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2章・スタートライン
第6話 現金商売愛
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~ハロルド商会~
最初は、薬を売りに来た旨を説明したとき、あきらかに嫌な態度をとっていた店主も、調合された薬を見て、目の色が変わった。
「これ、賢者の石を原料にしてますよね!」
「ああ、そんなこと言ってたな。たしか、錬金術のスキル薬だと思うけど。」
ハロルドは、次から次に薬を手に取り、品定めをしている。
「これ、天使の涙を使った、フルポーションじゃないですか!!!」
「ああ、それは成功した分だよね。たくさんあるから、少し持ってきてみたんだ。こっちが失敗の猛毒。」
「この猛毒もすごいですよ!ヒドラの血を使ってあるみたいだ!」
ハロルドは、感動している。
「あああ!完全万能薬に召喚補助薬まである!」
ハロルドは、我に返り、レヴィアたちに質問する。
「しかし・・・。お客様、どこでこんな貴重な品を?」
レヴィアは考えた。
ハロルドは、大量に持ち込まれた薬を見て、盗品だと思っているようだ。
本当のことをいうと怪しまれる。
しかも、嘘がバレると捕まり面倒に巻き込まれてしまう。
レヴィアは、出来ることなら、面倒ごとは避けたいと考え答えた。
「形見・・・、知り合いの・・・。」
ハロルドは、笑顔で頷く。
「たしかに、一般人がこんな物騒な薬は使わないからですね。私が責任もって買い取りましょう。」
「よろしく。」
ハロルドは、娘を呼ぶ。
奥から出てきたのは、さっき店番をしていた、10歳くらいの不愛想な女の子だ。
娘をレヴィアに紹介するように近くに呼ぶ。
そして、ハロルドは、レヴィアに話しかける。
「今回の買い取り金額は、金貨7,000枚になりますが、あいにく手持がありません。そこで、この金額を準備できるまで、娘を担保として預かってほしいんです。」
当たり前だが 初耳だったようで、目を丸くする ハロルドの娘。
「えーーーーー!ごめんなさい。お父さん、ちゃんと店番しますから!」
女の子の泣き叫ぶ姿に同情する二人・・・。
「いや、だったら、表に飾ってるドレスや布地を担保にしてもいいんだけどなー。ねえ、アルル。」
「そ、そうですよ!流石に娘さんを担保に預かるわけには。」
「いえいえ、ドレスだけでは 担保として 割が合いません。もちろん、ドレスや布地は、利子として差し上げますがいかがでしょうか。」
どうやって断ろうか、困惑する2人。
泣き叫び懇願する女の子。
「絶対いやだよ!僕は家にいたいよ!」
「ミザリ、わがままを言うんじゃない。」
ハロルドが、娘を奥に連れていき、ソロバンをはじく。
すると、笑顔で戻ってくる ハロルドと娘。
「レヴィア姉さん、宜しくお願いします。僕は、ミザリィ=ハロルドといいます。みんなからは、ミザリって呼ばれてます。」
「娘をお願いしますね!冒険者さん。」
ミザリは、二人の間に割り込んで笑顔を振りまく。
「レヴィアさん、何を吹き込まれたんでしょうか・・・。」
「人間って、おそろしいな。」
~ to be continued
【補足】
賢者の石:
錬金術を行う際、錬金術の効果を大幅に引き上げてくれる石。
別に等価交換を無視して、万能に変化したりするわけではない。
錬金術のスキル薬:
スキルを習得することができる薬。
数多の錬金術師や、宮廷魔術師、神官などが スキル薬を作ろうとしてきたが、成功させることはできなかった。
幻の薬。ハロルドは安く買いたたいているが、これ1本で金貨10,000枚以上はするだろう。
天使の涙:
世界に存在しない物質。天使の流した涙のことで、莫大な魔力を含んでいる。
太古の時代に作られた、年代物のフルポーションに含まれている。
フルポーション:
傷を治す薬。傷や病気を治すだけではなく、ちぎれた体を再生したりもできるが、なぜか火傷は治りが遅い。
また魔法で受けた傷も治りが遅い。
太古の時代に作られた品で、遺跡や迷宮などで発見されるものを時間をかけて増やしている為、あまり市場に出回ることはない。
ちなみにフルポーションの生成に成功しているのは、ウィンター商会とハロルド商会だけであり、生産能力は、月に2~30本といった程度である。しかもハロルド商会は、現在はフルポーションの精製技術が失われたようで、生産を中止している。
ヒドラの血:
沼地の王ヒドラの心臓の血液。心臓にしか血液が流れてないので、回収する為には、ヒドラを殺す必要がある。
ヒドラは 切られた体を強化しながら再生することができるので、殺すには、撲殺か 切った個所を火で焼き、回復させないようにして心臓を取り出すしかない。
完全万能薬:
状態異常を治すだけではなく、呪いまで解除することができる。
召喚補助薬:
別に召喚魔法が使えるわけではない。
この世界では、魔法を唱えると、別の世界から召喚されるという認識なので、魔力回復薬の事を、召喚補助薬と呼んでいる。
ミザリィ(年齢不詳):
