輝く空に、瞬く星に #元世界最強の能力者！仲間と家族と、ヒロインを救う恋愛ファンタジーバトル開幕！！

第16話 俺、俺様に会う

何でもない一日、今日は、戦闘訓練授業だった。
「クラムに立ち向かうための授業って…ひーまーだーなー」
「そんなこと言って、1番授業を楽しみにしてるくせにー」
日向が話しかけてきた。
「だってー熱くなるんだもーーん」
「はいはい、さ、始まるよー」
「ういー」
俺は日向と一緒に訓練場に向かった。

「では、今日は2人1組となり、生徒同士の戦闘を行います。どのようなペアになっても構いません。ペアが出来ましたら、報告して下さい。」
(今日はペアかーふむ、誰でもいいけれど…)
チラッと日向の方を見た。向こうもこっちを見ていた。
「考えてることは一緒みたいだね？」
「そうだな…」
「一緒にやろう」「一緒にやってくれ」
「ふふふ、決まりだね」
「おう！」
俺たちは先生に報告に行った。

「やっぱり双子だからなのかなー？ペアって聞くとどうしてもここで組みたくなるんだよねー」
「それ、言えてるわー俺もペアって聞いたら、お前思い浮かぶもん」
「それは、そうだけれど……恥ずかしいとかないの？」
「え？何で？」
「はぁー、聞いた私がバカだった…」
なんか、日向にため息を吐かれた。
「龍牙は誰と組んだのかなー？」
「うーん、クラスの人たちだけだしねー、あ！いた」
「ん？」
日向が見ている方を見ると、龍牙が他の男子と組んでいた。
「組めたみたいだな」
「だねー、さあ、行きますか」
「おう！」
俺たちは対戦相手を確認しに行った。

1回戦、2回戦と着実に勝っていった。
まあ、この学園に通う同学年の生徒はみんな戦闘経験が少ない人が多い。だから、手を抜いていても、勝つことは可能だった。あ、因みに、龍牙は初戦敗退してた。多分手を抜きすぎたか、ふざけすぎて負けたかのどっちかだろう。原因は龍牙自身だと思うがな…

「ふぅ、楽だなぁー」
「そりゃそうでしょ、本気で勝負してないんだから」
俺たちは休憩しながら、そんな話をしていた。すると…
「おい！！何であんな戦い方したんだよ！！この出来損ないがーーー！！」
男子の怒鳴り声が聞こえてきた。
「なんか、あったのか？」
「凄い怒ってるね？誰だろう？」
声がした方を見ると、金髪の男子と泣きじゃくっている女子の2人だった。
金髪の周りに緑色の髪をした男子と、茶髪の男子がいて、金髪と一緒に女子に何か言っているようだった。
「れい兄」
「ああ！行くぞ」
女子が泣いているのを見過ごすなんて出来ない俺たちは、すぐにそいつらの元へ向かった。

