目指せ地獄の門 ~改訂版~

黒山羊

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一章・成長日記

10歳

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君の魂は、今日も二人を見に行く。

もうこの館にくるのも6回目、しかし、なかなか気づいてもらえない。



戦闘の支度をしながら、エイトがレヴィアに話しかける。

「あーあ、レヴィアも参加すればいいのに。」

「私は忙しいのよ。年頃の女の子だし。」

ベットで横なって本を見ながら、返事をするレヴィアだが、説得力に欠ける。



エイトは、あきらめない。

「女神様も、参加していいっていてるのに。なんで来ないの?」


すこし考え事をするレヴィア。

「ふーん。最近、ちょっと生意気になってきたみたいだから、戦闘訓練に参加してあげよっかな!」

「やった!じゃあ、今日は一緒に行こうね!」


喜ぶエイトとは対照的に、レヴィアは機嫌が悪そうだ。


そんな二人の部屋に、一人の男が現れる。


二人は、男の存在に気づき、起立する。


「やあ、おはよう。今日は、二人を楽しい低級悪魔狩りに連れて行ってあげよう!」

「やった!主父あるじ様、今日はどこか外へいけるんですか?」

「いや、すまない。いつもの訓練場だ。」

「分かりました。すぐに支度をいたします。」


3人が訓練所に到着すると、そこには、沼地の王ヒドラが群れを成していた。


「ああ、面倒な雑魚狩りですね。」

「ちょっと、カタナだと相性が悪いかな。」

「そう!そこで、10歳の誕生日を兼ねて、この棍棒をプレゼントしよう!」

そういって、武骨な棍棒を取り出した。


「ありがとうございます!」

「その棍棒の名は、偉大なる父の愛!」

「・・・。」

言葉を失うエイト。


「さすがにね・・・。」

レヴィアも、ネーミングの酷さに あきれている。


「・・・わ、わーい。偉大なる父の愛、う、うれしいなー。」

エイトの棒読み感は、主父あるじには、伝わらなかった。

「おお!喜んでもらえて嬉しいぞ!気分もいいから、レヴィアにも魔装具 ※1を授けよう!」

レヴィアは、口元が緩む。


主父あるじは、レヴィアの口に指を入れ、レヴィアの歯を折る!

「痛ぁぁぁぁぁい!」

口を抑え、涙目になるレヴィア。

「大丈夫、ドラゴンの牙は、すぐ生えそろう。」

レヴィアは、不満がありそうだったが、文句が言えないようだ。


主父あるじが、歯を2~3回降ると、歯は元の巨大な牙になる。

その巨大な牙を、自身の煙で包む。

しばらくすると、巨大なハンマーが出来上がっている。

「そうだなー。このハンマーの名前は・・・。」

レヴィアは、危険を察知した!このままでは、変な名前を付けられてしまう。

「レヴィアタンハンマー!」

無難な候補を挙げる。


「そうだな。自分の牙だし・・・。」

レヴィアは、安堵の表情をみせる。

「タンタンハンマーだな。響きがいい。うん、これに決めた。」



レヴィアの愕然とした表情が忘れられない。




※1
魔装具:
魔力を注いで作られた武具や道具。
形状が変化したり、特別な効果があったり、注がれた魔力の量に応じて効果がある。
また、魔装具は壊れたとしても、魔力を注ぎ続ければ、壊れる前の状態に治すことも可能。
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