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6章・変革の時
第3話 秘密の決起
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~宿【冒険者の集い】~
レヴィアは エイト以外のメンバーを集め、酒場を貸し切り 昼食をとる。
この時間は開店前だが、女将は気前よく、貸し切りをOKしてくれた。
レヴィアは、エイトから一時的に譲渡してもらった魔装具(隠密の指輪)を発動し、全員の手を重ねる。
なかなか話を切り出さないレヴィアに、ミザリが催促する。
「レヴィア姉さん、そろそろ説明してよ!」
「何か問題でもあったんですか?」
魔装具(隠密の指輪)を発動してまでの話し合いに、アルルも心配そうに質問する。
レヴィアは 大きな問題ではないといった上で話を始める。
それは、新しく2名の仲間が増える可能性があることと、出発を3年後に考えていることを説明する。
そして・・・、
「ウィンターは、エイトと冒険したことがある。」
「え? ウィンターって、ウィンター商会の会長ですよね。」
ミザリが、レヴィアの話の矛盾点を挙げる。
「そんな、だってウィンター会長が冒険者だったのは、8年前だよ。エイトは、15歳でしょ。7歳の時に冒険したことになるよ!」
「ああ、その部分は謎なんだが、ウィンターが、チョビスケを知っていた。」
「チョビスケ?ウィンター会長が言ってた・・・。
たしか、巨大陸ガメの名前だったよね。」
「巨大陸ガメって、あのお墓の・・・。」
アルルの一言に、ミザリは黙ってしまい、レヴィアが頷く。
「以前、館のベットの下に隠すように置かれていた日記を読んだことがある。
書いた者が誰なのか、その時は分からなかったが、日記の持ち主は、一人で修業をし、地獄の門を目指す人物の日記だった。
その少年の心の支えになったのが、陸ガメのチョビスケだったそうだ。
チョビスケは、主父様の神級魔法円の実験台になり、超高位の防御魔法を習得していたようだ。」
「ちょっと、待ってください。エイトさんの魔法円は、主父様って方が書いたんですか?」
「ああ、主父の、バール様だ。」
「「「豊穣の神が!?」」」
「わたしも、元はドラゴン、レヴィアタンだからね。それくらいは問題ないことだろう。」
「レヴィア姉さんが、レヴィアタン?」
「あの伝説のドラゴンですか!?」
ミザリ、アルル、レイザーは、信じられないといった顔をするが、2人の桁違いの実力に、レヴィアの話を否定することもできない。
「ああ、話を戻してもいいかな?」
「あ、はい。すみません。」
レヴィアは アルルに微笑みかけ、話を続ける。
「私は、女神さまより頂いた魔装具(全知の書)を読み、事の真実を調べていた。」
「・・・。」
レヴィアは、より真剣な表情をしメンバー一人一人の目を順番に見つめていく。
そして、自分自身の正直な意見を話し始めた。
「ここからは、私の憶測だが、地獄の門の先にあるのは、死者を蘇らせる術でも、どんな病気を治す術でもない気がする。
もちろん、そういった術もあるかもしれないが、たぶん これは、地獄の門を手中に収めるゲームか何かだと考えている。
そして、その駒として、無限の魂を持つ一族の生き残りのエイトが選ばれただけの話なんだと思うんだ。」
レヴィアの意見に、落胆するアルル。
「そんな・・・。ただのゲームだなんて・・・。」
「まあ、正直なところ、私の想像の範囲なので、ただの思い過ごしかもしれない。
ただ、みんなには 町に残ってレヴィア商会を譲渡する道も作っておいた。
このまま冒険に行く価値を見出せないなら、町に残ってもらって構わない。冒険に行くのであれば、正直、いまのレベルでは、足手まといだ。
このままでは・・・。」
レヴィアの一言は、メンバーに深く突き刺さる。
正直、20階層までの戦闘をエイトとレヴィアで、ほぼ終わらせている。
レイザーやアルル、ミザリは、2人の邪魔にならないように回避に専念し、援護するとしても雀の涙ほどの援護しかできていない。
レヴィアは、呟くように小さく声に出す。
「・・・また、エイトを殺してしまうことになってしまうだろう。」
「・・・。」
「私は、エイトの魂を、神々のゲームから開放したい。」
真剣な表情のレヴィアの言葉に呼応するように、アルルが口を開く。
「出発は、3年後ですよね!レヴィアさん、任せてください、戦闘の要になりますから!」」
レイザーも、笑いながら言う。
「ああ、3年もあれば 立派な魔法戦士になれそうだな。2つ名が付くほどに成長できるかもな!」
ミザリは、商人として成功を夢見てレヴィア達と冒険をしてきた。
ここで、レヴィア商会を引継ぎ運営すれば、その夢も大幅に前進するだろう。
しかし、そのつもりはないようだ。
「もしかして、エイトより強いだけじゃなくて、背も高くなったりしてね。3年後が楽しみだね!」
メンバーの意思にレヴィアは、目に涙を浮かべる。
それだけ真剣に考えていた証拠だろう。
レヴィアは、メンバーたちに気づかれないように、元気よく振る舞う。
「よし!そうと決まれば、今日は決起パーティだ!!!」
「「「おぉー!」」」
「女将、女将!」
「女将、女将!!」
「女将、女将!!!」
レヴィアが女将を呼び続けるが、なかなか返事がない。
