息を立てるどこか薄命そうな少年の細い指を握りしめながら熾火だけが僅かに残る暗闇をいつまでも見詰めていた。
第三章 おわり。
やっぱり時代と場所の設定をもうちょっと具体的に決めてから書けば良かったと後悔しながら第四章へ続く。
《ゆりかごの唄 : 北原白秋》
ゆりかごのつなを木ねずみが揺するよ
ねんねこ、ねんねこ、ねんねこよ…
夜の暗闇の中に橙色の柔らかな光が広がり、掛け軸の中の観世音菩薩の安らかな微笑が浮かび上がる。お妙はその微笑みの中に自分よりも先にこの世を去って行った者達の顔を重ねながら手を合わせる。長生きするというのも良し悪しで、長く生きれば生きただけ人の死に目を見せつけられるのは仕方の無い事。その度にお妙はこの観世音菩薩像に献灯してきたのだ。
囲炉裏の周りでは鈴虫が、何かが欠けてしまったようなぎこちない雰囲気を読み取ってなのか、不意に訪れる沈黙を埋めるべく、いつに無く饒舌になっていた。
「おら、お昼寝しずぎてぜんぜん眠くないなぁ…。あっ、喜一郎兄様、吐き気がするの?水アタリでもしたのか?具合悪いなら…」
「あぁ…すんげぇ気分悪い…俺はもう寝る。お前は俺の分も飯を食え。食い終わったら風邪ひかねぇように温かくしてさっさと寝ろ。まったく…寝すぎて眠くないなんて贅沢な奴だな。」
「ふふふっ、だってお腹いっぱいになると眠くなっちゃうんだもん。兄様、お大事になさってくだせ。いただきまぁ~す。」
喜一郎はげっそりと青褪めた顔をして奥へと引っ込んだ。
お妙と嘉平と鈴虫の三人は囲炉裏を囲んで昼間の白飯の残りを薄くのばした粥を啜る。
「ねぇ、お父様、木ネズミちゃんもごはん食べてるのかなぁ?それとも、もう寝ちゃったかなぁ?新しいお堂で独り寂しくしてねぇだろか?」
「あぁ、もちろん大丈夫だよ。ご馳走と温かい寝床を用意して木ネズミ様をお出迎えするそうだから心配無いよ。さぁ、鈴虫や、お代わりしてたくさん食べなさい。腹がいっぱいになって体が温まったらまた眠れるだろうから。」
「そか、それなら安心だね。でも…おら、木ネズミちゃんが居なくなってしまってちょっと寂しいなぁ…おら、本当はもっとお喋りしたかったんだよ。木ネズミちゃんの育った村の話とか、お家の人の話とかさ!」
「まぁ、喋り足りなかったかも知れんが、お前には佐吉がいるから寂しくなかろう?お前が眠っている間に佐吉の家に行って、明日来るように頼んでおいたから今夜はしっかり眠っておきなさい。」
「はいっ、お父様、ありがとうね!やっと!さきっさんに会えるんだね!あっ、お婆様、明日は髪の毛を高結にしてくだせ。おら、本当は高結の方が好きなんだよ。だって、男っぽいでしょ?」
「…ゴホッゴホッ…はぁ?男っぽい…とは…ゴホッゴホッ…意外な事をいうんだねぇ。」
「うん。さきっさんはおらが男でもお嫁さんにしてくれるって言ってたもん。こんな体だけどこのまんまで良いんだって。おら、さきっさんと居る時は本当の自分を出しても良いような気がするの。だから明日は髪の毛を絶対に高結にしてくだせ。あっ、あとさきっさんはお泊りしてくれるの?お泊りしてくれるんだったら薄紅色のお着物で一緒に眠りたい!あとはねぇ…あっ、髪の毛も洗った方が良いかなぁ!お父様、おら臭くねぇか?大丈夫か?さきっさんが来る前に湯浴みしたいから早起きしなくちゃ!」
「はいはい、そんな事はおやすい御用だよ。儂が叶えてやれる事なら何でも叶えてやるよ。」
「なんでも?だったら、さきっさんを木ネズミちゃんに紹介したかったなぁ。おら達みたいな現身でも大好きな人に出会えればしあわせになれるんだよって教えてあげたかったなぁ…」
「しあわせ…か。」
「そだ!一年に一回で良いから会ってお喋りがしたい。ねぇ、お父様?おら達みたいな現身は何人いるんだ?他の現身全員集めてお喋りしたら面白そう!」
