目指せ地獄の門 ~改訂版~

黒山羊

文字の大きさ
89 / 89
外伝・大商人ハロルド

大商人ハロルド・旅立ち

しおりを挟む
ローレンスの病が治り、1年の月日が流れた。
種族の特性なのか、相変わらず魔法が使えないので不便な生活を送っているのだが、魔法の使えないレイオンを 誰もバカにしていない。
バカにされるどころか、むしろ レイオンは尊敬を集めていた。
なぜなら それは、この1年間で旅の老人(リューマ)から調合の基礎を学び、彼が去った後も 薬の調合を訓練し 薬の調合士として成長していた。レイオンの調合した薬は、不治の病の治療薬や 成功率は低いのだが フルポーションの生成まで成功させていた。
エルフの国では 子供から老人までレイオンのことを知らないエルフがいないほど有名になっていた。

そんなレイオンは、15歳になり人間の国で商人として活動したいと考えていた。
レイオンは、人間の生活を見学するために、一時的に人間の国に旅行に行った際、人間たちの国の発展に感動したからだった。
人間の国を見学したことを 国に戻り、レイオンの見たまま 感じたままに報告し、そこで生活したいことを女王に伝えた。
女王はレイオンの意思を尊重するとは言ったものの、国益を考えると手放すのは惜しい人材になっていた。




~城の謁見の間~

謁見の間には、レイオンと女王陛下、部族の長たちが集まっている。
部族の長の席には、リリアスの姿もあった。

「レイオン、本当に人間の世界に生きることを望んでいるのですか。
 このままエルフとして残る道はないのでしょうか。」

「女王陛下、私は人間の世界で商人として一人前になる為に授業に励んできました。
 私の寿命は、人間と等しく60年程度しか生きることもできません。
 ですので、後悔するような命の使い方はしたくないのです。」


「・・・。」


女王は、言葉を選んでいるのか 無言になる。
部族の長たちも、レイオンを手放すのが惜しくなったのか、口をそろえて意見をだす。

「レイオン、先日決まった掟のことなのだが、女王陛下の許しなく国外で生活をする者を、よこしまな心の持ち主と決め、ダークエルフと呼ぶことに決まったんだよ。いま国外に出立するのであれば、君はダークエルフとして、我々の敵となる。
 敵となれば、君を捕らえるために兵士を派遣しなければいけないし、共存にある人間の国にも指名手配をかけなければいけない。
 ・・・最悪、死んでしまっても仕方がないとしか言えなくなる。」

レイオンを脅すように 部族の長の一人が意見をだすと、別の長がフォローをいれる。

「しかし安心したまえ、我々は君の功績を考えて、国内に残るのであれば、特別にハイエルフの称号を与えることも満場一致で決まった。
 ハイエルフになれば、採取依頼や兵役が免除されるだけでなく、国外への旅行も許可することができる。
 人間の国に行きたいというのであれば、ハイエルフになり、人間の国を旅行するのも一つの手だと思うのだが。」

レイオンは、何を考えているのか、目を閉じたまま黙り込む。
その様子をみていたリリアスがレイオンに声をかける。

「レイオン、悩むことはないのよ。あなたは立派に成長した自分の道は自分で決めるべきよ。
 どんなに辛い道のりでも、信念をもって行動することが大事なの。ローレンスのようにね。
 ・・・私たちは15年前、ローレンスが連れてきた あなたを殺すことを選択したわ。
 だけど、ローレンスは全ての称号や身分をはく奪されても あなたを生かす道を選んだ。
 自分の信念を・・・。」

「リリアス、いまレイオンは悩んでいるんだ、余計なことを言うな!」

周囲の部族の長たちが、リリアスを止める。
リリアスは、黙ってレイオンを見つめる。
レイオンはリリアスと目を合わせ、軽く頷き 自身の答えを導き出す。

「女王陛下、部族長の皆さま、私の為に新しい取り決めを決めていただき ありがとうございます。」

無表情の女王や リリアスとは対照的に、部族の長たちの口角があがる。
レイオンは、女王の様子を確認し、言葉をつづける。

「しかし、私の意思は変わりません。皆さまとの出会いは私の人生を豊かなものにしてくれたと思います。
 このままエルフの国に残れば約束された安泰はあるかもしれません。
 しかし、私は人間として生を受けた以上、人間としての人生も過ごしたいと考えています。
 いままでの発明品などの詳細な制作方法などは 本にまとめ、おじのゼペットに預けてあります。
 仮にエルフの地位をはく奪されても、ダークエルフとして追われる身になったとしても、私は私の信念に従います。
 私は、実の両親のような立派な商人になります。」

