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夏休みのお誘い
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「それで、補習は夏休み明けだって?」
とマイロが訊いた。
「そう。1滴だったからね……もう少し、頑張ってみましょうって」
マイロの予想では、起動のための白身魔力が少なく、魔法を出すための黄身魔力はそれなりにあるのではないか?という私の魔力。
それを考えると、起動しきらなかったという感じかな?
ちゃんと起動してたら、黄身魔力で魔法を使って水をバシャっと出せていたはずだもん。
でも、出た。1滴。
「アイラは、夏休みの予定は?」
「特にないよ。家に帰るくらい」
私たちはみんなで寮生活をしている。
実家が通える距離にあっても、寮に入るきまりだ。
「僕も家に帰る予定なんだけど……」
けど……の後で黙り込んでしまったマイロ。
「なんだけど?」
私はマイロに続きを促した。
「僕の実家に、練習合宿に来ませんか?」
なぜ丁寧語?
ってか、マイロ気絶寸前の顔してるよ?
「いいの?お邪魔しても」
「じ、実家は兄と姉と、両親がいて落ち着かないかもなんだけど……」
「へぇ。マイロ、お兄さんとお姉さんがいるんだね?」
「うん。少し、年がはなれてるし、ふたりは魔力無いから、普通の学校に通ってる」
「へっ、そうなの?」
「家で魔力あるのは、父さんと僕だけだからね」
「へー。ウチは私とお母さんが魔力持ちなの」
「そうなんだ?お母さんも『水』?」
「そう。だから、家事をするのは楽だったって」
「なるほどね」
母は水汲みに行かなくていいと言って、炊事洗濯に必要な水は、魔法で出していた。
「お邪魔してもいいの?」
「もちろん!アイラさえ良ければ」
「じゃあ、お願いします」
「うん。実家、ちょっと田舎にあるんだ。馬車で2時間くらいなんだけど……」
マイロは申し訳無さそうに言った。
「ウチだって似たようなもんだよ」
「本当に?なら良かった」
私の実家も王都の外れで、馬車で1時間半。
自然豊かな所で生まれ育った。
父と母と私と弟の4人で暮らしてた。
私が魔法学校に入ってからは、3人で暮らしている。
家に手紙を出すと、お母さんから返事が帰ってくる。みんなで元気に過ごしてるみたいだけど。
「もちろん、夏休みの間ずっとじゃなくて……1週間から10日くらいでどうかな?」
マイロが提案した。
「先に実家帰ってもいい?」
「いいよ。最初の10日はそれぞれに、実家で過ごそうか」
「ありがとう」
「ご、ご両親だって、久しぶりにアイラに会うの楽しみにしてると思うし」
「ありがとう、マイロ。家族のことも、気にかけてくれて」
マイロは優しい顔で頷いた。
とマイロが訊いた。
「そう。1滴だったからね……もう少し、頑張ってみましょうって」
マイロの予想では、起動のための白身魔力が少なく、魔法を出すための黄身魔力はそれなりにあるのではないか?という私の魔力。
それを考えると、起動しきらなかったという感じかな?
ちゃんと起動してたら、黄身魔力で魔法を使って水をバシャっと出せていたはずだもん。
でも、出た。1滴。
「アイラは、夏休みの予定は?」
「特にないよ。家に帰るくらい」
私たちはみんなで寮生活をしている。
実家が通える距離にあっても、寮に入るきまりだ。
「僕も家に帰る予定なんだけど……」
けど……の後で黙り込んでしまったマイロ。
「なんだけど?」
私はマイロに続きを促した。
「僕の実家に、練習合宿に来ませんか?」
なぜ丁寧語?
ってか、マイロ気絶寸前の顔してるよ?
「いいの?お邪魔しても」
「じ、実家は兄と姉と、両親がいて落ち着かないかもなんだけど……」
「へぇ。マイロ、お兄さんとお姉さんがいるんだね?」
「うん。少し、年がはなれてるし、ふたりは魔力無いから、普通の学校に通ってる」
「へっ、そうなの?」
「家で魔力あるのは、父さんと僕だけだからね」
「へー。ウチは私とお母さんが魔力持ちなの」
「そうなんだ?お母さんも『水』?」
「そう。だから、家事をするのは楽だったって」
「なるほどね」
母は水汲みに行かなくていいと言って、炊事洗濯に必要な水は、魔法で出していた。
「お邪魔してもいいの?」
「もちろん!アイラさえ良ければ」
「じゃあ、お願いします」
「うん。実家、ちょっと田舎にあるんだ。馬車で2時間くらいなんだけど……」
マイロは申し訳無さそうに言った。
「ウチだって似たようなもんだよ」
「本当に?なら良かった」
私の実家も王都の外れで、馬車で1時間半。
自然豊かな所で生まれ育った。
父と母と私と弟の4人で暮らしてた。
私が魔法学校に入ってからは、3人で暮らしている。
家に手紙を出すと、お母さんから返事が帰ってくる。みんなで元気に過ごしてるみたいだけど。
「もちろん、夏休みの間ずっとじゃなくて……1週間から10日くらいでどうかな?」
マイロが提案した。
「先に実家帰ってもいい?」
「いいよ。最初の10日はそれぞれに、実家で過ごそうか」
「ありがとう」
「ご、ご両親だって、久しぶりにアイラに会うの楽しみにしてると思うし」
「ありがとう、マイロ。家族のことも、気にかけてくれて」
マイロは優しい顔で頷いた。
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