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8章・最終章
洞窟26階 冥府の軍団
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~26階の入り口付近~
パーティは、いつでも階段に逃げ込めるように、階段の近くで簡単な休息をとっていた。
メンバーに食事を配りながら、レヴィアが楽しそうに話し出す。
「でも、アレが賢者の石とか知らなかったね。」
レヴィアの話しているアレとは、エイトの錬金した謎の物体のようだ。
「ほんと、初めて実物を見たからね。
知ってたら大量に錬金してもらってビン詰して持って帰ったのに。」
後ろの方で嘔吐しそうになっていたミザリだが、超貴重な賢者の石と分かったとたん、ヌルヌルの物体に抵抗がなくなったようだ。
「最初に見たときは、紫のヌルヌルが気持ち悪かったですからね。
2人とも よく持てるなーって感心しましたよ。」
アルルの一言にリリアスが返事をする。
「いや、持てたというより、持たされて手から離れなかったというか・・・呪われた感じに似てたかな。
それに、ちょっと、べとべとしてたし・・・。」
「うちは、完全にモンスターを生み出したのかと思ってたよ。」
フラウの一言に、メンバーが笑いだす。
笑顔のリリアスも紫がかった魔法石を取り出しながらエイトに言う。
「そうね、最初は驚いたというより、完全に気味が悪かったわよね。
でも、いままでの魔法石と混ぜることで 錬金魔法の威力が大幅に増強できたから、エイトには感謝よね。」
「ああ、だけど残念だね。せっかく賢者の石を作り出したのに、命名ができないなんて。」
レヴィアの悔しそうな一言に、アルルが笑いながら突っ込む。
「仕方ないですよ。
せっかくの錬金魔法の素材なのに、命名したら錬金できなくなっちゃうじゃないですか。」
メンバーは、また笑いに包まれる。
エイトは、リリアスの持っている紫がかった魔法石を見ながら何か考えていたようで意見を話す。
「ねえ、リリアスの魔装具(漆黒の拷問具)と、うまく融合して使えないかな。」
「持ち運びやすいように、箱に入れるってことか?」
エイトの意見にフラウが反応した。
その言葉にエイトは、首を横に振り答える。
「確かに入れることで持ち運びしやすくなると思うけど、いざという時に短剣を錬金してれば時間がもったいない。
僕が考えてるのは、魔装具(漆黒の拷問具)の呪いの魔法を魔法石の短剣に付与できれば、ミザリの投げた短剣が、敵を束縛する武器になるんじゃないかと思うんだ。」
「なるほどな。さっきエイトが話しておった、今後、動きの速い悪魔も出る可能性があるということじゃろ。」
エイトの意見にレイザーが頷く。
アルルは、2人のやり取りに質問する。
「ねぇエイト、悪魔に呪いは効かないんでしょ。」
アルルの質問に答えるように、理解できたリリアスが返事をする。
「・・・なるほど、さすがエイトね。
魔法石に呪いをかけて、動かせなくするのね。」
「・・・どういう意味ですか?」
「呪いの効果って、対象にだけ効果があるのではなく、対象のある空間全体に効果があるのよ。
まあ、呪いのレベルによって空間の広さなんかも違うけどね。
・・・簡単に説明すれば、刺さった短剣に呪いがかかれば、その短剣は空中で静止するわ。」
いまの説明でレイザーは納得できたようだ。
「なるほど、うまくいけば敵を拘束できる。
もし失敗しても、動かない短剣を無視して魔物が動くことで、勝手に傷を広げるということじゃな。」
「そういうこと。
もちろん弱点が明確に分かった場合は、魔法攻撃で追撃を加える方が効率がいいけど、分からない場合や 動きが速い敵には、効果的だと思うんだよね。」
リリアスは魔法石を短剣に変え、ミザリに渡す。
