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ヴルタヴァ
第14話:冒険者ギルド
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―――とても居心地が良かったとは思えないベットの下でアイレは目を覚ました。
これもまた経験だとアイレは眠たい目を擦りながら天井を眺めながら思った。
周囲を見渡すとアイレのほかには誰もいなかった。ベットの上の恰幅のいい男性もおらず、そんなに寝ていたのか……?と不安になった時
ドアの外から何やら賑やかな声が聞こえてきた。楽しそうな声だ。
賑やかな声に導かれ階段を下りていくとそこは1階に隣接されている食堂だった。
昨晩、シェルとアクアが食事付ですよと言っていた言葉が脳裏に蘇る。
「おはようさん!」
恰幅の良い気さくな女性の給仕がアイレに対して はいよっと木製のプレートを渡した。
そこには豚肉の塩漬けとパン、それを浸して食べれやすくするように野菜を煮込んで塩で味付けをしたスープが一緒になっている。
「ありがとう。おばさん!」
アイレがお礼を言うとまだおばさんじゃないと頭を小突かれたが、嬉しそうに笑っていた。
食堂は既に人が多かったので、どこに座るか悩んでいるとシェルとアクアと目が合った。
「アイレー!」「アイレくん、こっち空いてますよ!」
「おはよう」
シェルとアクアに導かれるようにアイレは隣に座りながら、二人のプレートに目をやると美味しそうな苺が二個ずつ乗っていた。アイレにはない。
「……あげないよ」「早いもの勝ちだったよ~」
「でも、二個ずつあるな……」
アイレはシェルとアクアの苺をずっと眺めていて、二人は根負けして一個ずつアイレにあげた。
「ありがとう。シェル!アクア!」
「子供みたいだな」「可哀そうなので仕方なくです」
アイレは二人より苺を多く食べた。
「二人は今日なにするんだ? そういえばここへ来た目的とか聞いてなかったな」
「冒険者ギルドのテストがあるんだ」「そうそう~1年に一回しかないんだよね」
アイレは昨晩の事を思い出した。そういえばレムリも所属していたと聞いていたな。
受けるかどうかは行ってから決めようか。
「あんなに強いのにまだ冒険者ギルドになってないのか?」
「今は凄く難しいって聞いてるから、俺達も特訓してからにしようって」「そうそう、誰でも入れるわけじゃないんだよ~」
「そうなのか……」
シェルとアクアの強さはアイレも知っている。連携の取れた動きでゴブリンもオーガも難なく倒した。
その二人が気を付けてるという事は難易度はかなり高いであろうと不安になった。
アイレとシェルとアクアは朝食を食べた後に恰幅の良い女性にお礼を告げると冒険者ギルドへ向かった。
「30年前に倒された魔王ってどんな奴だったんだ?」
アイレがインザームの家で見た書物はほとんどが30年前の物で魔王の記載は特になかった。
「魔王は書物で色々と解釈が違うんだけど、僕が見たのは国を滅ぼす魔法を使えたとか」 「頭に角があって火の玉を出したとか!」
「四刀流だったとか」 「口から魔物を生むとか!」
シェルとアクアが嬉しそうに交互に答えた。
「国を滅ぼす魔法を使えて角があって火の玉をだしながら四刀流で口から魔物を生むのか……」
アイレは結局魔王の正体はわからなかったがめちゃくちゃに強かったのはシェルとアクアの様子から伝わった。
そんな無駄話をしていると3人は冒険者ギルドの前に到着した。
他の建物よりひときわ目立つその建物はこの世界の文字で冒険者ギルドと書かれている。
建物の入り口の看板にはギルドの象徴を示すような剣と盾と魔法の杖が重なっているマークがあり
それがとても恰好良く見える。アイレ達が止まっている宿に比べても遥かに大きい。
シェルとアクアが先に入るとアイレがそれに続いた。
受付は女性の人が行っていた。1年に一回のテストというアクアの言葉通りなのか
多くの人がこのテストを受けに来ていて入口から大勢の姿が見えた。
しかし、ここでアイレは不思議に思った。
インザームが言っていた30年前の世界と今は大きく違う。冒険者ギルドがそこまで賑わいを見せる理由がわからなかった。
その理由をアイレはシェルとアクアに問いかけてみた。
