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第一章
第5話 潜入
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~洞窟の中~
バベルが目を覚ますと、そこは森の中にある、洞窟だった。
パナが、バベルの横で寝ている。
バベルを引きずってきたのだろうか?
さいわい外は、いつの間にか雨が激しく降っている。パナが、バベルを引きずってきた後は、消えているだろう。
~翌日~
雨も上がり、パナも目覚めた。
しかし、いつもの元気はない。
バベル「パナ、一度町に戻ろう。そこで支度をして次の行動を決めよう。もしかすれば、お父さんと合流できるかもしれない!」
パナ「うん。そうだね。お父さん、強いもんね。」
二人は、カザンを目指して歩き出した。
町に入ると、バレないように、頭から布を被る。
パナ「ねえ、家に戻ってみない?もしかしたら、おとうさんが戻ってるかもよ!」
バベル「いや、家は危険だよ。もう場所もバレてるし、敵が待ち伏せしている可能性もある。お父さんも家には戻らないんじゃないかな?」
パナ「へー、バベル兄ちゃん、なんでも知ってるんだね!」
バベル「神殿や家以外で行きそうな場所は?」
パナ「スモー闘技場くらいかな?」
バベル「開催は明日だよね。一応行ってみようか。」
バベルは危険に感じながらも、闘技場へ向かった。
闘技場の近くまで行くと、号外速報が販売されていた。
バベル「お金もってる?」
パナ「まさかー持ってないよ。。バベル兄ちゃんは?」
バベル「持ってないよ。」
バベルは、号外を売っている人の声を聴くことにした。
号外売り「なんと!明日のスモー試合は、英雄バナンが宿敵ドラゴンと対決するよ!この記事を読めば、明日のスモー試合の全てが載ってるよ!」
パナ「バベル兄ちゃん!ここで待ってれば、お父さんに会えるんじゃないかな?」
バベル「いや、それは危険だ。たぶん、お父さんは、騎士に捕まったんだよ。だとすれば、控室にも騎士が来るはず。何とかして控室以外で中に入る方法を見つけよう!」
パナ「そんなの無理だよ。だって観客席の警備は厳重で、警備員以外、チケットを買った人しか入れないんだよ。ほら!」
パナが指さす方に、頭からつま先まで隠れるように、全身鎧を着た警備員が槍を持って立っている。
警備室は、外に設置してあるようだ。
バベル「ああ、なんだ!簡単じゃん!」
パオ「なに言ってるの、号外を買うお金もないじゃん!僕たち子供たちは、貴族じゃない限り高額なチケットなんて買えないよ!」
バベル「今日はあの警備室を見張りながらタイミングを待とう。」
日も暮れ、辺りは闇に包まれる。
最後の警備員が、警備室に施錠するのが見える。
バベル「パナ、施錠されたようだ。行くよ!」
パナ「こんな位置でよく見えるね!」
警備室まで100mくらいはあるし、外灯はなく、月明かりしかない。
バベル「ああ、目はいいみたいだね。」
パナ「すごいよ!バベル兄ちゃん!」
二人は警備員室へ急いだ。
警備員室の扉は南京錠で鍵がしてある。
バベル「パナ、すこし下がってて!」
バベルは、腰の日本刀を抜き、南京錠を切る。
キーン!
目を丸くするパナ。
南京錠のU字に曲がる施錠部分だけを切っている。まさに神業であった。
パナ「バベル兄ちゃん、いまの技、今度教えてよ!」
バベル「あ・・・ああ、一応、忍び込んでるんだし、出来るだけ静かにね。」
二人は警備員室に入る。
警備員室には、警備日誌や、同議場内のゴミ、チケットの半券などがある。
バベルは、チケットの半券をパナに渡す。
パナ「兄ちゃん・・・。これじゃ入れないよ・・・。」
バベル「大丈夫、問題ないさ。」
バベルは、ゴミ箱をあさり、チケットの客用控えを取り出して、パナに渡した。
パナ「さすがに普通の警備員なら、気づいちゃうよ!控え番号も違うし、そもそもすでに二つに分かれてるじゃん!」
バベル「そう!普通の警備員ならね・・・!」
~翌日、闘技場入場口~
パナは、バラバラのチケットを持ち闘技場に入る列に並ぶ。
入場門が開き、次々と客が中に入っていく。
列が徐々に進み、パナの順番が近づく。
警備員を見るパナの心臓は、破裂しそうなくらいに、早く鼓動する。
パナの番だ!
