目指せ地獄の門 ~改訂版~

黒山羊

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8章・最終章

洞窟27階 悪魔の策略

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地獄の特級鎧騎士デビル・エリートナイトの軍団を倒すと、26階は魔物も出ず、楽に移動ができた。
27階にたどり着くと、そこには、太陽の光が差し込んでいるかのように明るく光る水晶があり、地上の花々も咲いている楽園のような場所にたどりついた。

「幻影か何かかな?」

いままでの迷宮の雰囲気とは違う空間に警戒するレヴィア。
そんなレヴィアに声をかけるエイト。

「いや、魔力のようなものを感じないんだけど。」

楽園の先の方には、小さな神殿が建っている。

「ほら、レヴィア。
 とにかく、警戒していても始まらないわ。あの神殿まで移動してみましょうよ。」

「ああ、その意見は賛成だね。」

リリアスに急かされるように、レヴィアたちメンバーは小さな神殿を目指す。
小さいと言っても、コンビニくらいの大きさがある建物だ。
その神殿の入り口に、1人の金髪の男が座ってた。

「ねえ、もしかして・・・。」

「ああ、絶対にそうだろう。」

エイトとレヴィアは、見慣れた顔の金髪の男に警戒を解いた。

「レヴィアさん、どうしたんですか?」

「あれは・・・。」

レヴィアが説明しようとすると、男はパーティの中にエイトとレヴィアを見つけて、嬉しそうに駆け寄ってくる。

「おーい!
 エイトくん、レヴィアちゃーん!」

「堕天って、地獄まで堕天したのかな?」

「ああ、絶対にそうだろう。
 ・・・天使の白い羽が黒く染まっているからね。」

近寄ってきた男は、息を整えている。
エイトは、お辞儀をし、声をかける。

「お久しぶりです。ルシファー先生。」

「エイトくん、レヴィアちゃん、かなりの年月を待ちましたよ!」

「久しぶりだね。主父あるじ様の館以来だよね。」

「いえいえ、私は酒場でも会ってますよ。」

ルシファーの一言に、レヴィアが嫌な顔をする。

「・・・やっぱりね。天使のゴミ箱パンドラのハコの時、殴ったでしょ!」

「それは、もう時効です。
 とにかく、2人がなかなかこないから、迎えに来れる限界まで登ってきて、ずっと待ってたんですから。」

楽しそうに話すルシファーを見ながら、ミザリがレヴィアに質問する。

「この人が、2人の先生なの?」

「ああ。」

エイトは、パーティのメンバーにルシファー先生の紹介をする。
大天使だったことは、ルシファー本人が話したのだが、堕天の事は隠していた。
エイトとレヴィアも、黙っていたい様子だったので、触れないことにしてあげた。

「でも、なぜここが限界なんだ?
 なにか規制のようなものがあるのか?」


「・・・。」


ルシファーは、両手で指を組み、モゾモゾと動かす。
エイトはレヴィアを肘でつつき、隠密の指輪を見る。
レヴィアも気が付いたようで、隠密の指輪を発動させ、ルシファーと仲間たちと手をつなぐ。

「ルシファー、仲間にも聞く権利があると思う。一緒に話を聞いてもいいかな?」

「どうぞ、ご自由に。」

「ルシファー先生、でも何故この階層が限界なんですか?」

「ええ、26階にいた魔物は、地獄の特級鎧騎士デビル・エリートナイトでしたよね。」

「はい。」

「私が、26階にいた到着した時は、天使の特級騎士エンジェル・エリートナイトでした。」

ルシファーの話にレヴィアが何か気づいた顔を一瞬見せる。
そしてその表情を気づかれないように、そのまま話し始める。

「下から上がってくれば、天使の特級騎士エンジェル・エリートナイトに駆逐されるってことか。」

「ええ、そうでしょうね。
 私が戦えば駆逐するのに数秒といったところでしょうが、彼らと戦えば 天界の主父あるじ様に知れてしまいますからね。」

「天界の?」

レヴィアは、ふと疑問に思ったことがある。
しかし、ルシファーに質問するのを辞めておいた。

「そうです。主父あるじ様の意思ですからね。すべて報告がいくんですよ。」

「どういうことですか!?」

エイトの質問を、レヴィアが遮る。

「この話は長くなりそうだね。
 先に進みながら聞くとしよう。」

「どうして、いま聞かないの?」

レヴィアの不可解な行動に、リリアスが質問する。
その質問に笑顔で答えるレヴィア。

「だって、ルシファーは世界最高峰の強さを誇る大天使の上級職だよ。
 元熾天使セラフのルシファー様と一緒なら悪魔にだって襲われる心配もないでしょ。
 ここで話を聞いて、ルシファーが死にでもしたら、この先も大変じゃないか。
 話を聞くふりをして、先を目指そう。」

「レヴィア姉さん、本人の前で聞くふりって・・・。」

「それに、レヴィア・・・。
 勝手に私が死ぬフラグ立てるの辞めてくれないかな。
 まったく私を利用するなんて、悪魔のような作戦だね。」







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