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ヤンデレで愛が重い魔術師は従者の優等生騎士を離さない。
カン!
乾いた音がした。
それが鳴ったと同時に、一本の試合用の木剣が宙を舞う。
競技場に小さな砂風が吹いた。ほんの一瞬、静寂が走る。
「──勝負ありっ!」
黒髭を蓄えた審判が赤旗を勢いよくバッと上げ、大声で宣言した。
「勝者、オズワルド・フローレンス!」
オズワルドと呼ばれた長身の青年の姿──光り輝く金髪、その下には凛々しい金の眉毛、金のまつ毛に縁取られた翠玉のような瞳、高く筋の通った鼻、少しだけぽってりとした唇。まごうことなくそれは彫刻のように端正な容貌だった。上半身。試合用の白シャツからは盛り上がった胸筋がちらりとのぞかせている。脚は長く、トラウザーズは太もも部分が筋肉でみっちりと詰まっていた。
オズワルドは滝のような汗を流し、息を切らしながら審判のほうへ振り向く。審判が頷いたのを確認すると、右腕を振り上げながら勝利の雄叫びをした。それを聞いた観客たちはわあっと大きく歓声を上げ、待機していた彼のチームのメンバーが一斉に駆け寄った──。
一方で立ち見席。その最前列に無表情のローブの青年がいた。
濡羽色の黒髪に紅玉のように鮮やかな赤の瞳。薄いが形の良い唇。オズワルドよりもずっと青白い肌はいささか不健康さが際立つが、ともすれば人ならざる妖精のような目鼻立ちの整った美しい顔立ちをしている。
キーラン・ブラッドリー。代々国の要職に就く宮廷魔術師の家系に生まれた生粋の貴族の子息、ブラッドリー家の跡取り。そして代々騎士爵の家系の出身であるオズワルドが幼い頃から仕える『主人』だ。
チームメイトにもみくちゃにされ、少々困惑気味のオズワルドがやがてキーランに気づく。キーランは手を振った。すると、主人を見つけたオズワルドの表情はみるみる華やいでいつもは凛々しくきりっとした金色の眉毛を下げ、深く濃い緑色の美しい瞳を細めて手を振り返してきた。その笑顔は太陽の輝きのように眩しい。
(……可愛いな)
キーランは無表情から少しだけふっと微笑んだ。
キーランとオズワルドは二十歳の同い年。同じ王立貴族学院に通う五回生の幼馴染で主従関係、だけではない。それ以上に──二人は『恋人同士』なのである。
「オズワルド様! こちらをどうぞ!」
「わ、わたくしも! 実は今日のために評判の良いお菓子屋のケーキを準備いたしました! 使用人に頼んで手配したものですの!」
「そこの貴女、どきなさいっ! わたくしからはこれを……」
「あ、あの……。えっと……」
競技場の前。
オズワルドが貴族令嬢たちからケーキやら花束やらの贈り物を押し付けられて、彼女たちからの対応に困りあたふたしていた。
(剣術試合が終わったオズを迎えに行こうとした矢先に……。これだ)
キーランは顔をしかめて舌打ちする。
オズワルドは見目が良く文武両道で勇猛。皆にも優しい、絵に描いたような騎士だ。このような快活な美青年を異性、いや時に同性も放っておくわけがない。
……恋人として、この光景は非常に不愉快だ。胃の中が地獄の釜でふつふつと煮えていくような……じりじり、もやもやとした感情になる。はらわたが煮えくりかえる、という言葉はこのような状況下で使うものだと実感する。
「オズ!」
キーランは貴族令嬢たちの群がりの向こうから、鋭くオズワルドに呼びかける。そして牽制するような目線を送り、見渡す。
貴族令嬢たちはキーランのあまりにも剣呑な表情に息を呑んだ。色めき立った空気は一瞬で凍りついてしまい、全員黙ってしまう。
「……前を通してくれないか」
氷のように冷たい声で呼びかけると、海割りのようにサッと道が作られた。
そのままキーランは歩き、オズワルドの前に立つ。
「キ、キーラン様……」
「オズ。女性たちから今もらったものを返すんだ」
「で、ですが……。これらはみなさまからのご好意です。ケーキなどの食べ物もありますし、無碍にするのは……」
キーランは顎で不愉快そうに指し示すが、オズワルドは眉を下げて意見する。それがより一層苛つかせた。
「これは主人からの命令だ。全部返せ」
普段はオズワルドに甘いキーランだが、今回は一切の容赦はない。怒りの感情を隠すことなく吐き捨てる。
「……仰せのままに」
オズワルドは間を置いて、小さく答えた。
