騎士王マルス ～始まりの歌～

序章 目指せ！夢の楽園

６年目 ようこそ、縮小

結局、あの後の進化で、炎を吐く能力を進化させて、取り除いた。
たぶん他の兄弟からは大幅に遅れを取っただろう。



しかし、ミッドは そこまで気にしていなかった。

群れのリーダーのアルルは、お腹を大きくする進化をしていた。
前回も同じ進化をしていたのに、今回も同じ進化をする生物もいると思えば、自分の失敗など、大した事では無いような気がする。




しかし、ミッドは、マルスの事で悲しいお知らせもある。

あの事件以来、マルスがミッドを避けるようになったのだ。
しかも、どんどん体が大きくなるミッドを警戒している気もする。ミッドの大きさは、すでに６ｍ近くまで成長していた。
このままでは、群れから追い出される日も近いだろう。




そんなあるとき、マルスがミッドに話しかける。

「ミッドは、本当はドラゴンで、僕の話している事も分かってるんだろ？
もし話が分かるんだったら、これ以上、大きくならないようにした方がいいよ。お母さんも、迷宮の蛇にしては、大きい方だって言ってたから。」




ミッドは考えた

（いままで一緒にいた、マルスからの忠告は素直に聞くとしよう。しかし、体を大きくしないということは、成長を止めてしまうということだ。成長を止めずに、大きくしない方法・・・。体を小さくしてみようかな。）




そんなある日、周囲を湿った空気が多い尽くす。



ミッドは、自身の大きさを小さくする縮小化の能力を手に入れることにした。


（これで、どんなに成長しても、体の大きさを制御できる。）



ミッドは、さっそく試しに、手のひらサイズに小さくなってみた。


（よし、成功だ！　あとは、大きく元に・・・。）





日が昇ると、マルスが一番に起きてくる。

マルスは、ミッドの行方を捜す。


ミッドは、気まずそうに、マルスの前に現れる。


「さすがに、縮みすぎだよ。この後、戻れるの？」


ミッドは、頭を横に振り、戻れないことを伝える。


「仕方ないな。戻れるまで、僕の鞄に隠れてなよ。」


ミッドは、マルスの温情で、鞄にしまわれる。





・・・。





ミッドは、理解した。

本当に、この世界を生き抜くために必要な能力を！



（進化で、能力を得るときは、先の先の先まで考える必要があること。それを怠り行動することで、悪い結果につながってしまう。今回の能力は、失う必要はないだろう。
今回の縮小化の能力を使うには、元に戻る能力も必要だったということ。
もし、先の先の先まで考えることが出来ていれば、体の大きさを自由に変える能力を選択していただろう。）



無駄な進化の時間を使ったようだ。

ミッドは、次回の進化で、大きくなる能力を取得することに決めた。