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2章・スタートライン
第3話 極悪四人組
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~神託室~
神託室は、厚手のカーテンが張り巡らせてあり、思ったより狭く感じる。
カーテンの後ろには、兵士が控えているようだ。
中央には水晶があり、その奥に神官が待っている。
部屋に入る前に軽く説明を受けていたので、まずは、エイトが、水晶に手をかざすことにした。
水晶は光り輝き、神の恩恵を伝える。
「おおお!すごい!Sランクの冒険者です!」
周囲が騒めく。
次に、レヴィアが、手をかざす。
やはり、水晶は光り輝き、神の恩恵を伝える。
「おおお!まただ!貴方様もSランクの冒険者です!」
さらに周囲が騒めく。
最後に、レイザーが、手をかざす。
やはり、水晶は淡く輝き、神の恩恵を伝える。
「貴方は、Aランクの冒険者ですね!Sランクが続いたけど、通常は、Aランクは、なかなかいないんですよ!」
・・・レヴィアは、考える。金貨10,000枚
金貨1枚あれば、好きな服が買えるし、個室の宿に2食付きで泊まれる。
単純に考えて、20年以上、好きなものを買って遊んで暮らせる金だ。
「・・・困ったなー、主夫様、天使様かなー?お金ないんだよなー。でも、エイトが選んだ大事な仲間だしなー。別れが続くと、エイトも悲しいだろうなー。大好きな人との別れの後だもんなー。」
「やめてよ、レヴィア、恥ずかしいよ。」
「よし!」
レヴィアは、そういうとレイザーの腕を掴み、水晶に近づける。
水晶に、レイザーの手が かざされると、水晶は光り輝き、神の恩恵を伝える。
「何があったんだ!貴方様もSランクの冒険者です!」
別の神託の神官が、横の方で声をあげる。
「おおおおお!いま神から、神託を直接いただきました。この4人は歓迎すると!」
周囲が騒めき、奥から神殿兵士や他の神官も集まってきている。
「よし。」
レヴィアは、小さく胸の前でガッツポーズをとっている。
「・・・やりすぎでしょ。」
「あわわぁ、いったい何が起きてるんでしょうか・・・?」
混乱するアルルと周囲の神官たち。
「ああ、ついてきてよかった、のかな?」
当事者のレイザーが一番 混乱しているようだ。
4人が冒険者カードを発行する間、控室で待っていると、神官に奥の部屋に呼ばれる。
そこには、街道沿いの教会にいた神官と、山賊風の男たち3人組。
そして、身分の高そうな神官が控えていた。
4人が部屋に入ってくると、街道沿いの教会にいた神官が、身分の高そうな神官に提言する。
「大神官様、神託のお告げを無視し、逃げ出した愚か者は、この者たちです。この者の身柄を拘束させてください。」
大神官と呼ばれた、身分の高そうな神官は、提言に耳を傾け、4人の方を見た。
「そんな!大神官様、もう一度、神託をしてあげてください。あの神託は・・・。」
レイザーの口をアルルが塞ぐ。
神託が嘘であった。そういってしまえば、処罰は重くなる。
控室から4人を連れてきた神官が、大神官に耳打ちをしている。
「神託を受けるまでもないでしょうね。・・・その4人を捕らなさい。」
神殿兵士が、4人を拘束する。
「ちょ、え、ちょ、ちょっと待ってください!」
「3人には厳罰を、神を欺こうとした神官には、極刑を与えなさい。」
街道沿いの神官や山賊は、部屋の外に連れていかれた。
4人が外に連れ出されると、大神官は、その場にひれ伏した。
「皆様には、ご迷惑をおかけしました。私がこの地に導かれたのは、大天使様に導かれたからです。
教会のご無礼をお許しください。何か必要なことがあれば、なんでも申し付け下さい。」
大神官が頭を下げると、一斉に他の神官や神殿騎士も頭を下げる。
「いいのよ。主夫様だって、自分の力で解決しなさいって言うはずだから。
でもね、ほら・・・。」
レヴィアは、エイトを見る。レヴィアは何か企んでいるような笑みをしている。
エイトも頷く。
「大神官様、頭を上げてください。できれば、自分たちの力で解決していきたいと考えています。
私たちは、騒ぎにならないことだけが望みです。」
視界の端で、レヴィアが猛烈に顔を横に振っていたのは、見えないふりをした。
~ to be continued
【補足】
主夫様、天使様:
人間たちを管理する神様や、その使い。
最高神の名前を直接呼ぶことは死罪に値するので、人々は、最高神の事を、主夫様と呼ぶ。
神殿兵士(神殿騎士):
呼び方は人それぞれ。役目は同じで、神殿に仕える兵士(騎士)一般の冒険者よりも戦闘能力が高く、魔法まで使えるエリートのみ就職できる。
大神官:
神官の最高位の人物。地位は、大臣と同じになるが、影響力は国王と並ぶ。