パナはチケットの半券を警備員に渡す。
警備員は受け取り、先へ進むように促す・・・。
別の警備員「おい!いま半券だけじゃなかったか?通し番号を確認しておけ!」
チケットを受け取った警備員「はい!おい、そこの子供、ちょっと待て!」
パナの心臓の鼓動は、最高潮に早くなる。
その時!!
ドン!
男の声「おい!警備員!邪魔だ気をつけろ!」
チケットを受け取った警備員が、女性を連れてきた髭の紳士にぶつかり、チケットを落とす。
別の警備員「申し訳ございません!」
髭の紳士「職務怠慢だぞ!早くチケットを拾って仕事に戻らせろ!」
別の警備員「はい!注意しておきます。」
別の警備員は、チケットを受け取った警備員に注意してチケットを拾わせる。
別の警備員がパナの所にくる。
別の警備員「おい、チケットの控えを見せろ!」
パナは、持っていた半券を出し確認する。
チケットを受け取った警備員「この番号ですかね?それともこれかな?近い番号はたくさんあるんですけど・・・。」
別の警備員「・・・失礼しました。どうぞ、お通り下さい。次回から来場の際は、チケットはこちらで切りますので、そのままにしておいて下さい。」
パナは闘技場に入っていく。
別の警備員「おい、新入り!しっかりしてくれよ。」
チケットを受け取った警備員「すいません、先輩!」
別の警備員「まあ、貴族のファッションセンスは分からないな。・・・おい、俺が貴族の子供にチョッカイだしたこと、黙ってろよ。殺されちまうから。」
チケットを受け取った警備員「もちろんですよ。俺もぶつかったこと、秘密にしといて下さいね。ココだけの秘密ですよ!」
~闘技場観戦席~
パナは闘技場に入る。座席はチケットに書かれてるランクに応じて座る場所が決まっている。
パナの持っていたチケットの半券は、【A席】円形闘技場の最前列で観戦できる、上から3番目のランクのチケットで、貴族以上の身分でしか購入できないチケットだ。
チケットの見方が分からないパナは、とりあえず後ろの方の開いてる席に座る。
男「おい、ガキ!そこの席は俺が予約してたんだ、どけよ!」
パナ「すみません。予約があるなんて知らなくって。」
男「はぁ?なめてんのか!」
男がパナの胸倉を掴む!
パナ「あの、知らなかったんです。すぐにどきますから。」
男「どいて済む問題じゃねーんだよ!」
泣きそうな顔になるパナ。
連れの女「ちょっとやりすぎよ!もう辞めてあげてよ。まだ小さい子供じゃん。」
男「このガキが、俺がいつも座ってる席に座ってんだぜ!いっぱつ殴んねーと気がすまねーよ」
騒ぎを聞きつけて警備員が来る。
警備員「おい、ハンク!なんの騒ぎだ!」
ハンク「いや、この奴隷のガキが、俺の席に座ってたもんで、ちょっと躾てたんですよ!」
警備員「おい小僧、チケット見せてみろ。どうやって忍び込んだんだ!」
パナは、おそるおそるチケットを取り出す。
それを確認する警備員。確認し終わると、他の警備員に指示を出す。
警備員「・・・すぐに兵士を呼べ、」
ハンク「おい、ガキ!さっさと奴隷区に戻りやがれ!」
連れの女「ちょっと、そんな言い方ないでしょ!!」
警備員「やめとけ、ハンク、貴様は不敬罪で連行される。」
宝石をまとった熟年の女性が話に割り込む。
宝石をまとった熟年の女性「警備員さん、野蛮な男は坊やの胸倉を掴んでいたのよぉ。」
警備員が連れの女を見る。
連れの女「え、ええ、ちょっと胸倉を・・・。」
警備員「接触があったのか・・・。マックイン卿、ご協力感謝いたします。」
警備員「ハンク、貴族階級への暴言暴行で、場合によっては死刑もある。覚悟しておけ。」
ハンク「え、なに?」
警備員の連れてきた兵士が、ハンクを押さえる。
兵士がパナの方を見る。
マックイン卿は、パナの手を握る。
熟年女性(マックイン)「この子は、貴族なんでしょ。私が連れていくわ。」
兵士「あ、はい、マックイン卿がついていてくれるのであれば、安心です。」
