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ニートのち魔界王
034・悪魔の思想、天使に遠く及ばず
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~魔王城・正門前~
遠くに飛び去る飛竜に、大勢の悪魔や使い魔たちが笑顔で手を振り続けている。
「ディーテ様、美しかったニャン。」
「送迎のネロが羨ましいニャン。」
「悔しいけど、エイルシッド様とお似合いだったわね。」
「マリー様も可愛らしかったニャン。」
「まさに天使だったニャン。」
「よく笑う子で愛嬌がよかったニャンね。」
「やっぱり、エイルシッド様の子よね。
・・・どことなく私に似てなかった?」
「「「どこがだニャン!!」」」
「マダム・オカミ、あまり調子に乗るとエイルシッド王に嫌われるニャンよ。」
「・
・
・
す、すみませんでした。」
遊びに来ていた魔界王エイルシッドの妻と娘が天界に戻っていったようだ。
エイルシッドの妻 ディーテと娘マリーは、妻ディーテの天界での仕事の引継ぎが終われば、また魔界に戻ってきて永住することに決まったそうだ。
飛竜も見えなくなり、マダム・オカミが号令をかける。
「ほらほら、エイルシッド様が戻ってくる前に仕事を終わらせましょう!
ディーテ様も マリーちゃんも、やっぱり来て良かったって心から思えるようにね!」
「「「オオォォォ!」」」
悪魔たちは、それぞれの仕事に戻っていった。
それからすぐにエイルシッドが魔王城に戻ってきて、ひと月が経った ある日。
魔王城に、予期せぬ来客が現れた。
エイルシッドのいる王座の間へ使い魔のネロが飛び込んできた。
「エイルシッド王、領土内の村で天使の少年が保護されたそうだニャン。」
「天使の少年?」
「そうだニャン。
天使と悪魔の混血だそうで、エイルシッド王の子供だと思われてて保護されていたニャン。
・・・おそらく、魔王ロロノアが言っていたザイルだと思うニャン。」
「ミロリンの子か・・・。
でも、なぜ?」
「(ミロキアスって何度も言われてるニャン。)
それは、直接会って話を聞いてみるのがいいと思われるニャン。」
「それもそうだな。
では、会いに行くとするか。」
エイルシッドは 使い魔のネロを連れて、少年ザイルが保護された村へと飛び立った。
~エイルシッド領土内の村~
エイルシッドが村に降り立つと、骸骨種の村長リッチモンドが近寄ってきて声をかけた。
「これはこれは、誇り高き魔界王エイルシッド様。
この度は、わが村にて・・・。」
エイルシッドは、事情を知っている旨を伝え、その保護された少年に会わせてもらうことにした。
村長が連れてきた天使の少年は、愛娘マリーと近い年頃か少し上くらいの幼い少年だった。
エイルシッドが、少年に優しく声をかける。
「ザイル・・・だね。」
天使の少年は 無言で頷く。
「君を迎えに来た。
私がエイルシッドだ。」
怯えていて不安そうだった天使の少年ザイルは、エイルシッドの優しく微笑む顔をみたとたん涙を流す。
天使の少年ザイルをエイルシッドは、優しく抱きしめる。
村長たちは、父と子の再開を邪魔してはいけないと考えたのか、部屋を後にした。
2人きりになった部屋で、ザイルにエイルシッドは質問する。
「どうして、一人で魔界を彷徨っていたんだい?
