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7章・再会の喜び
準備1日目 地上の迷宮
しおりを挟む温泉施設を作ると決めた翌朝、早朝からレヴィアはメンバーたちを集め、それぞれに仕事を分配する。
現場の総指揮は、レヴィア
資材や道具の買い付けは、ミザリ
現場の監督は、レイザー、フラウ
広報担当は、アルル、リリアス
レヴィアは、それぞれに指示を出す。
「まずは、買い付け担当のミザリ。
たぶん木材の買い付けを渋られると思う。その時は ウィンター会長の力を使ってでも、必ず買い取ってきてくれ。
もしウィンター会長が協力したいと言ってきたときは、後日、私から悪くない条件をもって伺うと言えばいい。」
「任せてよ、レヴィア姉さん!」
「次に、レイザー、フラウ。
温泉の建設なんだが、解放感あふれる秘境をアピールしながらも、清潔感のある作りにしたい。
まず風呂場だが、共同の風呂と女性専用の風呂を準備してもらう。そこで、注意してもらいたいのが、滝の修行の時に感じた事だが、女性は人前で水着になることを ためらう人もいる。なので、共同の温泉から見えないように壁を作ってもらいたい。
そして、共同の温泉も女性の温泉も、滝のように上の方からお湯を流すようにしようと思うんだ。」
「「滝のように?」」
「ああ、滝は観光客も多かったからね。木材が集まり次第、大きな桶を錬金するから、そこから あふれたお湯が滝のように湯船に入るようにしてもらえればいい。」
「なるほど!こりゃ面白くなるぞ。」
「ああ、面白そうな任務だな。」
「最後に広告担当の2人には、町の広場や飲食店で、
水着の温泉と蒸気のおかげで汗を流せて気持ちが良かった。また行こうね。
と話をするだけでいい。
もし詳しい話を聞かれたら、レヴィア商会が企画した アマゾネス村の秘境の湯に入る1泊旅行だったとだけ伝えれてくれ。」
「えっ!それだけですか?」
「アルル、私たち目当ての男を誘うってことでしょ。簡単な任務ね。」
「まあ、だいたいはそうだね。
だけど、ここが一番重要だ。実際、2人がどれだけ頑張れるかで初動が違う。
そうなると、結果が大きく変わってくる。最初に集客ができれば、娯楽の少ない貴族の耳にも入り、今後の大きな集客に繋げることができるだろう。」
レヴィアが全員に指示を出し終えると、それぞれが移動していく。
レヴィアも、いそいそと村の中を散策し始める。どうやら何かを探しているようだ。
~町の卸市場~
夕方、なんとか市場が閉まる前に町に戻ってきたミザリは、木材組合の組合長と話をしている。
「しかし、さすがに市場の木材を、一度に全部、個人に販売するわけにはいきませんよ。」
「だから、レヴィア商会が買い取るって言ってるんだよ。」
「それは分かってますけど・・・。」
組合長は、なかなか首を縦に振らない。
それもそうだろう。一気に木材を購入されてしまっては、木材の価格が上がったり価格操作を行われてしまう恐れもある。
大量に購入してくれるからOK、というわけにはいかない理由もあるのだ。
そこに、儲け話の匂いを嗅ぎつけたのか ウィンター会長がやってきた。
ウィンター会長は、ミザリの話を聞くと楽しそうに話す。
「やはり、レヴィア会長の差し金か。面白い。私も協力させてもらえないかな。」
「師匠、私では条件を決める権限はないんだ。後日、レヴィア会長が悪くない条件を持って行くからさ。」
「・・・まあ、いいだろう。弟子とレヴィア会長を信じるとしよう。」
ウィンター会長が、ミザリの代わりに 木材組合長と話をしたところ、すんなり木材を販売してくれた。
木材組合長は、ウィンター会長に何度も頭を下げている。
不思議に思ったミザリは、ウィンター会長に質問してみた。
「師匠、どうやったの?」
「それは簡単なことだよ。この案件次第で 組合長の変更を考えてみると言ってみた。」
「・・・。」
いまのレヴィア商会程度の規模では、ウィンター会長を敵に回すべきではない。
ミザリは そう心に誓ったそうだ。
~アマゾネスの村~
一方そのころ、レヴィアは危機に直面していた。
「まさか、この穴に出すの?」
「そうじゃよ。人口も少ないし問題なかったんじゃが。」
レヴィアの見つめる先には、アマゾネス村のトイレ小屋がある。
緑光苔の穴に落とすだけの簡単なトイレだ。
「・・・まさか、地上でも迷宮が味わえると思ってなかったよ。」
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