貴族社会の上下関係は絶対だ。立場上従者のオズワルドが主人のキーランからの命令に逆らえるわけがない。その上、見るからに怒っている彼の機嫌をこれ以上損ねるわけにはいかなかったのだろう。オズワルドは命令どおり、貴族令嬢たちのプレゼントを申し訳なさそうにしながら次々に返した。
「……もう帰るぞ」
「……はい。キーラン様」
プレゼントを全て返し終わったところで少々強引にオズワルドの腰を掴み、そのまま並んで前を進んだ。怯える周囲を再び冷たく一瞥する。
キーランは周囲に見せつけるようにいやらしく、オズワルドの腰から臀部をねっとりと撫でた。すると彼はキーランよりも長身で大きいはずなのに小動物のようにびくつかせ、縮こまった素振りをして歩く。
(ああ……腹立たしい。部屋に帰ったらオズは俺のものだ、ってわからせないと……)
* * *
「んん……ぁ……ふっ……」
主従関係にあるもの同士は大抵、同室となる。それが貴族学院の寮のルールだ。
寮の部屋に着いた途端キーランは扉にオズワルドの両手を縫いつけて、その唇を貪った。歯列をなぞり、口内のすみずみまで舐めてやる。肉厚な舌を柔らかく喰む。逃げようとする舌を追いかけて、捕まえて、執拗に。じゅるじゅる、という下品な音をわざと立てて。それだけでオズワルドはうっすらと涙を浮かべた目になり、目元をほんのりと赤くする。
(可愛い、オズ……。もうずーっと今まで何十回もこんなことやってるのに、いつまでも純情で……)
薄目でオズワルドを観察しながら、男らしさと愛らしさを兼ね備える恋人とのディープキスを思う存分堪能する。
「……ぁっ」
舌をしつこく吸われて、抵抗できなくなったオズワルド。その隙をついて手を引いたキーランはベッドの前まで進む。
彼をベッドを背に立たせて、自分はその前の勉強机の椅子に座った。そして──。
「脱いで」
「えっ……」
「聞こえなかった? 今ここで……目の前で服全部脱いで、って言ってるの。オズ」
「……え、あ……」
ストリップをさせようとする指示に、オズワルドはわかりやすくより赤くなり、沈黙する。
しびれを切らしたキーランは更に追随しようとした。
「何か駄目なことでもあるの?」
「や……あの……。私は……さっきまで運動……試合をしていたので……匂い、とか。汗、とか……」
「別にそれくらいどうってことない。どうせ今からセックスして汗かくんだから、変わらないでしょ。だから早く。服、脱いで」
あけすけな物言いにオズワルドは再び黙ってしまったが、覚悟を決めたように唾を飲んだ音がした。
「わかり……ました」
キーランの『命令』には幼少期から染みついている従者精神によって逆らえないらしい。
ひとつ、ふたつ……。
オズワルドは震える指でぷちぷち、と少しずつシャツのボタンを外していく。
あらわになっていく肌。鍛え抜かれて、谷間ができるほど育った胸筋。六つに割れた腹筋。一連の動きをキーランは瞬きせずに犯すように、熱っぽく見つめた。
やがてすべてボタンを外し終えたオズワルドはぱさ……っと恥ずかしそうに床にゆっくりシャツを落とした。
オズワルドの美しい上半身には……至るところにちらほらとキスマークがついている。キーランがこの騎士を日頃から愛している証拠だ。それが仄暗い喜びを与えてくれる。
「し、下も……ですか」
「もちろん」
即答に戸惑うように再び俯きながら、ゆっくりとオズワルドはトラウザーに手をかけて、ストンとそれが落ちる。
とうとう下着姿になってしまった彼は、捨てられた仔犬のようにキーランに目配せするが「早く」と急かされて、困惑気味になりながらも手にかけて下着を脱ぐ。
「……終わり、ました」
むちむちと育った太ももにはグロテスクなほどに無数のキスマークがあり、性器はゆるく勃起していた。
恥ずかしいのか、ぎゅっと目を瞑りながら勇気を振り絞った声を出すオズワルドがたまらなく情熱や加虐欲をかき立ててくる。キーランはその姿を舐め回すように視姦した。
──ああ、たくさん可愛がってあげたい……。
興奮が最高潮に達する。椅子から立ち上がってぶつぶつと言葉を唱えた。召喚呪文だ。
すぐに天井から紫色に光る魔法陣が出現する。そこから白く光る触手が数本飛び出し──。
「うわっ……!?」
しゅるしゅるっとオズワルドの長い手足を絡め取り、ベッドの上に降ろす。
それは両手を上げたような状態で縛り、足を開脚させた。
「キ、キーラン様! これは一体……!? ひゃあっ!?」
