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7章
7章72話 沙月の査察3
しおりを挟む「……そちらも実力行使という訳か? 男と盛る事しか能のない劣等種が、本気で武力で敵うとでも……」
「確かに我々は戦闘は不得手です。あなたは対人外種用に戦闘訓練を積んだ調査員。普通のサキュバスでは相手にならないでしょう」
「……」
だがシャリアーデは普通のサキュバスではない。
既に数百年を生き、世界に数人しかいないプラチナランクを有する、人類との抗争を生き延びたサキュバスだ。
「私は管理局から正式に派遣されている調査員だ。私の使命を阻み害する行動は全て管理局そのものへの反逆の意志とみなされる。貴様一人ではなく、このクラブのサキュバス全員が、」
「調査員の使命……あなたのお父様のように、でございますか?」
その瞬間、ここまでは対話によって事を治めようとしていた沙月の双眸が見開かれ、その奥に煮えたぎるような憤怒の念を現した。
「……なんだと?」
「とても優秀な調査員だったそうですね。基本的に女性が担当するはずのサキュバス調査員を、特例で認められるほどに。素晴らしい人格者で、サキュバスにも公正公平。彼はむしろ、虐げられていたサキュバスの地位向上すら訴えていたそうですね」
「…………黙れ」
ギリッ、と沙月が両手の拳を固く握りしめる。
場の空気が一気に凍り付き、沙月の目線に凄まじい殺気が宿る。
それを気にも留めず、シャリアーデは続ける。
「そして彼はある日、規約違反により管理局送りになったサキュバスの少女を庇いました。たった一度の子供の過ち……少女を違反行為に走らせたのは我々人間だと」
「……黙れ」
「少女を弁護する内、二人は親密な仲になり――やがて恋に落ちた。サキュバスを監視する調査員でありながら、そして妻子を持つ身でありながら……彼は甘く危険な不貞行為にのめり込んでしまった」
「黙れと言っているだろ!」
沙月の怒声がVIPルームに響き渡り、シャリアーデはしばし言葉を止めた。
荒く息づく沙月。真っ赤に紅潮した顔は怒りに歪み、今にもシャリアーデに飛び掛からんばかりだった。
「……」
シャリアーデは椅子から立ち上がり、VIPルームの壁に設置されている引き出しから何かを取り出した。
それは一本のバイブだった。
大きく、太く、無数の粒がボツボツと目立つ、紫色のバイブを手に、シャリアーデが再び声を発する。
「これがなにかお分かりになりますか?」
シャリアーデはその時、これまでの無表情の仮面を脱ぎ捨てた。
――ニヤリと。
歪に、下品に、そして邪悪に。
まさに魔性の種族の頂点にする者に相応しい妖艶な笑みを顔に刻んだ。
「これはかつて、あなたのお父様が昼のスクランブル交差点で――全裸でガニ股になりながら狂ったようにペニスをシゴき、衆人環視の中豚のような嬌声をあげてザーメンをまき散らしたときに彼のアナルにねじ込まれていたバイブと同じものです」
――瞬間、沙月は閃光のような速度でシャリアーデに突進し、右拳をその顔めがけて振りぬいた。
瞬き程の時間もない、一瞬の出来事。しかし――
「――グッ……!?」
ピタリ、と沙月の拳が止まる。
シャリアーデまであとほんの数センチのところで拳が……いや沙月の身体全体が、まるで空間ごと縫い付けられたかのようにピタリと停止していた。
「危ないところでした。思ったよりも素早いですね。エリート調査員というのは伊達ではないご様子」
「殺してやるッ! 腐った害獣どもがあッ!! 貴様らの……貴様らのせいで父さんは……ッ!!」
「彼は一回りも年下の少女にアナルを開発され尽くし、こんな太いバイブもすんなり飲み込めるほど調教され、排便の度に射精していたとか」
「うおおおおあああああッッ!!!」
全身の筋肉が悲鳴を上げる程の力でシャリアーデに殴りかかろうとする沙月だが、どれだけ力を籠めようとも指一本たりとも動かすことはできなかった。
「ある日、家族には出張と伝え、管理局には長期休暇を申請した彼は――実は少女に二十日間も監禁されていたそうです」
シャリアーデは淀みなく語る。噂話ではなく、まるでその現場を見てきたかのように。
「その間、彼は少女の知り合いのサキュバス十四人に輪姦され続け、三百回以上の射精を経験。クラブの制約を受けていないサキュバス十四人による手加減抜きの本気の搾精……ひり出したザーメンの量は十リットルにも及んだとか」
「黙れ! 黙れええええ!」
「解放された頃、彼は乳首に息を吹きかけただけで射精する体に改造されていました。少女の命令には逆らえない快楽の奴隷となっており、管理局送りになったサキュバスの脱走に何度も加担。それが明るみになる直前、例のスクランブル交差点での醜態を晒し業界を引退。――ああ、ひょっとしてあなたがサキュバスを過剰に嫌悪するのは、このことに関係があったりするのでしょうか?」
「殺す……! 殺してやる……貴様ァ……ッ!!」
挑発だと分かっていながら、沙月は怒りを抑えることができずに声を荒げることしかできなかった。
そんな沙月の顔に、息がかかるほど自分の顔を近づけたシャリアーデは、そのまま妖艶な声で囁きかけた。
「――管理局を舐めるなと粋がっていたが、お前こそサキュバスを舐め過ぎだ、小娘」
普段の丁寧な口調は消え失せ、シャリアーデの本性とも言うべき姿が露わになる。
「あの少年は百年に一人……いやそれ以上の極上の獲物だ。絶対に渡さん。邪魔をするというのなら、そんな気が起きなくなるほどお前を調教してやる」
「こんなことをして……タダで済むと……ガボォ!?」
「黙っていろ雌犬」
シャリアーデはバイブを沙月の喉奥に突っ込み、無理矢理彼女の口を塞いだ。
「その大きさをよく覚えておけ。数時間後、それをお前の尻穴にねじ込んで潮を吹き散らかせてやる。――お前の父親と同じようにな」
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