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8章・最終章
洞窟28階 使われる者
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「レヴィア姉さんの言う通りだね。
魔物と遭遇しても、面白いように勝手に逃げていくよ!」
「ああ、ルシファーは仮にも大天使だったからね。
もし悪魔程度が大天使の最高位、熾天使に逆らえば一瞬で消滅させちゃう程だからね!」
レヴィアは、自分の手柄を報告するように嬉しそうに話している。
その姿にエイトとルシファーが突っ込む。
「その理論だと、レヴィアは1000回は消滅してるよね。」
「いやいや、100万回くらいでしょうね。」
エイトとルシファーの突っ込みに、気分を害されたように嫌な顔を見せるが、懐かしいやり取りに、すぐに笑顔に戻る。
レヴィアは、ルシファーの腕を軽く叩きながら話す。
「まあともかく、簡単に28階に来れたんだし、この調子で最後まで頼むよ。」
「・・・レヴィア、そろそろ本題に入ってもいいかな。」
ルシファーの一言で、パーティは皆で手をつなぎ、気配を消すように魔装具(隠密の指輪)を発動する。
その様子は、まるで遠足にでも行くような感じだ。
「私は、堕天されて気づいたのは、主父様の考えです。
いままで私は、主父様は、地獄の門の先で奪われた能力を取り返すために、人間を使っているのだと思っていました。」
「熾天使様、その能力とは完全回復魔法ですか?」
アルルの質問に、嬉しそうにルシファーが答える。
「そう、察しがいいですね。
しかし、主父様の真の目的は別にあったんです。」
「真の目的・・・ですか?」
「そうです、エイトくん。
真の目的は、主父様は、誰かとの盟約を守るために地上の民に地獄の門を開けさせることにしたのです。
私たち大天使は、地獄の門を素通りできてしまう。それは地獄側の扉が開いているからです。
・・・まあ、正確には神言を使い扉を開けるのですが、扉は閉じたままです。
しかし、その状態では地獄の魂は決して地獄の門から戻ってくることが出来ない。
それは、こちらの門が閉じているからなんです。」
レヴィアは ルシファーの説明したいことが分からない。
もちろん、他のメンバーたちも同じ意見のようだ。
「・・・?
ごめん、意味が分からない。
それに、そんなのに私たちを使わずに ルシファーが開ければいいじゃないか。」
レヴィアの意見も、もっともである。
「そうですね、私たちが開ければいいのでしょうが、あの扉に触れることはできません。
それは、地獄の門はバベルの塔の一部であり、バベルの塔が定めた盟約を破ればバベルの塔は全ての魂を収集し、我々は魔力を失い世界から消滅してしまいます。」
「バベルの塔?」
ルシファーの説明にエイトが聞き直す。
エイトには何故か聞き覚えのある単語だったようだった。
「ええ、バベルの塔とは 多くの神々が嫌う人間の建造物で、地中深くに封印されました。
地獄の門を開放すれば、バベルの塔から魂が開放され、人間は共通の言語を持ち、主父様を信仰します。」
「最終的に 主父様の信仰が強まれば、主父様の力が強大になるってことかしら。」
リリアスも少し理解できたようで会話に参加する。
ルシファーは、リリアスの考えを肯定するかのように頷き、話を続ける。
「そこで、地獄の門を開放しバベルの塔の封印を解き、魂を開放し自分自身の力をつける為に 主父様は、人間に地獄の門を目指させたんです。
しかし、この数百年、だれも達成することはできませんでした。しかも、地上の人間は迷宮の中に潜っても利益も何も得られない。行くだけ無駄だと考えるようになりました。
その結果、迷宮に挑戦するのは、教会が決めた生贄や、罪人などになりましたが、結果は目に見えています。
そこで、主父様は、考えを変えました。」
「宝石を生み出す魔物を配置するんですね。」
「そうです。エイトの言う通りです。
そこで、アテラティッツの魔物に目を付けました。
主父様も悩んでいましたが、国を人間に滅ぼさせ、魔物を全て手にいれました。」
「何を悩んでたんだ。エイトの国だから?」
レヴィアは、怒りを悟られないように下を向く。
「・・・。」
ルシファーは、エイトの気持ちを理解できないのか、それとも気にしていないのか普通に話し始める。
「いえ違います。
アテラティッツの民は ソロモン王を信仰する残された種族で信仰心が強く、主父様の力の源になっていました。
その信仰の為なのか 受け継がれた血脈なのか それは不明ですが、生まれ持った魔力が地上の全種族の中でダントツに高く、死せる魂を操り自身の肉体からも切り離すことができたのです。」
「私のように、違う肉体に入るってこと?」
リリアスの質問に ルシファーが答える。
「いえ、あなたのような下等な魔法ではなく、神級同様いや、それ以上の崇高な魔法です。
つまり、神々と同様か、それ以上の不死の魂を持っています。」
リリアスが不服そうな顔を一瞬見せる。
レヴィアが、ルシファーに リリアスの不満を悟らせないように、とっさに口を開く。
「あのさ、エイトの魂を分けて、何度も迷宮に挑ませてる?」
ルシファーは、レヴィアとエイトを見る。
「はい。
・・・でも何故、レヴィアがそれを?」
「ふふん!