上着のローブ、ブレザーを乱暴に脱ぎ捨てて隣で寝転ぶキーランはオズワルドの質問に答えることはない。
「駄目っ、汗臭いですから、やめてください、やめてぇ……!」
目の前にある運動後の右の腋に鼻をすーっと埋めながら、匂いを嗅ぐ。すんすん、とわざとらしい仕草もしてみる。汗臭い、というがむしろこれが良い。今のキーランにとってこの匂いが最高の麝香の香水だ。ブレザーズボンの中が急に苦しくなってくるほどに、クラクラする。恥じらって眉をハの字にして懇願するオズワルドの顔も絶景だ。官能的で素晴らしい。
「……はあっ、ん、美味しい」
「あ、やだぁ……! 乳首も、いじらないでぇ……! やぁんっ」
十分にオズワルドの匂いを嗅いだ後は、腋を丹念に舐める。
ぺちゃ、ぺちゃ……と仔猫がミルクを懸命に飲むような優しい舐め方とじゅるるっと勢いよく吸う舐め方を使い分けた。その間に左乳首への愛撫も忘れない。
数えきれないほどやったセックスでキーランに愛されてふくふくと育った桃色の乳首は、少し押し潰したり、さわさわと軽く撫でてやる。次第にこりこりと芯を持ち始めてくる感触が楽しい。
「やあっ……!? ああん……っ」
きゅっと少しだけ強くつねってやると、身体を弓なりにさせた。軽く達したらしい。
「あ……ん……」
「……この、すけべ」
「……ご、ごめんなさい」
少ししゅん、となってしまったオズワルドに庇護欲がわく。
「ふふ、別に怒ってないよ。素直で可愛いな、お前は。……キスしようか」
「ん……」
弱々しく答えるオズワルドが愛しすぎる。乳首への愛撫は続けたままにバードキスを繰り返した。その間に天井の魔法陣から再び触手を一本垂らして準備をする。それをオズワルドの股間に巻きつけた。やがてそれは光の筒状になる。
キーランが今日やりたかった、おたのしみの一つが始まろうとしていた。
「んんっ!?」
オズワルドは自分の股間の違和感に気付いたようだ。目を見開く彼を観るのが愉しくて仕方がない。
絡みついたそれは、しゅこしゅことオズワルドの性器を抜き始めた。
「ぅあ……!? な、に……っ!? あぁっ、まって、あ」
「どうだ? これはね……女のナカを模して作ったんだ。しかも、名器寄りのな」
「あ、ああ、ぁ」
「ははっ……オズってば、俺の話全然聞いてないな」
「ぁ、あうっ」
言葉になっていない。オズワルドは喘ぎ声を繰り返すだけだ。
射精を促すようにキーランはくにくにと両乳首を弄び、数本のうちの一つの細長い触手でオズワルドの窄まりをほぐしてあげる。指二本分のそれは、ぐぽぐぽという音を立てながら抜き差ししていた。
「気持ちいいか?」
「は、い、ぁんっ、きもちぃ、きもちいですぅっ、あ、駄目、あ、ぁ」
「そうか、満足そうで何よりだ」
涙声になっているオズワルドの返答に満足する。
細かなヒダになって、中の上部から下部までそれぞれ違うリズムで収縮するように設計した筒の中。今の体勢としては女に騎乗位をされているのとほぼ同じだ。今まで男も女も抱いたことがない、正真正銘の童貞であるオズワルドはその締めつけや中の気持ちよさに耐えられるはずがないだろう。
「あ、あんっ、ふぅ、ぁ、ん」
……普段は『キーランのメス』になっている愛しい男の『オスとしての姿』を乳首を触りながら観察してみる。
触手に縛られて身動きが取れないはずなのに腰だけ上に向けてカクカクと振り続けている。喘ぎ声は情けないものの、しっかりと本能が機能しているようだ。
「あ、も、駄目、イく、イっちゃう──」
筒が速く性器を抜いているのか、オズワルドが速く腰を動かしているのか……どちらかはわからないが、だんだん動きが激しくなっていた。
その姿を見て、キーランは妖しく口元を歪ませて──。
「まだ駄目」
「あ……」
筒の動きをストップさせて消去した。跨る。それだけでオズワルドは絶望したような、縋るような表情で見つめてくる。その顔がキーランの加虐心を煽る。
「な、なんで……もうすこしで、わたし──」
「まだ駄目だよ。……だってお前は、こっちでしょっ」
「あ──」
ブレザーズボンのチャックを開け、自らの下着を下ろしたキーランは待っていた、と言わんばかりに正常位の体勢でオズワルドの後孔に一気に根元まで挿入した。
「ああぁ──」
