ボロボロのエルフを拾ったらめちゃくちゃヤンデレになった件、とりあえず一緒に錬金術する?

菊池 快晴

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第9話:一人で生きていくのは嫌です

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「んっ……ベルク様、おはようございます……」
「今日も綺麗だなレナセール」
「……んふふ、ありがとうございます」

 おはようがモーニングキスに変わったのはごく自然な事だった。
 そのまま抱き寄せることもあるが、今日は打ち勝って朝食へ。

 王都は新鮮な卵が安く手に入る。
 スクランブルエッグを作ってもらい、奮発して買った白くて柔らかいパンをオーブンで焼いて、スープは玉ねぎと塩で味付けをしたもの。

 俺が起きると同時に急いで用意してくれるので、朝はただレナセールの背中を眺めているだけでいい。
 
 正直、奴隷と主人の関係ってのは最高だ。

 あくまでも自分本位な考え方だが。

 卵を頬張りながら礼を言って、今日の仕事の確認をする。

「今日は依頼していたものを冒険者ギルド取りに行く。レナセ―ルは――」
「一緒に着いて行きたいです」
「わかった。商人ギルドと雰囲気が違うぞ」
「ベルク様の傍を離れません」
「そうか」
「以前からおっしゃっいていた状態異常薬を作るのでしょうか?」
「その予定で材料を依頼してたんだ。まとまった金も入ったからな」
「一つよいですか? どうして今までは回復薬だけだったんでしょうか? お金の問題もあるとは思いますが、ベルク様の物作りスキルならば、早いうちに何度か試していたほうが良かったのではと思いますが」

 俺の物作りスキルは、一度目より二度目、三度目より四度目といいものができる。
 C級ポーションも、今では非常に質がいいと評判だ。
 だがそれこそが、俺の次の段階に必須だった。

「まずは俺、つまりベルクの名前にブランド価値を付けたかったんだ。いまやベルクが作ったポーションは、冒険者でも話題になってるからな」
「ブランド、とはなんでしょうか?」
「信用みたいなものだな。状態異常薬は、ポーションに比べて高値だ。よって、少しでも安いほうがいいのは当然だろう。だが俺の作ったものは効き目がいい。回復まで数秒の差は、戦場において命に直結する」
「……なるほど、回復薬と違って緊急を要することが多いことは間違いないですもんね」
「質の良いものを安価で販売するのは将来の為にはならない。いいものを適正価格以上で売る為だ」
「ふふふ、ベルク様は聡明です」

 状態異常薬は、価格はポーションの約二倍。

 解毒、石化、麻痺、解眠など。

 当然それにもランクがある。
 効き目はもちろん、回復までの時間、効果によってSABCDE。
 
 まずはEランクから練習で作り、D、Cと上げていく予定だ。

 基本的には材料と出来でランクが決まるので、丁寧に作ったからといってAやSにはならない。

 一通り説明するとレナセールは「流石です」とまた褒めてくれた。
 この言葉が、最近は何よりも嬉しい。

 ただいずれはもっと便利な物を作ろうと考えている。

 その為には信用と地盤だ。
 顔を売ってとにかく人脈を作る。


 今日は特別寒い日だ。
 服を着替えたあと、レナセールが俺よりも薄着な事に気づく。
 頬に触れると、ふふふと微笑んだ。

「先に服屋に寄っていこう。冷えるのはよくないからな」
「私の衣服なんて必要ありません。そんなの、もったいないです」
「レナセールが風邪をひかないようにするのも、主人である俺の仕事だ」
「……嬉しいです。ベルク様、私をずっとお傍においてくださいね」
「……自由になりたいとは思わないのか?」

 俺の問いかけにレナセールは首をぶんぶんと振る。

「一人で生きていくのは嫌です。ベルク様以外のご主人様も嫌です。私は、ずっとあなたの傍にいたいです」

 彼女はいつも居心地のいい言葉をくれる。
 思えばこの寒い王都で暖かさを感じるのは家の暖炉だけだったが、今は、いつでも心が暖かい。

「俺もだよレナセール。さて、行こうか」
「はい」
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