ミロキアスは、どこに?」
「父は 審判の門を通るときに天使兵に見つかって・・・。」
「・・・そうか、俺が今から助けに行ってくるよ。」
少年は首を横に振り、一輪の花をエイルシッドに差し出す。
エイルシッドは、その花を見て 何かを察した。
「ザイル。
お母さんも病気で亡くなったそうだね。
よかったら、今日から俺たちと一緒に魔界で暮らさないか?」
「でも・・・。」
「俺は、子供たちは 誰でも幸せになる権利があると思っている。」
「・・・はい。ありがとうございます。
エイルシッド王、僕は行くところがありません。
だけど、天界にも戻りたくありません。
どうか僕をエイルシッド王の仲間として扱ってください。」
「・・・そんなふうに、」
エイルシッドが何か言おうとしたとき、少年ザイルは首を横に振り話し始める。
「僕は下級天使の出身です。
それに僕の羽は黒く変色しています。天界では最も低い地位を与えられる予定でした。
僕は どんな仕事でも頑張ってやりきります。
ですから、お願いします。」
ザイルの言葉に、エイルシッドは悲しい顔をする。
なぜ、天使たちは差別をするのだろうか。
生まれた身分、肌の色や羽の色の違い。
そんな些細なことにも細かく違いを見つけ、差別の対象にする。
それが天使たちの考えなのだろうか。
もしそれが、天使たちの考えであれば、悪魔には生涯理解するとこができないかもしれない。
悪魔として生まれ育てられたエイルシッドにも、到底理解することが出来なかったようだ。
(こういうところは、天使に似ているな。
・
・
・
人間たちの 天使と似ている。
俺が唯一 好きになれない・・・人間たちの嫌いな部分だ。)
エイルシッドは、深く呼吸をし 再び笑顔でザイルに声をかける。
「ザイルは俺の仲間であり、家族だ。
ザイルに 父の事を忘れろとは言わない。
俺の事を 父と呼ぶのに抵抗があるなら、他の仲間たちのようにエイルシッド王と呼んでもかまわない。
だけど、俺はザイルの事を 俺の子として、愛し育てていこうと思う。
だから、いつでもいい。ザイルも俺を信じることが出来るようになったときは、お父さんと呼んでくれ。」
「・・・はい。
エイルシッド王。」
こうして天使の少年ザイルは、魔界王エイルシッドの子として魔王城に入城した。
ちなみに、ザイルを保護した村の村長の希望で、村長のリッチモンドも魔王城の財産管理係として入城を許された。
家族を戦争で失っていたリッチモンドは、今後の兵役を免除してもらう約束を取り付けたそうだ。
~数週間後
・魔王城~
魔王城内で使い魔たちが、慌ただしく走り回っている。
そんな使い魔にザイルは声をかける。
「あの、どうしたんですか。
何か事件でも起きたんでしょうか?」
「あ。ザイル様、いまからエイルシッド王がマリー様を迎えに行くニャン。」
「あれ?
エイルシッド王がマリー様を迎えに行くのは来月でしたよね。」
「事情が変わったニャン。
マリー様の悪魔の血が活性化したみたいで急いで天界から出てこなくっちゃいけなくなったらしいニャン。
だから、審判の門を起動させるために、こちらから転送装置を使い天界に侵入して・・・。」
「転送装置があるんなら、それを使って戻ってくればいいじゃないですか?」
「転送装置は一方通行ニャン。
審判の門とは違うニャン。」
「なるほど。
僕が、もう少し早く知っていたなら・・・。」
ザイルは、使い魔に教えてくれた礼を言うと、エイルシッドの元に駆けだしていった。
~魔王城・王座の間~
王座の間では、審判の門を起動させる作戦会議が行われていた。
そこにザイルは合流し、意見を出す。
「エイルシッド王。無理に審判の門を起動せずに飛竜で送り迎えをしてはいかがでしょうか。」
「それはできない。
いまは天界の警備が厳重になっている。
ディーテはともかく、マリーを戦闘に巻き込むことはできない。」
「しかし、審判の門を起動するには、5つのゲートキーを起動しなければ動かすことはできません。
父は技師だった為、点検と偽り起動することが出来ました。しかし・・・。」
「面倒だな。
しかし、飛竜か・・・。」
「大丈夫です。
天界には地下から侵入する縦穴があります。
そこは、厳重な警備が敷かれているのですが、そこを利用すれば。」
「何を言ってるニャン?