オズワルドは瞳が蕩けきったメス顔を晒しながら、今日一番の叫びを上げた。少し萎えていた彼の性器が、挿入したことで再び勃起してぴゅるっと小さく白濁を出している。キーランはその様子を見て悦びが下腹部に溜まってきて、犯していく。オズワルドの前立腺。そしてその奥深くを擦るようにしてコツ、コツ、とキーランは抉っていった。そのピストン運動に呼応するように窄まりの中は収縮を繰り返し刺激してくる。そのたびにキーランは自らの性器の質量がずっしりと重くなっていくのを感じていた。
「あん、駄目っ、や、ふかいっ、んぁ」
「オズ、あんな道具で気持ちよくなるなよっ」
「あ、あんっ、ん、ごめんなさ、キー、ラン、さ、ぁあ」
道具を使って『オズワルドのオスとしての姿』を見れたことは非常に眼福だったが、やはり先ほどの貴族令嬢たちに囲まれていた件もあり、嫉妬が勝ってしまった。
「おまえ、は、俺のだけで、んっ、いいだろっ!」
「あっ、ん、キーラ、さま、ぁん、はぁっ」
「ん、ふっ、ほらっ、くち、あけてっ」
覆い被さって互いの口内を貪る。
ばちゅ、ばちゅと鳴るほどに肉同士、ぶつけ合う。
「ん、む、ぁっ」
オズワルドの舌を吸い、甘く噛んだ。
「あん、キーランさまぁ、んぅっ」
今度はオズワルドから舌を絡ませてくる。キーランは嬉しさで舞い上がり、腰の律動を速める。その間にもオズワルドの性器を今度は自らの手で抜いてあげた。ちゅこちゅこ、としごくたびに薄まった精液を出す。とろとろと垂れてくるそれはキーランの手を汚す。
「ふ、んっ、すきっ、愛してる、オズっ」
「あぁ、わたしも、ん、わたしも、ですっ」
「ねえ、いっしょにっ、いっしょにいこうっ」
「はいっ、あぁ、ん、あ、くる、なんかくる、きちゃうう──」
「くっ、あ」
「イく、イっちゃうっ、あ、あああぁ──」
オズワルドの高くなった嬌声が部屋中に響き渡る。瞬間、中がきゅうっときつくなり二人で同時に達した。キーランは窄まりの中に一滴も残らず注ぐように腰を小刻みに打ちつける。オズワルドの精液がその後勢いよく飛び散った。
「っん……オズ……」
激しい快楽の波を受け止めきれずキャパオーバーしてくったりと気絶するオズワルドに、ぐりぐりっと何度か性器を押し付ける。それはまるで、確実に子を孕ませるためにするような動作だ。
「……ん」
オズワルドから引き抜いてその窄まりを見る。セックスのしすぎで縦型になった後孔から、キーランの白濁がとろっと少し流れていた。
「……オズ、やらしい」
「……。んっ……」
そこに指を当てがって、くちゅくちゅとかき回す。
意識が飛んでいるのに感じているようなオズワルドの声を聞いて、キーランは愛しくなり顔中にキスを降らせた。
手足を縛っていた触手を消滅させる。いつもは夜明けまでずっと交わるのだが剣術試合があって体力を消耗したせいか、今日は一回でオズワルドは失神してしまった。少し無理をさせてしまったようだ……。十分に尻を可愛がった後は労わるように頭を優しく撫でてみて、首筋に新しく一つ、キスマークをつける。
ふと、この貴族学院を卒業した後の未来を考える。
自分たち貴族令息は卒業後、どこかの令嬢と見合いさせられて政略結婚をするのだろうか、と。
それは騎士爵を継ぐオズワルドも例外ではないだろう。
(……そんなこと、絶対にさせない)
──どこぞの馬の骨とも知らない女に彼を渡さない。自分もオズワルド以外と結婚するなんてまっぴらごめんだ。
だから、キーランは彼を『妻』とするために、男性のまま妊娠できる魔術の呪文を開発中だ。呪文で一時的に子宮に似た機能をオズワルドに施して子どもを孕ませる計画……時間はかかっているが、予想だと二年後この学院を卒業する頃には出来上がるので、その時になったらすぐに実行できるはずだ。
貴族は優秀な後継ぎさえできればいいのだ。学年一位の頭脳を持つキーランと文武両道で優しいオズワルドの子どもなら、男でも女でもきっと聡明でとびきり美しい子どもができるに違いない。
「……キーラン、さま」
夢でも見ているのか、オズワルドはうわ言を発している。
「……あい、してます」
ぶわっと、背筋がゾクゾクするほどの歓喜に震えた。
(俺も……俺も、オズが大好きだよ)
幼少期にブラッドリー家の屋敷に来て、ぷっくりとしたほっぺの愛くるしい姿で舌ったらずに「一生お守りいたします」と初めて会った時に誓ってくれたあの日から、オズワルドを熱烈に深く愛している。その想いは互いに成長してからも変わらない──いや、その時よりも確実に肥大している。
キスをする。弛緩してだらんとしている厚い舌をかき回す。キーランの紅い瞳はまるで猛禽類のような、獰猛なものだった。
