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序章 目指せ!夢の楽園
3年目 ようこそ、毒牙
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結局、あの後の進化で、2匹に気づかれる前に、自分の意思を伝える能力を進化させて、取り除いた。
たぶん他の兄弟からは大幅に遅れを取っただろう。
しかし、ミッドは そこまで気にしていなかった。
群れのリーダーである、アルルもお腹を小さくしていた。どうやら、大きいお腹の進化は失敗だったようだ。群れのリーダーでも、失敗することがあるということが、心の支えになっている。
それに、マルスという、新たな群れの仲間が、増えたことが嬉しかった。
マルスは、バブバブとか、ブーブーとか、エーンとかしか話せない。
意思の疎通も同じ種類にも関わらず出来ていないようだったし、糞尿も垂れ流す。
しかも、最初の進化で、ミッドを見習ったのか、手足があるにもかかわらず、這いずりまわるように進化したようだ。
ミッドは、アルルに勝利した気がしていて、嬉しかった。
しかし、同時に問題も発生した。
マルスは、ミッドを捕まえ、尻尾をかじってみたり、振り回してみたりして、遊んでくる。
ミッドも、群れの先輩として、注意したいが、意思疎通の能力を取り直す気にならない。
そこで、ミッドは考えた。
(マルスがイタズラをしたときに、脅かせるように、痺れさせるような毒牙を持ったらいいんじゃないだろうか。痺れるくらいなら、死なないだろうし、マルスも群れの先輩を敬うかもしれない。)
そんなある日、周囲を湿った空気が多い尽くす。
「マルスにとっては、初めての夜じゃないかしら?」
「そうだね。きっと今夜は、ぐっすり眠れるよ。」
「ミッドも、優しくお兄さんしてるみたいだし、地獄も案外、住めば都よね。」
「岩場の陰なら、大型の魔物に襲われることもないからね。」
ミッドは、進化の風を浴びながら、よく考えることにした。
(本当に、毒牙は必要なんだろうか、もし、毒牙で噛みつけば、マルスは自分の事を嫌いになるんじゃないかと・・・。)
翌朝、ミッドは、毒牙を手に入れる。
しかし、マルスに使うつもりはない。
マルスは、いつものように、ミッドを見つけると、楽しそうに這いずってくる。
何を進化させたのか、マルスは、昨日と変わらない様子だった。
「ほんと、マルスは、ミッドが好きよね。」
ミッドも、昨日までと違い、なぜか悪い気はしない。
マルスが、ミッドの頭を持ち、何か不思議そうに見ている。
「危ない!」
マルスが、自分の手を、ミッドの口の中に入れてきた。
ミッドは、激しく抵抗する。
なぜなら、彼の口の中には、毒牙があるから・・・。
危機一髪、アルルに抱きかかえられ、マルスは、毒牙に触れずにすむ。
ミッドは、理解した。
本当に、この世界を生き抜くために必要な能力を!
(マルスのように、他を傷つけることが無いように、進化する生き物もいる。そういった進化も必要なのかもしれない。少なくとも、いまの自分には、毒牙は必要ない。)
無駄な進化の時間を使ったようだ。
ミッドは、敵を痺れさせる毒牙の能力を手放すことに決めた。
たぶん他の兄弟からは大幅に遅れを取っただろう。
しかし、ミッドは そこまで気にしていなかった。
群れのリーダーである、アルルもお腹を小さくしていた。どうやら、大きいお腹の進化は失敗だったようだ。群れのリーダーでも、失敗することがあるということが、心の支えになっている。
それに、マルスという、新たな群れの仲間が、増えたことが嬉しかった。
マルスは、バブバブとか、ブーブーとか、エーンとかしか話せない。
意思の疎通も同じ種類にも関わらず出来ていないようだったし、糞尿も垂れ流す。
しかも、最初の進化で、ミッドを見習ったのか、手足があるにもかかわらず、這いずりまわるように進化したようだ。
ミッドは、アルルに勝利した気がしていて、嬉しかった。
しかし、同時に問題も発生した。
マルスは、ミッドを捕まえ、尻尾をかじってみたり、振り回してみたりして、遊んでくる。
ミッドも、群れの先輩として、注意したいが、意思疎通の能力を取り直す気にならない。
そこで、ミッドは考えた。
(マルスがイタズラをしたときに、脅かせるように、痺れさせるような毒牙を持ったらいいんじゃないだろうか。痺れるくらいなら、死なないだろうし、マルスも群れの先輩を敬うかもしれない。)
そんなある日、周囲を湿った空気が多い尽くす。
「マルスにとっては、初めての夜じゃないかしら?」
「そうだね。きっと今夜は、ぐっすり眠れるよ。」
「ミッドも、優しくお兄さんしてるみたいだし、地獄も案外、住めば都よね。」
「岩場の陰なら、大型の魔物に襲われることもないからね。」
ミッドは、進化の風を浴びながら、よく考えることにした。
(本当に、毒牙は必要なんだろうか、もし、毒牙で噛みつけば、マルスは自分の事を嫌いになるんじゃないかと・・・。)
翌朝、ミッドは、毒牙を手に入れる。
しかし、マルスに使うつもりはない。
マルスは、いつものように、ミッドを見つけると、楽しそうに這いずってくる。
何を進化させたのか、マルスは、昨日と変わらない様子だった。
「ほんと、マルスは、ミッドが好きよね。」
ミッドも、昨日までと違い、なぜか悪い気はしない。
マルスが、ミッドの頭を持ち、何か不思議そうに見ている。
「危ない!」
マルスが、自分の手を、ミッドの口の中に入れてきた。
ミッドは、激しく抵抗する。
なぜなら、彼の口の中には、毒牙があるから・・・。
危機一髪、アルルに抱きかかえられ、マルスは、毒牙に触れずにすむ。
ミッドは、理解した。
本当に、この世界を生き抜くために必要な能力を!
(マルスのように、他を傷つけることが無いように、進化する生き物もいる。そういった進化も必要なのかもしれない。少なくとも、いまの自分には、毒牙は必要ない。)
無駄な進化の時間を使ったようだ。
ミッドは、敵を痺れさせる毒牙の能力を手放すことに決めた。
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