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105.僕のアイデンティティ-1
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僕は、イザック・ジラール。
子爵家の長男だ。
僕には双子の弟がいる。
アルチュール・ジラール。
僕とアルは一卵性双生児で、容姿は瓜二つ。
両親だって間違うくらいだった。
双子の僕らに父は、どちらを跡継ぎにするかは決めていない。しっかりと努力しておくようにと言った。
それでも僕は長男だし、当然の僕が継ぐべきだと思っていた。
だからこそ、僕は貴族としての在り方を懸命に学んだ。
弟も、僕が継げばいいと思っていたようで、同じ教育環境を与えられながらも、それなりにしか学んでいなかった。
王立学園に入学する時、跡継ぎが決まってるわけでは無いし、婿に行くことも十分にあるわけだから、弟も貴族科に入学した。
当然、学園での成績は常に僕の方が上だった。
ある時、父は僕たちに婚約の話を持ってきた。
取引のある、子爵家の令嬢だった。
彼女に婚約者を選ぶ権利がある。
彼女が選んだ方を、ジラール家の跡継ぎとする。
と、父は言った。
同じ子爵位でも、彼女の家の方が繁栄しており、今後の事を考えると、どうしてもまとめたい縁談だった。
だからこそ、彼女に選択権があるのだろう。
弟より僕の方が成績が上だし、双子だから、容姿に違いはないし、僕が長男だし、彼女は僕を選ぶのだと思っていた。
家格の釣り合う、経済面でも協力関係にある、双方に利のある婚姻になる。
僕はもう、決まっているつもりで、彼女に接した。
接したというほどの交流はなかった。
僕たちの誕生日には、彼女からプレゼントが届いた。
僕と弟と色違いの万年筆。
僕が青で、弟は緑。
これは、僕らが生まれた時から決められていた持ち物の色。
そうじゃないと、どっちがどっちか分からないから。
それを彼女も知っていたのだろう。
僕はブルーの便箋に、『誕生日プレゼント、ありがとうございました』と書いて、彼女に手紙を送った。
プレゼントをもらったから、お礼状を出した。それだけ。
彼女の誕生日には、家の執事に頼んで彼女へのプレゼントを用意してもらって贈った。
弟が何を贈ったかは知らない。
けど、僕はやるべきことはやった。
彼女からは『誕生日プレゼント、ありがとうございました』と手紙が来た。それだけ。
クリスマスにも同様に執事に頼んでプレゼントを贈り、彼女から届いたプレゼントには、お礼状を出した。
季節の変わる時には花束を贈った。
そうして季節が一周して、彼女は僕ではなく、弟を婚約者に選んだ。
どうしても納得できない僕は、彼女に迫った。
どうして僕ではなく、弟なのかと。
彼女は手紙の束をふたつ出した。
1つは青い手紙の束。
もう1つは緑の手紙の束。
その手紙の量の差は、一目瞭然だった。
「アルチュール様は、プレゼントのお礼状だけではなく、季節のご機嫌うかがいだけではなく、手紙を下さいました。新しいカフェを見つけては教えてくださり、面白い本があれば薦めてくださいました」
僕は何も言えなかった。
僕は、彼女に個人的に手紙を書こうと思ったことは一度もなかったから。
そうして、ジラール家の跡継ぎはアルチュールになった。
子爵家の長男だ。
僕には双子の弟がいる。
アルチュール・ジラール。
僕とアルは一卵性双生児で、容姿は瓜二つ。
両親だって間違うくらいだった。
双子の僕らに父は、どちらを跡継ぎにするかは決めていない。しっかりと努力しておくようにと言った。
それでも僕は長男だし、当然の僕が継ぐべきだと思っていた。
だからこそ、僕は貴族としての在り方を懸命に学んだ。
弟も、僕が継げばいいと思っていたようで、同じ教育環境を与えられながらも、それなりにしか学んでいなかった。
王立学園に入学する時、跡継ぎが決まってるわけでは無いし、婿に行くことも十分にあるわけだから、弟も貴族科に入学した。
当然、学園での成績は常に僕の方が上だった。
ある時、父は僕たちに婚約の話を持ってきた。
取引のある、子爵家の令嬢だった。
彼女に婚約者を選ぶ権利がある。
彼女が選んだ方を、ジラール家の跡継ぎとする。
と、父は言った。
同じ子爵位でも、彼女の家の方が繁栄しており、今後の事を考えると、どうしてもまとめたい縁談だった。
だからこそ、彼女に選択権があるのだろう。
弟より僕の方が成績が上だし、双子だから、容姿に違いはないし、僕が長男だし、彼女は僕を選ぶのだと思っていた。
家格の釣り合う、経済面でも協力関係にある、双方に利のある婚姻になる。
僕はもう、決まっているつもりで、彼女に接した。
接したというほどの交流はなかった。
僕たちの誕生日には、彼女からプレゼントが届いた。
僕と弟と色違いの万年筆。
僕が青で、弟は緑。
これは、僕らが生まれた時から決められていた持ち物の色。
そうじゃないと、どっちがどっちか分からないから。
それを彼女も知っていたのだろう。
僕はブルーの便箋に、『誕生日プレゼント、ありがとうございました』と書いて、彼女に手紙を送った。
プレゼントをもらったから、お礼状を出した。それだけ。
彼女の誕生日には、家の執事に頼んで彼女へのプレゼントを用意してもらって贈った。
弟が何を贈ったかは知らない。
けど、僕はやるべきことはやった。
彼女からは『誕生日プレゼント、ありがとうございました』と手紙が来た。それだけ。
クリスマスにも同様に執事に頼んでプレゼントを贈り、彼女から届いたプレゼントには、お礼状を出した。
季節の変わる時には花束を贈った。
そうして季節が一周して、彼女は僕ではなく、弟を婚約者に選んだ。
どうしても納得できない僕は、彼女に迫った。
どうして僕ではなく、弟なのかと。
彼女は手紙の束をふたつ出した。
1つは青い手紙の束。
もう1つは緑の手紙の束。
その手紙の量の差は、一目瞭然だった。
「アルチュール様は、プレゼントのお礼状だけではなく、季節のご機嫌うかがいだけではなく、手紙を下さいました。新しいカフェを見つけては教えてくださり、面白い本があれば薦めてくださいました」
僕は何も言えなかった。
僕は、彼女に個人的に手紙を書こうと思ったことは一度もなかったから。
そうして、ジラール家の跡継ぎはアルチュールになった。
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