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第4.5話 絵麗奈の話
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夜18時、玲が外に出て行ってからまだ、帰ってきていない。私は、玲に言われた言葉が頭の中でずっと流れていた。
(私は…何も出来ない…あの子を助けることすら…何やってんだか、私は…)
自分でも、もうどうすることも出来ないのか?と思った。
コンコンコン、私の部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はい」
「絵麗奈?母さんだけれど、入っていいかしら?」
母さんは私と良一のところへ来る時や接する時は、とても優しい声で接してくる。まるで、私たちの機嫌を損ねないようにしているみたいに。
「大丈夫よ、どうぞ」
その声を聞いて、母さんが部屋に入ってきた。
「ねぇ、絵麗奈、玲を見てない?」
「いえ、見てないですけれど、どうかしたんですか?」
昼頃に会ったことを思い出しながら聞いたら…
「そう…見かけてないならいいわ、18時にもなってるのに家のどこにもいないから、外に出かけてるのだとしたら、速攻で連れてこないと……」
少し焦っているように感じた。
「どうして、そんなに焦っているんですか?」
気になったので聞いてみた。
「何か遭ったらダメじゃない!体とか、見られたら…」
言葉では、玲を心配しているようだが、自分たちの心配ばかりしている。バレるのが怖いならやらなければいいのに……
「ちょっと探してきますね?」
私は母さんを残して、玲を探した。
玲が帰ってくる10分前、父さんが私たちを集めた。
「話とは他でもない、玲と瑠奈についてのことだ」
早速話し合いが始まった。主に母さんと父さんの話し合いで、私と良一は聞いてるだけだった。
「あれだけ練習させたが、才能はないようだ。これ以上練習させても同じだ。よって、私たちのバンドには入れないと考えているが、どう思う?」
「そうねー、確かに才能はないように見えるわ、でも、私は成長すると思いますけれどね」
父さんは辞めさせたくて、母さんは練習させたいらしい。玲と瑠奈の意見を聞かずに勝手に決めてしまっている。
「そう言えば、さっきから玲の姿がないのですけれども、知りませんこと?」
「いいや、見ていないな」
「なんで見てなのよ?そんなんだから、どうしようもないのでしょう?玲はもっと練習させないと全く出来ないんだから。」
母さんがそんなことを言った時だった。
コンコンコンとドアを叩く音がした。
「何だ今は取り込み中なんだが?」
父さんが反応した。
ガチャッとドアが開いて、玲と瑠奈の姿があった。
父さんと母さんが玲と瑠奈にまた、暴言を吐いていた。
部屋を出ていく瞬間、玲と目が合った。私は悲しくなった。何も出来ない自分が悔しくて仕方がなかった。だが……玲の目は死んでいなかった。お昼の時は、死んだような目をしていて、怖かったが、今は私のことを不思議に見る目をしていた。
(気持ちが切り替わったのかな?でも、なんか、雰囲気が変わったような?何だろう、違和感がするんだけれど…)
少し気になった私は、母さんたちの話が終わった後、玲の部屋に行ってみることにした。
(?なんか声がする…何話してるの?)
私は玲の部屋の前に来た。普段はあまり近寄らない部屋なんだが、今日の様子を見ると、違和感が拭えなくて、気になってしょうがなかったため、部屋の前にいる。中から声が聞こえる。玲の声だと思うが…
「おお!凄い!これは…って音がするのかー、お!こっちは……」
とても楽しそうな声が聞こえていた。
(なんか、楽しそうに楽器?を奏でているみたい)
私はそっとしておくことにした。
深夜0時、玲の部屋のドアを開けた。
眠っている玲のそばまで行った。
(静かに眠ってる…良かったー)
私はホッとしながら玲に背を向け、部屋を出ようとした。その時、私は机の棚に紙が挟まっているのが見えた。何故かその紙が気になり、私はその紙を抜いて、閉じていたものを開いた。
すると、そこには、こんなことが書かれていた。
「もう、がっきのれんしゅうも、父さん母さんがおこることに耐えることもつかれました。ぼくは、もう生きていたくありません。さようなら。さがさないでください。
かみじょう れい」
私の手が震えた。これは、まるで遺書のようだった。
(玲がお昼にどこかに行っていたのは……まさか、そんなはず……それに、今、玲はここにいるし…)
私は振り返って玲の方を見た。普通に寝ている玲を私は泣きそうな表情で見た。
(明日、聞かないと……どこに行ってたのか、この手紙は何なのか……)