周知の事実だが、今の大神官は、国王の実の弟でもある為、人気がある。
神託室は、厚手のカーテンが張り巡らせてあり、思ったより狭く感じる。
カーテンの後ろには、兵士が控えているようだ。
中央には水晶があり、その奥に神官が待っている。
部屋に入る前に軽く説明を受けていたので、まずは、エイトが、水晶に手をかざすことにした。
水晶は光り輝き、神の恩恵を伝える。
「おおお!すごい!Sランクの冒険者です!」
周囲が騒めく。
次に、レヴィアが、手をかざす。
やはり、水晶は光り輝き、神の恩恵を伝える。
「おおお!まただ!貴方様もSランクの冒険者です!」
さらに周囲が騒めく。
最後に、レイザーが、手をかざす。
やはり、水晶は淡く輝き、神の恩恵を伝える。
「貴方は、Aランクの冒険者ですね!Sランクが続いたけど、通常は、Aランクは、なかなかいないんですよ!」
・・・レヴィアは、考える。金貨10,000枚
金貨1枚あれば、好きな服が買えるし、個室の宿に2食付きで泊まれる。
単純に考えて、20年以上、好きなものを買って遊んで暮らせる金だ。
「・・・困ったなー、主夫様、天使様かなー?お金ないんだよなー。でも、エイトが選んだ大事な仲間だしなー。別れが続くと、エイトも悲しいだろうなー。大好きな人との別れの後だもんなー。」
「やめてよ、レヴィア、恥ずかしいよ。」
「よし!」
レヴィアは、そういうとレイザーの腕を掴み、水晶に近づける。
水晶に、レイザーの手が かざされると、水晶は光り輝き、神の恩恵を伝える。
「何があったんだ!貴方様もSランクの冒険者です!」
別の神託の神官が、横の方で声をあげる。
「おおおおお!いま神から、神託を直接いただきました。この4人は歓迎すると!」
周囲が騒めき、奥から神殿兵士や他の神官も集まってきている。
「よし。」
レヴィアは、小さく胸の前でガッツポーズをとっている。
「・・・やりすぎでしょ。」
「あわわぁ、いったい何が起きてるんでしょうか・・・?」
混乱するアルルと周囲の神官たち。
「ああ、ついてきてよかった、のかな?」
当事者のレイザーが一番 混乱しているようだ。
4人が冒険者カードを発行する間、控室で待っていると、神官に奥の部屋に呼ばれる。
そこには、街道沿いの教会にいた神官と、山賊風の男たち3人組。
そして、身分の高そうな神官が控えていた。
4人が部屋に入ってくると、街道沿いの教会にいた神官が、身分の高そうな神官に提言する。
「大神官様、神託のお告げを無視し、逃げ出した愚か者は、この者たちです。この者の身柄を拘束させてください。」
大神官と呼ばれた、身分の高そうな神官は、提言に耳を傾け、4人の方を見た。
「そんな!大神官様、もう一度、神託をしてあげてください。あの神託は・・・。」
レイザーの口をアルルが塞ぐ。
神託が嘘であった。そういってしまえば、処罰は重くなる。
控室から4人を連れてきた神官が、大神官に耳打ちをしている。
「神託を受けるまでもないでしょうね。・・・その4人を捕らなさい。」
神殿兵士が、4人を拘束する。
「ちょ、え、ちょ、ちょっと待ってください!」
「3人には厳罰を、神を欺こうとした神官には、極刑を与えなさい。」
街道沿いの神官や山賊は、部屋の外に連れていかれた。
4人が外に連れ出されると、大神官は、その場にひれ伏した。
「皆様には、ご迷惑をおかけしました。私がこの地に導かれたのは、大天使様に導かれたからです。
教会のご無礼をお許しください。何か必要なことがあれば、なんでも申し付け下さい。」
大神官が頭を下げると、一斉に他の神官や神殿騎士も頭を下げる。
「いいのよ。主夫様だって、自分の力で解決しなさいって言うはずだから。
でもね、ほら・・・。」
レヴィアは、エイトを見る。レヴィアは何か企んでいるような笑みをしている。
エイトも頷く。
「大神官様、頭を上げてください。できれば、自分たちの力で解決していきたいと考えています。
私たちは、騒ぎにならないことだけが望みです。」
視界の端で、レヴィアが猛烈に顔を横に振っていたのは、見えないふりをした。
~ to be continued
【補足】
主夫様、天使様:
人間たちを管理する神様や、その使い。
最高神の名前を直接呼ぶことは死罪に値するので、人々は、最高神の事を、主夫様と呼ぶ。
神殿兵士(神殿騎士):
呼び方は人それぞれ。役目は同じで、神殿に仕える兵士(騎士)一般の冒険者よりも戦闘能力が高く、魔法まで使えるエリートのみ就職できる。
大神官:
神官の最高位の人物。地位は、大臣と同じになるが、影響力は国王と並ぶ。
周知の事実だが、今の大神官は、国王の実の弟でもある為、人気がある。
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