厳重な警備を通過すれば撃ち落とされるに決まってるニャン。」
「はい。飛竜なら撃ち落とされます。
飛竜なら・・・。」
エイルシッド王が笑みを見せる。
「そうだな、飛竜ならな。
よし、その作戦で行こう!」
「どんな作戦なんだニャン?」
使い魔の質問にザイルが答える。
「はい、エイルシッド王と僕で縦穴を通過して天使兵の注意を そこに集めます。
その隙に、飛竜を使ってお二人を魔界に救い出す方法です。」
ザイルの回答に、驚いて質問するエイルシッド。
「・・・ザイルも行くのか!?」
「はい!
僕の天使の翼は、堕天使の翼です。
どんな天使よりも早く力強く飛ぶことができます。
審判の門から逃げ出せたのも、この翼のおかげです。」
「・・・しかし。」
「エイルシッド王、お願いします。
僕を連れて行って下さい。
もう家族を失いたくありません!」
ザイルの決意を感じ取ったエイルシッドは、小さく頷き号令をかける。
「俺とザイルで天界の縦穴を襲撃する。
その隙に、ネロは飛竜に乗り、ディーテとマリーを連れてきてくれ。」
「他の陽動とかは要らないのかニャン?」
「要らない。変に勘繰られてリスクを増やしたくない。
それから、ネロの任務は重大任務だ。
秘密裏に行動し、決して争いに巻き込まれないように注意してくれ。
他の戦士たちは、魔界の地上で待機。
もしネロの乗った飛竜が追われるようであれば、追ってくる天使を迎撃してかまわない。
さあ、魔界全土に命令を伝えるんだ!」
「「「おおおお!」」」
こうして、女神ディーテと、愛娘マリーの奪還作戦が決行されることとなった。
後に天使たちの間では、この作戦は、このように伝わる。
【天魔戦記、第1118章 423節】
天魔戦記にも記されている数少ない 事実上の敗北の話であり。
魔界王エイルシッドと、その子、魔王ザイルによる天界襲撃事件とされている。
その襲撃を阻止するために戦った多くの戦死者の中に、女神ディーテの姿もあった。
事実、襲撃後、女神ディーテの姿を目撃した者はいない・・・と。
→035へ
遠くに飛び去る飛竜に、大勢の悪魔や使い魔たちが笑顔で手を振り続けている。
「ディーテ様、美しかったニャン。」
「送迎のネロが羨ましいニャン。」
「悔しいけど、エイルシッド様とお似合いだったわね。」
「マリー様も可愛らしかったニャン。」
「まさに天使だったニャン。」
「よく笑う子で愛嬌がよかったニャンね。」
「やっぱり、エイルシッド様の子よね。
・・・どことなく私に似てなかった?」
「「「どこがだニャン!!」」」
「マダム・オカミ、あまり調子に乗るとエイルシッド王に嫌われるニャンよ。」
「・
・
・
す、すみませんでした。」
遊びに来ていた魔界王エイルシッドの妻と娘が天界に戻っていったようだ。
エイルシッドの妻 ディーテと娘マリーは、妻ディーテの天界での仕事の引継ぎが終われば、また魔界に戻ってきて永住することに決まったそうだ。
飛竜も見えなくなり、マダム・オカミが号令をかける。
「ほらほら、エイルシッド様が戻ってくる前に仕事を終わらせましょう!