そのような痕跡を残していたからね。」
自信満々のレヴィアと不思議そうな顔のルシファー。
少しの間だけ立場が逆転したようだ。
そのとき、ミザリが気づいたことがある。
「あれ?でもよく考えると死んでも生き返るのは、いまの冒険者と同じなんじゃないか?」
「ミザリ、それは違うのよ。
冒険者は 肉体が滅びれば、魂もそれに合わせて地獄へ送られるわ。
でも、エイトの場合は、何故か地獄に送られることがないのよ。
肉体さえあれば、不死の魂を持つエイトは何度でも転生できる。
肉体は ただの器だから魂の転生の際、魔力の保有量などに影響されないから 転生を繰り返すほど エイトの魔力は強力に進化してるんじゃないのかしら。」
「よく知っていますね。
ハイエルフ、あなたの言う通り大筋はあっています。」
「でも計算が合わないよね。
アテラティッツが滅びたのが、13年前なんでしょ。
迷宮に宝石の魔物が出始めたのも13年前。エイトも5歳から13年経って、18歳。
過去に挑戦しているとは考えにくい。
どう考えても計算が合わないんだが・・・。」
「レヴィア、あの館は最高神が作った館で 時の流れが違うからですよ。
いまのエイトは、3代目です。
途中、あなたたち2人が門を開けて脱走した時は 慌てましたけどね。
あの後から、館に時の封印が発動しなくなりましたから。」
いまのエイトが3代目と言う話に、エイトが動揺している。
その様子に、レヴィアから話を聞かされ、ある程度いまの状況を把握していたメンバーは気まずくなり目を伏せる。
「先生、前の僕は・・・。」
「ええ、初代は3人で旅をしていたけれども、すぐに倒されてしまいました。
前回は今回と同じようにパーティを組んでいました。名前は忘れましたが、大掛かりな軍団といった感じを受けました。
それに防御魔方陣を実験的に刻印した陸ガメを連れてましたね。」
レヴィアが、納得したような顔をして話し出す。
「最初の冒険は初耳だね。
前回の冒険のメンバーなら知ってるかもよ。
魔法戦士エイト、ハイエルフで大魔導士のゼタ、貴族で大盗賊のウィンター、狂戦士のアレン、パトラッシュ、ネロ。
そして陸ガメのチョビスケ、その他のフランダース傭兵団もいただろう。
ちなみに、ゼタはミザリの母親、アレンはフラウの姉だろうね。」
「・・・言われてみれば、たしかに そんな名前だったかな。」
ルシファーの反応を見て、レヴィアは続けて話し出す。
「16階層で エイトが死亡し、大天・・・ルシファーから亡骸を葬るように言われた。
その後、アレン以外のフランダース傭兵団は、ネロの呪いの件もあり、仲間と共に迷宮から引き上げた。
残った3人は、さらに奥の25階層付近まで到達し、地獄の特級鎧騎士の軍団と遭遇し、他の2人が犠牲になり ウィンターだけ撤退できた。」
ルシファーはレヴィアの話を聞いた後、軽く首を傾げながら返事をする。
「エイトの死亡後は、そのパーティの行動を見ていないから初耳ですね。」
他のパーティは、フラウとミザリを見つめる。
フラウは 形見の手記を胸の前に持ち、姉のことを思い出している。
「それでアレン姉さんの手記には、20階層までの魔物の構成が書いてあったんだ・・・。」
リリアスはミザリを見つめる。
「お母さんは、事故で死んだって言ってたんだけどな。
確かに、棺の中に花しかいれないのは可笑しいよね。