兵士たちは、ハンクを連れて外に出た。
パナは、マックイン卿と一緒に観戦することになった。
マックイン卿のお尻が席を1つ半占領するので、ちょっと狭い・・・。
~一方その頃、闘技場入場口~
入場を待つ客が中に入り、闘技場入場口は、いつもの静けさを取り戻した。
警備員A「なあ、そろそろメインゲート閉めようぜ。」
チケットを受け取った警備員「そうですね。閉めましょうか。」
別の警備員「今日は、英雄VS宿敵の試合もあるから楽しみだな!」
警備員B「おい、いまからC席16区で暴れてた男が連行されるらしいぞ。」
警備員A「どうせ、ハンクか、テリーだろ?」
警備員B「それがさ、今回は凄かったらしいぜ!」
別の警備員「何か事件でもあったのか?」
警備員B「それが、奴隷みたいな身なりをした貴族の子にチョッカイだしたんだってさ。その貴族の子が、マックイン卿の知り合いみたいだったんだよ。」
警備員A「で、どうなったんだ?」
警備員B「ああ、貴族に逆らった罪で、死刑になるらしいぜ!」
別の警備員「え、そ、そうなんだ。あ、ああ、そりゃ仕方ないな・・・。なあ、急いで着替えようぜ!なあ!」
警備員B「おい、どうしたんだいったい?」
チケットを受け取った警備員「ああ、先輩がチョッカイだした子ですね。」
別の警備員「おい!内緒って言っただろ!それにチョッカイだしてねーよ!」
警備員A「まじかよ!お前ら、先に着替えに行けよ!バレたら殺されるぞ!」
別の警備員「ああ、すまない。後は頼むよ・・・。おい、一緒に行くぞ!」
チケットを受け取った警備員「はい!あ、騒ぎがあったのは、C席16区でしたよね。」
警備員B「ああ、お前らは、あまり近づくなよ。」
~闘技場観戦席~
バベルは、なんとか潜入に成功していた。
バベル「C席16区か・・・。どこだろう?」
バベルにとって初めての場所で、座席の見方が分からない。近くまで来ていると思うのだが・・・。
バベルは、通路でボーっと立ってる人に尋ねることにした。
バベル「あの、すみません。C席16区って、どこになりますか?」
連れの女「あ、は、はい。ココがC席16区です。」
バベル「よかった。この辺りで、10歳くらいの男の子見ませんでした?知り合いが迷子なんですけど。」
ハッとした表情を見せる女性、女性はバベルを見ると泣きそうな顔をしている。
連れの女「あの、わたしミランダといいます。彼が、貴族とは知らずに・・・。
その・・・ご奉仕でも何でもします。彼を許してあげてください。お願いします。貴族様」
バベル「よく話が分からないけど、まずは弟を探したいんだが・・・。」
ミランダ「はい、最前列の中央に座ってます。あの、私ここでずっと待ってます。彼を・・・ハンクを、宜しくお願いします。」
バベル「ああ、その件も聞いてくるね。」
バベルは最前列を目指して観客席の階段を降りていく。
バベルの後を、行動を怪しんでみていた警備員もついて行く。
バベルは、パナを見つけて笑顔で手を振る。それに気づくパナとマックイン卿。
マックイン卿が笑顔で手招きをしている。
その様子を見た警備員は、慌てて階段を引き返し、別のエリアに逃げるように去っていった。
バベルは、呼ばれるままに二人の元へ移動する。
マックイン卿に会釈をするバベル。
バベル「あの、初めまして。バベルと言います。弟を助けてもらったみたいで、ありがとうございます。」
マックイン「あら、いいのよ。昨日神殿で見てたから。うちの夫の知り合いでしょ?」
パナ「夫?」
マックイン「ええ、マックイン・ガレアスよ。今日は、バナンさんを救出しに来るかもしれないって、夫と信頼できる仲間だけで、貴方たちを保護しに来たの。」
バベル「はい。ありがとうございます。」
マックイン「いいこと、バナンに何があっても動かないでね。目立ってしまうと、私たちでは、貴方たちを救えなくなるから。」
バベル「・・・はい。」
バベルは、パナの横に座る。
パナがバベルを睨む!
