24 / 89
3章・迷宮探索!
第1階 迷宮の悪魔
しおりを挟む
~迷宮・地下1階~
迷宮の入り口にある鉄格子を通り抜けると、いよいよ迷宮の探索が始まる。
迷宮とは言われているが、中の様子は 比較的大きめの洞窟で、天井までの高さは 3~5m程度、床や壁の1mくらいの高さまで 光る苔がところどころ自生しており、ランタンの明かりが無くとも満月の夜程度の明かりは保持されている。
パーティは、迷宮前での話し合いの結果、隊列も決まったようだ。
前衛 エイト、レイザー
中衛 アルル、ミザリ
後衛 レヴィア
・アルルは、ミザリの護衛もかねて中衛になっている。
・バックアタックを警戒して、スキルはないが、勘のいいレヴィアが後衛になっている。
・なるべく陣形を崩さないように戦うが、臨機応変に対応する。
しかし、エイトの個人的な予想では、後衛のレヴィアだが、戦闘が始まれば、真っ先に突進すると思う。
実際、ダンジョンに入ってすぐの所で、レヴィアが興味本位からか光る苔の場所まで駆けだして、光る苔を観察していた。
・・・つまり、エイトの考えていた適当に落ち着きそうだ。
エイトは、付け焼刃の陣形は意味がないことを数多くの経験から学んでいるようだ・・・。
パーティは、ダンジョンの中を進む。
ダンジョン1階は、他の冒険者も多く、敵は少ない。
たまに出てきても、他の冒険者達に すぐ倒されてしまう。
ダンジョンの魔物は、体内に宝石を蓄えている為、その宝石を集める為に、低階層を巡回するパーティもあるようだ。
宝石目当ての他の冒険者たちに魔物が駆逐され、なかなか戦闘をすることが出来ない。
このままでは、ろくな戦闘もせず、下の階へと進んでしまうだろう。
そこで、アルルがパーティに質問する。
「皆さんの実力は、どのくらいなんですか?」
「どのくらいというと?」
レヴィアが質問に質問で返す。
レヴィアの質問にアルルが自信満々で答える。
「例えば、私は中級クラスなら、一対一で何とか勝てるくらいです!」
「おお!私は、下級クラスなら倒せるが、中級になると難しいかな。」
レイザーは、アルルの戦闘力の高さに感心しているようだ。
ちなみに 2人の会話に出ているクラスとは、モンスタークラスの意味で、モンスターの強さを示している。
・上級悪魔 人類全体で戦えるレベル。
・中級悪魔 国家軍隊で戦えるレベル。
・下級悪魔 地方軍隊で戦えるレベル。
・上級魔獣 冒険者60人で戦えるレベル。
・中級魔獣 冒険者30人で戦えるレベル。
・下級魔獣 冒険者15人で戦えるレベル。
・上級魔物 冒険者8人で戦えるレベル。
・中級魔物 冒険者5人で戦えるレベル。
・下級魔物 冒険者1人で戦えるレベル。
あくまで、戦えるレベルというのは、勝利できる可能性が30パーセント以上ある。という程度。完全勝利を考えるのであれば、3倍~5倍は人数を集めた方が無難だろう。
もちろん、勇者や、悪魔殺しなどの英雄は、軍隊以上の戦闘力がある。
2人の会話に、エイトとレヴィアも参加する。
「僕も、下級くらいまでなら問題ないよ。レヴィアも下級クラスだよね。」
「ああ、トカゲは中級でもいけるぞ!早いのは苦手だけど。」
ミザリは、全員の状況を確認したあと、なぜか自信満々で答える。
「私は、戦ったことないよ。魔法の援護で、中級を倒したことがあるけどね。」
「魔法が使えるのは心強いな!」
どうやら一般の冒険者は、あまり魔法が使えないこともあり、ミザリが魔法を使えることに、アルルもレイザーも驚いているようだ。
「私が戦闘力では一番なんですね!何か困ったことがあれば、声を出してください!援護します。」
アルルが、ここぞとばかりに自信満々に声をあげる。
レヴィアも笑顔でアルルの肩を叩く。
「心強いな!」
しばらく迷宮を進むと、迷宮の奥から冒険者たちが走って逃げてくる。
「おい!引き返した方がいいぞ!この先にミノタウロスが出たらしい!」
走って逃げてきた冒険者が、パーティに助言してくれた。
エイトは、不思議そうな顔をして、パーティメンバーの方を見る。
「なんだそれ?」
「ああ、中級クラスの魔物だよ。ミノタウロスは、迷宮を守る為に、徘徊してるらしいんだ。」
レイザーが不思議そうな顔のエイトに説明する。
レヴィアも便乗して、何かの怪しい知識を披露する。
「あれだろ、牛の子供。」