魔装具(隠密の指輪)の解除をするのは、30分後だったそうだ。
~ to be continued
レヴィアは エイト以外のメンバーを集め、酒場を貸し切り 昼食をとる。
この時間は開店前だが、女将は気前よく、貸し切りをOKしてくれた。
レヴィアは、エイトから一時的に譲渡してもらった魔装具(隠密の指輪)を発動し、全員の手を重ねる。
なかなか話を切り出さないレヴィアに、ミザリが催促する。
「レヴィア姉さん、そろそろ説明してよ!」
「何か問題でもあったんですか?」
魔装具(隠密の指輪)を発動してまでの話し合いに、アルルも心配そうに質問する。
レヴィアは 大きな問題ではないといった上で話を始める。
それは、新しく2名の仲間が増える可能性があることと、出発を3年後に考えていることを説明する。
そして・・・、
「ウィンターは、エイトと冒険したことがある。」
「え? ウィンターって、ウィンター商会の会長ですよね。」
ミザリが、レヴィアの話の矛盾点を挙げる。
「そんな、だってウィンター会長が冒険者だったのは、8年前だよ。エイトは、15歳でしょ。7歳の時に冒険したことになるよ!」
「ああ、その部分は謎なんだが、ウィンターが、チョビスケを知っていた。」
「チョビスケ?ウィンター会長が言ってた・・・。
たしか、巨大陸ガメの名前だったよね。」
「巨大陸ガメって、あのお墓の・・・。」
アルルの一言に、ミザリは黙ってしまい、レヴィアが頷く。
「以前、館のベットの下に隠すように置かれていた日記を読んだことがある。
書いた者が誰なのか、その時は分からなかったが、日記の持ち主は、一人で修業をし、地獄の門を目指す人物の日記だった。
その少年の心の支えになったのが、陸ガメのチョビスケだったそうだ。
チョビスケは、主父様の神級魔法円の実験台になり、超高位の防御魔法を習得していたようだ。」
「ちょっと、待ってください。エイトさんの魔法円は、主父様って方が書いたんですか?」
「ああ、主父の、バール様だ。」
「「「豊穣の神が!?」」」
「わたしも、元はドラゴン、レヴィアタンだからね。それくらいは問題ないことだろう。」
「レヴィア姉さんが、レヴィアタン?」
「あの伝説のドラゴンですか!?」
ミザリ、アルル、レイザーは、信じられないといった顔をするが、2人の桁違いの実力に、レヴィアの話を否定することもできない。
「ああ、話を戻してもいいかな?」
「あ、はい。すみません。」
レヴィアは アルルに微笑みかけ、話を続ける。
「私は、女神さまより頂いた魔装具(全知の書)を読み、事の真実を調べていた。」
「・・・。」
レヴィアは、より真剣な表情をしメンバー一人一人の目を順番に見つめていく。
そして、自分自身の正直な意見を話し始めた。
「ここからは、私の憶測だが、地獄の門の先にあるのは、死者を蘇らせる術でも、どんな病気を治す術でもない気がする。
もちろん、そういった術もあるかもしれないが、たぶん これは、地獄の門を手中に収めるゲームか何かだと考えている。
そして、その駒として、無限の魂を持つ一族の生き残りのエイトが選ばれただけの話なんだと思うんだ。」
レヴィアの意見に、落胆するアルル。
「そんな・・・。ただのゲームだなんて・・・。」
「まあ、正直なところ、私の想像の範囲なので、ただの思い過ごしかもしれない。
ただ、みんなには 町に残ってレヴィア商会を譲渡する道も作っておいた。
このまま冒険に行く価値を見出せないなら、町に残ってもらって構わない。冒険に行くのであれば、正直、いまのレベルでは、足手まといだ。
このままでは・・・。」
レヴィアの一言は、メンバーに深く突き刺さる。
正直、20階層までの戦闘をエイトとレヴィアで、ほぼ終わらせている。
レイザーやアルル、ミザリは、2人の邪魔にならないように回避に専念し、援護するとしても雀の涙ほどの援護しかできていない。
レヴィアは、呟くように小さく声に出す。
「・・・また、エイトを殺してしまうことになってしまうだろう。」
「・・・。」
「私は、エイトの魂を、神々のゲームから開放したい。」
真剣な表情のレヴィアの言葉に呼応するように、アルルが口を開く。
「出発は、3年後ですよね!レヴィアさん、任せてください、戦闘の要になりますから!」」
レイザーも、笑いながら言う。
「ああ、3年もあれば 立派な魔法戦士になれそうだな。2つ名が付くほどに成長できるかもな!」
ミザリは、商人として成功を夢見てレヴィア達と冒険をしてきた。
ここで、レヴィア商会を引継ぎ運営すれば、その夢も大幅に前進するだろう。
しかし、そのつもりはないようだ。
「もしかして、エイトより強いだけじゃなくて、背も高くなったりしてね。3年後が楽しみだね!」
メンバーの意思にレヴィアは、目に涙を浮かべる。
それだけ真剣に考えていた証拠だろう。
レヴィアは、メンバーたちに気づかれないように、元気よく振る舞う。
「よし!そうと決まれば、今日は決起パーティだ!!!」
「「「おぉー!」」」
「女将、女将!」
「女将、女将!!」
「女将、女将!!!」
レヴィアが女将を呼び続けるが、なかなか返事がない。
魔装具(隠密の指輪)の解除をするのは、30分後だったそうだ。
~ to be continued
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