パナ小声「ちょっと、反対側に座ってよ。マックインさんとバベル兄ちゃんに挟まれたら狭くて潰されちゃうよ!」
~ to be continued
バベルが目を覚ますと、そこは森の中にある、洞窟だった。
パナが、バベルの横で寝ている。
バベルを引きずってきたのだろうか?
さいわい外は、いつの間にか雨が激しく降っている。パナが、バベルを引きずってきた後は、消えているだろう。
~翌日~
雨も上がり、パナも目覚めた。
しかし、いつもの元気はない。
バベル「パナ、一度町に戻ろう。そこで支度をして次の行動を決めよう。もしかすれば、お父さんと合流できるかもしれない!」
パナ「うん。そうだね。お父さん、強いもんね。」
二人は、カザンを目指して歩き出した。
町に入ると、バレないように、頭から布を被る。
パナ「ねえ、家に戻ってみない?もしかしたら、おとうさんが戻ってるかもよ!」
バベル「いや、家は危険だよ。もう場所もバレてるし、敵が待ち伏せしている可能性もある。お父さんも家には戻らないんじゃないかな?」
パナ「へー、バベル兄ちゃん、なんでも知ってるんだね!」
バベル「神殿や家以外で行きそうな場所は?」
パナ「スモー闘技場くらいかな?」
バベル「開催は明日だよね。一応行ってみようか。」
バベルは危険に感じながらも、闘技場へ向かった。
闘技場の近くまで行くと、号外速報が販売されていた。
バベル「お金もってる?」
パナ「まさかー持ってないよ。。バベル兄ちゃんは?」
バベル「持ってないよ。」
バベルは、号外を売っている人の声を聴くことにした。
号外売り「なんと!明日のスモー試合は、英雄バナンが宿敵ドラゴンと対決するよ!この記事を読めば、明日のスモー試合の全てが載ってるよ!」
パナ「バベル兄ちゃん!ここで待ってれば、お父さんに会えるんじゃないかな?」
バベル「いや、それは危険だ。たぶん、お父さんは、騎士に捕まったんだよ。だとすれば、控室にも騎士が来るはず。何とかして控室以外で中に入る方法を見つけよう!」
パナ「そんなの無理だよ。だって観客席の警備は厳重で、警備員以外、チケットを買った人しか入れないんだよ。ほら!」
パナが指さす方に、頭からつま先まで隠れるように、全身鎧を着た警備員が槍を持って立っている。
警備室は、外に設置してあるようだ。
バベル「ああ、なんだ!簡単じゃん!」
パオ「なに言ってるの、号外を買うお金もないじゃん!僕たち子供たちは、貴族じゃない限り高額なチケットなんて買えないよ!」
バベル「今日はあの警備室を見張りながらタイミングを待とう。」
日も暮れ、辺りは闇に包まれる。
最後の警備員が、警備室に施錠するのが見える。
バベル「パナ、施錠されたようだ。行くよ!」
パナ「こんな位置でよく見えるね!」
警備室まで100mくらいはあるし、外灯はなく、月明かりしかない。
バベル「ああ、目はいいみたいだね。」
パナ「すごいよ!バベル兄ちゃん!」
二人は警備員室へ急いだ。
警備員室の扉は南京錠で鍵がしてある。
バベル「パナ、すこし下がってて!」
バベルは、腰の日本刀を抜き、南京錠を切る。
キーン!
目を丸くするパナ。
南京錠のU字に曲がる施錠部分だけを切っている。まさに神業であった。
パナ「バベル兄ちゃん、いまの技、今度教えてよ!」
バベル「あ・・・ああ、一応、忍び込んでるんだし、出来るだけ静かにね。」
二人は警備員室に入る。
警備員室には、警備日誌や、同議場内のゴミ、チケットの半券などがある。
バベルは、チケットの半券をパナに渡す。
パナ「兄ちゃん・・・。これじゃ入れないよ・・・。」
バベル「大丈夫、問題ないさ。」
バベルは、ゴミ箱をあさり、チケットの客用控えを取り出して、パナに渡した。
パナ「さすがに普通の警備員なら、気づいちゃうよ!控え番号も違うし、そもそもすでに二つに分かれてるじゃん!」
バベル「そう!普通の警備員ならね・・・!」
~翌日、闘技場入場口~
パナは、バラバラのチケットを持ち闘技場に入る列に並ぶ。
入場門が開き、次々と客が中に入っていく。
列が徐々に進み、パナの順番が近づく。
警備員を見るパナの心臓は、破裂しそうなくらいに、早く鼓動する。
パナの番だ!
