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7章・再会の喜び
合流5日目 紐鎧の行方
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~アマゾネス村~
昨日は、無事にフラウの故郷に辿り着き、アリス(1歳)に癒された。
この村の風習は少し独特で、産業のない村を支える為、男子は10歳になるころには傭兵として各地に送り出される。
女子は戦士として村に残り、20歳になると冒険者として旅をして伴侶を見つけるというものだ。
「なるほど、女戦士の村か。」
村を散歩していたレヴィアが、ふと呟く。
それを聞いていたアルルも、思ったことを口にする。
「みんな斧を装備して、ビキニアーマーですね。」
「ジャングルでの戦闘だと、剣はツタに絡まったりして使いにくいんだよ。」
アルルの独り言が聞こえていたのだろう。
フラウが斧を装備している理由を説明し、更にレイザーが補足する。
「その点、斧だとツタを切ることにも長けてるからな。
まさに、ところ変われば武器も変わると言ったもんじゃな。」
「なるほど。まるで僕たち商人みたいな合理的な部族なんだね。
装備が合理的、まさに戦闘民族だね。」
ミザリは合理的な装備に感心しているようだ。
そんな話をしていると、村の長老である、オババがやってきた。
「ほっほっほっ。戦闘民族とは、いい響きじゃの。」
「ババ様、すみません。」
フラウは オババに謝罪する。
「いや、その者たちの言う通りじゃ・・・。」
オババが悲しい顔をする。
その表情を見て、レヴィアがオババに話しかける。
「何か訳ありか?」
レヴィアの質問に、オババの代わりにフラウとレイザーが答える。
「実は、王国が安定して権力を持つようになり、傭兵の仕事はなくなってしまったんだ。
その為、この数年は貨幣を獲得する方法がない状態なんだ。
ウィンター商会が迷宮に冒険者を送り込んでいた頃は、なんとか貨幣を獲得できていたんだが、それもなくなり、いま村は生活にさえ困っている状況なんだ。」
「過去に温泉をアピールしたらしいんじゃが、場所が遠く全くダメじゃったらしい。」
「まあ、みんな熟練した戦士だから、迷宮に入り宝石を稼いでるから、なんとかなるんだけどね。」
オババは、フラウたちの説明に、微笑みながら頷いている。
レヴィアは、すこし怪訝そうな顔をしながら、質問を続ける。
「じゃあ、迷宮の魔物が倒しつくされたら?」
「・・・いや、そこまでは考えてない。」
回答に困ったフラウは、オババを見る。
オババはフラウに代わり、レヴィアの質問に答える。
「その時はその時じゃて。
もし宝石が取れなくなってしまえば、作物を育てることも難しい この土地を捨てるしかないじゃろうな。」
「「「・・・。」」」
無言でオババを見るメンバーに、オババが話を続ける。
「傭兵に出すといい、口減らしをしてきた民族じゃ。滅びるのが運命じゃろうて。」
「・・・。」
レヴィアが一歩前に出て、オババに言う。
「ああ、そうだね。滅びるべきだよ。」
「レヴィアさん!」
レヴィアを止めるように、アルルも一歩出る。
レヴィアはアルルの静止も聞かず、話し続ける。
「いままで外に出た傭兵の気持ちを考えれない人たちは、滅びるべきだよ。」
メンバーの周囲を、アマゾネスの女戦士が取り囲む。
「レヴィア姉さん、いいすぎだよ。」
困惑した表情で、ミザリもレヴィアを止めにはいるが、レヴィアは気にせず話を進める。
「オババは、フランダース傭兵団を知っているよね。
以前、彼らの話を聞いたときに興味が出て調べてみたんだ。
団長のパトラッシュ、副団長のネロ、団員全てがアマゾネス村の男子で構成されていた。
彼らは村から捨てられたのかもしれない、だけどそれでも村の為に戦った。
王国を取り戻した時も、この村の永久的な自治権を褒美として選んだ。
それなのに村の長であるオババが、村を捨てるとか、滅びる運命とか、気安く話すのは私は耐えられない。」
レヴィアの真剣な表情に、周囲のアマゾネスの女戦士たちも下を向いている。
中には、自分の子供や兄弟を傭兵として送り出した女戦士もいるのだろう、レヴィアの言葉は、彼女たちの胸に深く突き刺さった。
そんな中、オババは肩を震わせながら涙を流し始めた。
「ああ、わかってる。わかってるんじゃよ。息子たちが・・・。
見捨てたのにもかかわらず、この村の為に命を懸けていたのも・・・。
しかし、もうどうすることもできないんじゃ。」
リリアスとアルルは、オババの気持ちを察してか、レヴィアに声をかける。
「レヴィアも分かってると思うけど、こんな秘境の地だと商売も難しいのよ。」
「そうですよレヴィアさん。それに食物を生産するにしても、湿度が高すぎて難しいですよ。」
2人の意見を聞き入れたうえで、レヴィアは更に一歩前に進み出る。
「いや、大丈夫だ。オババ、私に任せてくれ。」
「しかし、いったいどうやって・・・。」
レヴィアは満面の笑みでオババの肩を叩き、よく通る元気いっぱいの声で周囲の人々に声をかける。
「さあ、忙しくなるぞ!
