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第4話:無能力者
翌朝、私の部屋の扉がコンコンとノックされました。変です。
誰も来る予定はないのです。
「どなた――アズライト様!? どうしたのですか?」
「様か、また戻ってるな。まあでも、城ではそのほうがいいか、昨日、気になることがあってな、街へ行きたいんだ」
「構いませんが、どうして私を……」
「俺は極度の方向音痴でね。それに、助手がほしいんだ」
「助手……ですか?」
まったく、憎たらしい笑顔です。私は急いで身支度を済ませると、アズライト様と街へ繰り出しました。
「ここ……ですか?」
そこは、オストラバ王国の中でも貧困層とされている地区でした。とはいえ、他国と比べるとそれほどでもないはずです。
「ちらっと話しを聞いてな。確か、あの家だ」
アズライト様は一つの家の前で止まると、ドアをノックしました。木製で、立派な家ですが、少しだけ老朽化しているみたいです。
外壁が所々、穴が開いてしまっていますから。
「はい。ええと、あなた達は?」
昨日、私たちにアイスクリィムを渡してくれたお姉さんでした。
制服姿ではなく、オストラバ王国では一般的なお洋服に身を包んでいました。
「覚えてないか? 病気の弟がいるってチラっと聞いたんでな、様子を見に来たんだ」
「……ああ! 思い出しました。それに……レムリ様……」
お姉さまは、少しだけ嫌な目をしました。私のことに気づいたのでしょう。
昨日は前髪を上げていたので、気づかれていなかったみたいです。
私は、ここへ来るべきではなかったのかもしれません。
しかし、アズライト様は気にせずに続けます。
「上がってもいいか? 弟の体調を看たい。俺は治癒魔術を扱えるんだ」
「あ、え、あ、はい! いいのでしょうか? どうぞ、レムリ様も」
お姉さまは私たちを自宅に招き入れてくれました。お花がいっぱい飾ってあって、良い匂いがします。
室内も所々に穴が開いてあるので、直してあげたくもなりますが。
「で、体調が悪くなったのはいつからだ?」
「先月です。風邪だと言われているんですが、なかなか治らなくて……」
奥の部屋で、十歳ほどの男の子が横になっていました。とても辛そうに唸っています。額には、濡れタオルが置いてありました。
「ちょっと”視てみる”か」
そう言うと、アズライト様は目に魔力を込めたようです。ほんの少しだけ、私にも感じました。
アイスクリィムのお姉さまは不思議そうに見ています。私を見るたびに、少し不安を感じているようでした。
アズライト様の正体がラズリー王国の宮廷魔術師だと知ればびっくりするでしょう。
「風邪じゃないな。これは、魔力の乱れだ。この年齢だとたまにあるんだ」
「乱れ……ですか?」
「ああ、レムリ……様、ちょっと来てくれ」
「え?」
アズライト様に手を引っ張られ、私はベットの横に立ちました。
「この子の魔力は君と同じ赤色だ。手を握ってあげてくれないか、俺の魔力を流し込むことはできないが、君を経由することで元に戻るはずだ」
「え、でも……」
私はお姉さまに視線を向けました。こんな私が、弟さんの手を握るなんてきっと嫌なはずです。
「……レムリ様、お願いできますか?」
しかし、お姉さまは頭を下げてくれました。私はなんて思い違いをしていたんでしょう。家族のためなら、そんな些細なことは関係がないはずです。
「もちろんです。お力になれるのであれば、私は何でもします」
そして、私は弟さんの手を握りました。もう片方の手で、アズライト様の手を握ります。
「心配しないでいい、すぐに終わる」
すると、アズライト様の体が白く光り輝きました。そして――私の身体に流れ込みます。
「イメージだ。魔法はイメージの世界なんだ。自分の魔力をこの子に移し替えるように、そっと優しくイメージすればいい。レムリ、何も難しいことはない。君ならできる」
アズライト様が励ましてくれます。私は目を瞑りながら、言葉通りにイメージしました。
そうすると、不思議な事が起きました。私の身体の魔力が、弟さんに流れていくのがわかるのです。とても不思議な感覚なのです。
それから数秒後、すべてが終わったような気がして目を開けると、アズライト様は笑顔でした。
「よし、これで大丈夫だ。すぐに熱も治まると思うが、食事をちゃんと食べさせてあげてくれ、そうだな。アイスクリィムとか喜ぶんじゃないか」
「ありがとうございます!! ええとお代は……」
「いらないよ。それより、お礼はレムリ様に頼む。俺は何もしてないからな」
「え? 私は何も……」
「レムリ様、ありがとうございます! 本当に……ありがとうございます!」
お姉さまは、私の手を強く握ってくれました。暖かい手です。
私は嬉しくてたまりませんでした。
それから私たちは、近くでお食事を取るために移動しました。
お姉さまは大変喜んでいて、私も心がぽかぽかしました。
