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2章
2章14話 サキュバスクラブ再び2
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「ではまず最初に、なぜ我々が清太様に無償でサービスを提供させていただくかについてですが……そうですね、我々はシンプルに、性行為が好きなのです」
「す、好き……?」
「ええ。ですからお客様にそのような接客をさせていただくことは、我々にとってはむしろ望むところなのでございます」
趣味と実益を兼ねているってことなのかな。
でも、お金は受け取らないし……。
「故に、このクラブが求める最も価値のある対価は金銭ではなく、純粋なお客様との性的な接触なのです」
「……それって」
……なんか、おかしい。
普通逆じゃないか?
男性がエッチしたいから、お金を払って女性に接客してもらう。
それが普通のはず。
でもこのクラブは……女性がエッチをしたいから、男性に媚びた接客をして相手をしてもらう。
そういう話に聞こえるけど……そんな馬鹿な。
それに、ただエッチがしたいだけにしてはここのクラブ女性スタッフはあまりにも美人揃いすぎる気がするけど……。
わざわざこんなクラブで働かなくても、恋人になんて一生困らないような容姿の人たちばかりに見える。
「じゃあ皆さんはほんとに、男性にエッチなことしてもらえるなら、誰でもいいんですか?」
「誰でもというわけではございません。当クラブへご入店いただけるのはとある資格をお持ちの方のみです」
「資格……」
思い当たる要素は一つしかなかった。
「プラチナランク……とかいう、あれですか?」
「ご明察の通りでございます」
そう言うと、シャリアーデさんはいつの間に持っていたのか、手に一枚のカードを握っていた。
あの日僕が拾ったものと同じものに見えるけど、色は紫色だった。
「このカードをこの封筒に入れます」
もう片方の手に持っていた小さな封筒にそのカードを入れる。
そう、確か僕がこのカードを拾ったときもこんな感じの封筒にカードが入っていた。
「清太様、こちらをお手に取っていただけますか?」
「え、あ、はい」
「封筒を開けてみてください」
手渡された封筒を開け、中を確認すると……。
「あれ?」
さっきまで中に入っていたはずの紫のカードが、白くなっていた。
これはまさに僕があの日見つけたものと同じ。
つまりプラチナカードだ。
「この封筒はリトマス試験紙のようなもので、手に取った方のランクに応じてカードの色が変色します。下から、ブロンズ、シルバー、ゴールド……そして最上級のプラチナランク。清太様のランクもこちらでございます」
「僕が……最上級ランク」
「そちらのカードは差し上げます。前回お渡しし損ねた、清太様の会員カードとしてお使いくださいませ」
これで晴れて僕も正式にこのクラブの会員になったってことか。
「でも……どうして僕がプラチナなんですか? だって僕……全然良客じゃありません」
「良客、というのはどのようなお客様のことを指していらっしゃるのでしょう?」
「それは……いっぱいお金を使う人、とか……」
ふっ、と、シャリアーデさんが珍しく笑みを浮かべた。
以前のような妖しいものではなく、シンプルに可笑しくて笑ったようだ。
「どうやら清太様は、よほど金銭面での疑心がおありのようですね。タダより怖いものはない、ということでしょうか」
「だ、だって……僕、よくわからなくて……こういうお店のことも。でも普通、やっぱりお金っていると思うし……」
「ふむ……あまり本意ではありませんが、フェラチオの際に100円でもいただいた方が逆に良いのかもしれませんね」
いやそれでも安すぎると思うけど……。
「ただ、当クラブも一切の対価をいただかないわけではございません。当クラブにも一部有料のサービスがございまして、そちらは現金ではなく当クラブ内でのみ有効なポイントによって……」
「有料サービス……あっ」
そうだ、それが多分サリナさんの言ってた『購入』だ。
「あ、あの。それなんですけど、女性キャストを『購入』することができるって聞いたんですけど……」
「――――なんですって?」
その瞬間、シャリアーデさんの表情が明らかに変わった。
思わずビクッと身をすくめてしまうほど、シャリアーデさんはいつもの無表情から明らかに怒りの雰囲気を纏っていた。
「……その話を、誰からお聞きになりましたか?」
「……そ、その……」
「……口止めされていますか? ――はい。ご説明が遅れて申し訳ございませんでした。確かに当クラブには、キャストを購入できるサービスがございます」
「購入、というのは……」
「文字通りでございます。そのキャストはお客様のものになります」
「な、なにができるようになるんですか?」
「何なりと。お客様のモノをお客様がどのように扱おうとも自由でございます」
……そ、そんな奴隷みたいな話、通用するわけない。
まして、そんな境遇にサリナさんが自分から身をやつそうとするわけがない。
あの人は大企業の社長だよ? ありえない……。
「――サリナですか?」
「え……」
「ご購入を希望されているのは、サリナでしょうか」
「そ、それは……」
ここで肯定したら、サリナさんからこの話を聞いたと認めるようなものじゃ……?
シャリアーデさん、なにか凄く怒ってるみたいだし……。
「いずれにせよ、ご購入には『クラブポイント』が必要です。お客様はまだポイントをお持ちではありませんので、チャージしていただく必要がございます」
「チャージ……」
「ご安心ください、何度も申し上げておりますように、現金での決済は特別な理由がない限りいたしません。当クラブにおいてポイントをチャージする主な手段は、とある設備をご利用していただくというものになります」
「設備……?」
人間一人の人生を購入してしまえるクラブポイント。
それを得るために僕がしなければならないこと……その設備の名をシャリアーデさんが静かに口にした。
「――『畜舎穴【バームホール】』。ご安心ください。とても気持ちのいい穴ですから」
「す、好き……?」
「ええ。ですからお客様にそのような接客をさせていただくことは、我々にとってはむしろ望むところなのでございます」
趣味と実益を兼ねているってことなのかな。
でも、お金は受け取らないし……。
「故に、このクラブが求める最も価値のある対価は金銭ではなく、純粋なお客様との性的な接触なのです」
「……それって」
……なんか、おかしい。
普通逆じゃないか?
