目指せ地獄の門 ~改訂版~

黒山羊

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2章・スタートライン

第4話 魔装具発動

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~宿【冒険者の集い】の食堂~

「あーあ。」

「どうしたんですか、さっきから?」

アルルが心配そうに、レヴィアを見る。
レヴィアは、エイトを見ながら、ため息交じりの声を出している。

「あーあ。」

「ああ、いつものことだから、気にしなくていいよ。
 ところで、アルルは冒険者カードをどこで作ったの?」


レイザーも、気になっていたようで、話に加わってくる。

「そうだな。気になるな。あまり変なギルドでなければいいが・・・。」

「はい。私がギルドカードを作ったのは、王都にある、騎士養成所で発行してもらいました。」

「あーあ。」

「騎士養成所?」

エイトが首をかしげる。


「はい、私は騎士の家系に生まれたので、騎士養成所に通っていたんです。」

酒を飲む手を止め、レイザーが更に質問する。

「でも、なぜ騎士養成所が冒険者カードを発行してるんだ?」

「あーあ。」

「それは・・・。」


アルルが周囲の様子を伺い小声で話し始める。

「実は、王族の誰かが、病気になったようで、不死の秘宝が隠されている、地獄の門の先を目指すことになったんです。だけど・・・。」

レイザーも小声で話す。

「騎士団を動かすと、何事か疑われてしまう。そこで、騎士養成所の学生が選ばれた。」

「あーあ。」

「はい、そうです。」

「なるほど。みんな迷宮に潜る理由はあるんだよね。」

エイトは、話を聞いて納得した様子を見せる。


「ちなみに、二人は、どういった理由なんだ?神様にも気に入られているようだし。」

「あーあ。」

「うん。僕は、魂の解放をするために、地獄の門に向かってるんだ。」

「なるほど。このパーティは、地獄の門を超えることが、目標なんだな。」

「そうなるね。」

「いいパーティに巡り合えてよかった。地獄の門は迷宮の奥深くだと聞く。しっかりと準備をしていきたいんだが、2日ほど、出発を待ってもらえないか。行っておきたい場所があるんだ。」

レイザーは、エイトたちに相談する。
エイトは、アルルの方を見た。

「私はいいですけど・・・。」

「ああ、問題ないよ。僕も、いらない道具を売って、装備を整えたいからね。」

「では、2日後、この場所この時間に会おう。すまないが、今日は失礼させてもらうよ。」

そういうと、レイザーは全員分の会計を済ませ、店を出た。



アルルは、上の空で話を聞いていたレヴィアに話しかける。

「予定が空いちゃいましたね。レヴィアさん、何か予定とかありませんか?
 よかったら、迷宮に入るなら、着替えも必要だろうし、一緒に服を買いに行かないかなーって思ったんですけど。」


「あーあ・・・・・・・。」

レヴィアは、アルルの方を見て、満面の笑みを浮かべる!


「よし!行こう!いらない道具を売れば、金に困ることはない!いざとなったら!」

レヴィアは、ポケットから何かを取り出し見つめている。
その様子を見ていた エイトは、レヴィアに釘をさす。

「分かってるとは思うけど、それは、売っちゃダメだからね。」

「何ですか?その歯みたいな物は?」

アルルは、レヴィアの手に握られている、物を興味津々に質問する。

「ああ、これね。」

レヴィアが、何かを強く握ると、手に持っていた何かは、巨大なハンマーに変化した!


「ま、ま、魔装具ですか!!!!」

「いや、違う。そんな変な名前ではない!」



周囲の冒険者がザワつく。

「おい!あれ、魔装具じゃねーか!」

「やべーだろ、女同士の喧嘩でも始まるのか!?」


レヴィアがハンマーを振り回すと、不気味な唸り声のような重低音が響きわたる。

ゴオォォォン!ゴオォォォォン!


レヴィアが巨大なハンマーを振り回し、ポーズを決める!

「ゴニョゴニョ・・・又の名を、狂える海龍王の撃槌ストリームハンマー!」


「おおおお!すげーぞ、あの女の子!魔装具持ちだ!」

狂える海龍王の撃槌ストリームハンマーだっけ、ネーミングすげーな!」




ザワつく冒険者たち!




エイトは一人、冷静に見守っていた。







「それ、タンタンハンマーだろ・・・。」




 ~ to be continued



【補足】


魔装具:
神々が、地獄の門を目指す人間に与えた、魔法を装着する道具である。
魔装具は、物ではなく者に分類され、同じ品は存在せず、大変貴重な者である。
使用者を覚えると言われていて、装着者以外が装備すると、破滅をもたらしたり、そもそも重すぎて使えなかったりする。装着者以外が装備する方法は、装着者が死亡した場合か、装着者から真の譲渡があった場合のみである。


・タンタンハンマー・魔装具ランク☆☆☆☆☆☆
 別名(狂える海龍王の撃槌ストリームハンマー
伝説のドラゴン、レヴィアタンの牙から作られた巨大なハンマー
衝撃を与える瞬間、威力が使用者の気分次第で増減する。
0倍~1000倍の破壊力が見込まれる。
変化型の魔装具で、レヴィアの意思で、人間の歯程度に縮小できる。
ネーミングがひどい。サブネームは痛い。
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