(……死んでも、お前を離さない。オズ)
──終──
乾いた音がした。
それが鳴ったと同時に、一本の試合用の木剣が宙を舞う。
競技場に小さな砂風が吹いた。ほんの一瞬、静寂が走る。
「──勝負ありっ!」
黒髭を蓄えた審判が赤旗を勢いよくバッと上げ、大声で宣言した。
「勝者、オズワルド・フローレンス!」
オズワルドと呼ばれた長身の青年の姿──光り輝く金髪、その下には凛々しい金の眉毛、金のまつ毛に縁取られた翠玉のような瞳、高く筋の通った鼻、少しだけぽってりとした唇。まごうことなくそれは彫刻のように端正な容貌だった。上半身。試合用の白シャツからは盛り上がった胸筋がちらりとのぞかせている。脚は長く、トラウザーズは太もも部分が筋肉でみっちりと詰まっていた。
オズワルドは滝のような汗を流し、息を切らしながら審判のほうへ振り向く。審判が頷いたのを確認すると、右腕を振り上げながら勝利の雄叫びをした。それを聞いた観客たちはわあっと大きく歓声を上げ、待機していた彼のチームのメンバーが一斉に駆け寄った──。
一方で立ち見席。その最前列に無表情のローブの青年がいた。
濡羽色の黒髪に紅玉のように鮮やかな赤の瞳。薄いが形の良い唇。オズワルドよりもずっと青白い肌はいささか不健康さが際立つが、ともすれば人ならざる妖精のような目鼻立ちの整った美しい顔立ちをしている。
キーラン・ブラッドリー。代々国の要職に就く宮廷魔術師の家系に生まれた生粋の貴族の子息、ブラッドリー家の跡取り。そして代々騎士爵の家系の出身であるオズワルドが幼い頃から仕える『主人』だ。
チームメイトにもみくちゃにされ、少々困惑気味のオズワルドがやがてキーランに気づく。キーランは手を振った。すると、主人を見つけたオズワルドの表情はみるみる華やいでいつもは凛々しくきりっとした金色の眉毛を下げ、深く濃い緑色の美しい瞳を細めて手を振り返してきた。その笑顔は太陽の輝きのように眩しい。
(……可愛いな)
キーランは無表情から少しだけふっと微笑んだ。
キーランとオズワルドは二十歳の同い年。同じ王立貴族学院に通う五回生の幼馴染で主従関係、だけではない。それ以上に──二人は『恋人同士』なのである。
「オズワルド様! こちらをどうぞ!」
「わ、わたくしも! 実は今日のために評判の良いお菓子屋のケーキを準備いたしました! 使用人に頼んで手配したものですの!」
「そこの貴女、どきなさいっ! わたくしからはこれを……」
「あ、あの……。えっと……」
競技場の前。
オズワルドが貴族令嬢たちからケーキやら花束やらの贈り物を押し付けられて、彼女たちからの対応に困りあたふたしていた。
(剣術試合が終わったオズを迎えに行こうとした矢先に……。これだ)
キーランは顔をしかめて舌打ちする。
オズワルドは見目が良く文武両道で勇猛。皆にも優しい、絵に描いたような騎士だ。このような快活な美青年を異性、いや時に同性も放っておくわけがない。
……恋人として、この光景は非常に不愉快だ。胃の中が地獄の釜でふつふつと煮えていくような……じりじり、もやもやとした感情になる。はらわたが煮えくりかえる、という言葉はこのような状況下で使うものだと実感する。
「オズ!」
キーランは貴族令嬢たちの群がりの向こうから、鋭くオズワルドに呼びかける。そして牽制するような目線を送り、見渡す。
貴族令嬢たちはキーランのあまりにも剣呑な表情に息を呑んだ。色めき立った空気は一瞬で凍りついてしまい、全員黙ってしまう。
「……前を通してくれないか」
氷のように冷たい声で呼びかけると、海割りのようにサッと道が作られた。
そのままキーランは歩き、オズワルドの前に立つ。
「キ、キーラン様……」
「オズ。女性たちから今もらったものを返すんだ」
「で、ですが……。これらはみなさまからのご好意です。ケーキなどの食べ物もありますし、無碍にするのは……」
キーランは顎で不愉快そうに指し示すが、オズワルドは眉を下げて意見する。それがより一層苛つかせた。
「これは主人からの命令だ。全部返せ」
普段はオズワルドに甘いキーランだが、今回は一切の容赦はない。怒りの感情を隠すことなく吐き捨てる。
「……仰せのままに」
オズワルドは間を置いて、小さく答えた。
貴族社会の上下関係は絶対だ。立場上従者のオズワルドが主人のキーランからの命令に逆らえるわけがない。その上、見るからに怒っている彼の機嫌をこれ以上損ねるわけにはいかなかったのだろう。オズワルドは命令どおり、貴族令嬢たちのプレゼントを申し訳なさそうにしながら次々に返した。