「では、さっそく練習してみよう! ほら、ちょうど近くで足音が聞こえるから。」
レヴィアの言う通り 耳を澄ますと、鎧のこすれるような音が聞こえてくる。
耳の良いリリアスが状況を把握してメンバーに伝える。
「地獄の鎧騎士かしら?」
「けっこうな人数がいそうだね。僕ら包囲されてるみたいだよ。」
魔装具(真実の眼鏡)を使ったミザリも状況を説明した。
鎧のこすれるような音は、徐々に大きくなり近づいてくる。
「かなりの人数でしょうね。下級魔獣クラスですけど、数が集まれば厄介ですね。」
「うん。戦う場所が悪いかも、このまま迎え撃てば包囲されちゃうよ。」
アルルとミザリが心配するように、包囲されて戦えば、痛手を負うことは間違いない。
エイトは、メンバーに作戦を伝える。
「みんな、背後の階段を利用して戦おう。
ミザリとリリアスは後衛で階段から援護して。
アルルは中衛、階段に敵を近づけないように。
僕たちは目の前の敵を各個撃破だね。」
作戦を理解したアルルは、武器を納め 魔法の力場盾を、最大限で発動させる。
フラウは、狂戦士のスキルを開放し、筋肉を膨張させ肉体を強化していく。
レイザーは、魔法剣(火・風)を、それぞれに発動し集中し威力を高める。
レヴィアは、ハンマーに力を貯める。タンタンハンマーは、白く光っている。
エイトは・・・。
敵の集団が、一気に距離を縮める!!!
カウンターで、エイトの大魔法(獄炎龍の息吹)が、敵を襲う!
その中には、中級悪魔程度の実力がある、地獄の特級鎧騎士の姿も見える。
状況を確認し、他のメンバーに伝えるレヴィア。
「残り、300は居そうだね。
それに地獄の特級鎧騎士もいるみたいだから、敵も総力戦だろうね。
(ちょっと手強そうだな・・・。)」
「レヴィア、強敵は僕に任せてよ!」
最前列でハンマーを振り回す 少し不安な表情のレヴィアを追い越すように前に出るエイト。
エイトは、呪文のような言葉を口にしながら敵の集団の中に突撃していく。
「我、魂に命ず・・・。」
パーティは、いつでも階段に逃げ込めるように、階段の近くで簡単な休息をとっていた。
メンバーに食事を配りながら、レヴィアが楽しそうに話し出す。
「でも、アレが賢者の石とか知らなかったね。」
レヴィアの話しているアレとは、エイトの錬金した謎の物体のようだ。
「ほんと、初めて実物を見たからね。
知ってたら大量に錬金してもらってビン詰して持って帰ったのに。」
後ろの方で嘔吐しそうになっていたミザリだが、超貴重な賢者の石と分かったとたん、ヌルヌルの物体に抵抗がなくなったようだ。
「最初に見たときは、紫のヌルヌルが気持ち悪かったですからね。
2人とも よく持てるなーって感心しましたよ。」
アルルの一言にリリアスが返事をする。
「いや、持てたというより、持たされて手から離れなかったというか・・・呪われた感じに似てたかな。
それに、ちょっと、べとべとしてたし・・・。」
「うちは、完全にモンスターを生み出したのかと思ってたよ。」
フラウの一言に、メンバーが笑いだす。
笑顔のリリアスも紫がかった魔法石を取り出しながらエイトに言う。
「そうね、最初は驚いたというより、完全に気味が悪かったわよね。
でも、いままでの魔法石と混ぜることで 錬金魔法の威力が大幅に増強できたから、エイトには感謝よね。」
「ああ、だけど残念だね。せっかく賢者の石を作り出したのに、命名ができないなんて。」
レヴィアの悔しそうな一言に、アルルが笑いながら突っ込む。
「仕方ないですよ。
せっかくの錬金魔法の素材なのに、命名したら錬金できなくなっちゃうじゃないですか。」
メンバーは、また笑いに包まれる。
エイトは、リリアスの持っている紫がかった魔法石を見ながら何か考えていたようで意見を話す。
「ねえ、リリアスの魔装具(漆黒の拷問具)と、うまく融合して使えないかな。」