「みんな残されたダンジョンに行きたいんだ」 「一攫千金なのです」
「残されたダンジョン?」
「魔王が作ったとされている建物で一番最下層に行くと願いが叶う道具だったり、装備だったり
財宝が置いてある場合も。でも、魔物もうようよいるんだ」 「一晩で小さな国を買えるほどのお金を手にした人もいるとか!」
「それは凄いな……。でも、誰がそれを置いてるんだ? 魔王が人間のために置く意味がわからないな」
「ダンジョン内で人間が死んでしまうと、死体は残らずに吸収されてしまう。そしてその死体の魔力はダンジョンに分解されて新たな魔物を生む
それを繰り返す事と、更に強い魔物が誕生してダンジョンの外へ行くんだ。人間の魔力を使って魔物を量産しているんだよ。宝物はその人間をおびき寄せる餌だと言われている」
「平民がダンジョンに入るには冒険者ギルドに合格しないといけないのです」
「そういう事か‥‥…」
シェルとアクアは戦闘だけではなく説明も流暢だった。その雰囲気は良家の出を思わせる。
「ダンジョンの最下層にいるボスを倒せば完全に消滅する。だけど、まだ未踏のダンジョンかいくつかあって
名目上は魔物を増やさない様にダンジョンの制覇になっているけど、ほとんどの人が一攫千金を狙っていると思う」
「でも……誰も行かなければ、人も死なずに魔物も出現しないんじゃないのか?」
「みんなお宝が欲しいんだよ。それに残されたダンジョンについては取り扱いが難しいんだ。
一つの国が独占してしてしまうと、他所の国と揉めるからね。 それでいろんな話し合いの上、冒険者ギルドに所属しているランクが一定以上ある人のみがダンジョンを挑戦する事を許されたんだ」
「それと……ダンジョンを制覇した人間は二度と他のダンジョンには入る事ができなくなる。もし入ってもすぐに外にワープしてしまうんだ。
よくできたシステムだと思う……。それがなければ、勇者ヴェルネルが全部のダンジョンを破壊していたと言われているよ」
「凄いな……人間を底を知り尽くしているような構造だ。それにヴェルネルもダンジョンを制覇したんだな」
「そうなんです!ヴェルネル様も!レムリ様も!」
アクアがまたいつもの様に語り始めシェルが制止した。アイレはいつも聞きたがっているが――その時
「冒険者ギルドへの入団テストの説明はじめます、いいですか?」
1年に一回しかないギルドのテスト。残されたダンジョン。
どれも今しかないように思えた。――なぜならアイレの所持金は1600コルネしかない。 ―一晩で小さな国を買えるほどのお金を手にした人もいるとか聞きました!
アイレの脳裏にアクアの先ほどの言葉が蘇った。
「俺も……同じか」 アイレはそう呟きながらシェルとアクアにと一緒に冒険者ギルドの入団の話を聞いた。
説明を始めた女性の髪の毛は赤髪で眼鏡の様なものをかけそばかすが似合っている。とても優しく声をしていた。
「試験開始はこの後になります。課題をクリアすれば合格となりますが、失敗すると、適正不十分となり3年は再度試験を受けれなくなるので
実力がまだ不安だという方は今、辞退される事をおすすめします。 その場合は来年受ける事ができます。 いくつかの都市や街でも試験はありますが
二重は受けれないので気を付けてください。 試験官の方はもうすぐ来る予定なので、辞退されない方はこのまま待機しておいてください」
眼鏡の女性は明るく大声で説明した。室内には50近くの様々な人間がその話を聞いていた。中にはアイレと同じ年齢ぐらいの子供に見えるパーティーや
ガタイのいい男連中、山賊でもやってそうな男達、華奢な男女に、女の子一人だけというのも。
「試験官はあの人じゃないのか?」
「試験官は冒険者ギルドの高ランクの人から毎年ランダムで選ばれるんだよ。 去年は確か……」 「囁きのランディ!」
「そうそう、確かその人も有名だったけど、試験官によって難易度も多少変わるから、人によっては辞退して来年受ける人もいるらしいよ」
「そうなのか……。でも、来年まで俺は待ってられないな」
「僕達も辞退はしない。そのために特訓してきたんだ」「うんうん、がんばるよ~!」
アイレの質問にシェルとアクアはいつも快く答えてくれる。そして二人にも冒険者ギルドに合格したいという確固たる意志があった。