「アズライト、ありがとうございました」
「どうして俺がお礼を言われるんだ? 何もしてない、それどころか、無理やり助手にさせたからな」
「いいえ、私は感謝しています。私は……転移魔法がなければ役立たずだと思っていました。ですが、こんな私にもまだ出来ることがあるのだと、わかったのです」
「そうか……なら良かった。だけど、俺なんて昔は魔法が使えなかったからな。いや、今でもか」
「魔法が……使えなかった? ラズリー王国の宮廷魔術師なのに?」
すると、アズライト様は大きな声で笑いました。とても、とても大きな声です。
私はわけがわからなくて、ぽかんとしてしまいました。
「すまんすまん、君を笑ったわけじゃないんだ。あの頃の自分を思い出してしまったんだよ」
「思い出す?」
「ああ、ラズリー王国が魔法や魔術で有名なのは知ってるだろ?」
「もちろんです」
「今はもう亡くなってしまったが、俺の父は最高の魔法使いだった。にもかかわらず、息子の俺は魔力が一切なかった。今でも魔法は使えないしな。そのせいで散々いじめられたし、苦労したよ」
「そんなことがあったのですか……だけど、それだと変です。アズライトは魔法を使えるじゃありませんか」
「今はな。だけど、気づいたんだ。魔力がないからって諦める必要はないってな。俺のは魔法じゃない、魔術だ」
アズライト様は、手の甲を見せてくださいました。昨晩、男たちをやっつけたときに光輝いていた紋章です。
「これは俺が編み出した術式だ。魔法が使えなくても魔法が使えるようになる。俺専用のな」
「凄い……そんなものがあるのですか!? まるで魔法です! あ、すみません……」
「いや、そうなんだよ。魔法ってのは奇跡なんだ。だけど、魔術は違う。努力次第で生み出すことができる、素晴らしいものだ。俺と違って、レムリは生まれながらにして奇跡を授かっていた。その力で、多くの人を幸せにしたんだろう。だから、使えなくなったとしても悲観的になる必要なんてない。これから、何にだってなれるんだよ」
「何にでもなれる……」
アズライト様と一緒にいると、私の元気が溢れてきます。本当に素晴らしいお方です。できることならば、ずっとお傍にいたいと思うほどです。
それから数時間後、私たちは簡単な食事を済ませて、城へ戻ろうとしていたときです。
「あ、あんた! そ、それにレムリ様……聞きました。お願いがあるんです」
突然、男性が声をかけてくると、私たちにお願いをしてきました
どうやら、アイスクリィムのお姉さまが隣人に話したことで、すぐに噂が広まったようです。
誰も来る予定はないのです。
「どなた――アズライト様!? どうしたのですか?」
「様か、また戻ってるな。まあでも、城ではそのほうがいいか、昨日、気になることがあってな、街へ行きたいんだ」
「構いませんが、どうして私を……」
「俺は極度の方向音痴でね。それに、助手がほしいんだ」
「助手……ですか?」
まったく、憎たらしい笑顔です。私は急いで身支度を済ませると、アズライト様と街へ繰り出しました。
「ここ……ですか?」
そこは、オストラバ王国の中でも貧困層とされている地区でした。とはいえ、他国と比べるとそれほどでもないはずです。
「ちらっと話しを聞いてな。確か、あの家だ」
アズライト様は一つの家の前で止まると、ドアをノックしました。木製で、立派な家ですが、少しだけ老朽化しているみたいです。
外壁が所々、穴が開いてしまっていますから。
「はい。ええと、あなた達は?」
昨日、私たちにアイスクリィムを渡してくれたお姉さんでした。
制服姿ではなく、オストラバ王国では一般的なお洋服に身を包んでいました。
「覚えてないか? 病気の弟がいるってチラっと聞いたんでな、様子を見に来たんだ」
「……ああ! 思い出しました。それに……レムリ様……」
お姉さまは、少しだけ嫌な目をしました。私のことに気づいたのでしょう。
昨日は前髪を上げていたので、気づかれていなかったみたいです。
私は、ここへ来るべきではなかったのかもしれません。
しかし、アズライト様は気にせずに続けます。
「上がってもいいか? 弟の体調を看たい。俺は治癒魔術を扱えるんだ」
「あ、え、あ、はい! いいのでしょうか? どうぞ、レムリ様も」
お姉さまは私たちを自宅に招き入れてくれました。お花がいっぱい飾ってあって、良い匂いがします。
室内も所々に穴が開いてあるので、直してあげたくもなりますが。
「で、体調が悪くなったのはいつからだ?」
「先月です。風邪だと言われているんですが、なかなか治らなくて……」
奥の部屋で、十歳ほどの男の子が横になっていました。とても辛そうに唸っています。額には、濡れタオルが置いてありました。
「ちょっと”視てみる”か」
そう言うと、アズライト様は目に魔力を込めたようです。ほんの少しだけ、私にも感じました。
アイスクリィムのお姉さまは不思議そうに見ています。私を見るたびに、少し不安を感じているようでした。