「ほう!…だがなぁ、現身は皆、村長の屋敷の敷地から出る事は許されないだろう?それに同じ現身同士とは言え、よく知りもしない赤の他人が会っていきなり何をしゃべるって言うんだね?」
「ん…何でもいいんだよ。ただね、自分と同じ体の現身がいてくれて話が出来るってだけで心強いでしょ?おら、木ネズミちゃんにはじめて会った日からぜんぜん他人っていう感じはしなかったし、木ネズミちゃんが元気にしていてくれて、おらのことを忘れないでいてくれるんだって思うだけでも嬉しいんだよ。」
「それがお前の望みなのか…うぅむ…鈴虫や、それは案外と難しいお願いかも知れないよ。誰にも見られちゃいけない掟を勝手に変えることは出来ないし、現身たちは一年に四回くらい盛りが付いてしまうだろう?よく考えてみてごらん、何か良い薬でも出来て、あの甘い香りを抑え込めるのであれば話は違ってくるのかもしれないが、六人か七人の都合を上手く合わせるのは無理なんじゃなかね?」
「そっか…」
鈴虫は寂しそうに目線を落とした。鈴虫にだって村々の掟ぐらい分かっている。年に一度会って話がしたい、たったそれだけの事が許されない事も理解したうえで願望を述べているだけだ。
「鈴虫や、そんなに寂しそうな顔をしないでおくれ。少し前に上ノ村の村長が現身の扱いを良くするように近隣の村長を集めて話し合いたいと言っていたから、お前の望みも儂から話をしておくよ。」
「ほんと!おら、木ネズミちゃんに会えるならもっと良い子になるよ。おら、頑張って痛いも苦しいも言わねぇ!だからどうか宜しくお願いしておいてくだせ!」
僅かばかりの望みを瞳に湛えて鈴虫が嘉平を見詰める。
その澄んだ鼈甲色の瞳の奥底に宿った切なる思いに圧されて嘉平は返す言葉に詰まってしまった。痛いも苦しいも生きている人間ならば当たり前のように使う言葉。そんな人間として当たり前の感覚を、幼い頃に半ば無理やり取り上げてしまったのは誰でも無く自分なのだ。
嘉平は思わず鈴虫を抱き締めた。
「お父様…?」
「鈴虫や、いつものままでいいんだよ。お前は今のままで十分に良い子だよ。どうかこのまま変わらずにいておくれ。ずっと儂の傍に居ておくれよ。お前は遠くへ行ったりしないでくれればそれだけで良いんだ。お前は儂の可愛い息子なんだ。これから先たとえ何が有ろうとも…わかったね。」
「はいっ!」
鈴虫は嘉平の腕の中で肩に顎を載せたまま無邪気に返事をした。
鍋を下ろした後の囲炉裏の火が小さくなってゆく。お妙の咳も廊下の奥へと遠ざかる。鈴虫は案の定、腹が膨れると眠くなったようだ。嘉平は囲炉裏の傍らに鈴虫の寝床を用意し、自分はその横に筵を敷いて添い寝することにした。
「鈴虫や、お前たちの望みが叶わずに陰で泣いているのは儂だってよく分かっているんだ。今すぐには無理だろうが、いつの日にか…お前たちが生き易くなるように少しずつでも変えてゆければ良いと思ってはいるんだよ。だから、だから、どうか……」
「お父様…もうねむい…おら、夢の中で木ネズミちゃんに会えるから大丈夫だよ。おら…月見草の中を走って…木ネズミちゃんに…会いに…ゆく…の……」
「鈴虫!?…す、すず…あぁ、もう眠ってしまったのか……」
眠れようが眠れまいが夜は更けてゆくもの。嘉平は隣で小さな寝息を立てるどこか薄命そうな少年の細い指を握りしめながら熾火だけが僅かに残る暗闇をいつまでも見詰めていた。
第三章 おわり。
やっぱり時代と場所の設定をもうちょっと具体的に決めてから書けば良かったと後悔しながら第四章へ続く。
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