3人で合格しようと約束をした。
その時、山賊でもやってそうな男達がアイレ達に絡んできた。
「へっ、お前らみたいな子供が試験なんてやめとけやめとけ」
大柄の男がアイレ達に仲間を横に引き連れて絡んできた。
シェルとアクアは大柄の男の威圧感に怯えて静かになっている。強くても心はまだ子供だ。
「黙ってな、おっさん」
アイレはそれを一言で失笑した。
「なんだこいつ?」「やっちまえアンガルト!」
大柄の男の仲間達が横から野次を飛ばす。シェルとアクアは不安そうにアイレを見ていた。
「ああ? 俺の事しらねえのか? 鉄拳のアンガルトたぁ! このあたりで有名だぞ」
「その鉄拳をぼろぼろにしてやろうか?」
アイレは更に鉄拳のアンガルトに対して威圧した。
「子供が調子に乗りやがって」
鉄拳のアンガルトと呼ばれた男は拳に鉄のグローブをつけていて拳を握りしめると砂鉄が固まるという武器を持っていた。
この近辺でアンガルドの名前を知らない者はいない(鉄拳のアンガルトの自称)
アイレの顔を見ながら、アンガルドは両手の拳を合わせて見せつける様に威嚇した。その大きな拳が破壊力を想像させる。
「試験の前に退場させてやるよ!」
鉄壁のアンガルトは拳をアイレに振り被り、アイレがそれを二刀の短剣で――――――と
思ったその時。鉄拳のアンガルトの姿が突如消えた。
「邪魔だ。どけ」
そこにはアイレを助けてくれた怖い美人フェローがいた。
フェローの登場で周囲に悲鳴なが聞こえ始めた。
鉄壁のアンガルトはフェローに蹴りを入れられて見事に吹っ飛んでいった。
「おい……なんでフェローがいるんだよ」 「やべえ……うそだよな?」「嘘だろ……」
アイレは嫌な予感がした。シェルとアクアもフェローの事を知っている様で鉄拳のアンガルトに絡まれた時より明らかに怯えている。
―――――――まさか
アイレの脳内に嫌な予感が走った。
「今年はあたしが試験官だ。自信がねーやつは辞退して来年にしろ」
その言葉を聞いて鉄拳のアンガルト一味は誰よりも早くその場から消え去っていた。
これもまた経験だとアイレは眠たい目を擦りながら天井を眺めながら思った。
周囲を見渡すとアイレのほかには誰もいなかった。ベットの上の恰幅のいい男性もおらず、そんなに寝ていたのか……?と不安になった時
ドアの外から何やら賑やかな声が聞こえてきた。楽しそうな声だ。
賑やかな声に導かれ階段を下りていくとそこは1階に隣接されている食堂だった。
昨晩、シェルとアクアが食事付ですよと言っていた言葉が脳裏に蘇る。
「おはようさん!」
恰幅の良い気さくな女性の給仕がアイレに対して はいよっと木製のプレートを渡した。
そこには豚肉の塩漬けとパン、それを浸して食べれやすくするように野菜を煮込んで塩で味付けをしたスープが一緒になっている。
「ありがとう。おばさん!」
アイレがお礼を言うとまだおばさんじゃないと頭を小突かれたが、嬉しそうに笑っていた。
食堂は既に人が多かったので、どこに座るか悩んでいるとシェルとアクアと目が合った。
「アイレー!」「アイレくん、こっち空いてますよ!」
「おはよう」
シェルとアクアに導かれるようにアイレは隣に座りながら、二人のプレートに目をやると美味しそうな苺が二個ずつ乗っていた。アイレにはない。
「……あげないよ」「早いもの勝ちだったよ~」
「でも、二個ずつあるな……」
アイレはシェルとアクアの苺をずっと眺めていて、二人は根負けして一個ずつアイレにあげた。
「ありがとう。シェル!アクア!」
「子供みたいだな」「可哀そうなので仕方なくです」
アイレは二人より苺を多く食べた。
「二人は今日なにするんだ? そういえばここへ来た目的とか聞いてなかったな」
「冒険者ギルドのテストがあるんだ」「そうそう~1年に一回しかないんだよね」
アイレは昨晩の事を思い出した。そういえばレムリも所属していたと聞いていたな。
受けるかどうかは行ってから決めようか。
「あんなに強いのにまだ冒険者ギルドになってないのか?」
「今は凄く難しいって聞いてるから、俺達も特訓してからにしようって」「そうそう、誰でも入れるわけじゃないんだよ~」
「そうなのか……」
シェルとアクアの強さはアイレも知っている。連携の取れた動きでゴブリンもオーガも難なく倒した。
