オタクな母娘が異世界転生しちゃいました

yanako

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106.僕のアイデンティティ-2

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確かに僕は、彼女には事務的に接しただけだった。
けど、それの何が悪いんだ?
誕生日プレゼントも贈って、ご機嫌うかがいの手紙も出した。それの何が不足だったんだ?

成績は、俺の方が上なのに。
俺が、長男なのに。


学園は卒業をむかえ、弟と彼女の婚約が発表された。
1年後に、彼らは結婚する。

僕はどうしよう。
どうしたらいいんだ。

今まで、跡を継ぐことだけを考えてきたから、この先どうしたら……
編入試験も終わっているから、実業科に編入することもできない。
彼女が弟を選んだ時に、編入試験を受ければ良かったのに。

どこかに婿に行くか?どこに?
弟はどうするつもりだったんだ?
家はどう考えていたんだ?

僕は父に訊ねた。
「アルチュールは、将来どうするつもりでいたのでしょう」

「アルだって、この家の跡継ぎを目指していたんだろう。成績はお前より下だったかもしれんが、全部の単位は揃えてある。彼女に選ばれなかった時のために、実業科への内部編入の手続きもしてあった。それに、学園の友人たちと商会を作ってあるそうだ」

僕は愕然とした。
僕は何も見ていなかった。

アルチュールの努力も、彼女の気持ちも、何もかも。


「僕はどうしたらいいのでしょうか」
父に問うと

「お前は学園の成績を上げることしかしてこなかったのか?跡継ぎというのは、視野を広くし、多角的に物を見られなければならないのだぞ?」
と言い、それから

「この先、1年間は金を出してやるから、自分で考えろ」
と言った。


アルチュールが彼女と結婚したら、僕はこの屋敷にはいられない。
来年の編入試験を受けて実業科に入るか、それとも婿に入れる家を探すか。
子爵家を継がない僕って、なんだ?価値があるのか?


そんな時に、ライアンから声をかけられた。


「俺の従兄弟から頼まれて、ボーヴォ領に行くんだ。国語を教えて欲しいんだってさ。お前も行かないか?」


ボーヴォ領は山間にある、小さな男爵領。そんなところで、一体誰にも国語を教えるんだ?辺境伯領の間違いじゃないのか?

やることも、行くところも無い僕は、ボーヴォ領に行くことにした。





    
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