異世界最底辺職だった俺、実は全スキルに適性Sだった件~追放されたので田舎でスローライフしてたら、気づいたら英雄扱いされてた~

えりぽん

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第11話 スキル修行を頼まれただけなのに、最強化が進む

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王都へ向かう途中、俺たちは緑の丘を越え、古い街道沿いの遺跡跡地に立ち寄っていた。  
地図上では通過点にすぎないが、神眼によればこの場所の地脈に特殊な魔力が流れている。まるで封印炉から漏れ出たエネルギーが土の中を這っているようだった。  

「うーん、やっぱりここでも魔力が濃いですね」  
シアが額の汗を拭いながら言う。薬師としての感覚でも違和感を覚えるようだ。  
「植物の成長が早すぎる。普通じゃありません」  
「地下に魔素溜まりがあるな。恐らくこのあたりが王都からの“魔導流”の中継点だ」  
俺は膝をつき、手を地に当てて魔力を解析する。微細な脈動が指先を過った。  

その背後で、メリアが腕を組みながらニヤリと笑う。  
「師匠、何か見つけたの?」  
「師匠じゃねぇ……。見つけたってほどでもない。おかしな流れがあるだけだ」  
「またまた。そういう時は大抵、大発見ってことよ」  
「面倒ごとが始まるって意味では、そうかもな」  

ティアナが心配そうに近づいてくる。  
「この地の流れが封印炉に繋がっているとしたら、放置は危険です。けれど、ここで直接どうこうできるのですか?」  
「理屈だけならできる。だが、地中の流れを弄るには膨大な魔力がいる」  
「だったら、ここで少し“練習”してみるのもいいかもね」  
メリアが得意げに杖を振った。  

「練習?」  
「そう。弟子として、師匠の技を少しでも盗まなきゃでしょ。実戦形式のスキル融合、試してみたいの」  
「おい、勝手に修行にするな」  
「えっ、修行ですかっ! だったら私も参加したいです!」とシアが手を挙げる。  
「あたしもです。魔導理論だけじゃ分からないこと、多いですし」  
ティアナまで乗り気だ。  

結論、俺一人の反対など意味を成さなかった。  

やむなく俺は即席の訓練場を作ることにした。  
遺跡の中央に立ち、神眼の構築モードを開くと、空中に複数の図形が浮かび上がる。  
五層構造の魔力循環陣。訓練用に威力を抑えた簡易戦闘空間だ。  

「それじゃ、まず基本の『魔法融合』を体験してもらう。メリア、お前の持ってる炎属性を基盤にする」  
「了解、さすが師匠、段取りが早い」  
「……だからやめろって言ってんだ」  

俺の言葉が終わらぬうちに、彼女の杖の先に炎球が現れる。  
赤い光が脈打ち、周囲の空気が瞬く間に熱を帯びた。  
続いて俺は風魔法を重ね、核の中で渦を形成する。  
理論上は炎と風の融合――ただし、通常は暴走の危険がある高位魔法だ。  

「……行くぞ。あくまで制御優先、威力は抑えろよ」  
「了解」  

俺が合図を送ると、メリアの炎に俺の風が滑り込み、一瞬で爆炎が形を変えた。  
炎の表面が青白く明滅し、中心では風の刃が連続して回転している。  
その光景にティアナとシアは目を見張った。  

「きれい……」  
「これが融合魔法……」  

「成功率、百パーセント。さすが師匠」  
「偶然だ」  
「偶然を再現するのが天才って言うの」  
嬉しそうに笑うメリアに、俺は頭をかくしかなかった。  

練習は順調に進んでいった。シアは結界魔法と回復符を組み合わせ、治癒と防御を同時に行う“庇護の薬符”を完成させた。  
ティアナは王族に伝わる光魔法の基礎を応用し、味方の魔力循環を一時的に高める“祝光”を発動。  
どれも尋常な技ではない。わずかな時間で急速に成長している。  

――なのに、一番驚かされたのは俺自身だった。  

彼女らの魔法を補助しているうちに、神眼が自動的に新しいモードを開いた。  
周囲のスキル構造を読み取り、自分の中で最適化して再現する機能。  
つまり、隣りにいるだけで他人の技が理解できてしまう。  

「おいおい、どんなチートだよ……」  
思わずこぼれた独り言に、メリアが首を傾げる。  
「何か言った?」  
「いや、気のせいだ」  

神眼の表示は止まらない。  

【魔導統合率:58%】  
【新スキル生成:全属性共鳴】  

突如、体の奥が熱をもった。風、炎、水、光、闇、そして無――全属性の魔力が均一に混ざり合い、俺の中で共鳴を始めた。  
これが“全てのスキルに適性S”の本質か。  

「師匠、魔力が漏れてる!?」  
メリアが驚愕の声を上げる。周囲の空気が震え、足元の石畳が淡く光を帯びた。  
「やばい、抑えきれ――」  

次の瞬間、眩い光が迸り、地面から巨大な魔法陣が立ち上がった。  
意図して発動したわけじゃない。それなのに、形になってしまう。  

「まさか、自動生成陣……!? そんなの見たことないわ!」  
メリアの言葉を合図に、俺は慌てて魔力を収束させた。  

ドォン――!  

衝撃波とともに、周囲の草木が一瞬でなぎ倒された。  
遺跡中央に巨大なクレーターが残る。  
それを見て、皆がぽかんと口を開けた。  

「レオンさん……今の、一体何を?」  
「いや、分からん。何もしてないぞ……」  
メリアが息をのむ。  
「何もしないで五属性を融合させた……これ、魔術ではなく“理”の領域よ。ほんとに人間なの?」  
「俺が聞きたい」  

呆れ半分、本気半分で返すと、彼女たちは顔を見合わせた。  
その直後――ティアナの護符が眩しく輝く。  

【封印解除進行度:40%】  
【闇の瘴気発生源:西方、王都地下】  

ついに、王都本体が臨界に達しつつある。  

「間に合わないかも……」  
ティアナの声が震える。父王があの儀式を始めてしまえば、誰にも止められない。  
「だったら急ごう。王都への直行ルートを使う」  
「直行って……山越えを? 普通一週間はかかるのよ!」  
「大丈夫だ。試したいスキルがある」  

俺はさっき暴発した魔法陣の残滓に手をかざす。  
神眼が反応し、新しい術式が浮かび上がる。  

【転移構文起動可能 距離:最大300キロ】  

瞬間移動。その文字を見て、俺は苦笑した。  
――修行のはずが、また俺が最強化している。  

「行けるの? 本当に?」  
「ああ、たぶん」  
「“たぶん”って……!」  
シアが悲鳴を上げるが、もう構築は終わっていた。  

「しっかり掴まれ。すぐ終わる」  
四人の手を繋ぎ、魔力を一点に集中。  
転移陣が発動すると、大地が白く光り、景色が一瞬で反転した。  

風の匂いが変わる。眩しい街の灯り。  
気づけば、俺たちは王都の外壁の手前に立っていた。  

「……成功、してる」  
メリアが息を漏らす。  
俺は空を見上げる。王都の上空には、不気味な紫の光が渦巻いていた。  
封印炉の暴走が始まっている。  

「修行の結果報告、派手すぎるな」  
そう言うと、三人は同時に笑った。  

――次の瞬間、神眼が新しい警告を告げる。  

【王都内部に勇者アリアンの魔力波長を検知】  
【状態:戦闘中】  

あの勇者パーティーが、再び俺の前に現れようとしていた。
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