最弱の悪役貴族に転生した俺、進化する魔剣を育てていたら規格外の魔力も発覚したのですべてのフラグをぶっ壊す

菊池 快晴

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第18話 俺を信じろ。

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「ギャギャギャッス!」
「――ハァアッ!」

 空中でワイバーンの群れが襲いかかってきたので、エマとルビィが排除する。
 二人がいなければ、ドラゴンに辿り着く前に落ちていたかもしれない。

 何とか視認できる距離まで近づいたので、魔力を弱めて森に落下する。

 魔力察知をしてみたが、幸い地上の魔物は逃げたらしい。

 まあ、目の前のドラゴンを見れば当たり前だが。

「――すげえな」

 個体としてはそこまで大きくない。
 それでも十メートルは超える大きさ、深淵を見据える瞳、深緑で鋼のような鱗、爪なんて凄まじいほど鋭利そうだ。

 ……勝てんのか?

「なんて、泣き言を言っても始まんねえか」

 村はすぐ近くで鐘が鳴り響いていた。
 さすがに気づいたのだろう。

 何でドラゴンが怒ってるのかはわからないが、下手に攻撃した可能性もある。

「ルビィ、エマ。まずはこっちに引き付けるぞ。作戦通りに」
 
 二人が左右に分かれる。
 まず大事なのは戦場の位置を変えることだ。
 
 つまり、ドラゴンに下りてきてもらう。

 その為には両翼を狙わなきゃいけない。

 まず左の森から空に向かって炎の玉が飛んだ。
 俺の指示した通り、初めから全力だ。見事ルビィの攻撃はドラゴンにぶち当たると、視線が地面に向いた。

 続けて二激目、エマが巨大な岩を見つけたらしく――投げ飛ばした。
 それ自体にダメージはないが、打ちどころが良かった。
 
 思い切り右足に当たり、悲鳴を上げた。

「グオオオオオオオン」

 けどこれは、全部囮だ。

「よお、ドラゴン」

 飛行魔法を使って、俺はドラゴンの近くに移動していた。
 こいつらは魔力に鋭い。だからこそ気を引いてもらったのだ。

 目の前で対峙すると、改めて化け物だとわかった。
 魔力が、まるで重低音を奏でていたときのように皮膚に突き刺さる。

 しかし俺は、既に魔剣を振りかぶっていた。

「――オラァッ」

 硬質を最大限まで高めた上で、属性を付与している。
 現状まだ魔法自体は上手く使えないが、できるかぎりの研鑽を積んできた。

 ドラゴン退治の為じゃないが、気持ちはそれ以上だ。

 気持ちとしては一か八かだった。

 だが――俺の剣は――ズブズブとドラゴンの翼を切り裂いていく。

 ――ハッ、今までの俺の時間は無駄じゃなかったらしい。

「グォオォオォオォン」

 だがドラゴンもバカじゃない。
 自らの領域で戦っている相手をやすやすと逃がすわけがない。
 口を開く。のどの奥から炎が見えた。

 まともに食らえば跡形もなくなるほどの魔力の炎。

 だが俺は魔剣をそのまま構えた。
 二撃目の用意だ。

 ――俺は、仲間を信じてる。

 ドラゴンノブレスが俺に降り注ぐ瞬間、目の前に赤い盾が出現した。
 それは全ての炎を完全に防ぎ、離散させる。

 俺も驚いたが、ルビィは俺と出会ってすぐに才能を開花させた。
 なかったのは自信だけだったのだ。

 それを乗り越えた彼女に炎は、一切利かない。

「悪いな。お前には仲間がいないのに」

 そのまま二激目、両翼を傷つけられ飛行ができなくなったドラゴンは、回転しながら堕ちていく。
 だが俺も飛行魔法の限界だ。
 急いで背に乗ると、そのまま剣を突き立てる。

