この世界の思い、始まりは変わらない 少年がゲームの世界で音楽無双?!音楽で人々も友達も、ヒロインもみんな笑顔にしてみせます!!!

berumeru

文字の大きさ
9 / 39

第3話 2度目の目覚め

しおりを挟む
ピチャン、ピチャン、ピチャン、どこからか雫が落ちる様な音が聞こえる。
(ん?こ…こは、どこだ?)
目を覚ました俺は、顔だけを動かして、周りを確かめようとした、だか…
(暗すぎて見えないから、何があるか分からない)
周りは真っ暗で何も見えなかった。とりあえず、体を起こすことにした。
頭がズキズキして痛いが、それ以外は何ともなかった。
真っ暗だったが、だんだんと見える様になってきた。目が暗闇に慣れてきたんだろう…
「ここ、どこだ?」
俺は少し声に出してみたんだが、驚くことがあった。声が高めだったのだ。まるで、声変わりをする前の小さな子供の様な…
「な、なんで…どうなって…」
俺はどうにかして、自分の姿を確認したかったのだが、暗いためはっきりと分かるわけがないと思った。だから、少し歩いてここから出ようと思った。
立ってみると、
(何だろう…なんか、手とか足とか、小さいような?と、とにかく出よう!考えるのはそれからだ!)
俺は歩いて出る方法を探すことにした。

どのくらい歩いただろう、暗闇から抜け出せる気がしない…
(ここはマジでどこだよー?どっかに光ってる場所とかないのかー?はぁー)
疲れてしまった俺は、少し休むことにした。
周りを見渡しても、真っ暗な状態で、どこに行ってるのか分からない。
分かるのは壁があるってことと岩なのか分からないが、硬くて丸いものが数個あるぐらい。
(マジでどこー?ここはー?はぁー誰かいないのかよ?)
俺は休憩をやめて、また、歩き出した。

「やっとだーーーーー、どんだけ歩いたんだよ」
やっと、出口っぽいところを見つけた。外の景色が見えそうだった。俺は急いで、外に出た。

「どこ?ここは…」
外に出ると山の中なのか分からないが、草や木に覆われた場所で、鳥の鳴き声が微かに聞こえる。風がそよそよと吹いていた。
(とりあえず、行くか…)
俺はまた歩き出した。

道のりに沿って歩いていく。誰かが道を整備したのだろうか?遊歩道の様にちゃんとした道が続いていた。
(これ、どこまで行けるんだろう?どっかに家とかないのかな?…そういえば、フーリさんが言ってたな。誰か亡くなった人の体に入るって…俺、どんな子に入ったんだろう…、うっ頭が痛い…)
俺がこの体の持ち主のことを思った時だった。頭が割れるぐらいの痛みが生じた。
それと同時に記憶が流れ込んでくる。
(な、何だこの記憶、気持ち悪い…)
その記憶は、この体の持ち主の苦しすぎる記憶だった。

この体の持ち主の名前は、神城 玲(かみじょう れい)、俺と同じ名前だった。そして、この子は小学1年生だった。俺は元々高校生だったため、小学生になるとは思わなかった。そして、この子は親から暴力や暴言を吐かれながら生きていたらしい。この子の一家はみんな音楽の天才と呼ばれていて、世界的有名なバンドを組んでいるみたいだ。名前は[フォクシード] 
…だが、この子とその妹は、天才の才能を上手く引き出すことが出来ず、毎日練習をしていたらしい。練習の中でミスをすると、親に殴られるなどの暴力を受け続けていた。そして、その練習に苦しみ続けた結果、この子の心が壊れてしまい、自ら命を絶ったということらしい。その亡くなった体に俺が入ったということだ。
(なんか、絶対やばい家庭じゃん!それに、音楽の天才一家?!俺、楽器を持ったことないけれど?!どうすりゃいいんだよー!)
俺はまた、暴力を振られる一家に転生したらしい…

(とにかく今は、家に帰ることだけを考えよう…いや、帰ってもしんどいだろうなー、家に帰っても地獄、このまま残ってても地獄、もうどうしようもないこの状況、俺どうすりゃいいの?マジで…)
俺は頭を抱えまくった。
(はぁ、帰ろ…嫌だけれど、帰ろ…)
俺は記憶を頼りに、この世界の自分の家に帰った。