アズライト様の正体がラズリー王国の宮廷魔術師だと知ればびっくりするでしょう。
「風邪じゃないな。これは、魔力の乱れだ。この年齢だとたまにあるんだ」
「乱れ……ですか?」
「ああ、レムリ……様、ちょっと来てくれ」
「え?」
アズライト様に手を引っ張られ、私はベットの横に立ちました。
「この子の魔力は君と同じ赤色だ。手を握ってあげてくれないか、俺の魔力を流し込むことはできないが、君を経由することで元に戻るはずだ」
「え、でも……」
私はお姉さまに視線を向けました。こんな私が、弟さんの手を握るなんてきっと嫌なはずです。
「……レムリ様、お願いできますか?」
しかし、お姉さまは頭を下げてくれました。私はなんて思い違いをしていたんでしょう。家族のためなら、そんな些細なことは関係がないはずです。
「もちろんです。お力になれるのであれば、私は何でもします」
そして、私は弟さんの手を握りました。もう片方の手で、アズライト様の手を握ります。
「心配しないでいい、すぐに終わる」
すると、アズライト様の体が白く光り輝きました。そして――私の身体に流れ込みます。
「イメージだ。魔法はイメージの世界なんだ。自分の魔力をこの子に移し替えるように、そっと優しくイメージすればいい。レムリ、何も難しいことはない。君ならできる」
アズライト様が励ましてくれます。私は目を瞑りながら、言葉通りにイメージしました。
そうすると、不思議な事が起きました。私の身体の魔力が、弟さんに流れていくのがわかるのです。とても不思議な感覚なのです。
それから数秒後、すべてが終わったような気がして目を開けると、アズライト様は笑顔でした。
「よし、これで大丈夫だ。すぐに熱も治まると思うが、食事をちゃんと食べさせてあげてくれ、そうだな。アイスクリィムとか喜ぶんじゃないか」
「ありがとうございます!! ええとお代は……」
「いらないよ。それより、お礼はレムリ様に頼む。俺は何もしてないからな」
「え? 私は何も……」
「レムリ様、ありがとうございます! 本当に……ありがとうございます!」
お姉さまは、私の手を強く握ってくれました。暖かい手です。
私は嬉しくてたまりませんでした。
それから私たちは、近くでお食事を取るために移動しました。
お姉さまは大変喜んでいて、私も心がぽかぽかしました。
「アズライト、ありがとうございました」
「どうして俺がお礼を言われるんだ? 何もしてない、それどころか、無理やり助手にさせたからな」
「いいえ、私は感謝しています。私は……転移魔法がなければ役立たずだと思っていました。ですが、こんな私にもまだ出来ることがあるのだと、わかったのです」
「そうか……なら良かった。だけど、俺なんて昔は魔法が使えなかったからな。いや、今でもか」
「魔法が……使えなかった? ラズリー王国の宮廷魔術師なのに?」
すると、アズライト様は大きな声で笑いました。とても、とても大きな声です。
私はわけがわからなくて、ぽかんとしてしまいました。
「すまんすまん、君を笑ったわけじゃないんだ。あの頃の自分を思い出してしまったんだよ」
「思い出す?」
「ああ、ラズリー王国が魔法や魔術で有名なのは知ってるだろ?」
「もちろんです」
「今はもう亡くなってしまったが、俺の父は最高の魔法使いだった。にもかかわらず、息子の俺は魔力が一切なかった。今でも魔法は使えないしな。そのせいで散々いじめられたし、苦労したよ」
「そんなことがあったのですか……だけど、それだと変です。アズライトは魔法を使えるじゃありませんか」
「今はな。だけど、気づいたんだ。魔力がないからって諦める必要はないってな。俺のは魔法じゃない、魔術だ」
アズライト様は、手の甲を見せてくださいました。昨晩、男たちをやっつけたときに光輝いていた紋章です。
「これは俺が編み出した術式だ。魔法が使えなくても魔法が使えるようになる。俺専用のな」
「凄い……そんなものがあるのですか!? まるで魔法です! あ、すみません……」
「いや、そうなんだよ。魔法ってのは奇跡なんだ。だけど、魔術は違う。努力次第で生み出すことができる、素晴らしいものだ。俺と違って、レムリは生まれながらにして奇跡を授かっていた。その力で、多くの人を幸せにしたんだろう。だから、使えなくなったとしても悲観的になる必要なんてない。これから、何にだってなれるんだよ」
「何にでもなれる……」
アズライト様と一緒にいると、私の元気が溢れてきます。本当に素晴らしいお方です。できることならば、ずっとお傍にいたいと思うほどです。
それから数時間後、私たちは簡単な食事を済ませて、城へ戻ろうとしていたときです。
「あ、あんた! そ、それにレムリ様……聞きました。お願いがあるんです」
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