 とはいえ、流石はドラゴン。
 思い切り魔剣を突き刺すも、抵抗力を最大限まであげていたらしい。

 まるで鉄に刺したかのようにはじき返される。

「ハッ、お前もやるな」

 そのまま地面に落ちて轟音を響かせ、砂埃が舞う。それが消えていくと同時に姿を現したのは、ルビィとエマだ。

 魔力を炎に変えて放つ。
 エマも武器はないものの、手ごろな木を見つけたのだろう。

 といっても、すげえデカい木だが。

 それをそのまま、ドラゴンに叩きつける。

「グオオオオオオオン」

 そのとき、ドラゴンは全力でバリアを展開した。
 全方位ガード。
 無敵の防御。

 原作でも、これがこいつの最大の魔法だった。

 ここからが本番だ。

 三人で横並びで構える。

「ルビィ、エマ、ドラゴンの攻撃パターンは伝えた通りだ」
「はいですわ」
「わかりました」

 二人にはドラゴンについての原作知識をすべて与えている。
 心の底から信頼しているからこそ、疑いもなく動いてくれる。

「さあいくぜ」

 瞬歩で近づく。炎はルビィが防いでくれた。

 魔剣で一撃、だがシールドで無効化。
 続けて俺に放たれた、かぎ爪の攻撃はエマが蹴り上げて防いでくれた。

 そのまま連続で魔剣で切りつけまくるも、無敵シールドのエフェクトだけが発生する。

「デルクス、効きません――」
「ルビィ、俺を信じろ!」

 それでも俺は振り続けた。
 一撃でも食らえば死ぬとわかっている最大攻撃もギリギリで回避していく。

 だがそのとき、まだ残っていた魔物がいた。
 魔力感知に反応がなかったのは、本来冬眠していたはずの魔熊だからだ。

 それが、エマに襲い掛かる。
 彼女は攻撃を仕掛けた後で防御が間に合わない。

「エマ!」

 魔剣を支点にドラゴンの攻撃を回避しながら助けようと急ぐ。
 だが間に合わない。

 そのとき――魔熊が何者かに殴られて飛んでいく。

 現れたのは――。

「大丈夫か兄弟たち」
「遅くなったな兄弟たち」

 まさかの――誤解兄弟だった。

「お前ら……なんでいるんだ?」

「そりゃトランプしたいからだろ。なあ兄者」
「弟者、そりゃ決まってるよな」

 ハッ、原作にはないエピソード。けど、良い時もあるんだな。

「ありがたい。――けど、もうすぐ終わりだ。二人とも、思い切りシールドを殴ってくれ。後は俺がやる」

「おうよ」
「任せろ!」

 最後は全員で突撃した。ドラゴンも限界だったのだろう。
 誤解兄弟、ルビィ、エマが吹き飛ばされる。

 だが俺だけはふみとどまり、渾身の一撃をヒットさせた。
 シールドが――ガラス塊を割り割くような大音響とともに、微細な欠片となって飛散した。

「凄い……」
「デルクス様!」

「ああ、――けど、まだだ」

 俺は、シールドの消えたドラゴンに追い打ちをかけようとした。。

 自らの敗北を喫したのか、ドラゴンが吠える。
 最後に思い切り炎を吐いたが、ルビィが俺を守ってくれた。

 俺は、残り少ない魔力を使って、イケメンヴォイスを発動させた。

「悪いな、原作はこうじゃなかったろうに」

 そして、ドラゴンの首を切り落とした。


 ――――
 ――
 ―

「デルクス殿、それは――もらった」
「マジかよ……兄者つよすぎるだろ」
「弟者さんもなかなかですわ」
「みんな強すぎですよ」
「ク、お前たちも強いな……」

 冒険者ギルド、俺たちはトランプをしていた。
 返り血を浴びているの関わらずだ。

「あいつらドラゴン倒したらしいぜ」
「すげえな。でも何で……トランプしてんだよ」
「わかんねえ、逆に怖くねえか?」
「怖い……。」

 誤解兄弟自体は思っていたよりも強かったが、でもトランプは弱かった。
 本当にただ好きなだけらしい。


「じゃあな、トランプ兄弟」
「またなデルクス。いつでもトランプ呼んでくれ」
「さよならだ」

 俺たちが倒したドラゴンは王都で研究材料として持ち帰られた。
 相応の報酬が後日頂けるとのことだ。

 原作では成し遂げられなかった偉業を制覇したのだ。
 これほど誇らしいことはない。

 近くの護衛商人たちは村に非難していたという。
 おそらくあの時助けに入らなければ、原作よりもひどい事になっていただろう。

 原作ではないことが起きている。
 視野を広げておかないなと、心に誓った。

 だが――。

「――魔剣。ふふふ、ふふふふ」
「デルクス、嬉しそうですねえ。どんなスキルなんですか?」
「そうですね。そういえばまだ聞いてませんでした」

 二人には俺の魔剣のことを伝えている。

 スキルを得るのはランダムだ。
 だが、俺は得た。

 それもすさまじいスキルを。
 これがあれば、今後の困難にも打ち勝つ可能性が高くなっただろう。

 ――ったく、おもしろいぜ。ファクトファンタジーめ。

「俺に炎と攻撃を仕掛けてみな。ルビィ、エマ」
「え、どういうことですか?」
「?」

 そして俺は、二人の攻撃を完璧に防いだ。

「す、すごすぎます」
「……デルクス様、さすがにこれは凄いになりますよ」
「なんか俺も、そんな気がしてきたな。……大丈夫かな?」


 New:完全無敵防御(10秒間の間、全ての攻撃を無効化する。再使用時間は従者の魔力に比例する。現在:10分)
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