サキュバスクラブ~最高ランクの精気を持つボクは無数の淫魔に狙われ貪られる~

ウケのショウタ

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7章

7章71話 沙月の査察2

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「どうした、何を黙りこくっているシャリアーデ。悪あがきはやめてさっさとクラブの解体に応じろ」

 動かぬ証拠を突きつけられて以降ひたすら沈黙を貫くシャリアーデに、沙月は小ばかにしたような嘲笑を飛ばす。

「…………」

 それでも沈黙を続けるシャリアーデに痺れを切らしたのか、沙月は一度鼻を鳴らすとソファから立ち上がった。

「ぐうの音も出ないか。まあいい、こうして物証も手に入れたことだし、私が報告すれば終わりだ。これで失礼させてもらう」

 そう言ってVIPルームの扉に向かって歩き出す沙月。
 その背中に……。


「――本日、晩御飯は何をお召し上がりになられましたか?」


 シャリアーデは静かに、そう尋ねた。

「管理局のエリート調査員様ともなれば毎日美味しいものを食べていらっしゃるのでしょうか。それともそれだけのプロポーションを保つために、健康的な食事を心がけていらっしゃるのでしょうか」
「貴様と世間話をするつもりはない」

「――我々は、毎日残飯のような食事にしかありつけません」

 ピタリ、と沙月の足が止まる。

「クラブにご来店されるお客様は八割近くがブロンズランク。本来であればサキュバスが搾精相手として選ばないような方々です。魔力耐性の検査も年々厳しくなり、そんなお客様ですら貴重な精気のはずですが……年中飢えているブロンズランクのサキュバスですら、ブロンズランクのお客様の搾精には消極的です。バームホールはいつも閑散としております」
「で?」

 シャリアーデの言葉にも欠片も同情する様子を見せず、沙月は冷たく突き放した。

「搾精行為はサキュバスにとって唯一と言っていい生き甲斐。存在意義そのものでございます。それを奪われ、飢え続ける日々……我々はこれほどの仕打ちを受けねばならないほどのことをしたでしょうか?」
「かつて何万人もの男を篭絡し吸い殺してきた」
「人間も人間を殺すではありませんか。数えきれない戦争で何百万人の人間が死にましたか?」
「貴様らは面白半分で人の人生を狂わせることを生きがいとする種族だ」
「人間も人間をいじめ、迫害し、差別することを楽しんでいるではありませんか」
「貴様らはいつの時代も国の要人の陰に潜み、世界中を混乱に陥れ――!」
「では我々が人間に管理されるようになってから人間社会に混乱はなかったのですか?」
「……」

 次は沙月が沈黙する番だった。

「関係ないのですよ。人間という種族がそもそも悪性を秘めているのです。我々は確かにそれを煽ります。それを楽しむ魔性の種族です。しかし人間の至らなさの原因を我々にだけ押し付けるのは不当です」
「それが小作清太を搾精することの、何の言い訳になる」
「彼はプラチナランクです。しかも極めて高い魔力耐性を持っています」

 シャリアーデの言葉に、沙月は目を見開いて驚愕した。

「プラチナ!? ……なるほど、貴様がルールを捻じ曲げてでも執着するわけか」
「彼を搾精することの何がいけないのです? 彼一人の犠牲でどれだけのサキュバスの飢えが満たされたと思いますか? 二人のサキュバスが清太様を襲った? そこまであの二人を飢えさせ追い詰めたのはあなた方人間ではないですか」

 普段のシャリアーデを知る者たちが見れば驚くほど、シャリアーデは感情を露わにし沙月に敵意を向けていた。

「人間は合意なく他者から奪いますが、我々は双方の合意の元セックスをしているだけです。人間は他者を虐げる際に苦痛を与えるのみですが我々は至上の幸福も与えます。あなたがご覧になりたがっていた清太様の録画データ……ご覧になられますか? 清太様がどれほど気持ちよさそうに壁尻の穴に腰を打ち付けていたかご覧になれば、我々が奪うばかりでなく与えもするのだとご理解できるはずです」

「貴様の言葉は麻薬の売人と大差ないな。快楽で中毒にさせ自制心を奪っておきながら合意の上などと語る資格は貴様らにない。私は調査員としてすべきことをするまでだ」

 そう言い捨てて沙月はVIPルームの扉のノブを回し――ガチン、とそれが動かないことに気づいた。

「……? おい、扉が開かないぞ」
「左様でございますか。VIPルームですので、安全のため自動で鍵がかかる仕様になっているのかもしれませんね」
「ふざけるな。さっさと開けろ」
「そうですね。はい」
「……」
「……」
「……おい、開けろと言っている」
「左様でございますか」

 すっ……と沙月の目が細まり、身体を少しかがめて臨戦態勢を取る。
 シャリアーデは変わらずたおやかに紅茶を飲みながら……その意識だけは沙月に向けていた。

「最後の警告だ。今すぐ扉を開けろ。さもなくば実力行使し、」
「ですが開けたら、あなたはご帰宅なされるでしょう? そして清太様の足跡のことを管理局に報告なされる。そうすると、わたくしたちは困ります」
「……自分が何を言っているのか分かっているのか?」
「もちろんでございます。――それはそうと以前から一度お聞きしたかったことがございます」
「……なんだ」
「あなたは先ほどから、サキュバスは男性を篭絡すると連呼していらっしゃいますね。なのでサキュバスに関する調査員は篭絡されない女性ばかり……というのが管理局の理屈なのでしょうが」

 シャリアーデはそこで言葉を区切り、ティーカップをテーブルに置いて沙月の目をまっすぐに見据えた。


「サキュバスが快楽で篭絡できる相手が男性だけだと、本気でお思いですか?」

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