王立学園食堂部にて〜没落令嬢は観察中〜

yanako

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Case03.

4.高級馬車

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学園の従業員出入口から出ると、貴族の従者然とした人が立っていた。

横を通り過ぎようとすると、
「失礼ですが、ジェシカ様でしょうか」
と声を掛けられた。

「は、はい。そうです」

「マーガレット様が馬車をご用意されています」
「はっ、はい。宜しくお願い致します」

私はペコリと頭を下げて、従者?さんの後をついて行った。


「どうぞ」
手を差し伸べられて、馬車を見る。


「こ、これに私が乗っていいんですか?」
「はい。どうぞ」

再び手を差し伸べられた。

「ありがとうございます」


手を取り、馬車に乗り込む。
ふっかふかの椅子。
広い車内。


なにこれ……これが高位貴族の世界……


私はショックを受けながら、車内をぐるりと見回し、触れて、撫でて、押して、嗅いで、満喫した。


だって、こんな馬車にのるのは、人生最初で最後になるかもなんだから!

本当に、すごい。
こんな世界があるんだなぁ。


領地で荷馬車に乗って、畑まで通っていた日々。
辻馬車に乗って、たまの買い物を楽しんだ日々。
貴族らしい生活なんて、したことが無い。
王都から帰ってくるお兄様がもってくるお土産を見て、貴族であることを感じたくらいだった。

没落貴族……

父は対人スキル皆無な人だったから、領地での収益をあげることができなかったんだよね。

あんなに美味しいお茶だって、無名の産地だからって、2級品としてしか買ってもらえなかった。
味は特級品と変わらないのに。

他の生産物だってそうだった。
無名だから、格安。
土壌改良したって、品質改善したって、意味がなかった。

最後に屋敷を出た時……



やめたやめた!
私は、学園の食堂で元気に働くジェシカなんだから!

でも、これから向かうは公爵家か~
どうしよう……みすぼらしい者は立入禁止!とか言われて門前払いされたら……歩いて寮まで、帰るのは辛いな……


そんな風にひとりでグルグルと考えていると、馬車が停まった。

外では、マーガレット様の客であるというようなことを話しているようだ。

門が開き、馬車が進む。
なかなか着かない。
どれだけ広い敷地なの?

没落しそうだって言っていたけど、基金のおかげで借金返済の目処が立ったって言ってたな。
優秀な文官が、過去のデータを調べたって言ってたっけか。
おかげで、アレクは婚約解消しないで済んで良かったね。
優秀な文官様々だね。


そんなことを考えていると、ようやく馬車は停まった。
ドアが開き、先程の男性が手を差し出してくれる。

「ありがとうございます」

エスコートってやつ?これが?
初めてよ~緊張する~

私は従者さんに案内されるままに、公爵邸へと向かうのであった。
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