「……もう帰るぞ」
「……はい。キーラン様」
プレゼントを全て返し終わったところで少々強引にオズワルドの腰を掴み、そのまま並んで前を進んだ。怯える周囲を再び冷たく一瞥する。
キーランは周囲に見せつけるようにいやらしく、オズワルドの腰から臀部をねっとりと撫でた。すると彼はキーランよりも長身で大きいはずなのに小動物のようにびくつかせ、縮こまった素振りをして歩く。
(ああ……腹立たしい。部屋に帰ったらオズは俺のものだ、ってわからせないと……)
* * *
「んん……ぁ……ふっ……」
主従関係にあるもの同士は大抵、同室となる。それが貴族学院の寮のルールだ。
寮の部屋に着いた途端キーランは扉にオズワルドの両手を縫いつけて、その唇を貪った。歯列をなぞり、口内のすみずみまで舐めてやる。肉厚な舌を柔らかく喰む。逃げようとする舌を追いかけて、捕まえて、執拗に。じゅるじゅる、という下品な音をわざと立てて。それだけでオズワルドはうっすらと涙を浮かべた目になり、目元をほんのりと赤くする。
(可愛い、オズ……。もうずーっと今まで何十回もこんなことやってるのに、いつまでも純情で……)
薄目でオズワルドを観察しながら、男らしさと愛らしさを兼ね備える恋人とのディープキスを思う存分堪能する。
「……ぁっ」
舌をしつこく吸われて、抵抗できなくなったオズワルド。その隙をついて手を引いたキーランはベッドの前まで進む。
彼をベッドを背に立たせて、自分はその前の勉強机の椅子に座った。そして──。
「脱いで」
「えっ……」
「聞こえなかった? 今ここで……目の前で服全部脱いで、って言ってるの。オズ」
「……え、あ……」
ストリップをさせようとする指示に、オズワルドはわかりやすくより赤くなり、沈黙する。
しびれを切らしたキーランは更に追随しようとした。
「何か駄目なことでもあるの?」
「や……あの……。私は……さっきまで運動……試合をしていたので……匂い、とか。汗、とか……」
「別にそれくらいどうってことない。どうせ今からセックスして汗かくんだから、変わらないでしょ。だから早く。服、脱いで」
あけすけな物言いにオズワルドは再び黙ってしまったが、覚悟を決めたように唾を飲んだ音がした。
「わかり……ました」
キーランの『命令』には幼少期から染みついている従者精神によって逆らえないらしい。
ひとつ、ふたつ……。
オズワルドは震える指でぷちぷち、と少しずつシャツのボタンを外していく。
あらわになっていく肌。鍛え抜かれて、谷間ができるほど育った胸筋。六つに割れた腹筋。一連の動きをキーランは瞬きせずに犯すように、熱っぽく見つめた。
やがてすべてボタンを外し終えたオズワルドはぱさ……っと恥ずかしそうに床にゆっくりシャツを落とした。
オズワルドの美しい上半身には……至るところにちらほらとキスマークがついている。キーランがこの騎士を日頃から愛している証拠だ。それが仄暗い喜びを与えてくれる。
「し、下も……ですか」
「もちろん」
即答に戸惑うように再び俯きながら、ゆっくりとオズワルドはトラウザーに手をかけて、ストンとそれが落ちる。
とうとう下着姿になってしまった彼は、捨てられた仔犬のようにキーランに目配せするが「早く」と急かされて、困惑気味になりながらも手にかけて下着を脱ぐ。
「……終わり、ました」
むちむちと育った太ももにはグロテスクなほどに無数のキスマークがあり、性器はゆるく勃起していた。
恥ずかしいのか、ぎゅっと目を瞑りながら勇気を振り絞った声を出すオズワルドがたまらなく情熱や加虐欲をかき立ててくる。キーランはその姿を舐め回すように視姦した。
──ああ、たくさん可愛がってあげたい……。
興奮が最高潮に達する。椅子から立ち上がってぶつぶつと言葉を唱えた。召喚呪文だ。
すぐに天井から紫色に光る魔法陣が出現する。そこから白く光る触手が数本飛び出し──。
「うわっ……!?」
しゅるしゅるっとオズワルドの長い手足を絡め取り、ベッドの上に降ろす。
それは両手を上げたような状態で縛り、足を開脚させた。
「キ、キーラン様! これは一体……!? ひゃあっ!?」
上着のローブ、ブレザーを乱暴に脱ぎ捨てて隣で寝転ぶキーランはオズワルドの質問に答えることはない。
「駄目っ、汗臭いですから、やめてください、やめてぇ……!」
