ドラゴン・ゾルダード~二つの魂~

ばくだんいわ

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若き龍の目醒め 26

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 緊張している。

「どういうことだ。機械女?」

 玖朗も突然現れた三人の黒衣の女たちにただならぬ気配は感じている。
 未だ文明の発達のないこの世界で。玖朗たちと同様に衣服を纏う人間の姿が普通であるはずがない。
 だが幾千の修羅場を経験した玖朗を金縛りにするほどの何かを女たちは発している。

「あいつらはディヴァスターのエージェントだ。逆ピラミッドの兵士だけじゃ限界があるからな。そういうときに使われる心を持たない人造人間ってやつだ」

「人造人間?あれが?」

 玖朗は女たちを見た。
 体に張り付いたような黒いドレスの広がった裾だけが音のしない風に流され渦巻いている。
 光のない六つの瞳が玖朗たちを見つめている。
 真ん中の一人は両肩にパッドでも入っているのか大きく左右に広がり、ねじくれた角が突き出ていた。
 右の一人は蜘蛛の巣を連想させるヴェールをまとっている。
 左側の女は長い、とてつもなく長い髪を地面に垂れ下げている。
 三人の誰もが異形だった。異形であるがとても美しい。顔だちは整いすぎるほどであり、豊かな胸や腰からヒップに至るラインまですべてが美しかった。
 ただ彼女らには生きているもの全てにあるはずの生気というものがまったく感じない。美しい顔は無表情であり、立ち姿からもあらゆる感情を表していない。

「あいつらはディヴァスターの実働部隊だ。生体機械に人工筋肉。並みの人間とは作りが違う。とんでもなく強ぇ……。覚悟決めろよ?」

 フェイフォンの瞳は一瞬も逸れることなく女たちを睨み続けている。

「あ、ああ」

 戸惑いながら玖朗が頷いたとき。女たちはふわりと消えて。

「っっっ!?」

 そして衝撃。
 長い髪の女が玖朗の目の前までに迫っていた。黒衣の女たちにとって、二十メートルの距離を一瞬で音もなく縮めることなど造作もないことだった。
 
 なんとか刀で女の攻撃を受け止めた玖朗だが攻撃は止まらない。左右上下とすさまじいスピードで腕を振り回し女は玖朗を追い詰めていく。
 なんとか体勢を直したい玖朗だが女は攻撃している間も無表情であるため次の一手が読めない。

「調子に、乗るなっ!」

 なんとか攻撃の合間に強引に刀を横に振り抜き、反撃を試みるが黒衣のディヴァスターは音もなく後ろに飛び上がりそれを避した。

「なるほど……。これは、一筋縄ではないようだ」

 玖朗は刀を構え直し。

「そのうっとうしい長い髪。切り刻んで散髪してやろう」

 玖朗は女と対峙した。




 一方。
 
女性陣三人は肩パッドの女と戦っていた。
 ティターニアが魔法で牽制し、アンが隙間を縫って銃弾を叩き込むがどれも決定打にならない。
 
「キリがありませんねぇ……」

 火、水、雷、氷を様々な魔法を四方八方に顕現させながらティターニアはぼやく。

「なんとか……!なんとか動きさえ止められれば爆裂弾ぶち込むのにぃ~っ!」

 アンも女に近づけさせまいと黄金色のリボルバーを乱射しているが黒衣の女はふわりふわりと避けていく。
 
「二人とも~がんばって~!」

 こうなるとアイカは手が出せない。
 彼女の本職は医者であるため猿人たちのようなザコならば問題ないがディヴァスターのエージェントである黒衣の女たちとはまともにやりあえないのだ。下手に手を出そうとすれば他の二人の足を引っ張ってしまう。
 故にアンとティターニアの戦いを見物しているしかない。だが、手元は何かごそごそと動かしている。
 二人の攻撃を反撃するわけでもなく、ただ避け続けていた角女の動きが変わった。肩から突き出ているねじくれた角が突然、何メートルにも伸び回転しながらさながら鞭のようにそれぞれ三人に向かって襲い出した。  

「ちょっ……!?」

「何それぇ!?」

「あらまぁ……」

 間一髪、避けた三人だったが縦横無尽に暴れまわる回転角は容赦なく三人に襲いかかる。
 なんとか反撃するアンとティターニアだったがその攻撃は角女の周囲を守るかのように回転角が弾き飛ばしてしまう。

「ほんっとにこいつらめんどくさい!!」

 弾を撃ち終わった銃をリロードしながらアンはイラついた声で叫んだ。
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