サキュバスクラブ~最高ランクの精気を持つボクは無数の淫魔に狙われ貪られる~

ウケのショウタ

文字の大きさ
12 / 85
2章

2章11話 詩織先輩との日常2

しおりを挟む
 詩織先輩が図書委員の仕事を済ませるのを待って、一緒に帰ることになった。
 ついさっき当の詩織先輩をオカズにオナニーしたばかりなので内心ちょっと気まずかったけど、そこはなんとか表に出さないように頑張った。

「そっか、一緒に映画を見ようとしてくれてたんだ……悪いことしちゃったね」
「いえ、僕が勝手にやったことですから」

 先輩も、僕に変に気を遣うこともなく普通に接してくれている。
 僕は先輩が好きで、先輩も僕のことを憎からず思ってくれている。
 でも恋人になることはできない。それだけだ。
 今まで通り友人でいてくれるなら、それで十分だと今は納得できた。

「映画、面白かったですよ。先輩もきっと気に入ると思います。良かったら見てみてください」
「うん、今度見に行ってみようかな。そしたら一緒に感想会したいね」
「いいですね。ぜひ!」

 駅までの帰り道を歩きながら談笑は続く。
 ほんの十数分の間だけど、僕にとっては幸せな時間だった。

「それじゃあ、私こっちだから」
「はい、また明日」

 そんな楽しい時間もあっという間に終わる。
 僕と先輩の家は反対方面にある。別のホームに向かっていく先輩を見送ると、僕も階段を上って自分のホームを目指す。
 やがてホームに到着した電車に乗り込むと、珍しくかなり空いていた。

 一番角の席に座って、軽く目を閉じる。
 走り出す電車。小刻みな揺れに身を任せてうとうとしていると、自然と詩織先輩のことを考えていた。

 改めて、詩織先輩と気まずい感じにならなくてよかった。
 多分先輩もどこか内心で気にはしてくれていたと思うけど、それを表には出さずに普通に接してくれていた。
 本当に優しい人だ。あんなに綺麗で誰からも好かれるような人が、僕なんかのためにそこまでしてくれるというだけで僕は嬉しかった。

 明日もまた図書室で先輩に会える。
 それで十分だと何度も自分に言い聞かせながら……

 ――清太君♡

「――っ」

 再び、脳内で蘇る艶めかしい詩織先輩の姿。
 大きな胸。柔らかい唇。しなやかな指先。

 ……信じられない。
 もう今日だけで四回も射精してるのに、また性懲りもなく勃起し始めてる。

 どうしちゃったんだろう僕の身体……。
 以前はここまで節操無しじゃなかった。
 やっぱりあのクラブに行ったせいかな……そう溜め息を吐くと、

 ずし、と隣に誰かが座る気配を感じた。
 瞑っていた目を開けると、

「――うわ」

 思わず小さな声が出てしまった。
 それくらい、隣に座った人の容姿は特徴的だった。

 席に座っても一目でわかる、すらりとした高身長。
 目の覚めるような鮮やかな美しい金髪ロング。
 見るからに高級そうなスーツと、それを内から押し上げる大きな胸。

 ちらりと顔を覗き見ると、予想通りと言うべきか、切れ長の瞳に肉厚な唇……線の細いクールな印象の美女だった。

「……」
 ふと周囲を見回すと、電車内はかなり空いていて、他にも空席はいくらでもあった。
 なのにその女性はわざわざ僕の隣に座った。
 どうしてだろう……と思っていると、

「こんにちは」

 なんとその女性が話しかけてきた。

「え……?」

 まさか電車の中で他人に、しかもこんな美女に話しかけられるとは思わずに面食らう。
 女性は顔は正面を向きながら、横目だけで僕の方を見るという奇妙な様子で僕に話しかけていた。

「少しいいかしら?」
「な、なんですか……?」
「私、とある会社の役員をしているんだけど、少しお話に付き合ってくれないかしら」
「……は、はあ……」

 な、なんだいきなり……。
 会社の役員が僕みたいな学生になんの話が?

「実は、あなたにすごくお勧めの商品があるの。その紹介をさせてほしくて」
「…………」

 え、なに、怖い。
 もしかして営業かなにか? 街中での勧誘みたいな感じで、まさか電車の中でセールスするのが最近の流行りだったりする?

咲蓮さきはすビルって知ってるわよね?」
「……いえ、知らないですけど」
「あら、ほんと? じゃあどうやってあのビルの場所を知ったの?」
「いえ、ですから知らないです……」

 咲蓮ビル? 聞いたことのないビルだ。
 まあビルの名前なんてそもそも知ってることの方が少ないけど。

「ほら、近くに映画館があって」
「映画館……」
「奥に秘密のエレベーターがあって」
「エレベーター……。――――え?」


「――カードリーダーにカードを通すと地下に下りていって」


 ――どくん!
 目を見開いて女性の顔を見ると、女性は妖しく微笑んだ。

「思い出した?」
「な……なん、なんで……!?」
「そこにね? いろんな商品が売ってるの。遊ぶだけじゃなくて、購入もできるの」

 ま、間違いない。
 この人……あのクラブの関係者だ!

 もう一度顔を確認する。
 確かにあのクラブにいてもおかしくないようなすごい美人だけど、見覚えはない。
 ただなにか……どこかで会ったような気はするけど……思い出せない。

「な、なにが……買えるんですか? 僕にオススメの商品って……」
「ふふ……実はね、そこではの」
「キャストを……買う?」

 キャストっていうのは、接客してくれるあの女性達のことを指していると思うけど……買うっていう言葉の意味がよくわからなかった。

「指名できるっていう意味ですか?」
「いいえ、そのまま文字通りの意味での。……ごめんなさい、これ以上は私の口からは言えないの。あなたも、私から聞いたって絶対に言わないでね?」
「は、はい……」

 う、胡散臭い……一体何がしたいんだこの人。
 正直……こ、怖い。
 あの異常なクラブの関係者っていうだけでも不気味なのに、こんな電車の中で接触してくるなんて目的が全く見えない。

「もう一度あの場所に戻って、キャストを買いたいと言いなさい。いいわね?」
「か、買うって……誰を?」
「……私からは言えないわ。でも、」

 そこで電車が次の駅に到着した。
 女性は静かに席を立ち、バッグから名刺入れを取り出すと、一枚を僕に手渡した。

「買ってくれたら、きっとあなたを満足させてあげられるわ。――この前みたいに」

 そう言い残して女性は電車を降りた。
 その後ろ姿を呆然と見送ったあと、僕はまじまじと手渡された名刺を見つめて……

「――――え?」

 そこに書いてある内容に、僕は間の抜けた声を漏らした。


(株)ミルキー・パフ 代表取締役
スメラギ サリナ

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...