その時は、エルフの風習って言われて納得してたんだけど・・・。 」
リリアスは泣き出しそうなミザリを抱きしめ優しく話す。
「ミザリ、ハイエルフの魂は 地獄の門に捕らわれないのよ。
きっといつもミザリを見守っているわ。」
しんみりとした空気の中、感情がないのか、興味がないだけなのか不明だが、ルシファーが普段と変わらない口調で話し始める。
「そうですか。そこで本題なんですが・・・。」
レヴィアは、ルシファーの言葉を遮り話し始める。
「そうだね、本題は先に進むことだよね。
早く階段を見つけて先に進もう!」
レヴィアは、抵抗するルシファーをぐいぐい引っ張りながら歩く。
ルシファーが、あまりにも抵抗するので、レヴィアはルシファーに釘を刺す。
「そうそう、私たち面白い魔装具を拾ってね。
ミザリの眼鏡は、話した映像と音声を保存できるんだよ。」
「「「!!?」」」
メンバーは、レヴィアの間違った認識に気づく。
「さあ ルシファー、早く29階を目指さないと間違えて神託をしちゃうかもしれないからさ。」
「・・・そ、それは困る。」
ルシファーは、素直に階段を目指し歩き出す。
そんなルシファーに気づかれないように、ミザリがレヴィアに小声で呼びかける。
「レヴィア姉さん。」
レヴィアは、人差し指を口に当てて笑顔で答える。
「今後は使う側に回らないとね!」
魔物と遭遇しても、面白いように勝手に逃げていくよ!」
「ああ、ルシファーは仮にも大天使だったからね。
もし悪魔程度が大天使の最高位、熾天使に逆らえば一瞬で消滅させちゃう程だからね!」
レヴィアは、自分の手柄を報告するように嬉しそうに話している。
その姿にエイトとルシファーが突っ込む。
「その理論だと、レヴィアは1000回は消滅してるよね。」
「いやいや、100万回くらいでしょうね。」
エイトとルシファーの突っ込みに、気分を害されたように嫌な顔を見せるが、懐かしいやり取りに、すぐに笑顔に戻る。
レヴィアは、ルシファーの腕を軽く叩きながら話す。
「まあともかく、簡単に28階に来れたんだし、この調子で最後まで頼むよ。」
「・・・レヴィア、そろそろ本題に入ってもいいかな。」
ルシファーの一言で、パーティは皆で手をつなぎ、気配を消すように魔装具(隠密の指輪)を発動する。
その様子は、まるで遠足にでも行くような感じだ。
「私は、堕天されて気づいたのは、主父様の考えです。
いままで私は、主父様は、地獄の門の先で奪われた能力を取り返すために、人間を使っているのだと思っていました。」
「熾天使様、その能力とは完全回復魔法ですか?」
アルルの質問に、嬉しそうにルシファーが答える。
「そう、察しがいいですね。
しかし、主父様の真の目的は別にあったんです。」
「真の目的・・・ですか?」
「そうです、エイトくん。
真の目的は、主父様は、誰かとの盟約を守るために地上の民に地獄の門を開けさせることにしたのです。
私たち大天使は、地獄の門を素通りできてしまう。それは地獄側の扉が開いているからです。
・・・まあ、正確には神言を使い扉を開けるのですが、扉は閉じたままです。
しかし、その状態では地獄の魂は決して地獄の門から戻ってくることが出来ない。
それは、こちらの門が閉じているからなんです。」
レヴィアは ルシファーの説明したいことが分からない。
もちろん、他のメンバーたちも同じ意見のようだ。
「・・・?