その二人が気を付けてるという事は難易度はかなり高いであろうと不安になった。
アイレとシェルとアクアは朝食を食べた後に恰幅の良い女性にお礼を告げると冒険者ギルドへ向かった。
「30年前に倒された魔王ってどんな奴だったんだ?」
アイレがインザームの家で見た書物はほとんどが30年前の物で魔王の記載は特になかった。
「魔王は書物で色々と解釈が違うんだけど、僕が見たのは国を滅ぼす魔法を使えたとか」 「頭に角があって火の玉を出したとか!」
「四刀流だったとか」 「口から魔物を生むとか!」
シェルとアクアが嬉しそうに交互に答えた。
「国を滅ぼす魔法を使えて角があって火の玉をだしながら四刀流で口から魔物を生むのか……」
アイレは結局魔王の正体はわからなかったがめちゃくちゃに強かったのはシェルとアクアの様子から伝わった。
そんな無駄話をしていると3人は冒険者ギルドの前に到着した。
他の建物よりひときわ目立つその建物はこの世界の文字で冒険者ギルドと書かれている。
建物の入り口の看板にはギルドの象徴を示すような剣と盾と魔法の杖が重なっているマークがあり
それがとても恰好良く見える。アイレ達が止まっている宿に比べても遥かに大きい。
シェルとアクアが先に入るとアイレがそれに続いた。
受付は女性の人が行っていた。1年に一回のテストというアクアの言葉通りなのか
多くの人がこのテストを受けに来ていて入口から大勢の姿が見えた。
しかし、ここでアイレは不思議に思った。
インザームが言っていた30年前の世界と今は大きく違う。冒険者ギルドがそこまで賑わいを見せる理由がわからなかった。
その理由をアイレはシェルとアクアに問いかけてみた。
「みんな残されたダンジョンに行きたいんだ」 「一攫千金なのです」
「残されたダンジョン?」
「魔王が作ったとされている建物で一番最下層に行くと願いが叶う道具だったり、装備だったり
財宝が置いてある場合も。でも、魔物もうようよいるんだ」 「一晩で小さな国を買えるほどのお金を手にした人もいるとか!」
「それは凄いな……。でも、誰がそれを置いてるんだ? 魔王が人間のために置く意味がわからないな」
「ダンジョン内で人間が死んでしまうと、死体は残らずに吸収されてしまう。そしてその死体の魔力はダンジョンに分解されて新たな魔物を生む
それを繰り返す事と、更に強い魔物が誕生してダンジョンの外へ行くんだ。人間の魔力を使って魔物を量産しているんだよ。宝物はその人間をおびき寄せる餌だと言われている」
「平民がダンジョンに入るには冒険者ギルドに合格しないといけないのです」
「そういう事か‥‥…」
シェルとアクアは戦闘だけではなく説明も流暢だった。その雰囲気は良家の出を思わせる。
「ダンジョンの最下層にいるボスを倒せば完全に消滅する。だけど、まだ未踏のダンジョンかいくつかあって
名目上は魔物を増やさない様にダンジョンの制覇になっているけど、ほとんどの人が一攫千金を狙っていると思う」
「でも……誰も行かなければ、人も死なずに魔物も出現しないんじゃないのか?」
「みんなお宝が欲しいんだよ。それに残されたダンジョンについては取り扱いが難しいんだ。
一つの国が独占してしてしまうと、他所の国と揉めるからね。 それでいろんな話し合いの上、冒険者ギルドに所属しているランクが一定以上ある人のみがダンジョンを挑戦する事を許されたんだ」
「それと……ダンジョンを制覇した人間は二度と他のダンジョンには入る事ができなくなる。もし入ってもすぐに外にワープしてしまうんだ。
よくできたシステムだと思う……。それがなければ、勇者ヴェルネルが全部のダンジョンを破壊していたと言われているよ」
「凄いな……人間を底を知り尽くしているような構造だ。それにヴェルネルもダンジョンを制覇したんだな」
「そうなんです!ヴェルネル様も!レムリ様も!」
アクアがまたいつもの様に語り始めシェルが制止した。アイレはいつも聞きたがっているが――その時
「冒険者ギルドへの入団テストの説明はじめます、いいですか?」
1年に一回しかないギルドのテスト。残されたダンジョン。
どれも今しかないように思えた。――なぜならアイレの所持金は1600コルネしかない。 ―一晩で小さな国を買えるほどのお金を手にした人もいるとか聞きました!