ミザリは心配そうに、アルルに声を掛ける。
「やばいね!引き返す?」
「そうね。まだ1階だし、無駄な戦闘は避けたいわね。」
アルルも、退却することが無難な気がしたのだろう。
レヴィアに助言しようと駆け寄る。
「うわーーーー!来たーーー!」
他の冒険者たちの悲鳴にも似た声が響き渡る。
興奮したミノタウロスの 雄たけびも響き渡り、迷宮の1階層は 逃げ惑う冒険者たちで混乱している。
そんな中、エイトは 逃げ惑う人混みを かき分けて、牛の子?を一目見ようと前に歩いていく。
レヴィアの近くに駆け寄ったアルルは、エイトにも聞こえるように大きな声でレヴィアに言う。
「ミノタウロスが興奮してるわ!私たちも撤退しましょう。」
「いや、大丈夫でしょ。」
レヴィアは、普段と変わらない様子で、アルルを見る。
「危険よ!興奮したミノタウロスは、上級クラスの戦闘力になるのよ!」
アルルも、周囲の混乱に影響を受けている。
レヴィアは、それでも普段と変わらない様子で、迷宮の奥の方、ミノタウロスの方を指さす。
「ほら。」
パーティメンバーは、レヴィアの指さす方を見る。
そこには、ミノタウロスの死骸が横たわっている。
「どうしたんだ?傷ついてたのか?」
レイザーが不思議そうな顔をする。
ミザリは、視線をミノタウロスの方に向けたまま、レイザーの疑問に答える。
「・・・切ったんだよ。僕、見てたけど、エイトが しゃがんだと思ったら、ミノタウロスの頭だけ 前に滑り落ちた。」
何食わぬ顔で エイトが戻ってくる。
「エイト、大丈夫?」
心配そうに声を掛ける アルル。
「うん。ところで、あれがミノタウロス?牛の子供って気持ち悪いね。」
「いや、あれは別物のようだね。・・・牛の子供は可愛いから。エイトは本を読んだ方がいいよ。」
レヴィアの怪しい知識からの情報だったのだが・・・。
エイトは、突っ込みたかったが、辞めておいた。
二人が普段通りの会話をしていると、笑顔のミザリが駆け寄ってくる。
「レヴィア姉さん、行こ!」
レヴィアとミザリは、ミノタウロスの元に笑顔で駆けていく。
アルルとレイザーは、目を丸くしていエイトを見ている。
意を決したのか、アルルがエイトに質問する。
「ねえ、どうやったの下級魔物クラスのレベルなんでしょ?」
「?」
エイトは、不思議そうな顔をして しばらく考える。
そして、何かに気づいたように、返事をする。
「いや、下級悪魔クラスかな?」
アルルたちは、レベルの違いに 開いた口が塞がらない
一方そのころ、レヴィアとミザリは、ミノタウロスの死骸から宝石をあさっている。
パーティーの位置から見ると、ミノタウロスの人間っぽい部分しか見えない、二人は、人間の臓器を笑顔で取り出しているように見える。まるで、悪魔のようなシルエットをしている。
・・・気持ちが悪い光景だ。
~ to be continued
【補足】
・ミノタウロス
中級魔物(冒険者5人で戦えるレベル)
身長は、2m~2m20cm程度。
頭と下半身は牛、上半身は筋骨隆々の人間。肉体美学会のシンボルにもなっている。
迷宮を守る為に、徘徊している魔物。
興奮したミノタウロスは、上級クラスの戦闘力。
・肉体美学会
より美しい筋肉を目指す団体。彼らの筋肉愛は素晴らしく。
「筋肉は、信仰心の支えでもあり、献上品でもある」と考えている。
日々8時間のトレーニング、4時間の運動、4時間の食事、8時間の睡眠。
このサイクルをバランスよくこなし、筋肉を育むことに徹底している。
彼らの きてる筋肉を けなせば、その魅力を理解するまで、品評会を見続けなければならなくなるだろう。
ちなみに、授業中や仕事中に空気椅子に座っている人は、肉体美学会の会員かも知れない。
・ミノタウロスの死骸から宝石
宝石は決まった位置になく、宝石が欲しいのなら、探さなければならない。
この労働を嫌って、宝石あさり専門の業者を雇う冒険者もいる。
迷宮の入り口にある鉄格子を通り抜けると、いよいよ迷宮の探索が始まる。
迷宮とは言われているが、中の様子は 比較的大きめの洞窟で、天井までの高さは 3~5m程度、床や壁の1mくらいの高さまで 光る苔がところどころ自生しており、ランタンの明かりが無くとも満月の夜程度の明かりは保持されている。
パーティは、迷宮前での話し合いの結果、隊列も決まったようだ。