男性がエッチしたいから、お金を払って女性に接客してもらう。
それが普通のはず。
でもこのクラブは……女性がエッチをしたいから、男性に媚びた接客をして相手をしてもらう。
そういう話に聞こえるけど……そんな馬鹿な。
それに、ただエッチがしたいだけにしてはここのクラブ女性スタッフはあまりにも美人揃いすぎる気がするけど……。
わざわざこんなクラブで働かなくても、恋人になんて一生困らないような容姿の人たちばかりに見える。
「じゃあ皆さんはほんとに、男性にエッチなことしてもらえるなら、誰でもいいんですか?」
「誰でもというわけではございません。当クラブへご入店いただけるのはとある資格をお持ちの方のみです」
「資格……」
思い当たる要素は一つしかなかった。
「プラチナランク……とかいう、あれですか?」
「ご明察の通りでございます」
そう言うと、シャリアーデさんはいつの間に持っていたのか、手に一枚のカードを握っていた。
あの日僕が拾ったものと同じものに見えるけど、色は紫色だった。
「このカードをこの封筒に入れます」
もう片方の手に持っていた小さな封筒にそのカードを入れる。
そう、確か僕がこのカードを拾ったときもこんな感じの封筒にカードが入っていた。
「清太様、こちらをお手に取っていただけますか?」
「え、あ、はい」
「封筒を開けてみてください」
手渡された封筒を開け、中を確認すると……。
「あれ?」
さっきまで中に入っていたはずの紫のカードが、白くなっていた。
これはまさに僕があの日見つけたものと同じ。
つまりプラチナカードだ。
「この封筒はリトマス試験紙のようなもので、手に取った方のランクに応じてカードの色が変色します。下から、ブロンズ、シルバー、ゴールド……そして最上級のプラチナランク。清太様のランクもこちらでございます」
「僕が……最上級ランク」
「そちらのカードは差し上げます。前回お渡しし損ねた、清太様の会員カードとしてお使いくださいませ」
これで晴れて僕も正式にこのクラブの会員になったってことか。
「でも……どうして僕がプラチナなんですか? だって僕……全然良客じゃありません」
「良客、というのはどのようなお客様のことを指していらっしゃるのでしょう?」
「それは……いっぱいお金を使う人、とか……」
ふっ、と、シャリアーデさんが珍しく笑みを浮かべた。
以前のような妖しいものではなく、シンプルに可笑しくて笑ったようだ。
「どうやら清太様は、よほど金銭面での疑心がおありのようですね。タダより怖いものはない、ということでしょうか」
「だ、だって……僕、よくわからなくて……こういうお店のことも。でも普通、やっぱりお金っていると思うし……」
「ふむ……あまり本意ではありませんが、フェラチオの際に100円でもいただいた方が逆に良いのかもしれませんね」
いやそれでも安すぎると思うけど……。
「ただ、当クラブも一切の対価をいただかないわけではございません。当クラブにも一部有料のサービスがございまして、そちらは現金ではなく当クラブ内でのみ有効なポイントによって……」
「有料サービス……あっ」
そうだ、それが多分サリナさんの言ってた『購入』だ。
「あ、あの。それなんですけど、女性キャストを『購入』することができるって聞いたんですけど……」
「――――なんですって?」
その瞬間、シャリアーデさんの表情が明らかに変わった。
思わずビクッと身をすくめてしまうほど、シャリアーデさんはいつもの無表情から明らかに怒りの雰囲気を纏っていた。
「……その話を、誰からお聞きになりましたか?」
「……そ、その……」
「……口止めされていますか? ――はい。ご説明が遅れて申し訳ございませんでした。確かに当クラブには、キャストを購入できるサービスがございます」
「購入、というのは……」
「文字通りでございます。そのキャストはお客様のものになります」
「な、なにができるようになるんですか?」
「何なりと。お客様のモノをお客様がどのように扱おうとも自由でございます」
……そ、そんな奴隷みたいな話、通用するわけない。
まして、そんな境遇にサリナさんが自分から身をやつそうとするわけがない。
あの人は大企業の社長だよ? ありえない……。
「――サリナですか?」
「え……」
「ご購入を希望されているのは、サリナでしょうか」
「そ、それは……」
ここで肯定したら、サリナさんからこの話を聞いたと認めるようなものじゃ……?
シャリアーデさん、なにか凄く怒ってるみたいだし……。
「いずれにせよ、ご購入には『クラブポイント』が必要です。お客様はまだポイントをお持ちではありませんので、チャージしていただく必要がございます」
「チャージ……」
「ご安心ください、何度も申し上げておりますように、現金での決済は特別な理由がない限りいたしません。当クラブにおいてポイントをチャージする主な手段は、とある設備をご利用していただくというものになります」
「設備……?」
人間一人の人生を購入してしまえるクラブポイント。
それを得るために僕がしなければならないこと……その設備の名をシャリアーデさんが静かに口にした。
「――『畜舎穴【バームホール】』。ご安心ください。とても気持ちのいい穴ですから」
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