龍慶日記

黒山羊

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ケイト編

~新章・第五節~

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~病院上空~


空に飛びあがってすぐ、軍用車両があることに気が付いた。

すぐ南に、8師団の基地があり、軍用車両も止まっている。


バベルは使えそうな車両を見つけると、そこに舞い降りた。



車両の後方から近づく、トラックなので、乗り心地は問題あるかもしれないが、見た目にも悪くない。どちらかといえば綺麗に整備してある。



バベル「よく考えれば、飛ぶ必要もなかったかな。」



車内に乗り込み、エンジンをかけるが、かからない。

横の車両に乗り換え、試してみるが、やはりかからない。

さらに横の車両も。



バベル「どうなってるんだ?」




ふと気づく、どの車両も、側面からエンジンに銃弾を受けているようだった。

ホープが逃げられないように、すでに手を打っているのだろう。



バベル「軍用車両は、使えないか・・・。」



もう一度、空に上がろうとしたときに、基地の外に止めてあった、温泉への送迎用車両が目に入る。

バベルは、置いてある中型バスの車内に乗り込み鍵を探すが、見当たらない。



バベル「鍵がない。」










バベル「・・・アスカ、」

バベルは何かを思い出した!






バベル「そうだ、最後の鍵だ!たしか、あれは・・・。」




アスカのこと、自分の過去を少しだが思い出し、つい懐かしく、頬が緩む。

思い出した過去が、本当の事なのか確認するため、急いでパオの車へ戻った。











~病院前駐車場 パオの車~

パオに車の鍵を開けてもらい、アスカのポケットを探す。


パオ「いったい何してんの?」



バベル「いいから、いいから、凄くいいこと!」


そういうと、バベルはアスカのポケットを調べる。

どこにもない。

胸ポケットも調べる・・・。



胸ポケットの奥の方にありそうだ!

やはり、記憶が少し戻っている!


つい、うれしくなり、笑みがこぼれる。





パオ「エロバベル!なにアスカのオッパイ揉んで笑ってんのよ!いいことって、そんなことの為に忙しい私に車の鍵を開けさせたの!」」

パオが顔を真っ赤にして怒ってる。


パオに背中を叩かれながらも、最後の鍵を手に入れた!



バベル「誤解だよ!パオ、この凄い鍵を見れば納得できるから!ほらっ!」

自信満々に、最後の鍵を見せつける!













パオ「・・・なにそれ、ハッキング装置でしょ。それ、私が開発した物なんだけど・・・。」







バベル「・・・そうなの?」



パオ「それが欲しいんだったら、言ってくれればいいのに。アスカのオッパイ揉む必要ないじゃん。」





バベル「いや、そんなつもりは全然なくて、あー、・・・何ていえばいいのかなー。んー。空飛びすぎて吐きそうかも・・・。」






パオは笑って言う。


パオ「今度から、どんなことでも手伝うから、必要な時は、私のを使って。小型化していて便利だから。」



バベル「わかった。小さい方がいいもんね。」


パオが何故だか、にやける。




パオ「それはそうと、いい車はあったの?」

バベル「うん。基地の東側に、温泉施設の車両があったよ。外も中も比較的、キレイなままの状態でね。」


パオ「じゃあ、歩いて行けるね。一緒に行こっか。バベル、運転できないでしょ。」


バベル「なんで分かったの?」

パオ「話を聞いてれば分かるよ。」



二人は、基地の東側を目指して歩いた。

・・・パオの開発自慢を聞きながら。






パオ「でね、D細胞と機械の融合における実験の際も、臨界点が・・・。ねぇ、聞いてないでしょ。」

バベル「うん。全然、ちょっと難しい話だね。」




話を聞いてないのに、・・・パオは笑顔でごまかされる。

パオ心の声(だと思った。でも、正直なとこ、君らしくて好きだよ。)
















~温泉の送迎用バス~

二人はバスに到着する。



パオ「君が、なぜ運転できないと言ったか、証明しよう。」

バベル「はい、先生。」


パオ「教習所で習うことだが、有事の際には、鍵を差したまま、車両から離れなければならない。しかも、ここは基地の近くだし、バスの運転手は、当たり前だが運転のプロだ。
さらに、君は車両内に入ることができた、ということは、外から鍵をかけていない。つまり・・・。」