「このクズ！！なんか言ったらどうだ！！」
「すみません…すみません…すみません…」
「すみません…じゃねーんだよ！この無能！！クズ！！」
「そうだぞ！クズでしかない！！アルテミス・コネット！！」
「恥を知れ！！アルテミス・コネット！！」
なんかただ事ではない感じだった。
「おい…何してるんだ？」
俺はなるべく落ち着いて静かな声でそう聞いた。
「ああ？！何だよ平民！」
(ふむ…なんか最近、下民とか平民とか…見下されること多くね？)
「誰が平民だよ、そんな名前じゃねーし」
「いや、れい兄？名前を言われたんじゃなくて、見下されたから。バカにされてるんだよ？」
「え？マジで？」
「うん」
「俺、バカって言われたってこと？」
「そゆこと」
「俺がバカ？」
「うん」
「俺がバカ？バカはバカ？」
「うん、バカはバカ」
「バカのバカのバカ？」
「バカのバカのバカ」
「バカのバカのバカの…」
「俺様を無視するんじゃねーーー！！」
突然、金髪が俺と日向の会話に参加してきた。
「………？誰？お前は」
「貴様ーーー！！！」
「この方はオーギュスト・アマーティ様だぞ！」
「え？」
「だーかーらー！！オーギュスト・アマーティ様だ！！」
「お、おーぎゅにゅと？あまえる？」
「ちーがーうーわー！！オーギュスト・アマーティ様だ！！お前わざとやってるだろ？！」
「何のことだかさーっぱりわっかりませーん」
「きーーーさーーーーまーーーーー！！！」
なんか金髪よりも取り巻きっぽい緑と茶色の奴らの方が怒ってるや。
「お前、この俺様を無視するとはいい度胸だな？」
「うーん？あ、いたの？いやーチビだったから分かんなかったわー」
「き、貴様ー！！まだ、私を侮辱するかぁぁぁぁああああ？！」
「はいはい、良かったねー、それで、何してんのさ、女子いじめてさー、え、何？そう言う趣味？やめた方がいいよー？何？Sなの？やばー」
「き…貴様！こ、これほどの屈辱を与えてくるとは…貴様…よっぽど死にたいらしいな！」
「いやー、自分が屈辱を味わうのは嫌なのに、この女子には与えるってどんな神経してんだろー？って思ってさー、自己中すぎるだろ？」
すると…取り巻きがしゃしゃり出てきた。
「お前！このお方なら何をしてもいいのさー！なぜなら偉いから！！天才だから！！」
「へえーなら、俺らがお前をいじめてもいいよね？」
「何だと！！聞いてなかったのか？この方は偉い方だ、この方を虐めるなど決してあってはならないんだよ！！ただの平民風情が！」
「いやいや、俺らこの学園で偉いのよ？」
「はぁ？」
「この学園さ、身分差別とか無視だからさ、みんな平等の人間って扱いなのよーだから、この学園でお前らの身分なんか意味がないの。そして、俺らはこの学園の学園長の親戚なんだよーだから、お前らよりも上なの？分かる？Do you understand?」
「ふん！それは、偉いのは学園長であってお前ではない！！」
「なら、お前らも偉くはないだろ」
「な、何でだよ…」
「だって、偉いのはお前らの親とか祖父母とか、先祖とかだろ？お前らが何かして偉くなったわけじゃないじゃん！ただ、生まれてきた家庭がその家族だったってだけで。それを考えたら、そこの女子と同じだろ」
「なっ…？！」
「くっ…！」
金髪男子はショックを受けたような表情をしていた。取り巻きもあまりの正論に何も言えずにいた。ついでに、日向も驚いていた。え、何で？
「あ、あのれい兄が、せ、正論言ってる！！いつもふざけてバカみたいなことしか言わないのに！真面目になったーー！」
「おいーーー！！日向！折角カッコよく言えたと思ったのに！！それ言ったら全部台無しじゃねーーかーー！！！」
俺と日向のじゃれあいがまた、始まった。

「き、貴様ら…くっ…覚えておけ！」
それだけ言うと金髪男子は、取り巻きを連れて去っていった。
「ありゃ？逃げた」
「そりゃあ、あれだけ正論ぶちかましたら、萎えるでしょ」
「え、そんなにだった？」
「うん、いつも以上にキモかった」
「うん？うん？き、キモかった？うん？な、泣くぞ？俺」
「はいはーい」
日向は俺から離れて、泣いていた女子に近づいた。

「大丈夫？」
日向が彼女に手を差し出した。
「……はい」
弱々しく手を取った彼女は立ち上がって、俺たちを見た。
「怪我してなさそうだな」
「はい…だ、大丈夫です。すみません、お騒がせして…」
「もう、あんな人と組んだらダメだよー？」
日向がそう言うと、彼女の表情が暗くなった。
「組まないと…いけないんです…」
「え？どうして？」
「私…あの人のこ、婚約者…なので」
「ふぇええ？ほ、本当に？」
「はい…なので、あの人のところに…行きますね、助けていただきありがとうございました。」
そう言うと、彼女はあいつらが去っていった方向と同じ方向に向かって走っていった。

「ねえ、れい兄！なんかさ」
「うん」
「めんどくさいんだね？海外の結婚って、あんな奴と結婚しなくちゃいけない関係って」
「まあ、海外の人達の、しかも、貴族の方達のやり方だからなー」
俺たちは去っていった方をずっと見ていた。

結局、訓練授業で、俺たちは全勝した。
だが、あの金髪野郎との出来事と去っていく女子の姿が忘れられなかった。

※あとがき　
何で貴族の中にあんなに偉そうな奴がいるんだろうねー？
あ、零でーす。とりあえず、予告するぜ！

次回、校外学習！京都へレッツゴー！
お楽しみに！