ディーテ様も マリーちゃんも、やっぱり来て良かったって心から思えるようにね!」
「「「オオォォォ!」」」
悪魔たちは、それぞれの仕事に戻っていった。
それからすぐにエイルシッドが魔王城に戻ってきて、ひと月が経った ある日。
魔王城に、予期せぬ来客が現れた。
エイルシッドのいる王座の間へ使い魔のネロが飛び込んできた。
「エイルシッド王、領土内の村で天使の少年が保護されたそうだニャン。」
「天使の少年?」
「そうだニャン。
天使と悪魔の混血だそうで、エイルシッド王の子供だと思われてて保護されていたニャン。
・・・おそらく、魔王ロロノアが言っていたザイルだと思うニャン。」
「ミロリンの子か・・・。
でも、なぜ?」
「(ミロキアスって何度も言われてるニャン。)
それは、直接会って話を聞いてみるのがいいと思われるニャン。」
「それもそうだな。
では、会いに行くとするか。」
エイルシッドは 使い魔のネロを連れて、少年ザイルが保護された村へと飛び立った。
~エイルシッド領土内の村~
エイルシッドが村に降り立つと、骸骨種の村長リッチモンドが近寄ってきて声をかけた。
「これはこれは、誇り高き魔界王エイルシッド様。
この度は、わが村にて・・・。」
エイルシッドは、事情を知っている旨を伝え、その保護された少年に会わせてもらうことにした。
村長が連れてきた天使の少年は、愛娘マリーと近い年頃か少し上くらいの幼い少年だった。
エイルシッドが、少年に優しく声をかける。
「ザイル・・・だね。」
天使の少年は 無言で頷く。
「君を迎えに来た。
私がエイルシッドだ。」
怯えていて不安そうだった天使の少年ザイルは、エイルシッドの優しく微笑む顔をみたとたん涙を流す。
天使の少年ザイルをエイルシッドは、優しく抱きしめる。
村長たちは、父と子の再開を邪魔してはいけないと考えたのか、部屋を後にした。
2人きりになった部屋で、ザイルにエイルシッドは質問する。
「どうして、一人で魔界を彷徨っていたんだい?
ミロキアスは、どこに?」
「父は 審判の門を通るときに天使兵に見つかって・・・。」
「・・・そうか、俺が今から助けに行ってくるよ。」
少年は首を横に振り、一輪の花をエイルシッドに差し出す。
エイルシッドは、その花を見て 何かを察した。
「ザイル。
お母さんも病気で亡くなったそうだね。
よかったら、今日から俺たちと一緒に魔界で暮らさないか?」
「でも・・・。」
「俺は、子供たちは 誰でも幸せになる権利があると思っている。」
「・・・はい。ありがとうございます。
エイルシッド王、僕は行くところがありません。
だけど、天界にも戻りたくありません。
どうか僕をエイルシッド王の仲間として扱ってください。」
「・・・そんなふうに、」
エイルシッドが何か言おうとしたとき、少年ザイルは首を横に振り話し始める。
「僕は下級天使の出身です。
それに僕の羽は黒く変色しています。天界では最も低い地位を与えられる予定でした。
僕は どんな仕事でも頑張ってやりきります。
ですから、お願いします。」
ザイルの言葉に、エイルシッドは悲しい顔をする。
なぜ、天使たちは差別をするのだろうか。
生まれた身分、肌の色や羽の色の違い。
そんな些細なことにも細かく違いを見つけ、差別の対象にする。
それが天使たちの考えなのだろうか。
もしそれが、天使たちの考えであれば、悪魔には生涯理解するとこができないかもしれない。
悪魔として生まれ育てられたエイルシッドにも、到底理解することが出来なかったようだ。
(こういうところは、天使に似ているな。
・
・
・
人間たちの 天使と似ている。
俺が唯一 好きになれない・・・人間たちの嫌いな部分だ。)
エイルシッドは、深く呼吸をし 再び笑顔でザイルに声をかける。
「ザイルは俺の仲間であり、家族だ。
ザイルに 父の事を忘れろとは言わない。
俺の事を 父と呼ぶのに抵抗があるなら、他の仲間たちのようにエイルシッド王と呼んでもかまわない。
だけど、俺はザイルの事を 俺の子として、愛し育てていこうと思う。
だから、いつでもいい。ザイルも俺を信じることが出来るようになったときは、お父さんと呼んでくれ。」
「・・・はい。
エイルシッド王。」
こうして天使の少年ザイルは、魔界王エイルシッドの子として魔王城に入城した。
ちなみに、ザイルを保護した村の村長の希望で、村長のリッチモンドも魔王城の財産管理係として入城を許された。
家族を戦争で失っていたリッチモンドは、今後の兵役を免除してもらう約束を取り付けたそうだ。
~数週間後
・魔王城~
魔王城内で使い魔たちが、慌ただしく走り回っている。
そんな使い魔にザイルは声をかける。
「あの、どうしたんですか。
何か事件でも起きたんでしょうか?」
「あ。ザイル様、いまからエイルシッド王がマリー様を迎えに行くニャン。」
「あれ?
