老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴

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ベレニ

第25話:ダンジョン地下2階へ

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―――死んで――しまう――――

 アイレは水中の中でもがき苦しみ深い底に沈んでいった。
 着衣が水を吸って暴れると余計に呼吸が苦しくいなる。出口も入り口も何もかもがわからない。

 死を連想した瞬間に隣からフェアが泳いで現れるとアイレの額に手を置いて何かを呟いた。
アイレはそれから呼吸が少しずつできるようになり、フェアと共に深い底に沈みながらも水中で息を吸った。

 やがて、5分ほどすると水の底につくと四角い出口の様なものが存在した。そこにフェアと共に脱出すると
結界が貼られているらしく、水だけはそこから漏れないようになっていた。

「はぁはぁ……死ぬかと思った……ありがとうフェア」

「私がいなかったら死んでたわよ」

「今のは……魔法か?」

「水の精霊魔法に頼んで呼吸をできるようにしてもらったけど、普通ならどんな達人でもここでリタイアね」

 アイレはフェアがいなかったら確実に死亡していたと思うとぞっとした。

「いきなりこれは……確かにダンジョンは生半可じゃいなかなそうだな……」
 
 アイレは呼吸を整えながら気を引き締め直した。
 フェアはアイレの前で濡れた衣服を少し脱いで水を絞り出すとアイレはそれに気づいて少し顔を赤らめながら何でもないような素振りをした。
 フェアは時々ドキっとするような事を平気でする。

「お待たせ。いこっか?」

「お、おう……」

 壁は水色と青色に光っていて水の神殿と言われる由縁の様な気がした。所々装飾が凝っているのもあり
魔物が作ったとは思えないまるで城の中のような建物内にも見える。
 
 フェアとアイレが警戒しながらも歩いていると、見たこともない魔物が前から出現した。
 まるで人の様な姿をしているが、水で出来ている様なぶよぶよ感があり、無機質な生物に見える。

「先手必勝!」

 アイレは軽くそう言いながら、ラルドから購入した極々一般的な短剣を2刀を構えて距離を詰めた。魔物は心臓の位置が個体によって違う
アイレはなんとなくそれを理解しており、胴体と頭を切り離すが魔物に対して有効だと学んでいた。

 水の魔物の首を一撃で落とす為に魔力を集中させて攻撃をしたが、まるで水を切っただけでダメージを負わせたという手ごたえは一切なかった。
 魔物はアイレの攻撃を受けながら右手の水を剣に変化させると、そのまま切り返してきた。アイレはそれをぎりぎりで躱す。

「なんだこいつ! 剣が効かない!」

「切り刻め。ヴォン・の刃ラム

 フェアは掌を翳してアイレの顔の横をギリギリ通るぐらいに風の魔法の刃を水の魔物に叩き込んだ。
 それでも水の魔物は何事もなかったかの様にしている。 

「ダメ。魔法も効かないみたい!」

 アイレは魔物の攻撃を避けながら水の魔物と対峙していると、更に後ろから挟み込むように2体出現した。
 フェアも攻撃を避けながら魔法を詠唱しているが、ダメージを与える事は出来ていない様だった。


―――くそっ。どうする


 すると横から若い男の声が聞こえた。


「凍らせるんだ!」

 フェアはその声を聞いてすぐに魔法を詠唱した。

「―――対象を瞬間《アンスタン・ 》凍結《グラス》!」

 水の魔物はフェアの氷魔法で瞬間に凍結した。それでも、すぐに水に戻ろうと液状化しようと戻り始めた。

「逃がすかっ!」

 アイレは氷漬けになっている魔物の首を短剣で落とした。 水の魔物は胴体と頭が切り離された事が致命的になったのか
そのまま、液状化すると水の塊となり地面に落ちた。

「こいつらは物理攻撃は基本的に受けないんだ。それにしても瞬間的に凍結させるとは凄い魔力だ」

 若い男はアイレとフェアの後ろから歩いてきた。
 フェアは魔法を使うと魔力に反応して片耳がぴょんと伸びる為、アイレの後ろに廻ってそれを魔法で静かに隠した。自己防衛だ。