目の前にある運動後の右の腋に鼻をすーっと埋めながら、匂いを嗅ぐ。すんすん、とわざとらしい仕草もしてみる。汗臭い、というがむしろこれが良い。今のキーランにとってこの匂いが最高の麝香の香水だ。ブレザーズボンの中が急に苦しくなってくるほどに、クラクラする。恥じらって眉をハの字にして懇願するオズワルドの顔も絶景だ。官能的で素晴らしい。
「……はあっ、ん、美味しい」
「あ、やだぁ……! 乳首も、いじらないでぇ……! やぁんっ」
十分にオズワルドの匂いを嗅いだ後は、腋を丹念に舐める。
ぺちゃ、ぺちゃ……と仔猫がミルクを懸命に飲むような優しい舐め方とじゅるるっと勢いよく吸う舐め方を使い分けた。その間に左乳首への愛撫も忘れない。
数えきれないほどやったセックスでキーランに愛されてふくふくと育った桃色の乳首は、少し押し潰したり、さわさわと軽く撫でてやる。次第にこりこりと芯を持ち始めてくる感触が楽しい。
「やあっ……!? ああん……っ」
きゅっと少しだけ強くつねってやると、身体を弓なりにさせた。軽く達したらしい。
「あ……ん……」
「……この、すけべ」
「……ご、ごめんなさい」
少ししゅん、となってしまったオズワルドに庇護欲がわく。
「ふふ、別に怒ってないよ。素直で可愛いな、お前は。……キスしようか」
「ん……」
弱々しく答えるオズワルドが愛しすぎる。乳首への愛撫は続けたままにバードキスを繰り返した。その間に天井の魔法陣から再び触手を一本垂らして準備をする。それをオズワルドの股間に巻きつけた。やがてそれは光の筒状になる。
キーランが今日やりたかった、おたのしみの一つが始まろうとしていた。
「んんっ!?」
オズワルドは自分の股間の違和感に気付いたようだ。目を見開く彼を観るのが愉しくて仕方がない。
絡みついたそれは、しゅこしゅことオズワルドの性器を抜き始めた。
「ぅあ……!? な、に……っ!? あぁっ、まって、あ」
「どうだ? これはね……女のナカを模して作ったんだ。しかも、名器寄りのな」
「あ、ああ、ぁ」
「ははっ……オズってば、俺の話全然聞いてないな」
「ぁ、あうっ」
言葉になっていない。オズワルドは喘ぎ声を繰り返すだけだ。
射精を促すようにキーランはくにくにと両乳首を弄び、数本のうちの一つの細長い触手でオズワルドの窄まりをほぐしてあげる。指二本分のそれは、ぐぽぐぽという音を立てながら抜き差ししていた。
「気持ちいいか?」
「は、い、ぁんっ、きもちぃ、きもちいですぅっ、あ、駄目、あ、ぁ」
「そうか、満足そうで何よりだ」
涙声になっているオズワルドの返答に満足する。
細かなヒダになって、中の上部から下部までそれぞれ違うリズムで収縮するように設計した筒の中。今の体勢としては女に騎乗位をされているのとほぼ同じだ。今まで男も女も抱いたことがない、正真正銘の童貞であるオズワルドはその締めつけや中の気持ちよさに耐えられるはずがないだろう。
「あ、あんっ、ふぅ、ぁ、ん」
……普段は『キーランのメス』になっている愛しい男の『オスとしての姿』を乳首を触りながら観察してみる。
触手に縛られて身動きが取れないはずなのに腰だけ上に向けてカクカクと振り続けている。喘ぎ声は情けないものの、しっかりと本能が機能しているようだ。
「あ、も、駄目、イく、イっちゃう──」
筒が速く性器を抜いているのか、オズワルドが速く腰を動かしているのか……どちらかはわからないが、だんだん動きが激しくなっていた。
その姿を見て、キーランは妖しく口元を歪ませて──。
「まだ駄目」
「あ……」
筒の動きをストップさせて消去した。跨る。それだけでオズワルドは絶望したような、縋るような表情で見つめてくる。その顔がキーランの加虐心を煽る。
「な、なんで……もうすこしで、わたし──」
「まだ駄目だよ。……だってお前は、こっちでしょっ」
「あ──」
ブレザーズボンのチャックを開け、自らの下着を下ろしたキーランは待っていた、と言わんばかりに正常位の体勢でオズワルドの後孔に一気に根元まで挿入した。
「ああぁ──」
オズワルドは瞳が蕩けきったメス顔を晒しながら、今日一番の叫びを上げた。少し萎えていた彼の性器が、挿入したことで再び勃起してぴゅるっと小さく白濁を出している。キーランはその様子を見て悦びが下腹部に溜まってきて、犯していく。オズワルドの前立腺。そしてその奥深くを擦るようにしてコツ、コツ、とキーランは抉っていった。そのピストン運動に呼応するように窄まりの中は収縮を繰り返し刺激してくる。そのたびにキーランは自らの性器の質量がずっしりと重くなっていくのを感じていた。