やっとの思いで、家の前まで来た。
有名なバンド一家であるが故に、家は豪邸だった。
(めっちゃでかい!これ、どれだけの広さがあるんだよ?)
俺が呆然と家を眺めていると…
「あ、お兄ちゃん?」
「え?」
どこからか女の子の声が聞こえた。
周りを探すと家の門の側からひょっこり顔を出して、こちらを覗いてる子がいた。
「お兄ちゃんなの?かえってきたの?」
「君は…たしか…」
俺をお兄ちゃんと呼ぶということは、この子は妹なんだろう。ただ、名前がすぐに出てこなかった。
「おかえりなさい!お兄ちゃん!」
タタタタッと走り寄ってきて、俺に抱きついてきた。とても小さな手を俺の背中に回して必死に俺の服を掴んでいた。
そこで、この子の名前を思い出した。
「そうだ!君は、瑠奈(るな)だ!」
「お兄ちゃん!そうだよー!えへへ!」
名前を呼ばれて、凄く嬉しそうな俺の妹、瑠奈。記憶では家族から暴言や暴力を振るわれていて、傷ついているはずなのだが…傷ついてきたなんて、分からないような満面の笑みを見せてくれている。
(こんな、小さい子をミスしたからって殴ったり、叩いたりするなんて…酷すぎるだろ!) 
俺はこの子を何とか守りたいと思った。

「ただいま、瑠奈、練習してたのか?」
俺はこの体の持ち主である、神城くんが亡くなっていることを悟らせないように、前の神城くんと同じ口調、仕草を真似しようと思った。
「うん…また、お母様におこられちゃった…わたし、なんにもできない…」
いつも以上に落ち込んでいるらしい。
「まあ、僕たちが家族の中で一番出来ないからなー、母さん達に迷惑かけてしまってるなー」
「お兄ちゃんは、できてるよ!わたしができてないだけで…」
「いや、僕も出来てなくて、怒られた。」
2人で落ち込んでしまった。
「とりあえず、中に入ろう!母さん達に怒られるのは覚悟しとかないと…」
俺は勇気を出して、家のドアを開けた。

家の中はめっちゃ綺麗で、やっぱり広かった。玄関から続いている廊下は10mぐらいあるみたいで、とても長い…廊下に沿って何個も部屋のドアがあった。
1つ1つの部屋には名前があって、楽器置き場、防音室、ピアノ部屋、ドラム演奏室、アンプ置き場…などなど、ほとんどが楽器に関する部屋だった。
(リビングどこだよ?あと、母さん達にどこにいるんだ?)
家の中を散策したが、この家5階建てで階段が何個もある。まるで巨大迷路に迷い込んだみたいに。
「母さんー!どーこー?」
「お母様ー!どこですかー?」
2人で大きな声を出して、呼んでみたが、返事はない…
「もしかすると、お父様のところかも?いってみよ?お兄ちゃん!」
瑠奈が俺の手を引っ張っていった。

5階まで階段を登り、廊下の突き当たりにある、団欒室に入ることにした。ここは、家族で報告をする時や世間話、練習の感覚などを伝え合う部屋となっているらしい。中から話し声が聞こえてきた。
「なん…みてな…そんな……から…どうしようも……のでしょう?……はもっと練習…と全く出来ないんだから。」
母さんの声が聞こえる。コンコンコン、中に入ろうと、ドアをノックした。
「何だ今は取り込み中なんだが?」
父さんの声が聞こえた。
俺はドアを開けた。

「ただいま戻りました。父さん、母さん…姉さん…兄さん」
部屋の中にいたのは、父さんと母さん、そして、兄さんと姉さんだった。
「やっと帰ってきたか、玲…全く練習もサボってどこに行っていたんだ!!お前は何も出来ない出来損ないのくせに!」
父さんから、早速罵倒が飛んできた。
「申し訳ございません、少々外の空気を吸いたくなりまして」
1人で死ぬために外に出て、死に場所を探していましたーなんて、言えるはずもなく、俺は誤魔化すことにした。
「ふん、外の空気など吸っている暇があるなら、とっとと練習しろ!」
すぐに練習練習というのが、この人の口癖らしい。
「分かりました。」
「サボっていた分、しっかりと練習してもらうからね!」
母さんがそんなことを言ってきた。
「分かりました。」
「もう良い、この部屋から出ろ!」
俺にはもう用済みだとすぐに部屋を出るように言ってきた、だから、俺は素直に出て行った。

出ていく時、姉さんと兄さんが悲しそうな目をしていた…ような気がする。
(何で、あの人たちは悲しそうな目をしていたんだ?ただただ出来ない俺たちをそんな目で見る必要がないのに…)
俺は不思議に思いながら、長い廊下を歩いて、自分の部屋を探した。ついでに、瑠奈はまだ、あの部屋にいる。瑠奈は父さんと母さんに呼ばれていた。多分、俺と同じように罵倒されるか、何か用事を言うかのどちらかだと思う。
部屋のそばで待とうかと思ったが、以前に待っていたら、「練習しろ!」って父さんに怒られた記憶があったからだ。まあ、この記憶は神城くんの記憶だが…とにかく、練習しよう…まず、楽器を弾けるか試そう…自信ないけれど…

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...