私はこの時、まだ気づいていなかった。
私の知る[れい]はもう、この世にいなくて、私の知らない[玲]がこの世にいるということを……
(私は…何も出来ない…あの子を助けることすら…何やってんだか、私は…)
自分でも、もうどうすることも出来ないのか?と思った。
コンコンコン、私の部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はい」
「絵麗奈?母さんだけれど、入っていいかしら?」
母さんは私と良一のところへ来る時や接する時は、とても優しい声で接してくる。まるで、私たちの機嫌を損ねないようにしているみたいに。
「大丈夫よ、どうぞ」
その声を聞いて、母さんが部屋に入ってきた。
「ねぇ、絵麗奈、玲を見てない?」
「いえ、見てないですけれど、どうかしたんですか?」
昼頃に会ったことを思い出しながら聞いたら…
「そう…見かけてないならいいわ、18時にもなってるのに家のどこにもいないから、外に出かけてるのだとしたら、速攻で連れてこないと……」
少し焦っているように感じた。
「どうして、そんなに焦っているんですか?」
気になったので聞いてみた。
「何か遭ったらダメじゃない!体とか、見られたら…」
言葉では、玲を心配しているようだが、自分たちの心配ばかりしている。バレるのが怖いならやらなければいいのに……
「ちょっと探してきますね?」
私は母さんを残して、玲を探した。
玲が帰ってくる10分前、父さんが私たちを集めた。
「話とは他でもない、玲と瑠奈についてのことだ」
早速話し合いが始まった。主に母さんと父さんの話し合いで、私と良一は聞いてるだけだった。
「あれだけ練習させたが、才能はないようだ。これ以上練習させても同じだ。よって、私たちのバンドには入れないと考えているが、どう思う?」
「そうねー、確かに才能はないように見えるわ、でも、私は成長すると思いますけれどね」
父さんは辞めさせたくて、母さんは練習させたいらしい。玲と瑠奈の意見を聞かずに勝手に決めてしまっている。
「そう言えば、さっきから玲の姿がないのですけれども、知りませんこと?」
「いいや、見ていないな」
「なんで見てなのよ?そんなんだから、どうしようもないのでしょう?玲はもっと練習させないと全く出来ないんだから。」
母さんがそんなことを言った時だった。
コンコンコンとドアを叩く音がした。
「何だ今は取り込み中なんだが?」
父さんが反応した。
ガチャッとドアが開いて、玲と瑠奈の姿があった。
父さんと母さんが玲と瑠奈にまた、暴言を吐いていた。
部屋を出ていく瞬間、玲と目が合った。私は悲しくなった。何も出来ない自分が悔しくて仕方がなかった。だが……玲の目は死んでいなかった。お昼の時は、死んだような目をしていて、怖かったが、今は私のことを不思議に見る目をしていた。
(気持ちが切り替わったのかな?でも、なんか、雰囲気が変わったような?何だろう、違和感がするんだけれど…)
少し気になった私は、母さんたちの話が終わった後、玲の部屋に行ってみることにした。
(?なんか声がする…何話してるの?)
私は玲の部屋の前に来た。普段はあまり近寄らない部屋なんだが、今日の様子を見ると、違和感が拭えなくて、気になってしょうがなかったため、部屋の前にいる。中から声が聞こえる。玲の声だと思うが…
「おお!凄い!これは…って音がするのかー、お!こっちは……」
とても楽しそうな声が聞こえていた。
(なんか、楽しそうに楽器?を奏でているみたい)
私はそっとしておくことにした。
深夜0時、玲の部屋のドアを開けた。
眠っている玲のそばまで行った。
(静かに眠ってる…良かったー)
私はホッとしながら玲に背を向け、部屋を出ようとした。その時、私は机の棚に紙が挟まっているのが見えた。何故かその紙が気になり、私はその紙を抜いて、閉じていたものを開いた。
すると、そこには、こんなことが書かれていた。
「もう、がっきのれんしゅうも、父さん母さんがおこることに耐えることもつかれました。ぼくは、もう生きていたくありません。さようなら。さがさないでください。
かみじょう れい」
私の手が震えた。これは、まるで遺書のようだった。
(玲がお昼にどこかに行っていたのは……まさか、そんなはず……それに、今、玲はここにいるし…)
私は振り返って玲の方を見た。普通に寝ている玲を私は泣きそうな表情で見た。
(明日、聞かないと……どこに行ってたのか、この手紙は何なのか……)
私はこの時、まだ気づいていなかった。
私の知る[れい]はもう、この世にいなくて、私の知らない[玲]がこの世にいるということを……
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