「あん、駄目っ、や、ふかいっ、んぁ」
「オズ、あんな道具で気持ちよくなるなよっ」
「あ、あんっ、ん、ごめんなさ、キー、ラン、さ、ぁあ」
道具を使って『オズワルドのオスとしての姿』を見れたことは非常に眼福だったが、やはり先ほどの貴族令嬢たちに囲まれていた件もあり、嫉妬が勝ってしまった。
「おまえ、は、俺のだけで、んっ、いいだろっ!」
「あっ、ん、キーラ、さま、ぁん、はぁっ」
「ん、ふっ、ほらっ、くち、あけてっ」
覆い被さって互いの口内を貪る。
ばちゅ、ばちゅと鳴るほどに肉同士、ぶつけ合う。
「ん、む、ぁっ」
オズワルドの舌を吸い、甘く噛んだ。
「あん、キーランさまぁ、んぅっ」
今度はオズワルドから舌を絡ませてくる。キーランは嬉しさで舞い上がり、腰の律動を速める。その間にもオズワルドの性器を今度は自らの手で抜いてあげた。ちゅこちゅこ、としごくたびに薄まった精液を出す。とろとろと垂れてくるそれはキーランの手を汚す。
「ふ、んっ、すきっ、愛してる、オズっ」
「あぁ、わたしも、ん、わたしも、ですっ」
「ねえ、いっしょにっ、いっしょにいこうっ」
「はいっ、あぁ、ん、あ、くる、なんかくる、きちゃうう──」
「くっ、あ」
「イく、イっちゃうっ、あ、あああぁ──」
オズワルドの高くなった嬌声が部屋中に響き渡る。瞬間、中がきゅうっときつくなり二人で同時に達した。キーランは窄まりの中に一滴も残らず注ぐように腰を小刻みに打ちつける。オズワルドの精液がその後勢いよく飛び散った。
「っん……オズ……」
激しい快楽の波を受け止めきれずキャパオーバーしてくったりと気絶するオズワルドに、ぐりぐりっと何度か性器を押し付ける。それはまるで、確実に子を孕ませるためにするような動作だ。
「……ん」
オズワルドから引き抜いてその窄まりを見る。セックスのしすぎで縦型になった後孔から、キーランの白濁がとろっと少し流れていた。
「……オズ、やらしい」
「……。んっ……」
そこに指を当てがって、くちゅくちゅとかき回す。
意識が飛んでいるのに感じているようなオズワルドの声を聞いて、キーランは愛しくなり顔中にキスを降らせた。
手足を縛っていた触手を消滅させる。いつもは夜明けまでずっと交わるのだが剣術試合があって体力を消耗したせいか、今日は一回でオズワルドは失神してしまった。少し無理をさせてしまったようだ……。十分に尻を可愛がった後は労わるように頭を優しく撫でてみて、首筋に新しく一つ、キスマークをつける。
ふと、この貴族学院を卒業した後の未来を考える。
自分たち貴族令息は卒業後、どこかの令嬢と見合いさせられて政略結婚をするのだろうか、と。
それは騎士爵を継ぐオズワルドも例外ではないだろう。
(……そんなこと、絶対にさせない)
──どこぞの馬の骨とも知らない女に彼を渡さない。自分もオズワルド以外と結婚するなんてまっぴらごめんだ。
だから、キーランは彼を『妻』とするために、男性のまま妊娠できる魔術の呪文を開発中だ。呪文で一時的に子宮に似た機能をオズワルドに施して子どもを孕ませる計画……時間はかかっているが、予想だと二年後この学院を卒業する頃には出来上がるので、その時になったらすぐに実行できるはずだ。
貴族は優秀な後継ぎさえできればいいのだ。学年一位の頭脳を持つキーランと文武両道で優しいオズワルドの子どもなら、男でも女でもきっと聡明でとびきり美しい子どもができるに違いない。
「……キーラン、さま」
夢でも見ているのか、オズワルドはうわ言を発している。
「……あい、してます」
ぶわっと、背筋がゾクゾクするほどの歓喜に震えた。
(俺も……俺も、オズが大好きだよ)
幼少期にブラッドリー家の屋敷に来て、ぷっくりとしたほっぺの愛くるしい姿で舌ったらずに「一生お守りいたします」と初めて会った時に誓ってくれたあの日から、オズワルドを熱烈に深く愛している。その想いは互いに成長してからも変わらない──いや、その時よりも確実に肥大している。
キスをする。弛緩してだらんとしている厚い舌をかき回す。キーランの紅い瞳はまるで猛禽類のような、獰猛なものだった。
(……死んでも、お前を離さない。オズ)
──終──
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