ごめん、意味が分からない。
それに、そんなのに私たちを使わずに ルシファーが開ければいいじゃないか。」
レヴィアの意見も、もっともである。
「そうですね、私たちが開ければいいのでしょうが、あの扉に触れることはできません。
それは、地獄の門はバベルの塔の一部であり、バベルの塔が定めた盟約を破ればバベルの塔は全ての魂を収集し、我々は魔力を失い世界から消滅してしまいます。」
「バベルの塔?」
ルシファーの説明にエイトが聞き直す。
エイトには何故か聞き覚えのある単語だったようだった。
「ええ、バベルの塔とは 多くの神々が嫌う人間の建造物で、地中深くに封印されました。
地獄の門を開放すれば、バベルの塔から魂が開放され、人間は共通の言語を持ち、主父様を信仰します。」
「最終的に 主父様の信仰が強まれば、主父様の力が強大になるってことかしら。」
リリアスも少し理解できたようで会話に参加する。
ルシファーは、リリアスの考えを肯定するかのように頷き、話を続ける。
「そこで、地獄の門を開放しバベルの塔の封印を解き、魂を開放し自分自身の力をつける為に 主父様は、人間に地獄の門を目指させたんです。
しかし、この数百年、だれも達成することはできませんでした。しかも、地上の人間は迷宮の中に潜っても利益も何も得られない。行くだけ無駄だと考えるようになりました。
その結果、迷宮に挑戦するのは、教会が決めた生贄や、罪人などになりましたが、結果は目に見えています。
そこで、主父様は、考えを変えました。」
「宝石を生み出す魔物を配置するんですね。」
「そうです。エイトの言う通りです。
そこで、アテラティッツの魔物に目を付けました。
主父様も悩んでいましたが、国を人間に滅ぼさせ、魔物を全て手にいれました。」
「何を悩んでたんだ。エイトの国だから?」
レヴィアは、怒りを悟られないように下を向く。
「・・・。」
ルシファーは、エイトの気持ちを理解できないのか、それとも気にしていないのか普通に話し始める。
「いえ違います。
アテラティッツの民は ソロモン王を信仰する残された種族で信仰心が強く、主父様の力の源になっていました。
その信仰の為なのか 受け継がれた血脈なのか それは不明ですが、生まれ持った魔力が地上の全種族の中でダントツに高く、死せる魂を操り自身の肉体からも切り離すことができたのです。」
「私のように、違う肉体に入るってこと?」
リリアスの質問に ルシファーが答える。
「いえ、あなたのような下等な魔法ではなく、神級同様いや、それ以上の崇高な魔法です。
つまり、神々と同様か、それ以上の不死の魂を持っています。」
リリアスが不服そうな顔を一瞬見せる。
レヴィアが、ルシファーに リリアスの不満を悟らせないように、とっさに口を開く。
「あのさ、エイトの魂を分けて、何度も迷宮に挑ませてる?」
ルシファーは、レヴィアとエイトを見る。
「はい。
・・・でも何故、レヴィアがそれを?」
「ふふん!