反論しようと立ち上がり声を上げようとえする部族の長たちの発言を女王が制止する。

「皆の者、静粛に。」


「・・・。」


謁見の間に静寂が訪れる。
女王はレイオンの目をみつめ、ゆっくりと話し始める。

「レイオン、ダークエルフとして、私たちから追われる日々の中でも商人としてやっていく自信があるのですか。
 私たちエルフは、生まれながらにして 最高の詠唱者であり、最強の狩人でもあります。
 エルフの追っ手に命を狙われれば半日として生きることはできないでしょう。国を出たとたん、背後から命を奪われるかもしれません。
 それでも国を捨て、人間の世界に行くと言うのですか。」

女王の圧力に部族の長たちも息をのんで事の顛末を見届けている。
リリアスも背中を流れる汗を感じていた。
そんな中、変わらぬ表情のまま、まっすぐと女王を見つめなおし、レイオンが答える。

「はい。たとえ命を狙われようとも、私は世界一の大商人になります。
 そして、お世話になった皆に恩返しがしたいのです。」

「レイオンが残ることが恩返しになると考えないのですか?」

「確かに、一時的な効果はあるでしょう。
 しかし、このままではエルフの国は人間たちの発展から取り残されてしまいます。
 そうなれば、力を持った人間たちから 森を守ることも難しくなっていくでしょう。
 そうならないように、いまが手を打つべきときなのです。」

女王や部族の長たちも、人間との取引などから エルフの国が時代に取り残されていたことは 薄々と感じていたのだが信じることができずにいた。エルフの調査団からの報告もエルフ優勢で答えていたこともあるだろう。
しかし、レイオンの脚色のない報告により、人間の国の発展がすさまじい速度だということは分かった。
と同時に、レイオンの言う通り、いまのままでは人間の脅威から森を守ることもできなくなるのは理解できた。
その事実からか、レイオンの言葉に 皆が言葉を失った。
女王は、何かを考えるように目を閉じた。
そして、目をあけレイオンに告げる。


「・・・わかりました。レイオン、あなたをエルフの国から追放します。
 あくまで追放なので、私たちが追っ手を出すことはしません。
 私も国を守る掟がある以上、これ以上のことは言えません。」

「いえ、ありがとうございます。」

レイオンは 深く礼をすると、謁見の間を後にした。





~ゼタ家の広間~

レイオンが家に戻ると、旅の支度を終えたローレンスが待っていた。

「師匠、どうしたんですか旅の支度をして。」

「レイオンが城に呼ばれたから、出発の日になると思って準備をしておいたのよ。」

「師匠、その件なんですけど・・・。」

レイオンは、謁見の間で起こったことをローレンスに話した。
もちろん、女王の配慮で追放になったことも・・・。
すると、ローレンスは問題ないといった表情で 落ち込むレイオンに声をかけた。

「だったら話が早いじゃない。さっそく出発よ!」

そう言うと、バックパックを背負い立ち上がった。

「あの、師匠・・・?」

「何?」

「・・・どこかに出かけるんですか?」

「どこって、レイオンの行くところよ。
 私の寿命も短くなったのだから、いろいろな世界を見て回りたいわ。
 それに、もし襲われたときは戦える者がいなければ、すぐに命を落としてしまうわよ。
 前の視察と違って魔法兵や人間の騎士団の護衛もないんだから。」

驚くレイオンと真顔のローレンス、ローレンスは 決めたら譲らない頑固な一面もある。
たぶん説得したところでレイオンについていく気持ちは変わらないだろう。
レイオンは ヤレヤレといった表情で返事をする。

「わかりました。でも師匠、話を聞いてましたか?
 エルフの国を勝手に出ることは違法になり、ダークエルフと呼ばれ追っ手に追われることになるんですよ。」

「ええ、問題ないわ。リューマさんのおかげでエルフの追っ手が軍隊を組織してきても追い払えるほど強力な魔法使いになれたんだから。」

ローレンスは、上を向けた手のひらに金色の炎を召喚してみせる。
通常の炎とは違い 蝋燭ほどの僅かな炎でも 一気に部屋の中が暖まるほどの熱を帯びている。
いまのローレンスと魔法で戦って勝てる者は、リューマを除いて誰もいないだろう。


「・・・ええ、そうでした。
 でも同じエルフ同士なんだから、無駄な争いは避けましょうね。」

ローレンスは、笑いながら答える。

「もちろん、こんな強力な炎 使うつもりはないわよ。
 さあ、レイオン! 出発よ!!」

ローレンスは勢いよく家を飛び出す。
レイオンがふと、広間の机の上を見ると、ローレンスが書いたのであろう ゼペットやベラドール、ピノキ男への手紙が置いてあった。
3人?は、ローレンスの提案で森の散策に出かけているようだ。
たぶん反対されるであろうと予測したのか、ローレンスの準備の良さに感心しつつ、レイオンも荷物を背負いローレンスの後を追った。

「師匠! 待ってくださーい!」






~エルフの国、国境付近~

日が沈み始める頃、レイオンとローレンスは、国境付近までたどり着いていた。
若い2人は 移動速度も速く、明日の昼には国境にたどり着くことができるだろう。

「レイオン、このあたりで野宿をしましょ。
 明日の夜明けとともに歩き出して昼過ぎには国境を超えることもできるはずよ。」

「そうですね師匠。
 前回、調査団と一緒に人間の国を目指した時も、この付近で休息をとりましたよ。」


「・・・。」


レイオンの返事に、ローレンスの表情が暗くなる。

「どうしたんですか師匠?」


「・・・わからない?」


「・・・ええ、何かありました?」

「レイオン、もう子供じゃないんだから、師匠って呼ぶの辞めようよ。
 これからは、人間の国で共に生活する仲間なんだからさ。」

「でも、師匠は師匠だし・・・。」


レイオンの返事にローレンスは ムスっとした表情になる。

「だから、その師匠って呼び名がダメなのよ。
 人間たちの間では、師匠って言ったら老人なんかが言われる呼び名みたいだよ。」

出どころが怪しい情報に首を傾げるレイオン。
おおよその情報の出どころは予想できるのだが・・・。

「これからは、ローレンスって名前で呼んでよ。」

「・・・はい、えっと・・・わかりました。ローレンス。」

「ええ、わかってくれて嬉しいわ!」

名前で呼んだ瞬間から、ローレンスの表情が明るく戻った。

「ところで師匠、いまの情報って モリアーニ情報ですか?」

「ええ、そうよ・・・。
 あっ!また師匠って!!!」

「すみません、ローレンス。」

急に呼び方を変えることに違和感を感じながらも レイオンはローレンスと呼ぶことにした。
山菜を集め動物を狩り、夕食の準備を終える頃には、日も暮れていた。
夕食を取り始めると、森の闇の中から、男性の声が聞こえてきた。

「お前たち、こんな国境付近で何をしているのだ!」

気配を感じ取っていたローレンスは動揺することなく食事を止め答える。

「ええ、レイオンが人間の国に追放になったので見送りをしている最中よ。」

「・・・レイオンが?
 いったい何をしたんだ?」

「人間の国で商人になる夢を叶える為に、エルフの国を出ることになったのよ。
 そこで遺恨を残さないように追放という形になったのよ。」

ローレンスが堂々と答えると、闇の中から複数人の国境警備隊が現れた。
国境警備隊の隊長らしきエルフが別の隊員に何かを耳打ちすると、その隊員は後方に下がり闇の中へと消えていった。
隊長らしきエルフは、ローレンスに声をかける。

「その話が本当であれば、私たちが見送りを引き継ごう。ローレンスは家に帰るといい。
 必要であれば護衛をつけさせるが。」

「その必要はないわ。
 私も人間の国に行くのだから。」

「!!!」

ローレンスの返事に国境警備隊の隊員たちが、武器に手をかける。
その様子を制止させ、隊長がローレンスに話しかける。

「ローレンス、つい先日の話だが 掟が改正され、申請なく人間の国に出国するものは・・・。」

「ダークエルフとして追われるんでしょ。知っているわ。」

「ではなぜ!?」


「・・・。」


ローレンスは返事を考えているのか、少し間をおいて答える。

「有名になったから知っているかもしれないけど、私の寿命も あと僅かしかないの。
 だから、私は私の最後の場所として、レイオンが立派な商人になるところを見届けておきたいのよ。
 どんなに止められても、私は彼に付いて行くわ。」

隊長も少し考えて返事をする。

「ローレンス、いまの部隊では 君と戦っても捕らえることはできないだろう。
 しかし、このまま黙って見過ごすわけにはいかない。
 明日の朝一で部隊を組織して君の身柄を拘束にくるから、ここで最後の晩餐を楽しむといい。」

そういうと国境警備隊は森の闇の中に引き上げていった。
レイオンとローレンスは夕食を終え、寝袋に入り夜を明かした。

「レイオン、少し休んでから 明日の夜明け前に急いで国境を越えましょう。」

「そうですね、朝一に来るのであれば、少し休めそうですね。」



翌朝・・・。

ローレンスは 国境警備隊長の声で目が覚める。

「なぜ、この場にとどまっているんだ!!!」

国境警備隊長は、部隊を組織して2人の元にたどり着いていた。
ローレンスは、周囲を見渡し状況を把握する。

「・・・しまった、寝過ごしちゃった。」

ローレスの声でレイオンも目を覚ます。

「おはようございます。
 どうしましょうか。いまから支度しても間に合いませんよね。」

「さすがにね・・・。」

呆れた表情で、隊長はローレンスを拘束するように命じる。
ローレンスは 寝袋から飛び出ると、レイオンに合図を送り、国境に向けて走り出した。
レイオンも荷物を捨て、国境に向けて走り出す。
全速力で走る2人を、手を抜いて追いかける国境警備隊。

2人の姿を捕らえることが出来なくなり、隊長は警備隊を止める。

「2人には逃げられてしまった。
 先ほどの野営地に戻り、荷物を証拠の品として回収しておくことにしよう。」

隊員たちも深く頷き、2人の野営地へと歩き出す。

この様子を城にある千里眼の水晶を通して見ていた部族長の中には、警備隊が手を抜いたとか、2人の走る速度が速かったのは魔法で強化されていたからだとか 無駄な議論が始まっていた。
ただ女王は、この微笑ましい様子を笑顔で見ていた。






~国境~

2人は昼前には国境にたどり着いた。
そこには、リリアスの姿があった。

「あら、遅かったわね。」

「はぁはぁ、どうして、ここ、に?」

息を切らせながら質問するローレンス。

「ええ、昨晩、報告があったから急いで追ってきたつもりだったんだけど・・・。
 逆に、どうして遅くなったの?」

ローレンスは呼吸を整え答える。

「ちょっとレイオンが寝坊してね。」

「えっ!」

ローレンスの一言に不満ありげに見つめるレイオン。
それは、レイオンも寝坊したのだが、起きた瞬間に見たローレンスも まだ寝袋の中に入ったままだったからだ。
笑うのを我慢してリリアスが話し出す。

「寝坊ね。レイオンらしいわね。
 私はてっきり、隊長が手引きしたのに捕まったのかと思って心配したのよ。」

ローレンスもレイオンも苦笑いしている。
そんな2人に、リリアスは手紙を渡す。

「レイオン、女王陛下からの手紙よ。あなたの国外永住が決定したわ。
 追放ではなく、国外永住よ。
 ただし、この命令が発令されるまでは暫く時間がかかるわ。追放したり国外永住にしたりコロコロ変わるのも問題なのよ。
 50年くらい待ってくれれば、あなたが望めば国に帰れるわよ。」

「50年って・・・。」

レイオンの顔を見てローレンスが笑いを堪えている。
リリアスは、ローレンスにも伝言を伝える。

「それから、ローレンス。あなたは レイオンの妻として同行する形になったわ。
 夫婦であれば夫の移転に付き添うのが当然だからだそうよ。」

「私がレイオンと?」

「なによ、仕方ないでしょ。他に方法がなかったのだから。」

ローレンスは、レイオンを見る。

「まあ、レイオンとならいいかな。」

その言葉にレイオンは照れたように下を向く。

「それから、私からの差し入れよ。」

リリアスは、手に持っていた袋をローレンスに手渡す。
ローレンスは袋の中身を確認すると、中には かなりの枚数の金貨が入っていた。
ざっと、4~50枚は入っているだろうか。

「人間の国の通貨よ。何か商売を始めるには足りないでしょうけど、商人修行をする上で 暫くの間の生活費用にはなると思うわ。」

「ありがとう。リリアス。」

「お礼なんていいわよ。
 ・・・ローレンス、レイオン、必ず成功を収めて国に遊びに戻ってきてね。いつまでも待っているから。」

リリアスとローレンスは、お互いに抱きしめあい別れを済ませる。
2人はリリアスに見送られながら国境を越えて人間の国を目指す。

国境を抜け暫くあるくと、森と平原の境目にたどり着いた。
昼間でも薄暗い森と違い、雲一つない青空の下 優しい風の吹く平原は、目を開けることも難しいくらいに眩しく 光り輝いていた。

ローレンスは、大きく背伸びをするとレイオンに話しかける。


「レイオン、いよいよ物語の始まりね。
 物語のスタートが気持ちのいい天気でよかったわね。」

「ええ、本当に風が気持ちいいですね。」

「さあ、まずは王国を目指して出発しましょ!」


こうして、商人を目指すレイオンとローレンスの物語が始まる。


→ NEXT

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

サラリーマン、少女になる。

あさき のぞみ
ファンタジー
目が覚めたら、俺は見知らぬ10歳の少女になっていた。 頼れるのは、唯一の理解者であるはずの同僚「まい」だけ。彼女はなぜか僕を**「娘」として扱い始め、僕の失われた体を巡る24時間の戦い**が幕を開ける。 手がかりは、謎の製薬会社と、10年前の空白の記憶。 時間がない。焦るほどに、この幼い体が僕の理性と尊厳を蝕んでいく。そして、僕は知る。最も近くで微笑んでいた人物こそが、この絶望的な運命の**「設計者」**であったことを。 あなたは、その愛から逃れられますか?

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...