バベル「持ち主が鍵をなくして困ってる!」











パオ「・・・いや、違うかな。たぶん、鍵はココ!」



パオが、バスの座席とドアの間に手を入れる。



そして、パオが引き抜いた手には、バスの鍵が握られていた。

驚くバベル。




勝ち誇ったように、にやついたパオがバベルを見る。

パオ「初歩的なことだよ。バベル君!」



バベル「う、うん。そうだね。じゃあ、行こっか。」


パオ「君は、有名な推理小説やメガネの名探偵を知らないのか?」


バベル「だから、あまり記憶が・・・。」






パオは、二人の時は、すごく絡んでくる。

まあ、可愛いから許せるのだが・・・。



パオの運転で、病院前にたどり着く。

そこには、8人の兵士が待っていた。


迷彩服「そんな車、よく見つけてきましたね!こんなにボコボコぶつけてあったら、普通なら素通りしてしまうだろうに。」




バベル「いや、これには理由が・・・。」

バベルが説明しようとした時、パオが口を挟む。

パオ「そんなどうでもいいことより、準備を急ごう。この車両の管理や運転は、副隊長の迷彩服に任せる。隊長は、バベルに頼もうと思うが、異論は?」

迷彩服「いえ、私はありません。」

パオは、他の兵士の顔も見渡す。

他の兵士も、誰も異論はなさそうだ。



パオ「では、荷物をまとめてあるから、バスに積み込み、出発しよう。私とバベルの車が先導するから、ついてきてくれ。」


そういうと、全員で準備を始める。




~30分後~

準備も終わり、南に向かって走り出す。

パオの説明では、そのまま、しばらく適当に南に走り、迂回するように城の近くを通り抜け、線路沿いに北へ向けて戻ることになった。途中、解放できそうなシェルターを発見した際には、解放していくというものだった。パオや他の隊員も、知っている数は少ないが、何カ所かシェルターに心当たりがあるそうだ。


しばらくは、ドライブが続く。





パオがバベルに話しかける。


パオ「君は、家族のこと、覚えてる?」




バベル「・・・いや。両親のことも、兄弟がいたかどうかも、ペットを飼ってたかどうかも、何も思い出せないんだ。でもなぜか、いろんな知識とかは、そのまま残ってるんだよね。・・・どう説明すればいいのかな・・・。」





パオ「自分を含め、人に関する記憶だけ、忘れているんじゃない?」

バベル「・・・。うん。なんで分かったの?」





パオ「やっぱり・・・。アスカの事を覚えてたから、私も気づくのが遅くなったけど、それ、記憶の消去だよ。長い時間、脳に直接電気信号を送って、人に関する部分だけを消去することができるんだ。普通は、消去されてるから、消去以前の記憶は、絶対に思い出せないんだけど・・・。君は、やっぱり特別なんだね。」


バベル「よくそんなこと、気づいたね。」


パオ「だって可笑しいでしょ。軍事施設バベルから来た人の名前がバベルだなんて、しかも自分では本名だと思っている。もっと違う名前なら、私も気が付かなかったかもね。」




パオ「まあ、思い出せないなら、私が家族になってあげてもいいよ。貸しなしで・・・。」

バベル「じゃあ、小さいから妹だな。」





パオ「誰のオッパイが小さいって!」

そういうと、パオはバベルをにらむ。

バベル「いや、そんなこと言ってないよ。それより!」


車は蛇行運転になる。

バベル「前、前、前見て運転してよ!」





バベルの慌てた顔を見て、パオが声を出して笑う。

バベルも一緒に笑う。









パオ「あのーそんな意味じゃないんですけど。」

冗談ぽく喋るパオは、可愛い。
















パオ「ねえ、話変わるけど、なるべくドラゴンにならない方がいいかもよ。」

バベル「なぜ?」



パオ「さっき、車を探してもらうときに確信したんだけど、君がドラゴンになるの・・・。 」

パオが話すのをためらっている。




バベル「俺の事なら心配いらないよ。」

パオ「・・・。」













パオ「ううん。君がドラゴンになると、アスカが涙を流すの。もしかすると、君がドラゴンになっても理性を保てるのと、何か関係があるのかもしれない・・・。」















パオ「君たちには、・・・幸せに、なって・・・もらいたいからね。」

パオは、まっすぐ道の先を見ている。







バベル「ありがとう。」








パオ「・・・どういたしまして。」

パオの目が潤んでいるように見えた。









辺りは暗くなってきた。

一団は、明日の朝まで、ここで休息をとることにした。

見張りは、運転手を除くメンバー二人組で、一時間半で交代。

バベルの見張りは、あみだくじの結果、2番目になった。



バベル「2番目か、中途半端な時間だな。」

パオ「じゃあ、夜通し語っちゃう?」

バベル「いや、広いしバスに行こうかと・・・。」


パオ「女の子二人を残して遊びに行くの?」

バベル「わかった。ここにいるよ。」

パオ「夜通し語ちゃうコースだね。」



持ってきた毛布だけでは、少し肌寒い。



今回のパオは、バベルに分かるように話をしてくれている。

いろんな実験の話などを教えてくれた。今日の話は面白く、つい最後まで聞いてしまう。



コンコン!

迷彩服が窓を叩く。一睡もする間もなく、見張りの交代時間になった。










 ~ to be continued










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