目指せ地獄の門 ~改訂版~

黒山羊

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2章・スタートライン

第5話 おもてなし

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~翌日~

宿の前でレヴィアとアルルが集合している。
エイトは、徹夜の仕分け作業で疲れたのか、眠っているようだ。
それでも、まだ全体の数パーセントしか仕分け出来ていないようだが・・・。


「エイトは来ないよ。二人で薬を売りに行くとしよう。」

「はい。冒険者用の業者を通すと手数料を取られちゃうから、直接、雑貨屋に交渉に行きましょうか。」

「常識担当のアルルに任せる。」


二人は、町の雑貨屋に来た。ウィンター商会と書いてあり、立派な店がある。お客も列を作り、店内に入るのも順番待ちの人気店のようだ。

「ウィンター商会は王都にもある商会の本拠地ですから、確実だと思いますよ。」

「立派な店舗だね。」

周囲を見渡したレヴィアは、向かいの店のショーウィンドウに飾ってあるドレスを見つけた。
アルルが、店の行列に並ぼうとすると、レヴィアが止める。

「どうしたんですか?」

「待つのは面倒だから、コッチに決めた。」


レヴィアの指す方には、よく言えば、こじんまりとした。悪く言えば、いまにも潰れそうな店がある。看板には、ハロルド商会と書いてあるが、客の姿が見えない。

「この雑貨屋、開いてるんですかね?」

「大丈夫。カウンターに女性がいるだろ。ほら!」

確かに、カウンターに店番の娘(10歳くらい)がいるが、机に足を投げ出し、接客の態度ではない。




レヴィアは、気にせずに店内に入る。
店番の娘は、姿勢を変えずに迎え入れる?

「冷やかしなら帰ってー!」


アルルは、店番の娘の態度に少し警戒し、怯えているようだ。

「ほら、なんかよくないですよ。帰りましょうよ!」

「大丈夫だ。店は店だから!待つのは絶対に嫌なんだ!」

レヴィアは、なぜか、ハロルド商会から出たがらない。
騒ぎを聞きつけて奥から店主らしき男が飛び出てくる。

「いらっしゃいませー!!!私は、店主のハロルドです!」

店番の娘と違い、愛嬌たっぷりの、オヤジが出てきた。





「お客様、お買い物ですか?それとも、お買い物ですか?



 もしかして、




 お・か・い・も・の!?」

ハロルドが、可愛らしくウィンクしてくるのが、気持ち悪い・・・。







固まる二人。







「・・・ああ、やっぱり向こうがいいかもしれないな。」




 ~ to be continued




【補足】


ウィンター商会:
王国の商人協会に所属する、大商人の店。
商人協会順位は、第1位になり、資産の部では、第2~4位の商会を足しても、ウィンター商会の、会長の個人資産と並ぶ程度だと言われている。


ハロルド(56):
ハロルド商会の会長。いまにも潰れそうな店だが、商人協会に所属する商会である。
順位は、下から2番目だが、30年ほど前までは、上から2番目の位に所属していた。

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