「びっくりさせたようですまない。 僕は何度かこのダンジョンに挑戦しているんだけど、なかなかうまくいかなくてね」

「いや、ありがとう。俺達だけだったら死んでいたかもしれない。 アイレと、仲間のフェアだ。 えーと……?」

「僕はフロード。アイレでいいかい? 凄い剣技だったね」

 フロードはとても丁寧な物言いで自己紹介をした。見た目はアイレより少し上ぐらいに見える。前髪は目に少し掛かっていて黒髪で
全体的に少し暗そうに見えるが、体格はしっかりしている様で強い魔力を感じる。帯刀している剣を見る限りアイレと同じく前衛の様だ。

「フロードか、よろしくな! 一人なのか?」

「昔はいたんだけど色々あってね……無理をしない程度に低層の魔物から得れるアイテムを取ってお金稼ぎをしているんだ ほら、それを見てみなよ」

 アイレとフェアが倒した水の魔物の水たまりの死体から、丸い小さな玉が光っていた。フロードはそれを拾いながら

「この小さな水晶は武器や防具の素材やアクセサリーにも使われるんだよ。そこそこ良い値で買い取ってもらえるから、大事にしたほうがいい」

 フロードはそう言いながら、アイレに水晶を渡した。

「ありがとう。これはフロードにあげるよ。 その代わり俺達にここの事を教えてくれないか? さっきも水で……死にかけた所なんだ」。

「いいのかい? 恥ずかしながらお金が必要で……遠慮なくいただくよ。僕で良ければ力になるが……君の相棒は大丈夫かな?」

 アイレの後ろでフェアは話を聞きながらずっとフロードを睨んでいる。アイレはそれに気付いて
フロードに聞こえない程度にフェアの耳で囁いた

「……おぃフェアっ。 いい人そうだし。俺達の攻略教えてくれるっていってるし、そんな睨まなくても……」

「信用できない」

 フェアはフロードにも聞こえるよう大きさで声をあげた。アイレはあせったが

「はは……。まぁそうだろうね。フェアちゃん?だったか。 人を簡単に信用しないほうがいいのはもちろんだ。 僕だって痛い目に合ったことがあるからね

だが……この水の神殿は甘く見ない方がいい。 僕より手練れが何人も死んでいく所を見たことがある。情報は時にどんな強さよりも役に立つよ」

「そう」

 フェアは冷たくフロードをあしらった。

「わ、わりぃフロード! 色々教えてくれないか? 俺達はこのダンジョンのクリアが目的なんだ」

「僕も何度もクリアしようとしているが……その度に打ちのめされる。それでも、可能な限りは力を貸すよ」

「ありがとう! よろしくな!」

 アイレはフロードに手を出して、フロードもそれを手に取った。
 フェアはずっと睨んだままだった。

「どうやら嫌われているようだね。でも、僕は悪い人ではないよ」

「ならお先にどうぞ」

 フェアはフロードに後ろを取られたくない様で一番後ろへ下がった。

「すまねえな……。でも、フェアは強い魔法使いだから便りになると思うぜ」

 アイレとフェアとフロードは周囲を警戒しながら、前に進んだ。

「フロードはどうしてお金が必要なんだ?」

「僕はこのベレニの生まれなんだけど親は事故で死んで、妹と二人で暮らしているんだ。だけど……妹は重い病気を患っていてお金が必要なんだ。いつかはこのダンジョンをクリアして
もっと大きな都市で病気を治してあげたいんだ」

「そうなのか……」

 アイレはブロードの病気という言葉に敏感に反応した。元の世界の事を思い出す度に今でも胸が苦しくなる。

「……ダンジョンのお宝って……分配? とかどうするんだ?」

 アイレがフロードに聞いた。

「ダンジョンのお宝はクリアした全ての人に与えられる。武器やお宝や願いが叶うアイテムというのも。
だから、分配とかは特に考えなくていいじゃないかな」

「私は知らない」

「だったら3人でクリアしようぜ!」
 
 アイレはブロードの願いも叶えたいと思った。
 3人は先ほどの水の魔物を難なく倒しながら、下の階段を見つけた。その横には光っている階段もある。

「この光っている階段へ行くと外に出る事ができる。クリアまでどのくらい下があるのかはわからない。僕が行った事があるのはあと一つか二つぐらいだ。
無理はしないようにしよう」

「わかった。 フェアも大丈夫か?」

「アイレは水の中で溺れない様にしてね」

 アイレはそれを聞いてさっきの事を思い出した。もし、フェアがいなければ確実に溺死していた。

「……」

「だ、大丈夫だ……」

 不安そうな表情を浮かべながら、アイレとフェアとフロードは階段を下って行った。


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