そのような痕跡を残していたからね。」
自信満々のレヴィアと不思議そうな顔のルシファー。
少しの間だけ立場が逆転したようだ。
そのとき、ミザリが気づいたことがある。
「あれ?でもよく考えると死んでも生き返るのは、いまの冒険者と同じなんじゃないか?」
「ミザリ、それは違うのよ。
冒険者は 肉体が滅びれば、魂もそれに合わせて地獄へ送られるわ。
でも、エイトの場合は、何故か地獄に送られることがないのよ。
肉体さえあれば、不死の魂を持つエイトは何度でも転生できる。
肉体は ただの器だから魂の転生の際、魔力の保有量などに影響されないから 転生を繰り返すほど エイトの魔力は強力に進化してるんじゃないのかしら。」
「よく知っていますね。
ハイエルフ、あなたの言う通り大筋はあっています。」
「でも計算が合わないよね。
アテラティッツが滅びたのが、13年前なんでしょ。
迷宮に宝石の魔物が出始めたのも13年前。エイトも5歳から13年経って、18歳。
過去に挑戦しているとは考えにくい。
どう考えても計算が合わないんだが・・・。」
「レヴィア、あの館は最高神が作った館で 時の流れが違うからですよ。
いまのエイトは、3代目です。
途中、あなたたち2人が門を開けて脱走した時は 慌てましたけどね。
あの後から、館に時の封印が発動しなくなりましたから。」
いまのエイトが3代目と言う話に、エイトが動揺している。
その様子に、レヴィアから話を聞かされ、ある程度いまの状況を把握していたメンバーは気まずくなり目を伏せる。
「先生、前の僕は・・・。」
「ええ、初代は3人で旅をしていたけれども、すぐに倒されてしまいました。
前回は今回と同じようにパーティを組んでいました。名前は忘れましたが、大掛かりな軍団といった感じを受けました。
それに防御魔方陣を実験的に刻印した陸ガメを連れてましたね。」
レヴィアが、納得したような顔をして話し出す。
「最初の冒険は初耳だね。
前回の冒険のメンバーなら知ってるかもよ。
魔法戦士エイト、ハイエルフで大魔導士のゼタ、貴族で大盗賊のウィンター、狂戦士のアレン、パトラッシュ、ネロ。
そして陸ガメのチョビスケ、その他のフランダース傭兵団もいただろう。
ちなみに、ゼタはミザリの母親、アレンはフラウの姉だろうね。」
「・・・言われてみれば、たしかに そんな名前だったかな。」
ルシファーの反応を見て、レヴィアは続けて話し出す。
「16階層で エイトが死亡し、大天・・・ルシファーから亡骸を葬るように言われた。
その後、アレン以外のフランダース傭兵団は、ネロの呪いの件もあり、仲間と共に迷宮から引き上げた。
残った3人は、さらに奥の25階層付近まで到達し、地獄の特級鎧騎士の軍団と遭遇し、他の2人が犠牲になり ウィンターだけ撤退できた。」
ルシファーはレヴィアの話を聞いた後、軽く首を傾げながら返事をする。
「エイトの死亡後は、そのパーティの行動を見ていないから初耳ですね。」
他のパーティは、フラウとミザリを見つめる。
フラウは 形見の手記を胸の前に持ち、姉のことを思い出している。
「それでアレン姉さんの手記には、20階層までの魔物の構成が書いてあったんだ・・・。」
リリアスはミザリを見つめる。
「お母さんは、事故で死んだって言ってたんだけどな。
確かに、棺の中に花しかいれないのは可笑しいよね。
その時は、エルフの風習って言われて納得してたんだけど・・・。 」
リリアスは泣き出しそうなミザリを抱きしめ優しく話す。
「ミザリ、ハイエルフの魂は 地獄の門に捕らわれないのよ。
きっといつもミザリを見守っているわ。」
しんみりとした空気の中、感情がないのか、興味がないだけなのか不明だが、ルシファーが普段と変わらない口調で話し始める。
「そうですか。そこで本題なんですが・・・。」
レヴィアは、ルシファーの言葉を遮り話し始める。
「そうだね、本題は先に進むことだよね。
早く階段を見つけて先に進もう!」
レヴィアは、抵抗するルシファーをぐいぐい引っ張りながら歩く。
ルシファーが、あまりにも抵抗するので、レヴィアはルシファーに釘を刺す。
「そうそう、私たち面白い魔装具を拾ってね。
ミザリの眼鏡は、話した映像と音声を保存できるんだよ。」
「「「!!?」」」
メンバーは、レヴィアの間違った認識に気づく。
「さあ ルシファー、早く29階を目指さないと間違えて神託をしちゃうかもしれないからさ。」
「・・・そ、それは困る。」
ルシファーは、素直に階段を目指し歩き出す。
そんなルシファーに気づかれないように、ミザリがレヴィアに小声で呼びかける。
「レヴィア姉さん。」
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