エイルシッド王がマリー様を迎えに行くのは来月でしたよね。」
「事情が変わったニャン。
マリー様の悪魔の血が活性化したみたいで急いで天界から出てこなくっちゃいけなくなったらしいニャン。
だから、審判の門を起動させるために、こちらから転送装置を使い天界に侵入して・・・。」
「転送装置があるんなら、それを使って戻ってくればいいじゃないですか?」
「転送装置は一方通行ニャン。
審判の門とは違うニャン。」
「なるほど。
僕が、もう少し早く知っていたなら・・・。」
ザイルは、使い魔に教えてくれた礼を言うと、エイルシッドの元に駆けだしていった。
~魔王城・王座の間~
王座の間では、審判の門を起動させる作戦会議が行われていた。
そこにザイルは合流し、意見を出す。
「エイルシッド王。無理に審判の門を起動せずに飛竜で送り迎えをしてはいかがでしょうか。」
「それはできない。
いまは天界の警備が厳重になっている。
ディーテはともかく、マリーを戦闘に巻き込むことはできない。」
「しかし、審判の門を起動するには、5つのゲートキーを起動しなければ動かすことはできません。
父は技師だった為、点検と偽り起動することが出来ました。しかし・・・。」
「面倒だな。
しかし、飛竜か・・・。」
「大丈夫です。
天界には地下から侵入する縦穴があります。
そこは、厳重な警備が敷かれているのですが、そこを利用すれば。」
「何を言ってるニャン?
厳重な警備を通過すれば撃ち落とされるに決まってるニャン。」
「はい。飛竜なら撃ち落とされます。
飛竜なら・・・。」
エイルシッド王が笑みを見せる。
「そうだな、飛竜ならな。
よし、その作戦で行こう!」
「どんな作戦なんだニャン?」
使い魔の質問にザイルが答える。
「はい、エイルシッド王と僕で縦穴を通過して天使兵の注意を そこに集めます。
その隙に、飛竜を使ってお二人を魔界に救い出す方法です。」
ザイルの回答に、驚いて質問するエイルシッド。
「・・・ザイルも行くのか!?」
「はい!
僕の天使の翼は、堕天使の翼です。
どんな天使よりも早く力強く飛ぶことができます。
審判の門から逃げ出せたのも、この翼のおかげです。」
「・・・しかし。」
「エイルシッド王、お願いします。
僕を連れて行って下さい。
もう家族を失いたくありません!」
ザイルの決意を感じ取ったエイルシッドは、小さく頷き号令をかける。
「俺とザイルで天界の縦穴を襲撃する。
その隙に、ネロは飛竜に乗り、ディーテとマリーを連れてきてくれ。」
「他の陽動とかは要らないのかニャン?」
「要らない。変に勘繰られてリスクを増やしたくない。
それから、ネロの任務は重大任務だ。
秘密裏に行動し、決して争いに巻き込まれないように注意してくれ。
他の戦士たちは、魔界の地上で待機。
もしネロの乗った飛竜が追われるようであれば、追ってくる天使を迎撃してかまわない。
さあ、魔界全土に命令を伝えるんだ!」
「「「おおおお!」」」
こうして、女神ディーテと、愛娘マリーの奪還作戦が決行されることとなった。
後に天使たちの間では、この作戦は、このように伝わる。
【天魔戦記、第1118章 423節】
天魔戦記にも記されている数少ない 事実上の敗北の話であり。
魔界王エイルシッドと、その子、魔王ザイルによる天界襲撃事件とされている。
その襲撃を阻止するために戦った多くの戦死者の中に、女神ディーテの姿もあった。
事実、襲撃後、女神ディーテの姿を目撃した者はいない・・・と。
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