パナはチケットの半券を警備員に渡す。
警備員は受け取り、先へ進むように促す・・・。
別の警備員「おい!いま半券だけじゃなかったか?通し番号を確認しておけ!」
チケットを受け取った警備員「はい!おい、そこの子供、ちょっと待て!」
パナの心臓の鼓動は、最高潮に早くなる。
その時!!
ドン!
男の声「おい!警備員!邪魔だ気をつけろ!」
チケットを受け取った警備員が、女性を連れてきた髭の紳士にぶつかり、チケットを落とす。
別の警備員「申し訳ございません!」
髭の紳士「職務怠慢だぞ!早くチケットを拾って仕事に戻らせろ!」
別の警備員「はい!注意しておきます。」
別の警備員は、チケットを受け取った警備員に注意してチケットを拾わせる。
別の警備員がパナの所にくる。
別の警備員「おい、チケットの控えを見せろ!」
パナは、持っていた半券を出し確認する。
チケットを受け取った警備員「この番号ですかね?それともこれかな?近い番号はたくさんあるんですけど・・・。」
別の警備員「・・・失礼しました。どうぞ、お通り下さい。次回から来場の際は、チケットはこちらで切りますので、そのままにしておいて下さい。」
パナは闘技場に入っていく。
別の警備員「おい、新入り!しっかりしてくれよ。」
チケットを受け取った警備員「すいません、先輩!」
別の警備員「まあ、貴族のファッションセンスは分からないな。・・・おい、俺が貴族の子供にチョッカイだしたこと、黙ってろよ。殺されちまうから。」
チケットを受け取った警備員「もちろんですよ。俺もぶつかったこと、秘密にしといて下さいね。ココだけの秘密ですよ!」
~闘技場観戦席~
パナは闘技場に入る。座席はチケットに書かれてるランクに応じて座る場所が決まっている。
パナの持っていたチケットの半券は、【A席】円形闘技場の最前列で観戦できる、上から3番目のランクのチケットで、貴族以上の身分でしか購入できないチケットだ。
チケットの見方が分からないパナは、とりあえず後ろの方の開いてる席に座る。
男「おい、ガキ!そこの席は俺が予約してたんだ、どけよ!」
パナ「すみません。予約があるなんて知らなくって。」
男「はぁ?なめてんのか!」
男がパナの胸倉を掴む!
パナ「あの、知らなかったんです。すぐにどきますから。」
男「どいて済む問題じゃねーんだよ!」
泣きそうな顔になるパナ。
連れの女「ちょっとやりすぎよ!もう辞めてあげてよ。まだ小さい子供じゃん。」
男「このガキが、俺がいつも座ってる席に座ってんだぜ!いっぱつ殴んねーと気がすまねーよ」
騒ぎを聞きつけて警備員が来る。
警備員「おい、ハンク!なんの騒ぎだ!」
ハンク「いや、この奴隷のガキが、俺の席に座ってたもんで、ちょっと躾てたんですよ!」
警備員「おい小僧、チケット見せてみろ。どうやって忍び込んだんだ!」
パナは、おそるおそるチケットを取り出す。
それを確認する警備員。確認し終わると、他の警備員に指示を出す。
警備員「・・・すぐに兵士を呼べ、」
ハンク「おい、ガキ!さっさと奴隷区に戻りやがれ!」
連れの女「ちょっと、そんな言い方ないでしょ!!」
警備員「やめとけ、ハンク、貴様は不敬罪で連行される。」
宝石をまとった熟年の女性が話に割り込む。
宝石をまとった熟年の女性「警備員さん、野蛮な男は坊やの胸倉を掴んでいたのよぉ。」
警備員が連れの女を見る。
連れの女「え、ええ、ちょっと胸倉を・・・。」
警備員「接触があったのか・・・。マックイン卿、ご協力感謝いたします。」
警備員「ハンク、貴族階級への暴言暴行で、場合によっては死刑もある。覚悟しておけ。」
ハンク「え、なに?」
警備員の連れてきた兵士が、ハンクを押さえる。
兵士がパナの方を見る。
マックイン卿は、パナの手を握る。
熟年女性(マックイン)「この子は、貴族なんでしょ。私が連れていくわ。」
兵士「あ、はい、マックイン卿がついていてくれるのであれば、安心です。」
兵士たちは、ハンクを連れて外に出た。
パナは、マックイン卿と一緒に観戦することになった。
マックイン卿のお尻が席を1つ半占領するので、ちょっと狭い・・・。
~一方その頃、闘技場入場口~
入場を待つ客が中に入り、闘技場入場口は、いつもの静けさを取り戻した。