10歳ほどの女の子、種族は人間のようだが、耳の先がエルフのように尖っている。
それ以外のエルフの特徴は何もない。
最初は、薬を売りに来た旨を説明したとき、あきらかに嫌な態度をとっていた店主も、調合された薬を見て、目の色が変わった。
「これ、賢者の石を原料にしてますよね!」
「ああ、そんなこと言ってたな。たしか、錬金術のスキル薬だと思うけど。」
ハロルドは、次から次に薬を手に取り、品定めをしている。
「これ、天使の涙を使った、フルポーションじゃないですか!!!」
「ああ、それは成功した分だよね。たくさんあるから、少し持ってきてみたんだ。こっちが失敗の猛毒。」
「この猛毒もすごいですよ!ヒドラの血を使ってあるみたいだ!」
ハロルドは、感動している。
「あああ!完全万能薬に召喚補助薬まである!」
ハロルドは、我に返り、レヴィアたちに質問する。
「しかし・・・。お客様、どこでこんな貴重な品を?」
レヴィアは考えた。
ハロルドは、大量に持ち込まれた薬を見て、盗品だと思っているようだ。
本当のことをいうと怪しまれる。
しかも、嘘がバレると捕まり面倒に巻き込まれてしまう。
レヴィアは、出来ることなら、面倒ごとは避けたいと考え答えた。
「形見・・・、知り合いの・・・。」
ハロルドは、笑顔で頷く。
「たしかに、一般人がこんな物騒な薬は使わないからですね。私が責任もって買い取りましょう。」
「よろしく。」
ハロルドは、娘を呼ぶ。
奥から出てきたのは、さっき店番をしていた、10歳くらいの不愛想な女の子だ。
娘をレヴィアに紹介するように近くに呼ぶ。
そして、ハロルドは、レヴィアに話しかける。
「今回の買い取り金額は、金貨7,000枚になりますが、あいにく手持がありません。そこで、この金額を準備できるまで、娘を担保として預かってほしいんです。」
当たり前だが 初耳だったようで、目を丸くする ハロルドの娘。
「えーーーーー!ごめんなさい。お父さん、ちゃんと店番しますから!」
女の子の泣き叫ぶ姿に同情する二人・・・。
「いや、だったら、表に飾ってるドレスや布地を担保にしてもいいんだけどなー。ねえ、アルル。」
「そ、そうですよ!流石に娘さんを担保に預かるわけには。」
「いえいえ、ドレスだけでは 担保として 割が合いません。もちろん、ドレスや布地は、利子として差し上げますがいかがでしょうか。」
どうやって断ろうか、困惑する2人。
泣き叫び懇願する女の子。
「絶対いやだよ!僕は家にいたいよ!」
「ミザリ、わがままを言うんじゃない。」
ハロルドが、娘を奥に連れていき、ソロバンをはじく。
すると、笑顔で戻ってくる ハロルドと娘。
「レヴィア姉さん、宜しくお願いします。僕は、ミザリィ=ハロルドといいます。みんなからは、ミザリって呼ばれてます。」
「娘をお願いしますね!冒険者さん。」
ミザリは、二人の間に割り込んで笑顔を振りまく。
「レヴィアさん、何を吹き込まれたんでしょうか・・・。」
「人間って、おそろしいな。」
~ to be continued
【補足】
賢者の石:
錬金術を行う際、錬金術の効果を大幅に引き上げてくれる石。
別に等価交換を無視して、万能に変化したりするわけではない。
錬金術のスキル薬:
スキルを習得することができる薬。
数多の錬金術師や、宮廷魔術師、神官などが スキル薬を作ろうとしてきたが、成功させることはできなかった。
幻の薬。ハロルドは安く買いたたいているが、これ1本で金貨10,000枚以上はするだろう。
天使の涙:
世界に存在しない物質。天使の流した涙のことで、莫大な魔力を含んでいる。
太古の時代に作られた、年代物のフルポーションに含まれている。
フルポーション:
傷を治す薬。傷や病気を治すだけではなく、ちぎれた体を再生したりもできるが、なぜか火傷は治りが遅い。
また魔法で受けた傷も治りが遅い。
太古の時代に作られた品で、遺跡や迷宮などで発見されるものを時間をかけて増やしている為、あまり市場に出回ることはない。
ちなみにフルポーションの生成に成功しているのは、ウィンター商会とハロルド商会だけであり、生産能力は、月に2~30本といった程度である。しかもハロルド商会は、現在はフルポーションの精製技術が失われたようで、生産を中止している。
ヒドラの血:
沼地の王ヒドラの心臓の血液。心臓にしか血液が流れてないので、回収する為には、ヒドラを殺す必要がある。
ヒドラは 切られた体を強化しながら再生することができるので、殺すには、撲殺か 切った個所を火で焼き、回復させないようにして心臓を取り出すしかない。
完全万能薬:
状態異常を治すだけではなく、呪いまで解除することができる。
召喚補助薬:
別に召喚魔法が使えるわけではない。
この世界では、魔法を唱えると、別の世界から召喚されるという認識なので、魔力回復薬の事を、召喚補助薬と呼んでいる。
ミザリィ(年齢不詳):
10歳ほどの女の子、種族は人間のようだが、耳の先がエルフのように尖っている。
それ以外のエルフの特徴は何もない。
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