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58.あの森のあの滝の絵
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「ジュールさん!ありがとうございます!」
リナは大興奮して、ジュールの絵を見つめた。
それは深い森の中にある、青く静かに光り輝く小さな滝の絵。
「すごい!すごいです!本当に!ジュールさん!」
ジュールは鼻の頭を掻いて、そんなことないからと笑っている。
「この森にはきっと、精霊が住んでいるんだろうなぁって思います。この絵を見ていると」
アンドレも頷く。
「ジュールさん、ここに飾らせてもらっていいですか?」
テオが壁に絵をあてて、位置を決めている。
「壁にこの絵があると、なんかこの店が聖域になったような、そんな感じがするわね」
とロナがいいながら、みんなにお茶を配った。
「この森で、アンドレにもらったパンをよく食べたよな」
「そうだったね」
「そうだったんだ」
「リナも食べたんだよ。俺たちいつも腹すかせてたから、アンドレがパンを分けてくれて」
「それで、森の中でジュールさんに会ってチーズ食べさせてもらって」
「そんなこともあったなぁ」
ジュールは森の絵を眺めながら微笑んだ。
小さな子どもたちが、パンを分け合って生きている。
そんなことでいいのか?とジュールは思ったのだった。
俺は爵位を継ぐことは無いけれど、今ここで、子どもたちと共に生きることはできるだろうと、そう思ったのだった。
あの日、あの森で精霊に助けられた。
今度は自分が領民を助けるのだ。領主の息子として。
リナは大興奮して、ジュールの絵を見つめた。
それは深い森の中にある、青く静かに光り輝く小さな滝の絵。
「すごい!すごいです!本当に!ジュールさん!」
ジュールは鼻の頭を掻いて、そんなことないからと笑っている。
「この森にはきっと、精霊が住んでいるんだろうなぁって思います。この絵を見ていると」
アンドレも頷く。
「ジュールさん、ここに飾らせてもらっていいですか?」
テオが壁に絵をあてて、位置を決めている。
「壁にこの絵があると、なんかこの店が聖域になったような、そんな感じがするわね」
とロナがいいながら、みんなにお茶を配った。
「この森で、アンドレにもらったパンをよく食べたよな」
「そうだったね」
「そうだったんだ」
「リナも食べたんだよ。俺たちいつも腹すかせてたから、アンドレがパンを分けてくれて」
「それで、森の中でジュールさんに会ってチーズ食べさせてもらって」
「そんなこともあったなぁ」
ジュールは森の絵を眺めながら微笑んだ。
小さな子どもたちが、パンを分け合って生きている。
そんなことでいいのか?とジュールは思ったのだった。
俺は爵位を継ぐことは無いけれど、今ここで、子どもたちと共に生きることはできるだろうと、そう思ったのだった。
あの日、あの森で精霊に助けられた。
今度は自分が領民を助けるのだ。領主の息子として。
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