警備員A「なあ、そろそろメインゲート閉めようぜ。」
チケットを受け取った警備員「そうですね。閉めましょうか。」
別の警備員「今日は、英雄VS宿敵の試合もあるから楽しみだな!」
警備員B「おい、いまからC席16区で暴れてた男が連行されるらしいぞ。」
警備員A「どうせ、ハンクか、テリーだろ?」
警備員B「それがさ、今回は凄かったらしいぜ!」
別の警備員「何か事件でもあったのか?」
警備員B「それが、奴隷みたいな身なりをした貴族の子にチョッカイだしたんだってさ。その貴族の子が、マックイン卿の知り合いみたいだったんだよ。」
警備員A「で、どうなったんだ?」
警備員B「ああ、貴族に逆らった罪で、死刑になるらしいぜ!」
別の警備員「え、そ、そうなんだ。あ、ああ、そりゃ仕方ないな・・・。なあ、急いで着替えようぜ!なあ!」
警備員B「おい、どうしたんだいったい?」
チケットを受け取った警備員「ああ、先輩がチョッカイだした子ですね。」
別の警備員「おい!内緒って言っただろ!それにチョッカイだしてねーよ!」
警備員A「まじかよ!お前ら、先に着替えに行けよ!バレたら殺されるぞ!」
別の警備員「ああ、すまない。後は頼むよ・・・。おい、一緒に行くぞ!」
チケットを受け取った警備員「はい!あ、騒ぎがあったのは、C席16区でしたよね。」
警備員B「ああ、お前らは、あまり近づくなよ。」
~闘技場観戦席~
バベルは、なんとか潜入に成功していた。
バベル「C席16区か・・・。どこだろう?」
バベルにとって初めての場所で、座席の見方が分からない。近くまで来ていると思うのだが・・・。
バベルは、通路でボーっと立ってる人に尋ねることにした。
バベル「あの、すみません。C席16区って、どこになりますか?」
連れの女「あ、は、はい。ココがC席16区です。」
バベル「よかった。この辺りで、10歳くらいの男の子見ませんでした?知り合いが迷子なんですけど。」
ハッとした表情を見せる女性、女性はバベルを見ると泣きそうな顔をしている。
連れの女「あの、わたしミランダといいます。彼が、貴族とは知らずに・・・。
その・・・ご奉仕でも何でもします。彼を許してあげてください。お願いします。貴族様」
バベル「よく話が分からないけど、まずは弟を探したいんだが・・・。」
ミランダ「はい、最前列の中央に座ってます。あの、私ここでずっと待ってます。彼を・・・ハンクを、宜しくお願いします。」
バベル「ああ、その件も聞いてくるね。」
バベルは最前列を目指して観客席の階段を降りていく。
バベルの後を、行動を怪しんでみていた警備員もついて行く。
バベルは、パナを見つけて笑顔で手を振る。それに気づくパナとマックイン卿。
マックイン卿が笑顔で手招きをしている。
その様子を見た警備員は、慌てて階段を引き返し、別のエリアに逃げるように去っていった。
バベルは、呼ばれるままに二人の元へ移動する。
マックイン卿に会釈をするバベル。
バベル「あの、初めまして。バベルと言います。弟を助けてもらったみたいで、ありがとうございます。」
マックイン「あら、いいのよ。昨日神殿で見てたから。うちの夫の知り合いでしょ?」
パナ「夫?」
マックイン「ええ、マックイン・ガレアスよ。今日は、バナンさんを救出しに来るかもしれないって、夫と信頼できる仲間だけで、貴方たちを保護しに来たの。」
バベル「はい。ありがとうございます。」
マックイン「いいこと、バナンに何があっても動かないでね。目立ってしまうと、私たちでは、貴方たちを救えなくなるから。」
バベル「・・・はい。」
バベルは、パナの横に座る。
パナがバベルを睨む!
パナ小声「ちょっと、反対側に座ってよ。マックインさんとバベル兄ちゃんに挟まれたら狭くて潰されちゃうよ!」
~ to be continued
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私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
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