前衛 エイト、レイザー
中衛 アルル、ミザリ
後衛 レヴィア
・アルルは、ミザリの護衛もかねて中衛になっている。
・バックアタックを警戒して、スキルはないが、勘のいいレヴィアが後衛になっている。
・なるべく陣形を崩さないように戦うが、臨機応変に対応する。
しかし、エイトの個人的な予想では、後衛のレヴィアだが、戦闘が始まれば、真っ先に突進すると思う。
実際、ダンジョンに入ってすぐの所で、レヴィアが興味本位からか光る苔の場所まで駆けだして、光る苔を観察していた。
・・・つまり、エイトの考えていた適当に落ち着きそうだ。
エイトは、付け焼刃の陣形は意味がないことを数多くの経験から学んでいるようだ・・・。
パーティは、ダンジョンの中を進む。
ダンジョン1階は、他の冒険者も多く、敵は少ない。
たまに出てきても、他の冒険者達に すぐ倒されてしまう。
ダンジョンの魔物は、体内に宝石を蓄えている為、その宝石を集める為に、低階層を巡回するパーティもあるようだ。
宝石目当ての他の冒険者たちに魔物が駆逐され、なかなか戦闘をすることが出来ない。
このままでは、ろくな戦闘もせず、下の階へと進んでしまうだろう。
そこで、アルルがパーティに質問する。
「皆さんの実力は、どのくらいなんですか?」
「どのくらいというと?」
レヴィアが質問に質問で返す。
レヴィアの質問にアルルが自信満々で答える。
「例えば、私は中級クラスなら、一対一で何とか勝てるくらいです!」
「おお!私は、下級クラスなら倒せるが、中級になると難しいかな。」
レイザーは、アルルの戦闘力の高さに感心しているようだ。
ちなみに 2人の会話に出ているクラスとは、モンスタークラスの意味で、モンスターの強さを示している。
・上級悪魔 人類全体で戦えるレベル。
・中級悪魔 国家軍隊で戦えるレベル。
・下級悪魔 地方軍隊で戦えるレベル。
・上級魔獣 冒険者60人で戦えるレベル。
・中級魔獣 冒険者30人で戦えるレベル。
・下級魔獣 冒険者15人で戦えるレベル。
・上級魔物 冒険者8人で戦えるレベル。
・中級魔物 冒険者5人で戦えるレベル。
・下級魔物 冒険者1人で戦えるレベル。
あくまで、戦えるレベルというのは、勝利できる可能性が30パーセント以上ある。という程度。完全勝利を考えるのであれば、3倍~5倍は人数を集めた方が無難だろう。
もちろん、勇者や、悪魔殺しなどの英雄は、軍隊以上の戦闘力がある。
2人の会話に、エイトとレヴィアも参加する。
「僕も、下級くらいまでなら問題ないよ。レヴィアも下級クラスだよね。」
「ああ、トカゲは中級でもいけるぞ!早いのは苦手だけど。」
ミザリは、全員の状況を確認したあと、なぜか自信満々で答える。
「私は、戦ったことないよ。魔法の援護で、中級を倒したことがあるけどね。」
「魔法が使えるのは心強いな!」
どうやら一般の冒険者は、あまり魔法が使えないこともあり、ミザリが魔法を使えることに、アルルもレイザーも驚いているようだ。
「私が戦闘力では一番なんですね!何か困ったことがあれば、声を出してください!援護します。」
アルルが、ここぞとばかりに自信満々に声をあげる。
レヴィアも笑顔でアルルの肩を叩く。
「心強いな!」
しばらく迷宮を進むと、迷宮の奥から冒険者たちが走って逃げてくる。
「おい!引き返した方がいいぞ!この先にミノタウロスが出たらしい!」
走って逃げてきた冒険者が、パーティに助言してくれた。
エイトは、不思議そうな顔をして、パーティメンバーの方を見る。
「なんだそれ?」
「ああ、中級クラスの魔物だよ。ミノタウロスは、迷宮を守る為に、徘徊してるらしいんだ。」
レイザーが不思議そうな顔のエイトに説明する。
レヴィアも便乗して、何かの怪しい知識を披露する。
「あれだろ、牛の子供。」
ミザリは心配そうに、アルルに声を掛ける。
「やばいね!引き返す?」
「そうね。まだ1階だし、無駄な戦闘は避けたいわね。」
アルルも、退却することが無難な気がしたのだろう。
レヴィアに助言しようと駆け寄る。
「うわーーーー!来たーーー!」
他の冒険者たちの悲鳴にも似た声が響き渡る。
興奮したミノタウロスの 雄たけびも響き渡り、迷宮の1階層は 逃げ惑う冒険者たちで混乱している。
