ドラゴン・ゾルダード~二つの魂~

ばくだんいわ

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若き龍の目醒め 27

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 アン達女性陣が黒い女と戦っている頃、格闘家のフェイフォンは一人で黒の女と素手同士で打ち合っていた。
突く、払う、蹴る、捌く。両者の攻防は一進一退、さながらカンフー映画のような戦いが繰り広げられていた。
 黒の女はその華奢な体からとは思えない速さと破壊力の攻撃でフェイフォンに襲いかかっていた。

(毎度のことながらすげーな……。早く決めないとこっちの体力が持たねぇ……)

 フェイフォンは後ろに跳び下がり距離を取り黒の女も同時に距離を取る。
 そして両者とも動きもなく無音。
 ただ四メートルばかりの間合をとって。
 フェイフォンは動けないでいる。こと体術ということならこの場の仲間たちの誰よりも熟知している。だから動かない。今動けばどうなるかは見えている。
 フェイフォンが攻めに移り、間合いに入った瞬間にその細い腕からは想像もつかない強力なカウンターが返ってくるだろう。
ほんの一瞬、一瞬でいい。なんとか隙を見つけて至近距離から全力の一撃を叩き込めれば。

(……これでどうだ?)

 微妙に構えた腕の右肘を下ろす。
 それは確かな隙だった。誘いのレベルを越えている。
 だが黒の女は動かない。

(……なるほどね)

 あくまでもフェイフォンの動きを待つらしい。
 
(……やってやろうじゃねぇか)

 肘の位置を戻す。
 彼の心にふつふつとたぎる何かが、ぐらぐらと燃え立つ血が、敵の焦りを待つなどという消極的な手段を許さなくなっていた。
 そもそも敵は心を持たない。ならばあせりもしない。逆にこちらには心があるのだ。
 あるならばそれは欠点ではなく武器として敵を討つ。

「行くぞぉぉっ!!」

 待ちから攻撃に移る一瞬の隙。その隙を突いてみせるというのなら、隙を与えぬほどの速度で動いて見せるまでのこと。
 両足のバネを最大にまで伸ばしあっという間に敵の間合いに飛ぶフェイフォン。
 何のてらいもない正拳突き。黒の女は待ってたとばかりに手刀をフェイフォンの顔面に突き立てようとする。
 
「っらぁぁぁぁぁっ!!」

だがフェイフォンは、止まらない。全体重をのせたその拳は敵の攻撃がフェイフォンに届く前に黒い女の顔面を殴り付けた。

「ギ……ガ……」

 フェイフォンの拳で打たれ、顔面がひび割れながら一歩後ろにたたらを踏む黒の女。
 すかさずフェイフォンは次の攻撃に転ずる。

「無影脚(むえいきゃく)っ!!」

 ウォン・フェイフォンの絶技が一つ。無影脚。
 それは脚の影が見えない程速く鋭い蹴りを何十発も放ち敵を破壊するフェイフォンの切り札である。
 前蹴り、回し蹴り、横蹴り。あらゆる蹴りが叩き込まれ、手足はあらぬ方向に曲がり、顔面は対峙したときの美しい顔は見る影もなく壊され内部の機械部分がはじけ飛び、銀色の液体を撒き散らしながら黒の女は倒れた。

「ざまぁみやがれ!」

 右手を振り上げガッツポーズを取ったまま体力を使い果たしたフェイフォンは仰向けに倒れこんだ。 

 
 
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