王立学園食堂部にて〜没落令嬢は観察中〜

yanako

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Case03.

3.公爵家へ向かう

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項垂れて仕事をしていると、主任がやって来た。

「また、何かやらかしたのかい?」

またってなんですか?!またって……

「いえ。仕事の後に、公爵家にお邪魔することになりまして……」

主任は眉を少し動かすと、壁の時計を見た。

「今日はもうあがっていいから。ちゃんと湯を浴びてから行きなさい」
「湯?湯ですか?」

主任は大きなため息をついて言った。

「あなた、その食べ物の匂いを体中から漂わせて、公爵家にお邪魔するつもり?」
「うっ……」

「番犬に頭から、齧られるんじゃないの?」
「うっ……」

「ジェシカ・セシル。あがります!」
主任が厨房で皆に伝えると、話を聞いていただろう同僚が、香油や石鹸を貸してくれた。

「頑張って!服は仕方ないけど、清潔な匂いがしてたら追い出されないわ!」
「そうよ!髪がツヤツヤしてたら大丈夫よ!」

同僚の励ましで気がついた。

「服!!!」

公爵家に着ていける服なんて……無いよ……


「控え室の端のロッカーの中に、紺色のワンピースが数着入ってるから、サイズの合うものを着て行きなさい」
と主任が言って、鍵を渡した。

「あ、ありがとうございます」
「ちゃんと!洗って返すんだよ!」
「は、はい!」


皆に感謝の挨拶をして、控え室に戻った。

預かった鍵でロッカーを開けると、そこには様々なサイズの、清楚な紺色のワンピースがさがっていた。

「ありがたいな……」

従業員のために、服まで用意してくれているなんて。主任、何者???


合うサイズのワンピースを選び、それから湯を浴びた。
同僚が貸してくれた香油を髪に馴染ませ、髪を乾かす。
いつもよりツヤツヤして、いい匂いがする。

ワンピースを着て、髪をまとめた。
貴族の家にお邪魔するのに、おかしくないかな……

薄く化粧をして、おばあちゃんからもらった、私の唯一の財産のルビーのネックレスをつけた。


鏡に映る、少しはマシな姿を見て、協力してくれた同僚たちに、主任に感謝した。

鍵を返しに食堂へ顔を出した。

「主任、鍵を返しに来ました」

主任は、私の頭の先にから足の先までチェックして、今度ちゃんとした靴を用意しておくようにと言った。

「はい……来月の給料で……」
高いのに……

「高くても、靴は良いものを1つ持っておけば、困らないんだよ」
と主任は苦笑いして言った。

「は、はい」
心の声がたれ流しだったのね。

「主任!皆さん!ご協力ありがとうございました!ジェシカ・セシル、公爵家に行ってきます!」

「早く行きな!待たせるんじゃない!」
「は、はい!主任!」

私は走り出した。

「廊下は走るんじゃない!」
「は、はい!主任!」

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