そんな中、エイトは 逃げ惑う人混みを かき分けて、牛の子?を一目見ようと前に歩いていく。
レヴィアの近くに駆け寄ったアルルは、エイトにも聞こえるように大きな声でレヴィアに言う。
「ミノタウロスが興奮してるわ!私たちも撤退しましょう。」
「いや、大丈夫でしょ。」
レヴィアは、普段と変わらない様子で、アルルを見る。
「危険よ!興奮したミノタウロスは、上級クラスの戦闘力になるのよ!」
アルルも、周囲の混乱に影響を受けている。
レヴィアは、それでも普段と変わらない様子で、迷宮の奥の方、ミノタウロスの方を指さす。
「ほら。」
パーティメンバーは、レヴィアの指さす方を見る。
そこには、ミノタウロスの死骸が横たわっている。
「どうしたんだ?傷ついてたのか?」
レイザーが不思議そうな顔をする。
ミザリは、視線をミノタウロスの方に向けたまま、レイザーの疑問に答える。
「・・・切ったんだよ。僕、見てたけど、エイトが しゃがんだと思ったら、ミノタウロスの頭だけ 前に滑り落ちた。」
何食わぬ顔で エイトが戻ってくる。
「エイト、大丈夫?」
心配そうに声を掛ける アルル。
「うん。ところで、あれがミノタウロス?牛の子供って気持ち悪いね。」
「いや、あれは別物のようだね。・・・牛の子供は可愛いから。エイトは本を読んだ方がいいよ。」
レヴィアの怪しい知識からの情報だったのだが・・・。
エイトは、突っ込みたかったが、辞めておいた。
二人が普段通りの会話をしていると、笑顔のミザリが駆け寄ってくる。
「レヴィア姉さん、行こ!」
レヴィアとミザリは、ミノタウロスの元に笑顔で駆けていく。
アルルとレイザーは、目を丸くしていエイトを見ている。
意を決したのか、アルルがエイトに質問する。
「ねえ、どうやったの下級魔物クラスのレベルなんでしょ?」
「?」
エイトは、不思議そうな顔をして しばらく考える。
そして、何かに気づいたように、返事をする。
「いや、下級悪魔クラスかな?」
アルルたちは、レベルの違いに 開いた口が塞がらない
一方そのころ、レヴィアとミザリは、ミノタウロスの死骸から宝石をあさっている。
パーティーの位置から見ると、ミノタウロスの人間っぽい部分しか見えない、二人は、人間の臓器を笑顔で取り出しているように見える。まるで、悪魔のようなシルエットをしている。
・・・気持ちが悪い光景だ。
~ to be continued
【補足】
・ミノタウロス
中級魔物(冒険者5人で戦えるレベル)
身長は、2m~2m20cm程度。
頭と下半身は牛、上半身は筋骨隆々の人間。肉体美学会のシンボルにもなっている。
迷宮を守る為に、徘徊している魔物。
興奮したミノタウロスは、上級クラスの戦闘力。
・肉体美学会
より美しい筋肉を目指す団体。彼らの筋肉愛は素晴らしく。
「筋肉は、信仰心の支えでもあり、献上品でもある」と考えている。
日々8時間のトレーニング、4時間の運動、4時間の食事、8時間の睡眠。
このサイクルをバランスよくこなし、筋肉を育むことに徹底している。
彼らの きてる筋肉を けなせば、その魅力を理解するまで、品評会を見続けなければならなくなるだろう。
ちなみに、授業中や仕事中に空気椅子に座っている人は、肉体美学会の会員かも知れない。
・ミノタウロスの死骸から宝石
宝石は決まった位置になく、宝石が欲しいのなら、探さなければならない。
この労働を嫌って、宝石あさり専門の業者を雇う冒険者もいる。
0
あなたにおすすめの小説
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
サラリーマン、少女になる。
あさき のぞみ
ファンタジー
目が覚めたら、俺は見知らぬ10歳の少女になっていた。
頼れるのは、唯一の理解者であるはずの同僚「まい」だけ。彼女はなぜか僕を**「娘」として扱い始め、僕の失われた体を巡る24時間の戦い**が幕を開ける。
手がかりは、謎の製薬会社と、10年前の空白の記憶。
時間がない。焦るほどに、この幼い体が僕の理性と尊厳を蝕んでいく。そして、僕は知る。最も近くで微笑んでいた人物こそが、この絶望的な運命の**「設計者」**であったことを。
あなたは、その愛から逃れられますか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる