【CHANGEL】魔界姫マリーと純粋な見習い天使ジャスの不思議な魔界記

黒山羊

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ニートのち魔界王

032・後悔 先に立たず

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~魔王城・食堂~

エイルシッド不在の魔王城に悪魔たちが住み着いて3日目、使い魔たちは不遇な環境に置かれていた。


「おい、さっさと皿を下げろよ!」

「はい、ただいま下げるニャン。」


「ったく、トロトロしてんじゃねーぞ!」

「これでも一生懸命ニャン。」


「てめー!
 口答えしてんじゃねーぞ!」

ボコ!

「許してほしいニャン。
 殴らないでほしいニャン。」




そんな様子を見て、モモは決心する。
・・・その日の夜、悪魔たちが客室で寝静まったころ、モモが他の使い魔たちを招集する。

「モモ、いったい何なんだニャン?」
「疲れたから、早く言ってほしいニャン。」


モモは、仲間たちに打ち明けた。


「俺は、徳が溜まってるニャン。
 だから、使い魔モモとして今夜が最後になるニャン。」

「お前、もう徳が溜まったのかニャン?」
「言われてみれば、モモは寝ずに働いていたニャン。」
「そういえば、飯も食わずに、エイルシッド王の世話をしてたニャン。」
「なかなか真似できる奴はいないニャン。
 でも、モモが居なくなると寂しくなるニャン。」
「そうだニャン。
 来世でも幸せを掴んでほしいニャン。」


「何を言ってるんだニャン?
 俺は、悪魔に転生することを決めたニャン。
 今後は、悪魔モモとして、一生エイルシッド様に使える決心をしたニャン。」


「「「エエエー!」」」


「人間だったモモが、悪魔に転生するのかニャン?
 そもそも、そんなことできるのかニャン?」

「たぶん、問題ないニャン。
 悪魔出身の使い魔が悪魔に、人間出身の使い魔が人間になんて、決まりはないはずニャン。」

「だけど、失敗してしまったら・・・。」
「そうだニャン。
 お前の大好きな、エイルシッド王とも会えなくなるニャン。
 もう少し辛抱すれば、エイルシッド王が戻ってきて平穏な生活が始まるニャン。」

「・・・それじゃ意味がないニャン。
 俺は、モモとして生きていて、少しだけ悟ったニャン。
 魔界では 欲しいものは 自分の手で勝ち取らないといけないニャン。
 それは、権利なんかもそうニャン。」


「・・・でも、俺らは まだまだ徳が溜まってないニャン。」

「いま集まってもらったのは、その件ニャン。」


そういってモモは、6つの黒い球体を取り出した。

「その黒い球は、なんなんだニャン?」

「これは、邪神の瞳という秘宝ニャン。
 これに魔力を注ぎ込むと、別の姿に変われるニャン。
 ただし、デメリットとして、この場に居ない人たちに存在を忘れさられてしまうみたいなんだニャン。」

「・・・エイルシッド王が 俺らの事を忘れるってことなのかニャン?」

「そうなるニャン。
 でも、ここで変わらなければ、いつまでもエイルシッド様に養われるだけの つまらない存在にしかなれないニャン。
 ここで変われれば、自分たちで未来を切り開くことができるし、エイルシッド様の本当の仲間になれるニャン。」


「・・・。」



「・・・俺はやるニャン。」
「お、俺もやるニャン!」
「俺ら4人は、いつまでも一緒の志しニャン。
 ネロは、どうするニャン?」

「もちろん、俺もやるニャン。
 ・
 ・
 ・
 途中で失敗して消滅するとかないのかニャン?」

「それは大丈夫だニャン。
 それに、前の所有者に聞いたけ話だけど、邪神の瞳に注ぎ込む魔力は少しでいいらしいニャン。
 多く注いだからといって効果が変わるわけではないらしいニャン。」



使い魔たちは、モモの意見に賛同し、邪神の瞳を使うことに決めた。
まず、使い魔のモモが、竜人種の悪魔へと転生し始める。

魔界の風が運んできた暗黒を、モモが纏い始める。


「みんなー!
 俺が・・・モモが美人の竜人種になったとしても惚れるなニャン!」


「・・・絶対にないニャン。」
「おまえ、女じゃなかったニャン。」
「たしか、桃彦だったニャン。」


「エイルシッド様に話したら殺すニャン。」


モモは 気が散っていたのだろうか・・・。
それとも、イメージが曖昧になったのか。
はたまた、そもそも転生で姿や性別はランダムになるのか。

魔界の風が運んできた暗黒が消え去るころ、モモのいた場所には、得体のしれない悪魔なのか・・・。
筋骨隆々で2m近くの身長があり、薄っすらと青髭の残る顔、立派な男性のシンボルがついた竜人種の化けも・・・悪魔だった。


「モモ、笑わかすなニャン!」

「ないないないない。
 惚れる訳ないニャン!」

「本気の悪魔ニャン!
 ってか、退治した鬼より凶悪だニャン!」

「ダメだニャン、俺が見てきた悪魔よりも凶悪な風貌なんだニャン。」



モモだった悪魔は、自身の体を見て吠えた。



とにかく吠えた。



力の限り吠えた・・・。


「な、なんじゃこりゃあー!!!」


「「「ぷっーーーー!
   もうダメだニャーン。」」」


笑いを堪えることが出来なくなった使い魔たちも、大声で笑い始めた。
その笑い声を聞きつけて、魔王城に住み着いていた悪魔たちが駆けつける。

「お前ら、うるせぇー・・・。」

駆けつけた悪魔たちは、全裸のモモを見て、言葉を失う。

「あ、あの・・・。
 もしかして、魔王エイルシッド様でしょうか・・・。」

モモは 無言で首を横に振り、悪魔たちに声をかける。

「気にするな。
 部屋に戻れ・・・。」


「「「は、はい!!!」」」


悪魔たちは質問もあっただろうが、全裸で話すモモの重圧に言葉を失い、逃げるように部屋の方に走り去っていく。



モモは、ポチ、ケーン、エンマ、ネロを捕まえて言う。

「お前らも道連れだ!」


「「「嫌だニャーン!
   俺らは使い魔でいたいニャーン!」」」


その後、無事?に邪神の瞳を使い、それぞれに新しい姿を得ることに成功した。

ポチは、白狛犬の獣人。
ケーンは、炎を纏った鳥。
エンマは、赤い顔の夜叉。
ネロは、2m程の黒い巨人。


「思ったよりも悪くないかも・・・。」

「そりゃそうだろ。
 モモも 愛しのエイルシッド様の事を、一番に考えて行動してるんだから。
 これから、お前らがエイルシッド様を守っていくんだから・・・。
 俺は、もう・・・。」

「モモは、どうするんだ?
 俺らと一緒にエイルシッド王を守っていくんじゃなかったのか?」

「俺は・・・。」

「なんだよ。
 その巨漢でモジモジされると気持ち悪いんだが。」

「き、気持ち悪いっていうな!
 俺の気持ちも分からないくせに!」


モモは、全裸のまま魔王城を飛び出していった。


「あれだと、完全に犯罪者だな。」
「モモは あの姿を気にしてたんだろうな。」
「なんだか悪いことをしたニャン。」

「・・・えっ、ニャン?
 お、おまえ、使い魔に戻ってるニャン!」

「そういうネロも戻ってるニャン!」

「あ、あれ?
 よく見たら、全員 使い魔に戻ってるニャン!」








~迷いの森~

モモは、近くの迷いの森に駆け込んでいく。

「俺は・・・。
 モモは、こんな姿になる予定じゃなかった・・・。
 こんな気持ち悪い姿を、愛しのエイルシッド様に見せれる訳ないじゃない・・・。
 どうして、こんな姿に転生してしまったの。
 なぜ、私は女性に生まれ変われなかったの。
 心と体が違う。もう男には戻れないのに・・・。」


「なぜ・・・。」



その夜、迷いの森から、遠吠えに似た鳴き声が響き渡っていた。




~翌日、魔王城~

「ただいまー!」

「あ、エイルシッド王ニャン!」


「「「おかえりなさいニャーン!」」」


「おう!
 みんなに天界の土産を買ってきたぞ!」



エイルシッドは、それぞれに土産の品を渡し始める。
その土産も、モモの分が余ってしまう。

「あれ?
 モモは何処に行った?」

「あ、あの、モモは・・・。」


使い魔たちが返事に困っていると、魔王城の奥の方から、エイルシッドに使えようと集まっていた悪魔たちが駆け寄ってくる。


「魔王エイルシッド様、天界への遠征、お疲れ様です。
 城主不在の間、我々が使い魔どもが手を抜かないように見張り、魔王城を管理させてもらっておりました。」


悪魔の言葉に、使い魔のネロが声をあげる。


「魔王城を管理していたのは、モモだニャン!
 お前らは 食堂でタダ飯くってただけニャン!」

「なんだと、使い魔の分際で!
 魔王エイルシッド様、嘘をつく使い魔を消滅させてしまいましょう!」



エイルシッドは、困った顔をして、悪魔たちに声をかけた。

「お前らが別に何しようと気にしない。
 だがな・・・。
 もし、モモが魔王城から消えた理由が、お前らだったとしたら、俺は お前らを消滅させる。」


「魔王エイルシッド様、俺らは、使い魔を殺したりしていません。
 ・・・だけど、なぜ魔王様は、使い魔を庇護されるんでしょうか。
 使い魔は、しょせん使い魔。俺ら悪魔とは強さが違います!」



「そうだな。強さは違うだろうな。
 しかし、俺の領土内に住む、悪魔も使い魔も平等だと考えている。
 なぜなら、悪魔には悪魔にしか出来ないこと。使い魔には使い魔にしか出来ないことがあるからだ。
 お前ら悪魔は、毎日毎日、休むことなく働き続けることが出来るか?」

「い、いえ。
 さすがに出来ません。」

「使い魔には、それができる。
 もちろん、使い魔は戦いに参加することはできない。
 お互いが助け合って生きることが重要なんだ。
 もし俺の意見に賛同できないなら、俺に戦いを挑んで消滅するか、俺の領土から出ていくか選べ。
 ・・・だけどな、俺は 近いうちに全魔界を掌握する魔界王になる予定だからな!」


「「「・・・俺らは使い魔を見下すのを辞めます。」」」


「すぐには変われないだろうが、その意思は忘れるなよ。」


「「「はい、魔王エイルシッド様。」」」



エイルシッドは 新しく配下となった悪魔たちへの最初の命令で、領土内に 魔王エイルシッドの意思を広めるように命ずる。
配下の悪魔たちを見送ったあと、使い魔たちに、モモの事を確認した。

「モモのやつ・・・。」


エイルシッドは、手のひらに炎を召喚し、その炎を眺める。

「こんなところに・・・。
 俺は、モモを迎えに行ってくる。
 お前らは、新しい仲間たちの歓迎会の準備をしておいてくれ。」


「「「はい!
   我らのエイルシッド王!」」」

エイルシッドは、外出用のマントと モモへの土産を持って外へ出ていった。







~迷いの森~

泣きつかれたモモが 森の中で寝ていると、空からエイルシッドが舞い降りてきた。
静かに舞い降りるエイルシッドに、モモは気づかない。

エイルシッドは、持ってきた外出用のマントをモモに優しくかける。

モモは その行為に目を覚ます。


「エイルシ・・・。
 あの、どちらさまでしょうか。
 俺は 名もなき放浪者でがんす。」

「ふふふっ。
 始めましてでいいのかな。
 俺はエイルシッド。
 お前は 俺の領土で何をしているんだ?」


「そ、それは、放浪の旅を・・・。」

「そうか、ならば、どこの魔王に使えてるわけでもないんだろ。」



「・・・は、、、はい。」

「ちょうど良かった。
 俺の仲間で一番優秀な仲間が旅に出てしまって困っていたんだ。
 よかったら、俺の仲間にならないか?」


「・・・エイルシッド様は、その仲間を探したりしないんですか。」

「ああ、探さない。」


「私は・・・。」

「だって、モモは俺の目の前にいるんだから。」


「なぜ、私の事をモモだと・・・。」

「悪魔は見た目に騙されない。
 モモは、俺が天使に見えていたのか?」


モモは無言で頷く。

「はははっ、モモは面白いな。
 さあ、俺らの魔王城に帰ろう。」

「はい。
 ・
 ・
 ・
 エイルシッド様。」

「どうした?」

「私を エイルシッド様の配下として契約させてください。」

「モモは仲間だ。
 俺は、配下として契約しない。」

「お願いします。
 モモは エイルシッド様の妻にも子にもなれません。
 だからこそ、エイルシッド様との繋がりが欲しいのでございます。」

「・・・。」

「お願いします。」


エイルシッドは、無言でモモへの土産を差し出す。


「これは 俺の娘、マリーが選んでくれた土産の品だ。
 もし、俺との繋がりで契約をしたいのであれば、俺への忠誠ではなく、俺と一緒に俺の家族を守ってくれないか。
 これは、モモが一方的に結ぶ契約ではない。
 俺とモモが共同で守っていく契約だ。」

「はい。
 私は エイルシッド様と共に、エイルシッド様の家族を守っていくことを契約します。」


モモが契約すると言った瞬間、周囲に まばゆい光が走る。
モモの体にエイルシッドの紋章である、ピラミッドの中央に目玉のような模様が入った紋章が光り輝き刻まれていく。


「さあ、モモ。
 一緒に帰ろう。」

「はい!」




エイルシッドと、モモは魔王城まで歩いて帰ることにした。
その道中、モモがエイルシッドに お願いする。


「エイルシッド様、モモも悪魔に転生したので、別の名前を名乗ろうかと考えていたんですけど・・・。」

「いいんじゃないか。」

「その・・・。
 出来れは、エイルシッド様に考えてもらいたくって・・・。
 ダメですか?」

「ああ、そうだな・・・。
 モモは 女性になりたかったんだったら・・・。
 アレだアレ!
 えっと、お・・・。」

「お?」

「ほら、あの、お だよ お!」

「お ですか?」

「えっと。
 ・
 ・
 ・
 お、お、女将!
 女性っぽいだろ、マダム・オカミなんてどうかな?」

「はい!
 モモは、マダム・オカミを名乗らせていただきます!」



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