村の冒険者や傭兵を引き上げて、不眠不休で10日で仕上げるぞ!」
「いったい何をするんだ?」
フラウの疑問に、レヴィアが答える。
「この村全体を、レヴィア商会が王国最大級の秘境温泉施設にする!」
「なるほど。温泉は湧いてるもんね。でも何を目玉商品にするの?」
レヴィアは、フラウとリリアスを見て、ほほ笑む。
「水着で入れるレジャー温泉と、天女リリアスの湯だろうね。」
昨日は、無事にフラウの故郷に辿り着き、アリス(1歳)に癒された。
この村の風習は少し独特で、産業のない村を支える為、男子は10歳になるころには傭兵として各地に送り出される。
女子は戦士として村に残り、20歳になると冒険者として旅をして伴侶を見つけるというものだ。
「なるほど、女戦士の村か。」
村を散歩していたレヴィアが、ふと呟く。
それを聞いていたアルルも、思ったことを口にする。
「みんな斧を装備して、ビキニアーマーですね。」
「ジャングルでの戦闘だと、剣はツタに絡まったりして使いにくいんだよ。」
アルルの独り言が聞こえていたのだろう。
フラウが斧を装備している理由を説明し、更にレイザーが補足する。
「その点、斧だとツタを切ることにも長けてるからな。
まさに、ところ変われば武器も変わると言ったもんじゃな。」
「なるほど。まるで僕たち商人みたいな合理的な部族なんだね。
装備が合理的、まさに戦闘民族だね。」
ミザリは合理的な装備に感心しているようだ。
そんな話をしていると、村の長老である、オババがやってきた。
「ほっほっほっ。戦闘民族とは、いい響きじゃの。」
「ババ様、すみません。」
フラウは オババに謝罪する。
「いや、その者たちの言う通りじゃ・・・。」
オババが悲しい顔をする。
その表情を見て、レヴィアがオババに話しかける。
「何か訳ありか?」
レヴィアの質問に、オババの代わりにフラウとレイザーが答える。
「実は、王国が安定して権力を持つようになり、傭兵の仕事はなくなってしまったんだ。
その為、この数年は貨幣を獲得する方法がない状態なんだ。
ウィンター商会が迷宮に冒険者を送り込んでいた頃は、なんとか貨幣を獲得できていたんだが、それもなくなり、いま村は生活にさえ困っている状況なんだ。」
「過去に温泉をアピールしたらしいんじゃが、場所が遠く全くダメじゃったらしい。」
「まあ、みんな熟練した戦士だから、迷宮に入り宝石を稼いでるから、なんとかなるんだけどね。」
オババは、フラウたちの説明に、微笑みながら頷いている。
レヴィアは、すこし怪訝そうな顔をしながら、質問を続ける。
「じゃあ、迷宮の魔物が倒しつくされたら?」
「・・・いや、そこまでは考えてない。」
回答に困ったフラウは、オババを見る。
オババはフラウに代わり、レヴィアの質問に答える。
「その時はその時じゃて。
もし宝石が取れなくなってしまえば、作物を育てることも難しい この土地を捨てるしかないじゃろうな。」
「「「・・・。」」」
無言でオババを見るメンバーに、オババが話を続ける。
「傭兵に出すといい、口減らしをしてきた民族じゃ。滅びるのが運命じゃろうて。」
「・・・。」
レヴィアが一歩前に出て、オババに言う。
「ああ、そうだね。滅びるべきだよ。」
「レヴィアさん!」
レヴィアを止めるように、アルルも一歩出る。
レヴィアはアルルの静止も聞かず、話し続ける。
「いままで外に出た傭兵の気持ちを考えれない人たちは、滅びるべきだよ。」
メンバーの周囲を、アマゾネスの女戦士が取り囲む。
「レヴィア姉さん、いいすぎだよ。」
困惑した表情で、ミザリもレヴィアを止めにはいるが、レヴィアは気にせず話を進める。
「オババは、フランダース傭兵団を知っているよね。
以前、彼らの話を聞いたときに興味が出て調べてみたんだ。
団長のパトラッシュ、副団長のネロ、団員全てがアマゾネス村の男子で構成されていた。
彼らは村から捨てられたのかもしれない、だけどそれでも村の為に戦った。
王国を取り戻した時も、この村の永久的な自治権を褒美として選んだ。
それなのに村の長であるオババが、村を捨てるとか、滅びる運命とか、気安く話すのは私は耐えられない。」
レヴィアの真剣な表情に、周囲のアマゾネスの女戦士たちも下を向いている。
中には、自分の子供や兄弟を傭兵として送り出した女戦士もいるのだろう、レヴィアの言葉は、彼女たちの胸に深く突き刺さった。
そんな中、オババは肩を震わせながら涙を流し始めた。
「ああ、わかってる。わかってるんじゃよ。息子たちが・・・。
見捨てたのにもかかわらず、この村の為に命を懸けていたのも・・・。
しかし、もうどうすることもできないんじゃ。」
リリアスとアルルは、オババの気持ちを察してか、レヴィアに声をかける。
「レヴィアも分かってると思うけど、こんな秘境の地だと商売も難しいのよ。」
「そうですよレヴィアさん。それに食物を生産するにしても、湿度が高すぎて難しいですよ。」
2人の意見を聞き入れたうえで、レヴィアは更に一歩前に進み出る。
「いや、大丈夫だ。オババ、私に任せてくれ。」
「しかし、いったいどうやって・・・。」
レヴィアは満面の笑みでオババの肩を叩き、よく通る元気いっぱいの声で周囲の人々に声をかける。
「さあ、忙しくなるぞ!
村の冒険者や傭兵を引き上げて、不眠不休で10日で仕上げるぞ!」
「いったい何をするんだ?」
フラウの疑問に、レヴィアが答える。
「この村全体を、レヴィア商会が王国最大級の秘境温泉施設にする!」
「なるほど。温泉は湧いてるもんね。でも何を目玉商品にするの?」
レヴィアは、フラウとリリアスを見て、ほほ笑む。
「水着で入れるレジャー温泉と、天女リリアスの湯だろうね。」
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