「持ち運びやすいように、箱に入れるってことか?」
エイトの意見にフラウが反応した。
その言葉にエイトは、首を横に振り答える。
「確かに入れることで持ち運びしやすくなると思うけど、いざという時に短剣を錬金してれば時間がもったいない。
僕が考えてるのは、魔装具(漆黒の拷問具)の呪いの魔法を魔法石の短剣に付与できれば、ミザリの投げた短剣が、敵を束縛する武器になるんじゃないかと思うんだ。」
「なるほどな。さっきエイトが話しておった、今後、動きの速い悪魔も出る可能性があるということじゃろ。」
エイトの意見にレイザーが頷く。
アルルは、2人のやり取りに質問する。
「ねぇエイト、悪魔に呪いは効かないんでしょ。」
アルルの質問に答えるように、理解できたリリアスが返事をする。
「・・・なるほど、さすがエイトね。
魔法石に呪いをかけて、動かせなくするのね。」
「・・・どういう意味ですか?」
「呪いの効果って、対象にだけ効果があるのではなく、対象のある空間全体に効果があるのよ。
まあ、呪いのレベルによって空間の広さなんかも違うけどね。
・・・簡単に説明すれば、刺さった短剣に呪いがかかれば、その短剣は空中で静止するわ。」
いまの説明でレイザーは納得できたようだ。
「なるほど、うまくいけば敵を拘束できる。
もし失敗しても、動かない短剣を無視して魔物が動くことで、勝手に傷を広げるということじゃな。」
「そういうこと。
もちろん弱点が明確に分かった場合は、魔法攻撃で追撃を加える方が効率がいいけど、分からない場合や 動きが速い敵には、効果的だと思うんだよね。」
リリアスは魔法石を短剣に変え、ミザリに渡す。
「では、さっそく練習してみよう! ほら、ちょうど近くで足音が聞こえるから。」
レヴィアの言う通り 耳を澄ますと、鎧のこすれるような音が聞こえてくる。
耳の良いリリアスが状況を把握してメンバーに伝える。
「地獄の鎧騎士かしら?」
「けっこうな人数がいそうだね。僕ら包囲されてるみたいだよ。」
魔装具(真実の眼鏡)を使ったミザリも状況を説明した。
鎧のこすれるような音は、徐々に大きくなり近づいてくる。
「かなりの人数でしょうね。下級魔獣クラスですけど、数が集まれば厄介ですね。」
「うん。戦う場所が悪いかも、このまま迎え撃てば包囲されちゃうよ。」
アルルとミザリが心配するように、包囲されて戦えば、痛手を負うことは間違いない。
エイトは、メンバーに作戦を伝える。
「みんな、背後の階段を利用して戦おう。
ミザリとリリアスは後衛で階段から援護して。
アルルは中衛、階段に敵を近づけないように。
僕たちは目の前の敵を各個撃破だね。」
作戦を理解したアルルは、武器を納め 魔法の力場盾を、最大限で発動させる。
フラウは、狂戦士のスキルを開放し、筋肉を膨張させ肉体を強化していく。
レイザーは、魔法剣(火・風)を、それぞれに発動し集中し威力を高める。
レヴィアは、ハンマーに力を貯める。タンタンハンマーは、白く光っている。
エイトは・・・。
敵の集団が、一気に距離を縮める!!!
カウンターで、エイトの大魔法(獄炎龍の息吹)が、敵を襲う!
その中には、中級悪魔程度の実力がある、地獄の特級鎧騎士の姿も見える。
状況を確認し、他のメンバーに伝えるレヴィア。
「残り、300は居そうだね。
それに地獄の特級鎧騎士もいるみたいだから、敵も総力戦だろうね。
(ちょっと手強そうだな・・・。)」
「レヴィア、強敵は僕に任せてよ!」
最前列でハンマーを振り回す 少し不安な表情のレヴィアを追い越すように前に出るエイト。
エイトは、呪文のような言葉を口にしながら敵の集団の中に突撃していく。
「我、魂に命ず・・・。」
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