オタクな母娘が異世界転生しちゃいました

yanako

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97.僕はイザック・ジラール

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「僕はイザック・ジラールというんだ」
イザックは語り出した。


イザックは子爵家の息子で、双子の弟がいる。長男だけど、双子だから、どっちが跡継ぎになるか分からないと言われて育ってきた。
それでもイザックは、自分が長男だから、跡を継ぐものだと思っていたから、勉強を頑張ってきた。
弟も、どうせ兄が継げばいいことと、イザックほど勉強を頑張りはしなかった。


年頃になり、ある子爵の令嬢との婚約話が持ち上がった。
この子爵家の令嬢と結婚する者が跡継ぎになること。どちらを選ぶかは、令嬢に選択権があること。
そう言われたが、イザックにとってはどうでも良い話に思えた。
今まで、子爵家の跡継ぎになるために頑張って勉強してきたのは自分の方だという自信もあった。

がしかし、令嬢が選んだのは弟だった。

確かに、弟だって勉強はしていた。ただ、成績はずっと自分の方が良かった。顔だって、双子だから弟と同じなのに。なんで、令嬢は弟を選んだのか。


そういうとイザックは米焼酒を煽った。


「そういうところじゃん?」
話を聞いていたリナが言った。

「同じ容姿、同じ学歴、同じ出自なのに、兄ではなく弟を選んだのには、何か理由があるんでしょ?」
厚焼き玉子をつつきながらリナが言った。

「どんな理由があったっていうんだよ」
「その女の人はどういう人なの?好きな食べ物は?好きなお菓子は?好きな色は?好きな作家は?趣味は?特技は?」

リナに尋ねられて、イザックは言葉に詰まった。

「何にも知らないんじゃん。あなただって、彼女に対して随分失礼なんじゃないの?興味が無いんじゃない」

リナは厚焼き玉子を口に放り込んだ。
もうこれ以上、イザックに話すつもりがないというアピールだ。


「貴族の間の婚姻なんて、そんなもんなんだよ。別に気持ちがなくたって、興味がなくたって、結婚するもんなんだ」
イザックが悔しそうに言葉を振り絞る。


「そうなんだ?でも、彼女には選択権が与えられていたんでしょ?貴方と弟さんと、どっちを選んでも良かったんでしょ?それを貴方達双子も知ってたんでしょ?そしたら、別に文句いうことないじゃない?」
「でも、成績は僕の方が!」

「彼女にとっては、成績は決め手ではなかったってことだけでしょ?他に決め手があったってことでしょうよ?なんで分かんないの?」

「リナ……そのくらいにしてあげなよ。テオのことは、その……悪気があったわけじゃないんだからさ」
黙っていたジャンが間に入った。

「ジャン兄さんが言うなら、もうやめる。もう眠い。ウチに帰る」
「よし、じゃあ俺たちは帰るよ。明日仕事もあるし。イザックさん、リナがごめんなさい。無神経なことばっかり言って。すみませんでした」

テオはリナの手を引いて帰宅した。

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