アイレの脳裏にアクアの先ほどの言葉が蘇った。
「俺も……同じか」 アイレはそう呟きながらシェルとアクアにと一緒に冒険者ギルドの入団の話を聞いた。
説明を始めた女性の髪の毛は赤髪で眼鏡の様なものをかけそばかすが似合っている。とても優しく声をしていた。
「試験開始はこの後になります。課題をクリアすれば合格となりますが、失敗すると、適正不十分となり3年は再度試験を受けれなくなるので
実力がまだ不安だという方は今、辞退される事をおすすめします。 その場合は来年受ける事ができます。 いくつかの都市や街でも試験はありますが
二重は受けれないので気を付けてください。 試験官の方はもうすぐ来る予定なので、辞退されない方はこのまま待機しておいてください」
眼鏡の女性は明るく大声で説明した。室内には50近くの様々な人間がその話を聞いていた。中にはアイレと同じ年齢ぐらいの子供に見えるパーティーや
ガタイのいい男連中、山賊でもやってそうな男達、華奢な男女に、女の子一人だけというのも。
「試験官はあの人じゃないのか?」
「試験官は冒険者ギルドの高ランクの人から毎年ランダムで選ばれるんだよ。 去年は確か……」 「囁きのランディ!」
「そうそう、確かその人も有名だったけど、試験官によって難易度も多少変わるから、人によっては辞退して来年受ける人もいるらしいよ」
「そうなのか……。でも、来年まで俺は待ってられないな」
「僕達も辞退はしない。そのために特訓してきたんだ」「うんうん、がんばるよ~!」
アイレの質問にシェルとアクアはいつも快く答えてくれる。そして二人にも冒険者ギルドに合格したいという確固たる意志があった。
3人で合格しようと約束をした。
その時、山賊でもやってそうな男達がアイレ達に絡んできた。
「へっ、お前らみたいな子供が試験なんてやめとけやめとけ」
大柄の男がアイレ達に仲間を横に引き連れて絡んできた。
シェルとアクアは大柄の男の威圧感に怯えて静かになっている。強くても心はまだ子供だ。
「黙ってな、おっさん」
アイレはそれを一言で失笑した。
「なんだこいつ?」「やっちまえアンガルト!」
大柄の男の仲間達が横から野次を飛ばす。シェルとアクアは不安そうにアイレを見ていた。
「ああ? 俺の事しらねえのか? 鉄拳のアンガルトたぁ! このあたりで有名だぞ」
「その鉄拳をぼろぼろにしてやろうか?」
アイレは更に鉄拳のアンガルトに対して威圧した。
「子供が調子に乗りやがって」
鉄拳のアンガルトと呼ばれた男は拳に鉄のグローブをつけていて拳を握りしめると砂鉄が固まるという武器を持っていた。
この近辺でアンガルドの名前を知らない者はいない(鉄拳のアンガルトの自称)
アイレの顔を見ながら、アンガルドは両手の拳を合わせて見せつける様に威嚇した。その大きな拳が破壊力を想像させる。
「試験の前に退場させてやるよ!」
鉄壁のアンガルトは拳をアイレに振り被り、アイレがそれを二刀の短剣で――――――と
思ったその時。鉄拳のアンガルトの姿が突如消えた。
「邪魔だ。どけ」
そこにはアイレを助けてくれた怖い美人フェローがいた。
フェローの登場で周囲に悲鳴なが聞こえ始めた。
鉄壁のアンガルトはフェローに蹴りを入れられて見事に吹っ飛んでいった。
「おい……なんでフェローがいるんだよ」 「やべえ……うそだよな?」「嘘だろ……」
アイレは嫌な予感がした。シェルとアクアもフェローの事を知っている様で鉄拳のアンガルトに絡まれた時より明らかに怯えている。
―――――――まさか
アイレの脳内に嫌な予感が走った。
「今年はあたしが試験官だ。自信がねーやつは辞退して来年にしろ」
その言葉を聞いて鉄拳のアンガルト一味は誰よりも早くその場から消え去っていた。
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